サプリメントの選び方

サプリメントと薬の飲み合わせは大丈夫?サプリ摂取タイミングと3つ注意点を解説【薬剤師執筆】

監修者 木村 彩香 薬剤師 公開日:2024-10-21 最終更新日:2024-10-21

サプリメントの選び方

サプリメントと薬の飲み合わせは大丈夫?サプリ摂取タイミングと3つ注意点を解説【薬剤師執筆】

監修者木村 彩香 薬剤師 公開日:2024-10-21 最終更新日:2024-10-21

サプリメントを飲むときに、薬との飲み合わせが問題ないか気になったことはありませんか?筆者は毎日、薬局で患者さんから直接話を聞いていますが、患者さんからは「サプリメント」に関する悩みも多く寄せられます。健康に対する意識が高い患者さんほど、食事やサプリメントで栄養面を気にされています。

その反面、サプリメントには病気や薬との相性が悪い組み合わせがありますので、自己判断で飲むには注意が必要です。本記事では代表的な飲み合わせや注意点を説明します。

また、薬やサプリメントの種類は多岐にわたるので、すべての飲み合わせを紹介できません。もし、薬とサプリメントの飲み合わせで気になることがあれば、薬局やドラッグストアの薬剤師や登録販売者に問い合わせてみましょう。

健康食品とサプリメントの種類?医薬品との違いは

健康食品と聞けば、何を思い出しますか?トクホや機能性表示食品を思い浮かべるでしょうか?健康食品について、詳しく説明します。

 

医薬品は病気の「治療」や「予防」に使う

まず初めに知ってほしいのが、「健康食品と医薬品はまったく別物」ということです。医薬品は病気の「治療」や「予防」のために作られ、臨床試験でしっかり効果や副作用を確認しています。臨床試験では、薬の「効果」や「副作用」を確認しています。また、国の基準を満たした工場で製造されており、品質も一定を保つように管理されています。

なぜ医薬品は国の厳しい基準下で作られているかというと、効果や副作用として人体へ影響が出ることがわかっているからです。そのため、医薬品は病院や薬局、ドラッグストアなど医療従事者が管理下でしか患者さんに渡すことができません。(最近は一部ネットで買える医薬品もありますが、問い合わせ窓口を設置することが義務付けられています。)

 

健康食品では病気を治療できない

健康食品は病気の「治療」を目的として作られていません。そのため、すでに病気になった場合は、健康食品を摂るのではなく、きちんと医師に診察をしてもらって、医薬品を飲むことが重要となります。また、医薬品ほど国による審査が厳しくないため、健康食品は品質にばらつきがある場合も。サプリメントの見極めは、消費者自身で行わなければなりません。

こう聞くと、健康食品はまったく意味がないのか?と思うかもしれません。健康食品は、医薬品ほど根拠は確立されていませんが、健康に役立つ可能性のあるものです。一概にまったく効果がないとも言い切れません。(ただ、法律上、効果があると言い切ることもできません。)

例えば、野菜を食べるとビタミンや食物繊維が豊富に摂れて、健康にいいことは誰でも知っていますよね。でも、仕事などのために毎日十分な野菜を摂ることは難しいことが多いです。そういったときに、健康食品で不足している栄養素を健康食品で補うのはよい判断です。

 

健康食品の種類について説明

健康食品は、大きく分けて4種類あります。(1)(2)(3)

  • 特定保健用食品:体の生理学的昨日に影響を与える保健効能成分が入っていおり、特定の保健の目的が期待できることを表示できる食品。国による審査を受けて、許可を得なければならない。

  • 栄養機能食品:特定の栄養を補給のために利用される食品のこと。定められた栄養機能の表示のほか、注意喚起の記載義務がある。自己認証制度。

  • 機能性表示食品:国のルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性などを国に届け出れば、機能性を表示することができる。個別に国で審査されていないため、事業者の責任で機能性を表示する。

  • 一般食品:上記以外の食品 

特定保健用食品(いわゆるトクホ)は、国による審査を経て、許可を得ているので、この中では一番信頼度が高いと言えるでしょう。栄養機能食品や機能性表示食品は、国の個別審査がないため、品質のばらつきがある可能性が高いです。できるだけ、信頼度の高いメーカーを選ぶことをおすすめします。

 

薬との飲み合わせに注意が必要なサプリメントのチェックリスト

薬のとの飲み合わせが悪いサプリメントに次のようなものがあります。

飲み合わせの種類

飲み合わせが悪い理由

ビタミンKとワーファリン

ワーファリンはビタミンKの働きを抑えて、血液を固まりにくくする薬。ビタミンKのサプリメントとは併用に注意が必要です。

ビタミンCと尿路結石

ビタミンCを過剰摂取すると、尿路結石の原因となるシュウ酸の産生が促進されます。ただし、ビタミンCがすべてシュウ酸になるわけではないので、過剰摂取でなければ問題になりません。(4)

