お体の悩み

集中できない人必見!集中力を高める方法は?6つのコツ

監修者 錦 惠那 医師 公開日:2024-08-05 最終更新日:2024-08-05

お体の悩み

集中できない人必見!集中力を高める方法は?6つのコツ

監修者錦 惠那 医師 公開日:2024-08-05 最終更新日:2024-08-05

集中力は仕事や学業、日常生活において重要な要素です。しかし現代では、多くの人が「集中できない」、「集中力が続かない」という悩みを抱えています。ハーバード大学が発表した年齢別の集中力に関する研究によると、集中力は43歳前後でピークを迎え、その後は年齢とともに低下する傾向があることが明らかになっています。年齢や状況によって集中力の持続時間は異なり、個人差もありますが、一般的に集中力は15~30分ほど継続すると考えられています。この記事では、集中力が続かない原因や、集中力を高めるための方法についてくわしく解説します。(1)

 

「集中力が続かない」とは、どんな状態?

集中力とは「ある物事に意識や注意を集中させる能力」のことですが、概念であり主観的なものであるため、一般的には目で見てわかるものではありません。

それでは、多くの人の悩みである「集中できない」、「集中力が続かない」とはどのような状態なのでしょうか。以下の状態にあてはまる場合、「集中できない」状態となっている可能性があります。

集中できない状態

  • 仕事中や勉強中に気が散って、作業が進まない

  • 何度も同じページを読み返してしまう

  • やるべきことがあるのに気持ちがのらず、進まない

  • やるべきことの優先度が整理できない

  • 朝からイライラし、ストレスを感じている

  • 注意力がなく、仕事や勉強のケアレスミスが多い

  • スマートフォンやパソコンでSNSやニュースを見てしまい、作業を中断してしまう

  • ささいな周りの音や動きが気になり、注意力が散漫になる

  • 緊張感がなく、すぐに眠くなってしまう

  • ひとつの作業を連続して続けることができない


 

集中力が続かない原因

睡眠不足

睡眠が十分に取れていないと、脳の機能が低下します。脳の機能の低下は注意力や判断力に悪影響を及ぼし、集中力が低下すると考えられます。ペンシルベニア大学などの研究チームが発表した研究によると、6時間以下の睡眠が2週間続くと、最大で2日間の徹夜に相当する集中力の低下が生じることが明らかになっています。また、睡眠の質が悪いと、脳の疲労回復が十分にできず、翌日の集中力にも悪影響が及ぼされます。(2)(3)

 

エネルギー不足

集中力を持続させるにはエネルギーが必要です。現代人は朝食抜きの食生活となっている人も多く、脳の活動に必要なエネルギー源となるブドウ糖が不足していると考えられています。朝食を抜くと低血糖状態となり、脳のエネルギー不足が生じ、集中力や記憶力の低下につながります。ブドウ糖は体内に大量に貯蔵しておくことができないため、朝食をきちんとと取り、脳の活動に必要なブドウ糖をしっかり補給するようにしましょう。(4)

 

一方で、血糖値を急激に上昇させるような食事の摂取は、大量のインスリンを分泌させ血糖値を急下降させ、集中力を妨げる可能性があるため注意が必要です。(5)

 

騒音や散らかった環境

集中できる環境は人によって異なりますが、一般的に周囲の動きや音が気になる環境や散らかった環境は集中力が妨げられると考えられます。スマートフォンが身の回りにある環境もSNSやネットニュースに気が散り、集中力が持続しない原因となる可能性があります。作業スペースは清潔に保ち、必要なものだけを手元に置くようにしましょう。また、作業を行う環境が暑すぎても寒すぎても集中力を欠く原因となるため、快適な環境を整えることが必要です。

 

ストレス

過度なストレスが慢性化すると、メンタル面での不調が生じます。多少のストレスは適度な緊張感を与え、集中力を高めるという側面もありますが、メンタルの不調が生じるほどの過度なストレスは、思考力や集中力を低下させ、集中力が維持できない原因となることがあります。(6)

 

体調不良

過度のストレスなどによる心的疲労だけでなく、体の不調や病気も集中力を低下させる原因となります。慢性的な病気などが原因で体の痛みや不調があると、そちらに気をとられ、やるべきことに集中することが難しくなる可能性があります。体調管理を怠らず、健康的な体を維持することで、集中力の低下を防ぐようにしましょう。

 

集中力を高める6つの方法

集中力を高めるためには、生活習慣を見直すことが重要です。生活習慣の改善はすぐに取り掛かることができる方法なので、まずは生活習慣を見直すことからはじめてみましょう。

 

1.睡眠時間を十分に確保する

睡眠時間は脳の回復と情報整理に重要な役割を果たしています。睡眠が十分に取れていないと脳の機能が低下し、集中力や記憶力が低下する可能性があります。日本人の睡眠時間は世界で最も短いと言われており、意識的に睡眠時間をしっかりと確保することが重要です。(7)(8)

 

