痩せたくて、糖質制限に興味がある人は多いはずです。しかし間違えた糖質制限ダイエットをしていると、健康に害を及ぼす恐れがあります。
この記事では、糖質制限中に食べていいものと注意点を管理栄養士が解説します。
糖質制限ダイエットとは
糖質制限ダイエットとは、炭水化物や糖質の摂取量を制限し、体重の減量を目指すダイエット方法です。炭水化物の代わりにたんぱく質や脂質の摂取量を増やします。
過剰に糖質を摂取すると、脂肪として蓄えられるため、体重増加の原因に繋がります。糖質を制限することで、急激な血糖値の上昇を抑えることが可能です。
短期間で体重減少に期待できますが、健康リスクにも注意が必要です。
食材別に糖質制限中に食べていいものと避けるべきものを解説

糖質制限を行うには、食べていいものと避けるべきものを理解しておく必要があります。ここでは、糖質制限中に食べていいものと避けるべきものを食材別に解説します。
主食
糖質制限中に食べていい主食は、低糖質で栄養価が高い食品です。例えば豆腐やおからの大豆製品は糖質が低く、たんぱく質が多く、こんにゃくやしらたきも糖質が低く、満腹感が得やすい食材です。
避けるべき主食には、白米やパン類、うどん、そば、ラーメン、スパゲッティなどがあります。高糖質なため、糖質制限ダイエット中は目安の摂取量を超えてしまいます。
肉・魚類
肉や魚類は糖質が少ないため、積極的に摂取できます。鶏肉や豚肉、牛肉、青魚、白身魚、マグロやカツオなどをおすすめします。
一方、ウィンナーやハム、甘露煮やみりん干しなどの加工食品を避けましょう。また、肉類や魚を揚げたり、砂糖やみりんを使用して調理したりすると、糖質が高くなってしまいます。
野菜・果物類
糖質制限中に食べてもいい野菜は、ほうれん草やブロッコリー、チンゲン菜、きゅうり、大根、キャベツなどです。糖質が少なく、栄養価が高いです。
果物では、アボカドやイチゴ、グレープフルーツなどが推奨されます。一方、イモ類やバナナ、マンゴーなどは、糖質が多く含まれます。
おやつ
ナッツ類や寒天ゼリー、無糖ヨーグルト、大豆製品などが糖質制限中に適したおやつです。避けるべきおやつには、砂糖を多く含むお菓子や米製品、イモ類、加工食品があります。
飲み物
水やお茶、ブラックコーヒー、無調整豆乳、無糖の炭酸水、ハーブティーなどがおすすめです。
清涼飲料水やフルーツジュース、野菜ジュース、スポーツドリンク、加糖のコーヒーやお茶には注意する必要があります。
アルコール
ウイスキーや焼酎、ウォッカなど蒸留酒は、糖質がほぼゼロであり、糖質制限中に適しています。白ワインや赤ワインも辛口を選ぶと良いでしょう。
避けるべきアルコールには、日本酒や梅酒、リキュールがあり、糖質が含まれています。
糖質制限中に食べてもいい量を計算する方法
糖質制限中に食べてもいい量を計算する方法は、個々の体格や活動レベルによって異なります。
標準体重と1日の適正エネルギー量、炭水化物の必要エネルギー量を算出してから、糖質摂取量の目安を求める方法を紹介します。
標準体重
標準体重を求める方法は、以下のとおりです。
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標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
例えば身長160cmの場合、1.6m×1.6m×22=56.32kgとなり、標準体重が56kgになります。
1日の適正エネルギー量
適正エネルギー量とは、健康維持や体重管理のための日に必要とするエネルギー摂取量のことです。適正エネルギー量の計算方法は以下のとおりです。
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適正エネルギー量(kcal/日)=標準体重(kg)×身体活動量(kcal/kg)
身体活動量は日常生活で体を動かす量のことです。生活習慣や運動習慣によって変化します。身体活動量は以下のとおりです。
活動量:数値 |
活動レベルの定義 |
低い:25〜30 |
生活の大半が座っている、デスクワークなど軽作業が多い職業。 |
普通:30〜35 |
通勤や買い物などで一定の立っている時間や移動の時間がある。立ち仕事が多い職業。 |
高い:35〜 |
移動や立っている時間が長い。1日1時間以上は力仕事に従事している職業。 |
標準体重が56kg、身体活動レベルが普通の場合の適正エネルギー量は、56kg×30〜35kcal/kg=1,680〜1,960kcalとなります。
炭水化物の必要エネルギー量
適正エネルギー量の50〜65%を炭水化物から摂取するのが望ましいとされているため、炭水化物の必要エネルギー量の算出方法は以下のとおりです。
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炭水化物の必要エネルギー量(kcal/日)=適正エネルギー量(kcal)×0.5〜0.65
適正エネルギー量が1,680〜1,960kcalの場合、炭水化物の必要エネルギー量は、
1,680〜1,960kcal×0.5〜0.65=840〜1,274kcal/日となります。
1日の糖質摂取量の目安
1日の糖質摂取量の目安は以下の計算式です。
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糖質摂取量の目安(g)=炭水化物の必要エネルギー量kcal/日÷4
よって1日の糖質摂取量の目安は、840〜1,274kcal/日÷4=210〜318.5g/日となります。
糖質制限ダイエットでは、糖質摂取量を以下の3つのレベルに分けます。
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ハード:70g以下/日