亜鉛と骨粗鬆症系治療薬

吸収を抑制する恐れがあります。

カルシウムと骨粗鬆症治療薬

吸収を抑制する恐れがあります。(5)

ビタミンDと骨粗鬆症治療薬

骨粗鬆症治療薬の中には、ビタミンDを主成分とするものがあります。それらとビタミンDサプリメントを同時に摂取すると、過剰摂取になる恐れがあります。(5)

 

骨粗鬆症の薬は、サプリメントとの飲み合わせが悪い場合が多いため、必ず薬局で相談するようにしましょう。また、それ以外の薬も注意が必要な場合があります。

薬とサプリメントの飲み合わせは、基本的には問題ないことが多いです。ですが、稀に飲み合わせが悪いものがあり、それを患者さん自身で見つけることは非常に困難です。(薬剤師であっても、薬やサプリメントの種類が多すぎて、すぐに判断できない場合がほとんどですから。)持病のある人はサプリメントを飲む前に、薬局に相談するようにしましょう。

 

サプリメントを摂る時3つ注意点

サプリメントを摂取するときに、これだけは守ってほしい注意点を3つ紹介します。

 

パッケージ記載の摂取目安量を必ず守ること

一番守ってほしいことが「過剰摂取しない」ということです。そのために、サプリメントのパッケージに記載の摂取量(1日O粒等)を守ることが大切です。記載された摂取量を守っていれば、基本的に過剰摂取になることはありません。

また、ビタミンCのサプリメントを2種類飲むなども、過剰摂取につながるのでやめましょう。ひとつの成分につき一種類のサプリメントを選ぶようにしましょう。

 

定期薬を飲んでいる人は、事前に病院や薬局に相談すること

普段、薬局で血圧の薬などの定期薬を飲んでいる人は、サプリメントを飲む前に薬剤師に相談してみましょう。サプリメントと薬の飲み合わせをチェックして、健康のアドバイスをもらえます。(相談は無料なので安心してくださいね。)

病院での処方はもらってないけど、ドラッグストアでOTC医薬品を買う人は、ドラッグストアの薬剤師や登録販売者に相談してみてもよいでしょう。

 

サプリメントだけに頼らず、食事や運動習慣を見直すこと

まれにサプリメントを摂取しているからと、食事習慣や運動習慣を疎かにしてしまう人がいます。しかし、サプリメントだけに頼るには限界があるのです。

栄養バランスの取れた食事、そして適度な運動(1日30分程度のウォーキングで大丈夫ですよ。)を行ったうえで、それでも足りない栄養素をサプリメントで補給するのが健康には最適だと考えています。

忙しい人は、食事や運動まで気を配るのが大変かもしれませんが、できるだけ毎日の生活習慣を見直すことから始めてみましょう。

 

サプリメントを飲むタイミングは?

サプリメントを飲むタイミングを聞かれますが、基本的には「好きな時間」に飲んで問題ありません。医薬品と異なるので、厳密に決まったタイミングはありません。

 

飲み忘れ防止のために朝が一番おすすめ

私は、朝にサプリメントを摂取することをおすすめしています。というのも、昼や夜はついつい忘れてしまうからです。朝に朝食と一緒にサプリメントを摂ることを習慣化すると、飲み忘れも減り、サプリメント本来の効果を期待できるでしょう。

 

水溶性ビタミンは1日に複数回摂るのがおすすめ

水溶性ビタミンは、体に吸収されない分は尿として排出されてしまいます。ビタミンを飲むと尿が黄色くなるのは、吸収しきれなかったビタミンが排出されているからです。そのため、1度にたくさん摂るよりも、1日に複数回飲むことをおすすめします。水溶性ビタミンには、ビタミンC、ビタミンB群、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンなどがあります。

 

脂溶性ビタミンは食後に飲むのがおすすめ

脂溶性ビタミンは、水に溶けにくく、油に溶けやすいという性質があります。通常、食事には油が含まれているので、食後に脂溶性ビタミンを飲むと吸収率アップを期待できるでしょう。フィッシュオイルのサプリメントやアマニ油を摂取する習慣のある人は、それらと一緒に飲んでもよいです。

脂溶性ビタミンには、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどがあります。

参考資料:
  1. 特定保健用食品について」/ 消費者庁HP
  2. 栄養機能食品について」/ 消費者庁HP
  3. 機能性表示食品について」/ 消費者庁HP
  4.  尿路結石症診療ガイドライン第2版 / 金原出版株式会社
  5.  骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版 / 一般社団法人 日本骨粗鬆症学会