寝る前にはスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスした環境で取るようにしましょう。快適な温度と湿度を保ち、静かで落ち着ける環境にすると、睡眠の質の向上も期待できます。

 

2.バランスのよい食事を取る

食事は集中力に大きな影響を与えます。朝食を抜くと脳がエネルギー不足に陥り、いらいらが続いたり、集中力や注意力が低下したりするので、きちんと朝食を取るようにしましょう。朝食にはお米がおすすめで、ゆるやかに血糖値を上げるため、集中力が持続することが期待できます。朝食時には代謝を促進するビタミンB群を含む野菜や果物などを一緒に取るようにし、バランスの取れた食事を意識しましょう。(4)

 

また、集中力を高めるのにおすすめの食材がオメガ3脂肪酸を含む食材です。特に、オメガ3脂肪酸のなかでもDHA(ドコサヘキサエン酸)は脳機能を維持することが明らかになっています。DHAが多く含まれる食材には、サケやマグロ、マス、ブリ、サバなどの脂肪が多い魚や、カニやカキなどの甲殻類などがあります。オメガ3脂肪酸はくるみなどのナッツ類にも多く含まれるため、間食のおやつなどにはナッツがおすすめです。(9)(10)(11)

 

3.適度な運動を取り入れる

運動をすると脳の血流が増加し、集中力が高まることが期待できます。ウォーキングやストレッチなど軽い運動でもよいので、毎日30分程度の適度な運動を習慣化することをおすすめします。運動はストレス解消や気分転換にも効果的です。長時間の作業では、合間に軽い運動やストレッチを取り入れることで、心身がリフレッシュし集中力が改善することが期待できます。(12)(13)

 

4.規則正しい生活リズムにする

夜型生活などの不規則な生活習慣は、集中力を低下させる原因となります。規則正しい生活習慣をおくることは、集中力を高めるために重要です。毎日なるべく同じ時間に起床し、太陽の光を浴びて朝食をとるようにしましょう。明るい環境で朝食を摂取することは、午前中の集中力を向上させ、夜型の生活や不規則な生活の低減、睡眠時間の増加に有効であるという研究結果も報告されています。(2)(14)

 

5.環境を整える

快適な作業環境は、集中力の向上や維持に重要です。作業に集中できるよう、身の回りを整理整頓し、なるべく静かで落ち着いた環境を整えるようにしましょう。集中できる環境は人によって異なり、無音の環境が集中しやすいという人もいれば、適度なBGMがあるほうが集中できるという人もいます。自分が最も集中しやすい環境を見つけることが大切です。

また、室温・湿度や明るさも集中力に影響を与える場合があるため、適度な室温・湿度、明るさの快適な環境を作るようにしましょう。

 

6.適度に休憩を取る

長時間集中するためには、合間に適度な休憩を取ることが必要です。25分間の作業のあとに5分間の休憩をはさむ「ポモドーロ・テクニック」はイタリア人起業家によって提唱された方法で、集中力や意識の向上が期待できるといわれています。自分の集中力が持続するだいたいの時間を把握し、短い休憩をはさむようにすると効率的に作業ができるかもしれません。休憩中は、外の空気を吸ったり、軽いストレッチや深呼吸を行ったりすると、頭もすっきりとリフレッシュし、再び集中力を高めることが期待できます。(15)

 

まとめ

集中力を高め、集中力を持続させるためには、十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動、規則正しい生活リズム、整った環境、適度な休憩などが重要です。生活習慣の改善は、すぐにはじめられる集中力の向上に効果的な方法なので、できることから意識して改善するようにしましょう。生活習慣の改善により、自然と集中力が高まることも大いに期待できますので、一緒に小さな習慣を積み重ねていきましょう!

参考資料:
  1. First published online August 7, 2015 Sustained Attention Across the Life Span in a Sample of 10,000: Dissociating Ability and Strategy
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット 睡眠と健康
  3. 2003 Mar 15;26(2):117-26. doi: 10.1093/sleep/26.2.117. The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation
  4. 農林水産省 朝ごはんを食べないと?
  5. 早稲田大学 早稲田ウィークリー 集中力を効果的に上げる方法
  6. 厚生労働省 こころの耳 2ストレスからくる病
  7. 厚生労働省 平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~ 図表2-3-22 睡眠時間の国際比較
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット 睡眠と生活習慣病との深い関係
  9. 日本薬理学会 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)151,27~33(2018) 脳・神経機能維持と n-3系脂肪酸
  10. 厚生労働省 eJIM オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと
  11. 農林水産省 特集1 だから、お魚を食べよう!(1)
  12. スポーツ庁 スポーツ庁Web広報マガジン 運動ができるようになると、アタマもよくなる!? 専門家に聞く!子供の能力を引き出すためのメソッド
  13. 第 36 回ファジィシステムシンポジウム 講演論文集 (FSS2020 オンライン)  休憩時の運動が生体情報と集中力に及ぼす影響
  14. 日心第78回大会(2014) 朝食と光が午前中の集中力,眠気,夜型化軽減に与える効果
  15. フランチェスコ・シリロ どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門