子供が勉強している時に、集中力が続かないと感じたことはありませんか?子供の集中力を高める方法はさまざまありますが、特に日々の食事が非常に重要です。
この記事では、子供の集中力を高めるための食べ物について解説します。子供に何を食べさせたら良いか分からないとお悩みの保護者の方は、日々の3食の食事やおやつのメニュー選びの際に参考にしてみてください。
子供の集中力を高めるために積極的に摂りたい栄養素
子供の脳を発達させ、集中力を高めるためには、多くの栄養素が必要です。ここでは、集中力を高めるために特に大切な4つの栄養素について解説します。
1.未精製の炭水化物
炭水化物をしっかり摂取していない場合、エネルギー不足による集中力の低下を招く可能性があります。しかし、糖質が多く、食物繊維が少ないGI値の高い食品を多量に摂取すると、食後の血糖値が上がりすぎてしまう心配があるのです。血糖値の変動を最小限に抑えて、脳のエネルギー補給をするためには、GI値が低い未精製の炭水化物を取り入れると良いでしょう。
未精製の炭水化物は、玄米や麦ごはん、雑穀ご飯や全粒粉パン、ライ麦パンなどが当てはまります[1,2,3]。
2.良質なたんぱく質
たんぱく質は、脳の神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなど)の原料として利用され、精神の安定に役立ちます。
そのため、子供の精神を安定させ、集中力を高めるためには、良質なたんぱく質を摂取することが重要なのです。たんぱく質の中でも、体内で合成することができない必須アミノ酸をバランスよく含まれているものが良質なたんぱく質といわれ、肉や魚、卵、大豆製品などが当てはまります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、たんぱく質の推奨量を以下の通り設定しています[4,5,6]。
表1. たんぱく質の食事摂取基準(推奨量g/日)
年齢 |
男性 |
女性 |
1~2歳 |
20 |
20 |
3~5歳 |
25 |
25 |
6~7歳 |
30 |
30 |
8~9歳 |
40 |
40 |
10~11歳 |
45 |
50 |
12~14歳 |
60 |
55 |
15~17歳 |
65 |
55 |
※ 厚生労働省, 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」参照
3.n─3 系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)
n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)は、α-リノレン酸やDHA、EPAなどがよく知られています。このn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)は、体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があるのです。
特にDHAを摂取することで脳機能の向上が期待できますが、たくさん摂取したからといってさらに脳機能が高まるわけではありません。n-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)は、マグロやカツオ、サバやサンマなどに豊富に含まれているため、これらの食品を日々の食事に取り入れて、不足しないことを心がけましょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、n-3 系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)の目安量を以下の通り設定しています[7,8,9]。
表2. n─3 系脂肪酸の食事摂取基準(目安量 g/日)
年齢 |
男性 |
女性 |
1~2歳 |
0.7 |
0.8 |
3~5歳 |
1.1 |
1.0 |
6~7歳 |
1.5 |
1.3 |
8~9歳 |
1.5 |
1.3 |
10~11歳 |
1.6 |
1.6 |
12~14歳 |
1.9 |
1.6 |
15~17歳 |
2.1 |
1.6 |
※ 厚生労働省, 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」参照
4.鉄
鉄が不足すると、赤血球中のヘモグロビンが減って赤血球の数が減少してしまいます。そのため、酸素の供給が十分にできない状態となり、集中力の低下に繋がってしまうのです。
しかし、鉄は不足しやすい栄養素の一つであるため、意識して摂取する必要があります。鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分けられ、ヘム鉄は、赤肉や赤身の魚、レバーやあさりなどに豊富に含まれています。一方、非ヘム鉄は野菜や卵、牛乳などに豊富に含まれているのです。
ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収率が高いという特徴がありますが、ヘム鉄と非ヘム鉄を一緒に摂ることで非ヘム鉄の吸収率も上げることができます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、鉄の推奨量を以下の通り設定しています[10,11,12]。
表3. 鉄の食事摂取基準(推奨量mg/日)
年齢 |
男性 |
女性 |
|
- |
- |
月経なし |
月経あり |
1~2歳 |
4.5 |
4.5 |
- |
3~5歳 |
5.5 |
5.5 |
- |
6~7歳 |
5.5 |
5.5 |
- |
8~9歳 |
7.0 |
7.5 |
- |
10~11歳 |
8.5 |
8.5 |
12.0 |
12~14歳 |
10.0 |
8.5 |
12.0 |
15~17歳 |
10.0 |
7.0 |
10.5 |
※ 厚生労働省, 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」参照
集中力を高めるためには、毎日いろいろな食材を食べよう!
子供の集中力を高めるためには、朝食・昼食・夕食・おやつでいろいろな食材をバランス良く食べることが大切です。ここでは、平日の朝食・昼食・夕食・おやつのポイントを解説します。
朝食のポイント
朝食には、寝ている間に下がった体温を上げて脳と体を目覚めさせる役割があります。朝食を食べないと脳と体を目覚めさせることができず、朝から集中力が下がってしまうのです。
特に朝食でしっかり摂りたい栄養素は炭水化物です。ごはんやパンなどの炭水化物には、脳のエネルギー源となるブドウ糖が豊富に含まれているため、集中力を高めることに繋がります。
朝食は1日の始まりの大切なエネルギー源であるため、どんなに忙しくても朝食の時間は確保するようにしましょう[13]。
朝食の献立例
昼食のポイント
学校給食は、1日に必要な食事量の約1/3が摂れるように計算されています。給食を残さず食べることで午後の集中力を高めることができるでしょう。休日など自宅で昼食を作る際には、学校給食の献立を参考にするのもおすすめです[13]。
昼食の献立例
夕食のポイント
夕食では、朝食と昼食で不足しやすい野菜を中心としたメニューを取り入れましょう。特に不足しやすい鉄は、夕食時に補えると良いです。赤身の魚や肉、あさり、鉄の吸収を助けるビタミンCを豊富に含む緑黄色野菜などを取り入れることを意識してみましょう[11,13]。
夕食の献立例
夕方の集中力を高めるためには、おやつも重要!
昼食を食べてから夕食までの時間が長いとお腹が空いてしまい、集中力が下がってしまうことがあります。夕方に集中力を高めたい場合は、夕食に影響が出ない程度の軽いおやつを摂るようにしましょう。
また、子供は一度にたくさんの量を食べることができないため、3食の食事だけでは必要な栄養素を摂ることが難しい場合もあります。子供の集中力を高めるために食べさせるおやつは、甘いお菓子やジュースではなく不足しやすい栄養素を補うということを意識しましょう[14]。
おやつの例
- 脳のエネルギー源となるブドウ糖が摂れる小さめのおにぎり
- カルシウムが補給できる牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品
- ビタミンCが補給できる果物類 など
まとめ
子供の集中力を高めるための食事についてお分かりいただけたでしょうか。特に成長期は、偏った食事にならないように気を付け、毎日いろいろな食材を食べることが大切です。
まずは、この記事でご紹介した子供の集中力を高めるために必要な栄養素について理解し、少しずつ日々の食事に取り入れてみると良いでしょう。