新型コロナウイルスの流行後、多くの人々が免疫力の強化の重要性を感じています。
免疫力を高めるするには、健康な食事だけでなく、生活習慣やメンタル管理も重要です。免疫力はさまざまな方法で高めることができます。まず免疫力を高める方法を理解する前に、何が免疫力に影響を与え、免疫力の低下を引き起こすのかを知る必要があります。
免疫力とは?
我々の周りには、常に宿主を探し求めて生物体に侵入し、複製と増殖するために待ち構える病原体が存在します。これらの病原体には、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、そしてリケッチアなどが含まれます。一方、人体の免疫システムは、病原体を監視、識別、排除することで、病原体の侵入に対抗し、防御します。これにより個体の感染の重症化が軽減されます。これが免疫力の働きのひとつです。
免疫システムは、これらの病原体に対する保護機能として、侵入を防ぐための皮膚や粘膜による防護壁と侵入後に排除する免疫システムの二つの防線があります。
皮膚や粘膜による防護壁
これは、人体が病原体に対抗する最初の防衛線であり、皮膚、皮下組織、粘膜などの物理的な障壁を含みます。例えば:
-
目の涙が角膜を洗い流し、異物を除去します。
-
気管支の粘膜の繊毛細胞は、繊毛を振動させて粘液や異物を除去します。
-
皮脂腺からの皮脂は脂肪酸を分泌し、殺菌作用があります。
-
汗中の塩は、皮膚上で高塩濃度の環境を作り、多くの細菌の成長を防ぎます。
-
涙、唾液、粘膜中の溶菌酵素は、細菌の細胞壁を溶解します。
-
胃酸は食物中の細菌の成長を抑制します。
免疫システム
免疫システムに反応する細胞は、主にリンパ球や白血球などであり、次の3つの主要な機能を持っています:
-
病原体の識別
-
病原体への抵抗と排除
-
正常な細胞の変性や癌化の監視
その免疫の反応方法に基づいて、自然免疫と獲得免疫の2種類に分類されます。
種類 |
自然免疫 |
獲得免疫 |
参加する分子や細胞 - 機能 |
|
|
産生方法 |
|
最初に接触し、抗原を認識した後に、特異的な抵抗力を獲得できます。 |
特性 |
|
|
能動免疫と受動免疫とは?
能動免疫
人体が直接抗原(病原体やワクチンなど)に触れた後、特異的な抗体やリンパ球を生成することで、能動的な方法で免疫反応を促進します。 このプロセスでは、体は自ら抗体を生成し、記憶細胞を形成します。これにより、将来同じ病原体に再びさらされた場合に迅速かつ効果的に対応できるようになります。能動免疫は通常、長期間持続します。
受動免疫
受動免疫は、他の個体から生成された抗体が体内に導入されることによって得られます。例えば、母乳を通じて母親から赤ちゃんに移される抗体や、抗血清治療によって提供される抗体がこれに該当します。受動免疫は即時の保護を提供しますが、体が自ら抗体を生成していないため、短期間で減少します。
種類 |
能動免疫 |
受動免疫 |
免疫能力の源 |
外部の抗原の刺激を受けて自己生成 |
感染した動物または人間の血清から来る |
獲得方式 |
|
|
免疫の效果 |
良い |
比較的劣る |
効果を獲得時間 |
初回暴露後、約10〜14日で免疫能力を獲得できます。 |
注射後すぐに免疫能力を獲得できます。 |
維持時間 |
数年または一生の免疫 |
数日から数週間 |
再感染時 |
迅速かつ大量に免疫反応を生み出す |
個体の抵抗力が徐々に低下します。 |
特性 |
|
|
免疫力を高める方法
健康な生活習慣を身につけ、食事を調整し、栄養素を補うことで、自身の免疫力を高める助けになります。
十分な睡眠
研究によると、毎日の睡眠時間が6時間未満の場合、風邪の発症率が高くなります。あくまで目安ではありますが、成人の場合、睡眠時間は少なくとも7時間が推奨され、10代から20代の若者は8〜10時間、乳幼児は最大で14時間が適切という意見もあります。
