食生活

頭が良くなる食べ物とは?脳を活性化する食事について管理栄養士が徹底解説!

監修者 落水 陽香里 管理栄養士 公開日:2024-09-13 最終更新日:2024-09-13

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頭が良くなる食べ物とは?脳を活性化する食事について管理栄養士が徹底解説!

監修者落水 陽香里 管理栄養士 公開日:2024-09-13 最終更新日:2024-09-13

子供の脳の発達や、高齢者の認知機能低下の予防のためには、たくさんの栄養素が必要です。しかし、具体的にどのような栄養素が必要なのかはよく分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、脳の健康維持に重要な栄養素や食べ物について解説します。

脳の健康と活性化に必要な栄養素・成分とは?

日々の食事でさまざまな栄養素をバランス良く摂ることは、脳を健康に保つために非常に重要です。ここでは、特に脳の健康と活性化に関わりが深い栄養素・成分を6つご紹介します。

 

1. ブドウ糖(脳のエネルギー源)

脳がエネルギー源として利用できる唯一の物質は、ブドウ糖です。食事から摂取した糖質は、消化・吸収されて、最終的にはブドウ糖に分解され、エネルギー源として利用されます。血液中に存在するブドウ糖は、血糖と呼ばれ、インスリンによってコントロールされています。血液中のブドウ糖濃度が上がるとインスリンの働きで中性脂肪に変えられ、脂肪細胞に蓄えられるのです。

そのため、脳のエネルギー源になるからといってブドウ糖を摂りすぎると、肥満につながる可能性があるため、適量を摂取するようにしましょう。ブドウ糖は、ごはんやパン、芋類などに豊富に含まれています(1)(2)

 

2. 良質なたんぱく質(神経伝達物質の材料)

たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚や髪などを構成するため、人間の身体にとって非常に重要な栄養素です。また、セロトニンやGABAなどの神経伝達物質の材料にもなるため、たんぱく質をしっかり摂取することがメンタルの安定につながるのです。たんぱく質の中でも、食品から摂取する必要がある必須アミノ酸をバランス良く含んでいるものが良質なたんぱく質といえます。良質なたんぱく質は、肉や魚、卵や大豆製品に含まれているため、これらの食品を日々の食事で取り入れてみると良いでしょう。(3)(4)

 

3. オメガ3脂肪酸(認知機能の維持)

オメガ3脂肪酸は、虚血性脳卒中や認知機能低下のリスクが下がる可能性があるといわれています。オメガ3脂肪酸を摂取するには、食品から摂取する方法と、市販されているサプリメントで摂取する方法があります。魚介類から摂取する場合は、マグロやサンマ、サバなどの青魚を日々の食事に取り入れると良いでしょう。

魚介類が苦手な方や、魚を摂取する機会が少ない方は、サプリメントから摂取するのも一つの方法です(5)(6)

 

4. 葉酸(動脈硬化の予防)

葉酸が不足すると、動脈硬化の引き金になる血清中のホモシステイン量が多くなるといわれています。葉酸には、動脈硬化の危険因子といわれているホモシステインを、メチオニンに変換する働きがあることが分かっているのです。さらに、メチオニンは血液中のコレステロール値を低下させる可能性があるといわれています。

葉酸は、水溶性ビタミンの一種であるため、通常の食事では過剰症になる心配はありません。不足しないように、日々の食事で葉酸が豊富に含まれる食品を取り入れるようにしましょう。

葉酸は、レバーや卵黄、ブロッコリーやほうれん草などさまざまな食品に含まれています(2)(7)


5. レシチン(記憶力をサポート)

レシチンは細胞膜の主成分です。特に記憶力と関わりが深い成分であるといわれています。主に大豆製品に含まれる大豆レシチンと、卵黄に含まれる卵黄レシチンの2種類に分けられます。卵黄レシチンの特徴は、神経伝達に関わるアセチルコリンの前駆体であるコリンを含んでいるところです。一方、大豆レシチンは、必須脂肪酸が多く、コレステロールを含んでいないという特徴があります。

最近、物忘れが気になる方や認知機能を維持したいという方は、卵や大豆製品を日々の食事に取り入れることを心がけてみると良いでしょう。(8)(9)

 

6. 抗酸化物質(脳血管障害を予防)

活性酸素は微量であれば人体に有用な働きをしますが、大量に生成されると過酸化脂質を作り出し、動脈硬化による脳卒中を引き起こす場合があります。抗酸化物質を摂取することで、活性酸素を取り除くことが期待できるため、動脈硬化の予防につながるでしょう。

抗酸化物質は、主にポリフェノールとカロテノイドに分けられます。ブルーベリーなどの色素成分であるアントシアニン、大豆に多く含まれるイソフラボンやサポニンはフラボノイドです。

一方、カロテノイドは、緑黄色野菜や果物など多くの食品に含まれるβ-カロテンやリコピン、えびやかになど甲殻類や、さけやますなど魚類がもつアスタキサンチンなどがあります。(10)

 

脳の健康のために摂りたい食べ物・飲み物7選

脳の健康維持に必要な栄養素が摂取できる食品を、日々の食事でバランスよく摂ることは非常に重要です。ここでは、比較的日常生活に取り入れやすい脳の健康のために積極的に食べたい食べ物・飲み物7選をご紹介します。

 

ごはん、パン、芋類(ブドウ糖)

脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖の摂取源です。摂りすぎは、エネルギーの過剰摂取につながってしまうため、3食の食事で適量を摂るようにしましょう。(1)(2)

 

