食生活

消化に良い食べ物とは?胃腸に優しい食材について管理栄養士が解説

監修者 落水 陽香里 管理栄養士 公開日:2024-07-11 最終更新日:2024-09-03

食生活

消化に良い食べ物とは?胃腸に優しい食材について管理栄養士が解説

監修者落水 陽香里 管理栄養士 公開日:2024-07-11 最終更新日:2024-09-03

毎日忙しく、ゆっくり食事をする時間すら取れない!というようなことはありませんか?よく噛まなかったり、流し込むように食べていると胃腸に負担がかかってしまいます。食事の時間をしっかり確保することはもちろんですが、消化に良い食べ物や食べ方を知ることで、胃腸を労ることができます。
この記事では、消化に良い食べ物や食べ方についてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
 

消化に良い食べ物の選び方

消化不良や急性胃腸炎などのお腹の不調に悩まされているときは、消化に良い食べ物を選ぶことが大切です。ここでは、消化に良い食べ物の選び方を主食、主菜、副菜、果物に分けて解説します。

主食

やわらかく炊いたごはんやお粥、やわらかく煮たうどん、食パンやロールパンなどシンプルなパンがおすすめです。脂質が豊富に含まれている惣菜パンや菓子パン、ラーメン、パスタなどは控えるようにしましょう。[1]
 

主菜

温泉卵や茶碗蒸しなどの加熱した卵料理、湯豆腐や冷ややっこなどの豆腐料理、タイやタラなどの白身魚、鶏ささみや鶏むね肉などを選ぶと良いでしょう。
脂質は他の栄養素よりも消化に時間がかかるため、消化に良い食べ物を選ぶ際には、上記のような脂質の含有量が少ないものがおすすめです。[1]
 

副菜

野菜類やきのこ類、海藻類に豊富に含まれている食物繊維は、小腸で消化されずに、大腸まで到達する食品成分といわれています。お腹の調子が悪いときは、比較的食物繊維の含有量が少ないトマトやにんじん、レタスなどをやわらかく煮たり、スープにすると良いでしょう。[1,2]
 

果物

バナナやりんごは、消化酵素が豊富に含まれているため、消化に良い果物といえます。また、フルーツ缶詰やゼリーなどはお腹の不調で食欲がないときも食べやすく、栄養補給につながるでしょう。しかし、冷たすぎる果物はお腹を冷やしてしまい、胃腸の負担が増加してしまうことも考えられます。冷やした果物は少量にするか、少し常温に戻してから食べるようにすると良いでしょう。
 

脂質と食物繊維の含有量が少ない食べ物が消化に良い食べ物といえます。脂質と食物繊維の含有量を基準にして、消化に良い食べ物と消化に悪い食べ物を表にまとめてご紹介します。消化に悪いからといって絶対に食べてはいけないという食品はありませんが、日々の献立を考える際に活用してみてください。

 

表1. 消化に良い食べ物と消化に悪い食べ物

 

消化に良い

消化に悪い

主食

白米・うどん・食パンなど

玄米・全粒粉・大麦・ラーメン・パスタ・菓子パンなど

主菜

タイ・カレイ・タラ・鶏むね肉・鶏ささみ・半熟卵・温泉卵・豆腐・納豆など

ハム・ウインナー・ベーコン・バラ肉・うなぎ・さば・いか・たこなど

副菜

にんじん・トマト・きゅうり・レタス・キャベツ・じゃがいもなど

ごぼう・たけのこ・とうもろこし・きのこ類・海藻類など

果物

りんご・バナナ・桃など

パイナップル・柑橘類など

※文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

 

消化を良くするために意識することとは?

消化を良くするためには、食材選びに加えて食べ方も重要です。ここでは、日常生活で取り入れやすい消化を良くするための食べ方について解説します。

1.よく噛んでゆっくり食べる

毎日忙しいから、しっかり噛まずに食べて食事時間を短縮しているという方も多いのではないでしょうか。早食いには、明確な判断基準はありませんが、しっかり噛まずに10分未満で食べ終える方は、早食いといわれることがあります。早食いは、食べ物がほとんど咀嚼されず、大きなかたまりのまま消化器に入るため、消化に時間がかかってしまうのです。

しっかり噛んで食べることで、唾液が分泌されて、消化を促進させる働きが期待できます。

なるべく食事は15分以上かけ、しっかり噛んで(一口あたり約30回)、ゆっくり味わって食べることを心がけることが大切です。

しかし、いきなり30回噛むことは難しい場合もあるので、まずは今までよりも5回多く噛むなど無理のない範囲で意識してみましょう。[3]


 

2. 食べ過ぎに気を付ける

胃や腸は、一度に処理できる食べ物の量が限られています。そのため、一度にたくさんの量を食べたり、食事と食事の間隔を空けずに食べるなど、一日の食事回数が極端に多いと胃腸に過度な負担がかかってしまいます。特に、消化に時間がかかる脂質の過剰摂取には注意が必要です。つまり、消化・吸収が追いつかなくなると、食べ物が胃や腸に留まってしまい、不快な腹部膨満感を感じたり、胃腸の調子が悪くなってしまうのです。

食べ過ぎないためには、少し物足りないと感じるくらいの腹8分目を意識してみましょう。
 

3.冷たい食べ物を控える

冷たい食べ物を食べ過ぎてお腹が冷えると、下痢になったり、お腹の不調が現れやすくなります。なるべく温かい料理や常温の食べ物を食べるようにすることが大切です。どうしても冷たい食べ物が食べたい場合は、少量にすることを心がけましょう。

 

4. 刺激的な食べ物を控える

胃腸の負担を軽減し、消化を良くするためには、特に胃酸の分泌を促してしまう辛い食べ物やアルコール飲料、カフェインを含むコーヒーや炭酸飲料などを控えることが大切です。[4]
 

5. 腸内環境を整えるための食材を積極的に摂る

食べたものをスムーズに消化するためには、日ごろから腸内環境を整えて、健康な腸を維持することが大切です。腸内環境を整えるために食事で意識することは、大きく分けて二通りあります。

一つめは、生きた善玉菌であるヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、漬物などの発酵食品や、ビフィズス菌や乳酸菌を含むものを毎日摂ることです。 

二つめは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のあるオリゴ糖や食物繊維を摂ることです。

胃腸の不調がなく元気な時は、野菜類、果物類、豆類などに多く含まれている食物繊維や大豆、たまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどの食品に多く含まれているオリゴ糖を日々の食事に取り入れると良いでしょう。 [5]

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まとめ

消化に良い食べ物の選び方や、消化を良くするための食べ方についてお分かりいただけたでしょうか。消化を良くするためには、日々の食材の選び方や食べ方の習慣が大切です。

お腹の調子が悪くなる前から、日常生活で胃腸を労ることを心がけましょう。