生活習慣の悩み

高血糖の症状は?よく見られる症状4つを医師が解説!

監修者 井林 雄太 医師 公開日:2024-07-13 最終更新日:2024-07-13

生活習慣の悩み

高血糖の症状は?よく見られる症状4つを医師が解説!

監修者井林 雄太 医師 公開日:2024-07-13 最終更新日:2024-07-13

血糖値が高いことは必ずしも糖尿病であることを意味しませんが、糖尿病予備軍の可能性もあります。本記事では、一般的な4つの高血糖症状を解説し、血糖値が高いかどうか、高血糖の兆候を理解し、早期発見と治療に役立つ内容をお届けします。

2019年の厚生労働省の調べ(1)によると、糖尿病の疑いのある国民は男性19.7%,女性10.8%だと言われており、2014年と比べると両者とも高くなっています。残念なことに、多くの患者は糖尿病を患う前に、高血糖が体に与えるサインや症状を見落とし、早期治療を逃してしまいます。今回は、血糖値が高い場合に見られる症状や兆候を共有し、血糖値の指標以外にも自分の体の状態をよりよく理解できるようにしましょう。

どこからが高血糖?

以下の表は、いくつかの一般的な血糖指標とその範囲です。血糖値が正常範囲を超えているが、糖尿病の基準に達していない場合、それを「高血糖」と呼びます。

項目

正常範囲

高血糖

糖尿病

空腹時血糖値

60~99 mg/dL

100~125 mg/dL

> 126 mg/dL

食後血糖値

60~139 mg/dL

140~200 mg/dL

> 200 mg/dL

糖化ヘモグロビン

4~6%

6~6.5%

> 6.5%

 

高血糖は糖尿病とは異なりますが、決して無害ではありません。上述の定義から、高血糖と糖尿病と同じではないことが分かりますが、正常範囲から糖尿病の基準までには緩衝区間があり、この区間を「糖尿病前期」と呼びます。

しかし、この時点で患者は糖尿病を患っていないとはいえ、血糖値が高いことは体に多くの害を及ぼします。血糖値が高いということは、血液中に基準を超えたブドウ糖が含まれていることを意味し、これらのブドウ糖は非常に強力な酸化剤として、血液の流れに乗って体中で炎症を引き起こすきっかけになりえます。

動脈硬化や心臓病、脳卒中、血栓など多くの深刻な病状は、体内の高血糖と密接に関連しています。したがって、自分が高血糖のリスクにさらされているかどうかを理解することは非常に重要です。病状を把握することが、さらなる予防と改善の第一歩に繋がります。

関連記事:糖尿病の初期症状は?糖尿病の原因とタイプを説明
 

高血糖になる原因

高血糖になる原因について、基本的には生活習慣が大きく関わります。(2)
 

過食や不規則な生活習慣

特に体に吸収されやすい糖質である甘いジュースやお菓子、炭水化物などには注意が必要です。
 

運動不足 

車中心の移動や長時間の座りっぱなしは運動不足になりがちです。糖がエネルギーとして使われずに余ってしまいます。
 

ストレス過多

ストレスによって分泌されるアドレナリンなどいくつかのホルモンには、血糖値を上げる作用があります。また、加齢や遺伝といった不可避な要因、肥満や高血圧といった生活習慣に関連する要因が影響し合い、血糖値はどんどん上がりやすくなっていきます。
 

高血糖の症状

以下は高血糖によく見られる症状です。ご自身の健康状態をチェックしてみてください。(3)
 

高血糖の症状1:疲れやすい

高血糖の状態では、体内の血液の粘度が高くなり、血流が悪くなるため、酸素の輸送が影響を受けます。細胞に十分な酸素を供給できないと、最終的に疲労感が生じてしまいます。多くの糖尿病患者が長期的な疲労を感じるのはこのためです。また、一般の人でも高GI(グリセミック指数)の食品を摂りすぎると血糖値が急上昇し、眠気を感じることがあります。そのため、しばしば疲れを感じるが貧血の症状がない場合、高血糖による疲労の可能性があります。
 

高血糖の症状2:口渇、脱水、皮膚の乾燥

血液中の糖分が過剰になると、血液の粘性が高まります。この粘稠な血液が浸透圧利尿を引き起こし、高血糖の患者に頻尿や多尿の症状が現れます。

利尿が激しいため、口渇や舌の乾燥、さらには皮膚のひび割れなどの症状が起こります。この時、いくら水を飲んでも乾きを感じるのは、高血糖のため血液が粘稠すぎて水分がすぐに排出されてしまうためです。

それにもかかわらず、患者は積極的に水分を補給し、専門の医療チームに早急に相談することが重要です。
 

高血糖の症状3:視力のぼやけ、眼の病気

高血糖は眼の病気を引き起こしやすくなります。長期間にわたり目が糖分の多い環境に晒されると、網膜周辺の微小血管が炎症を起こしやすくなり、糖尿病性網膜症になります。

また、前述の「血糖値が高い症状1:疲れやすい」と同様に、高血糖は血液の酸素輸送効率を低下させるため、目の神経にとっても非常に不健康です。

そのため、高血糖は視力のぼやけ、緑内障、白内障、網膜症などの状況を引き起こしやすくなります。眼の状態が突然悪化した場合、高血糖がその原因の一つである可能性があります。
 

血糖値が高い症状4:便秘、下痢など腸の問題

便秘が高血糖と関係があるとは少し驚くかもしれません。高血糖患者は長期的に血糖値が高いため、体の自律神経のバランスが崩れます。人間の腸や胃も自律神経によって制御されているため、高血糖状態だと、腸や胃の機能や蠕動運動が影響を受け、便秘が発生します。

自律神経のバランスが崩れることで、便秘だけでなく、下痢、腹部膨満感、過敏性腸症候群などの症状としても現れることがあります。
 

高血糖を予防する方法

健康的な食事

バランスの取れた食事を摂ることが重要です。炭水化物や糖分を適切な量に抑え、野菜や果物、良質なタンパク質を含む食品を重点的に摂取しましょう。
 

適切な運動

運動は血糖値をコントロールするために非常に有効です。有酸素運動や筋力トレーニングを定期的に行い、体重を管理しましょう。
 

体重管理

適正体重を維持することが高血糖を予防するために重要です。特に肥満は高血糖のリスクを高めますので、適切な体重管理を心がけましょう。
 

ストレス管理

ストレスは血糖値を上昇させる要因の一つです。ストレスを軽減するためには、リラックスする時間を作ったり、ストレスを発散させる方法を見つけることが重要です。
 

禁煙

喫煙は高血糖を引き起こすリスクを高めることが知られています。禁煙を心がけましょう。
 

適度なアルコール摂取

過度なアルコール摂取は高血糖を引き起こす可能性があります。適度なアルコール摂取を心がけましょう。
 

定期的な健康チェック

定期的な健康チェックや血糖値のモニタリングは高血糖を早期に発見し、対処するために重要です。定期的に医師の診察を受けましょう。血液検査から血糖値、インスリンの分泌量、HbA1cなどが検査できますので、特にこれらの項目には注意してください。