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普通:100g以下/日
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ロカボ(ゆるめ): 130g以下/日
自力で糖質制限を行う場合は、ロカボレベルの1日130g以下、1食20〜40g程度を目安にするとよいでしょう。
糖質制限ダイエットの注意点
糖質制限ダイエットには、短期間に体重が減りやすいというメリットがあるが、注意点があります。注意点を理解して、糖質制限ダイエットを行うか判断しましょう。
糖質制限ダイエットの注意点は、以下の通りです。
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始めは糖質制限を厳しく制限しない
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継続する必要がある
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便秘のリスクがある
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リバウンドする可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
始めは糖質制限を厳しく制限しない
糖質制限を始める際には、厳しく制限しないことが重要です。急激に糖質を減らすと、体がエネルギー不足に陥り、低血糖症を引き起こす可能性があります。
低血糖症は、血液中の糖分が不足する状態で、頭痛や眠気、イライラ感などの症状が現れます。低血糖症を防ぐために、少しずつ糖質を減らしていくことが必要です。
継続する必要がある
糖質制限ダイエットは継続することで成功率を上げるダイエット方法です。短期間で結果を求めると、過度な制限を行うとストレスが溜まりやすくなります。その結果、暴飲暴食に走るリスクが高くなります。
ダイエットは長期的な視点で取り組むことが必要であり、無理のない範囲で続けることが大切です。
便秘のリスクがある
糖質制限ダイエットは、便秘のリスクを考慮しなければなりません。糖質制限中は主食となる穀類や果物の摂取が減少するため、食物繊維が不足しがちです。
腸内環境が悪化し、便秘を引き起こすことがあります。対策として、野菜や海藻類などの水溶性食物繊維を含む食品を摂取し、水分補給も十分に行うことです。
リバウンドする可能性がある
リバウンドの可能性も否定できません。厳しい糖質制限を行った後に元の食生活に戻すと、体は急激に蓄積した脂肪を増やそうとするため、一時的な体重減少後に元の体重以上に戻ってしまうことがあります。
糖質制限後は徐々に糖質量を増やしながら、バランスの取れた食事へと移行してください。
糖質制限ダイエットを成功させるためのコツ

糖質制限ダイエットを成功させるには、以下の4つのコツがあります。
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食材を置き換えてメニューを考える
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糖質が多い調理方法と味付けを避ける
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食べる順番を意識する
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ゆっくりよく噛んで食べる
上記の4つのコツを実践することで、糖質制限ダイエットはより効果的になり、健康的な体重管理に繋がります。
無理なく続けられるよう、自分自身のライフスタイルや好みに合わせて工夫してみてください。
食材を置き換えてメニューを考える
糖質制限ダイエットを行う際、食材を置き換えてメニューを考えることが成功の鍵です。糖質が多い食品を低糖質な食品に置き換えることで、無理なく糖質摂取量を減らせます。
白米の代わりにカリフラワーライスや高野豆腐を使う方法や、普通のパスタを糖質ゼロ麺に変える方法があります。
満腹感を得ながらも糖質を抑えるため、ダイエットに対するストレスの軽減が可能です。野菜や海藻類は低糖質で栄養価が高いため、積極的に取り入れてみましょう。
糖質が多い調理方法と味付けを避ける
糖質が多い調理方法と味付けを避けることも重要です。揚げ物や甘いソースを使った料理は糖質が高くなります。蒸し料理や焼き料理などシンプルな調理法を選びましょう。
味付けには砂糖や甘味料を控え、塩やハーブ、スパイスで風味を引き立てる工夫が必要です。食事の満足感を保ちながら、糖質摂取を抑えられます。
食べる順番を意識する
食べる順番を意識すると、ダイエット成功のコツの一つです。食事は「野菜→たんぱく質・脂質→炭水化物」の順で摂りましょう。
最初に野菜を食べることで食物繊維が血糖値の急上昇を抑え、満腹感も得られます。次にたんぱく質や脂質を摂取し、最後に主食(炭水化物)を少量食べることで、血糖値が安定し、脂肪蓄積の防止に期待できます。
ゆっくりよく噛んで食べる
ゆっくりよく噛んで食べることも忘れてはいけません。よく噛むことで満腹中枢が刺激され、早めに満腹感を感じやすくなります。
過食を防止し、結果的にカロリー摂取量も減少します。一口ごとにしっかり味わうことが大切です。
まとめ
糖質制限ダイエットを行う際は、食べていいものと避けるべきものを理解しましょう。始めは糖質摂取量を厳しくし過ぎず、無理しないことが大切です。
低血糖の可能性があった際は、医師に相談し、適切に判断しましょう。