最近、何かと話題になっている「腸活」ですが、腸活の具体的なやり方がいまいち分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、誰でも簡単に始められる腸活について徹底解説します。腸活について詳しく知りたいという方はぜひ、続きを読んでみてくださいね。
そもそも腸活って何?
「腸活」とは、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを整えて、腸内環境をより良い状態にするために食事や運動などの生活習慣を改善する活動のことをいいます。例えば、食事面では、食物繊維を摂取して便通を良くしたり、乳酸菌を摂取して腸内の善玉菌を増やすことなどが当てはまります。腸活は、美容や健康に与える影響が注目され、最近では多くの方に人気を集めているのです。(1)
腸活のメリット
腸活をすることによって、美容や健康に良い影響があることが分かっていても、具体的にどのようなメリットがあるのかは知らないという方も多いのではないでしょうか。
腸活をして、腸内環境が整うとおなかの調子が良くなるということはよく知られています。他にも免疫力が向上して心と身体の健康維持につながったり、肌の調子が良くなるなどのさまざまなメリットがあるのです。
腸活はどんな人におすすめ?
腸活は、誰でもできますが、以下のようなお悩みがある方には特におすすめです。
おなかの不調で悩んでいる人
腸内環境が悪くなると、便秘や下痢などのおなかの不調が起こる場合があります。
便秘は、排便時に過度にいきむことによって肛門や腸に負担がかかる可能性があるため、なるべく早く改善が必要です。また、便秘だけではなく、頻繁に便秘や下痢を繰り返している人や、一日に排便する回数が極端に多い人、よく匂いが強いおならが出る人も腸内環境が悪化している場合があります。
おなかの不調がある方は、市販薬を活用する方法もありますが、まずは食事や運動などの生活習慣を改善するということも重要です。
腸活の第一歩として、日々の排便回数や便の状態などを把握することから始めてみるのはいかがでしょうか。
しかし、医師から薬を処方されている場合は、しっかり飲むようにしましょう。(2)
体調を崩しやすい人
免疫細胞の約70%が腸に集まっているといわれています。腸に集まっている免疫細胞を活性化させるのに必要なのが腸内細菌なのです。そのため、腸内細菌の種類や数、構成などに異常があると全身の免疫異常に発展し、さまざまな病気の発症につながると考えられています。健康維持のために免疫力をつけたいという人は、腸活で腸内細菌バランスを整えると良いでしょう。(3)(4)
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メンタルが不安定な人
近年の研究では、腸内細菌が神経伝達物質の分泌量を決めて人間の精神状態に影響を与えていることが明らかにされています。脳内のセロトニンが減少することで発症する精神疾患がありますが、セロトニンは、食事からトリプトファンを摂取しないと体内では合成できません。しかし、いくらトリプトファンを摂取しても、腸内細菌がバランス良く存在しないと脳内にセロトニンを増やすことができないといわれています。
メンタルを安定させるためには、腸活をして腸内細菌のバランスを整えることが非常に大切です。(3)
肌のトラブルで悩んでいる人
肌は、健康のバロメーターです。綺麗な肌を維持するために日々のスキンケアを頑張っているという方も多いのではないでしょうか。しかし、いくらスキンケアを頑張っても、腸内環境が悪化していると皮膚疾患の発症につながる可能性があるといわれています。肌のトラブルに悩んでいる方は、腸内環境を整えることに力を入れてみるのも良いでしょう。(5)
腸活のやり方:食事で腸活
1. しっかり水分を摂る
便が腸の中を進んで行く途中に水分が吸収され、水分が少なくなることで便秘になりやすいということが分かっています。
口から入る食べ物や飲み物の水分量は、1日約2リットルといわれています。人間の大腸には大量の水分が流れこみますが、その水分のほとんどは、大腸を通過する時に吸収されているのです。水分が不足すると便が硬くなり、便秘につながりやすいため、十分な水分量を摂取することが大切です。日常の水分補給には、利尿作用があるコーヒーや緑茶、紅茶などのカフェイン入りの飲み物や、砂糖含有量が多いジュース、アルコール飲料は適していません。カフェインや砂糖などが含まれていない水や麦茶などを飲むようにすると良いでしょう。(6)
2. 発酵食品を摂取する
善玉菌を摂取し、腸内細菌叢を整えることで、腸の蠕動運動を促進し、スムーズな排便につながります。
プロバイオティクス(生きた善玉菌)を直接摂取する方法は、食品ではヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物などの発酵食品を食べることです。これらの菌は腸内にある程度の期間は存在しても、住み着くことができないため、毎日続けて食べるようにしましょう。(1)
3. プロバイオティクス(生きた善玉菌)をサプリメントで摂取する