サバ、サンマ、マグロなどの青魚(オメガ3脂肪酸)

認知機能の維持に役立つオメガ3脂肪酸を摂取できます。効率よく手軽に摂取するためには、缶詰の活用もおすすめです(2)(5)

 

卵(良質なたんぱく質、レシチン)

神経伝達物質の材料になる良質なたんぱく質と、記憶力の維持に役立つレシチンの摂取源です。たんぱく質やレシチン以外にも卵1個でたくさんの栄養素が取れるため、日々の食事に取り入れてみると良いでしょう。(2)(3)(8)

 

納豆、豆腐などの大豆製品(レシチン、イソフラボン)

大豆製品は、記憶力の維持に役立つレシチンや、抗酸化作用がある大豆イソフラボンの摂取源です。納豆や豆腐はそのまま食べても美味しいですが、お好みでキムチやねぎ、生姜などの薬味を加えても美味しく食べられます。飽きずに美味しく食べられる工夫をしてみると良いでしょう(9)(10)

 

ブロッコリー、トマト、にんじんなどの緑黄色野菜(β-カロテン、リコピン)

色が濃い野菜には、β―カロテンやリコピンなど抗酸化物質が豊富に含まれています。サラダで食べることで熱に弱い栄養素もしっかり摂取できますが、たくさん食べたい時は、加熱してカサを減らすこともおすすめです(2)(10)

 

ブルーベリー(アントシアニン)

ブルーベリーには、アントシアニンと呼ばれるポリフェノールが含まれています。抗酸化作用があるため、動脈硬化の予防に必要な成分です。おやつや食後のデザートなどに取り入れてみると良いでしょう(10)

 

緑茶(カテキン)

緑茶には、強い抗酸化作用があるカテキンが含まれています。甘いジュースを飲む習慣がある方は、日々の水分補給の一部を緑茶にすることで効率よく抗酸化物質を摂取できるでしょう(10)

 

脳を活性化させる食べ物を使った簡単レシピ

ここでは、脳を活性化させる食べ物を使った簡単レシピをご紹介します。ぜひ、日々の食事の参考にしてみてください。

A. オメガ3脂肪酸を摂取!サバ缶で作るカンタンみぞれ煮

【材料(2人分)】

  • サバの水煮缶(汁含む):2缶
  • 大根おろし:200g
 

(煮汁)

  • 水:150ml
  • しょうゆ:大さじ2
  • みりん:大さじ1.5
  • 砂糖:大さじ1
  • 顆粒和風だし:小さじ1
  • 小ねぎ:お好みの量
 

【作り方】

  1. 大根おろしはザルに上げて水気を切る。小ねぎは小口切りにしておく。
  2. フライパンに煮汁の材料を入れて中火で熱し、煮立ったらサバの水煮缶を入れて落し蓋をする。
  3. 弱火で5分ほど煮たら①を入れてひと煮立ちさせ、火から下ろす。器に盛り付け、小ねぎを散らして完成。
 

B. 抗酸化力アップ!ブロッコリーとたまごのオーロラソース炒め

【材料(2人分)】

  • 溶き卵:2個分
  • ブロッコリー:1/2株
  • サラダ油:大さじ½
 

(オーロラソース)

  • マヨネーズ:大さじ2
  • ケチャップ:大さじ1
  • 塩:少々
  • こしょう:少々
 

【作り方】

  1. ブロッコリーは小房に切り分ける。
  2. ボウルにオーロラソースの材料を入れてよく混ぜる。
  3. フライパンに水(分量外:100cc)を入れて沸騰させ、ブロッコリーを入れてふたをして中火で2分蒸す。
  4. 3. のブロッコリーを取り出して水気を切る。
  5. ブロッコリーを戻し入れ、中火で炒めて水分を飛ばす。
  6. ブロッコリーを端によせて、空いたところにサラダ油を入れて熱する。溶き卵を加えて半熟状になるまで菜箸で大きくかき混ぜる。
  7. 2.のオーロラソースで味付けをして完成。

脳の健康に悪影響を与える食品があるって本当?

糖質は、脳のエネルギー源になる一方で過剰に摂取すると、脳に悪影響があることが分かっています。糖質の過剰摂取により、血液中のブドウ糖があふれ出すと、糖質とたんぱく質が結びつき、体温で熱せられることによって糖化が起きます。この時に作られる物質が脳に悪影響を及ぼすAGE(終末糖化産物)です。

脳内のたんぱく質が糖化すると、βアミロイドというたんぱく質に変質するものが出てきます。βアミロイドは組織に沈着しやすく、老人班と呼ばれる班点を作るのです。この班点が広がると神経細胞を死滅させ、アルツハイマー型の認知症を引き起こす可能性があるといわれています。

他にも、バターやラード、肉類の脂身など飽和脂肪酸の摂りすぎにより悪玉コレステロールが増え、動脈硬化につながりやすくなります。動脈硬化が進行することによって脳卒中や脳梗塞など脳血管疾患を発症する可能性があるため、注意が必要です。脳の健康を維持するためには、糖質や飽和脂肪酸の摂りすぎに気をつけましょう。(11)(12)(13)(14)

 

まとめ:脳を活性化させるためには日々の食事が重要!

脳の健康維持や、脳を活性化させる栄養素についてお分かりいただけたでしょうか。脳は、子どもから高齢者まですべての人にとって重要な器官です。しかし、どんなに脳に良いといわれる食べ物も食べ過ぎは良くありません。日々の食事ではいろいろな食材をバランス良く食べるようにしましょう。