適度な運動
適度な運動は、炎症反応を減少させ、免疫細胞の再生を助けることができます。適度な運動は、特に有酸素運動がすすめられており、速足歩行、自転車、ジョギング、水泳、ハイキングなどが含まれます。目安として週に少なくとも3回、定期的な運動を行い、一回につき少なくとも10~20分間、運動中の心拍数が最大心拍数の60%以上に達するように調整できるとよいです。
ストレスと不安の緩和
長期間のストレスは、炎症反応や免疫細胞の機能不全を促進する可能性があります。ストレス緩和に役立つ活動として、瞑想、運動、趣味や創作活動などをしてみるといいでしょう。
飲食の調整
過剰な動物性油脂の摂取、精製された炭水化物や高糖分の摂取を避け、十分な水分補給を日々行うことが重要です。また、野菜、ナッツ、種子、豆類などの植物由来の食品を多く摂取することも推奨されます。これらの植物由来の食品には栄養素や抗酸化成分が豊富に含まれており、その抗酸化成分は体内のフリーラジカルを排除し、炎症反応を緩和する効果があります。慢性的な炎症は心血管疾患、アルツハイマー病、がんなどを引き起こす可能性があります。また、食物繊維は腸内の正常な細菌叢のプロバイオティクスとして機能し、腸内の善玉菌が健康に保たれると、病原体に対する免疫力も向上しやすくなります。
免疫力を高める食べ物
營養素と人体の免疫機能は密接に関連しています。例えば、果物に豊富に含まれるビタミンCは抗酸化作用によって免疫細胞と共に働き、魚、卵、乳製品に含まれるビタミンDは免疫系を活性化し、海産物に豊富に含まれる亜鉛はウイルスに対する抵抗力を高めることができます。また、キノコ類に含まれる多糖体は免疫系を調節する作用もあるとされています。
関連記事:簡単に免疫力を高める食べものとは?生活習慣のポイントも含め管理栄養士が解説!発酵食品
毎日、活性な乳酸菌(activated Lactobacillus)を含む発酵食品を摂取することは、便秘の改善に効果的であり、腸内の善玉菌の数を増やすことができます。これにより、腸内の菌叢をバランス良く保つことができます。
ウコン
ウコンの成分は、免疫系および炎症反応に関連する細胞ホルモンを調節し、重症インフルエンザ肺炎を改善する報告もあります。しかし過剰な摂取はかえって健康に悪影響を及ぼすためさけるようにしましょう。
ニンニク
ニンニクに含まれるアリシンは免疫力を高めることが報告されています。ある臨床研究によると、12週間連続してニンニクを摂取することは、プラセボグループと比較して風邪の発症率を30%減少させたとあります。個人差はあるので、過剰な摂取はかえって健康に悪影響を及ぼすためさけるようにしましょう。
ビタミンC
11,000人の被験者を対象とした大規模な臨床試験によると、ビタミンCを1,000〜2,000ミリグラム摂取することで、成人の風邪が治るまでの期間が8%、子供の風邪が治るまでの期間が14%短縮されるという報告があります。個人差はありますが、ビタミンCの推奨摂取量は1,000〜2,000ミリグラム/日です。また、ビタミンCを多く含む野菜や果物を摂取することでも補給することができます。ただ、過剰な摂取はかえって健康に悪影響を及ぼすためさけるようにしましょう。
ビタミンD
ビタミンDの不足は感染のリスクを高めます。厚生労働省によると、1日の摂取目安量は成人(10 µg/日)、高齢者・妊婦・授乳婦(8.5 µg/日)です。
生活には直接または間接的に免疫系に影響を与える多くの側面があります。適切な睡眠を確保し、適度な運動と健康的な食事を摂取し、免疫力を高めるのに役立つ食品や栄養補助食品を摂取することで、体が病原体攻撃に対して抵抗力を高める可能性があります。