プロバイオティクス(生きた善玉菌)は、サプリメント(栄養補助食品)で摂取することも可能です。
通常の量のプロバイオティクスを摂取する場合では、副作用がほとんどないということが研究で明らかにされています。しかし、長期的に摂取する場合の安全性に関するデータは、限られているため、基礎疾患のある方は、かかりつけの医療機関で相談をするようにしましょう。(7)
4. 食物繊維を摂取する
食物繊維は、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などに多く含まれています。一日のうち一食の主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えると、効率的に食物繊維を摂取できるでしょう。日本人は食物繊維が不足傾向であるため、これらの食品を日々の食事に積極的に取り入れることが大切です。
また、食物繊維には整腸作用以外にも、脂質や糖質、ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあります。そのため、肥満や高脂血症、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防・改善にも期待ができるのです。(8)(9)
5. オリゴ糖を摂取する
オリゴ糖は、善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」に分類されます。オリゴ糖は、大豆、たまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどに含まれているため、これらの食品を日々の食事に取り入れると良いでしょう。
また、特定保健用食品で市販されているオリゴ糖もあります。手軽に、効率的に摂取するためには、市販品を利用するのも一つの方法です。しかし、多量のオリゴ糖を急に摂取すると下痢を起こしたり、おなかが張ってしまう場合があります。オリゴ糖を摂取する場合は、一日あたりの摂取量を減らして、数日間かけて推奨されている摂取量まで増やすなど、少しずつ慣らしていくことが大切です。(1)
6. ポリフェノールを摂取する
抗酸化物質には、活性酸素を除去し、酸化を抑える働きがあります。ブルーベリーに含まれるアントシアニンや、緑茶に含まれるカテキンなどは、抗酸化物質の中でもポリフェノールに分類されます。ポリフェノールは、腸内の有益な細菌の数を増やし、病原性細菌に対する抗菌作用があることが分かっているのです。活性酸素は、少量であれば人体にとって良い働きをしますが、大量に生成されると過酸化脂質を生じさせ、動脈硬化、がん、老化、免疫機能の低下などの原因になると考えられています。腸内環境を整えるためや、疾患の予防のためには、抗酸化物質が含まれる食品を日々の食事に取り入れると良いでしょう。(10)(11)
腸活のやり方:生活習慣の改善で腸活
1.十分な睡眠を確保する
腸内環境と脳機能は、自律神経系やホルモンを介して、相互に作用(脳腸相関)していることが明らかにされています。そのため、緊張した時にお腹が痛くなるのも脳腸相関が関係していることが考えられます。また、近年の研究では、睡眠の変化が腸内細菌の組成や機能に影響があることが分かっているのです。
不規則な生活は、腸内環境を悪くする要因の一つであるため、まずは十分な睡眠時間を確保することを心がけましょう。(1)(12)(13)
2. 有酸素運動をする
運動は、腸内細菌の構成を変えて、人間の身体にとって良い働きをする腸内細菌叢に変化させることが明らかにされています。
適度な運動をすることで腸の動きが促されるため、便秘の解消にも役立ちます。今まで運動習慣がない方は、比較的負荷が軽いウォーキングやジョギングなどの有酸素運動から始めてみると良いでしょう。(2)(14)(15)
3. 腸マッサージをする
科学的根拠があるわけではありませんが、「の」の字マッサージによる刺激で腸の蠕動運動を高め、自然排便を促せる場合があります。
基本的にはマッサージをやってはいけない人はいませんが、腹部に炎症がある方や、妊娠中、出産後すぐの方はなるべく控えるようにしましょう。(16)
4. ストレスを解消する
ストレスは、腸内の悪玉菌を増やす要因の一つです。ストレスを感じている状態では、眠れない、お腹の調子が悪くなる、怒りっぽくなるなどのストレスサインが出ていることがあります。このようなストレスサインを感じたら休息をとったり、自分が好きなことをして気分転換をするなど、早めにセルフケアをすることが大切です。
例えば、ゆっくりと腹式呼吸をする、ぼんやりと窓の外を眺める、ゆったりお風呂に入る、軽く体をストレッチする、好きな音楽を聴くなど日常生活の中でリラックスする時間をとることを意識してみましょう。(1)(17)
腸の健康のためにこちらも参考:消化に良い食べ物とは?胃腸に優しい食材について管理栄養士が解説
まとめ
腸内細菌は目には見えませんが、人間の身体の中でさまざまな役割を果たしています。そのため、健康維持や美容のためには、腸内環境を整えることが大切です。腸活は、誰でも気軽に取り組めるというメリットがあります。まずは、日頃の生活習慣を見直し、できそうなことから取り組んでみましょう。