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糖化による肌老化を防ぐ!食事と生活習慣の改善で若々しい肌を保つ方法

監修者 木村 彩香 薬剤師 公開日:2024-08-28 最終更新日:2024-09-30

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糖化による肌老化を防ぐ!食事と生活習慣の改善で若々しい肌を保つ方法

監修者木村 彩香 薬剤師 公開日:2024-08-28 最終更新日:2024-09-30

糖化とは? AGEsは注意すべき

糖化は最近注目されるようになった肌老化の原因のひとつです。コラーゲンなどの体内にあるタンパク質が糖と結合することを「糖化」と呼びますが、糖化が起こるとタンパク質は硬くなり弾力が失われます。結果、肌の老化に繋がるので注意しましょう。
糖化の原因は糖?

AGEsとは、糖化されたタンパク質の糖化最終生成物のことです。糖化されたタンパク質がAGEsになる途中で生成される物質やAGEsが蓄積すると、肌や身体にストレスを与えることがわかっています。このことを糖化ストレスと呼びます。つまり簡単に言うと、タンパク質が糖化する過程や最終的に生成される物質は、肌や身体に悪い影響を与えるということです。

糖分は生きていくうえで欠かせない栄養素なので、摂取せずに生きていくことは無理です。しかし、過剰にお菓子やケーキなどの甘いものを食べたり、ドカ食いをしたり、お酒を飲んだりしていると、糖化や肌の老化が進むので、正しい食生活を送ることが重要です。(1)(2)
 

肌老化の原因のひとつは糖化?

肌老化の原因のひとつは糖化

肌老化を引き起こす原因で、最近注目が集まっているのが糖化です。タンパク質が糖化するとタンパク質が硬くなり、弾力を失います。焼肉で生の肉は柔らかいのに、焼くと硬くなるイメージに似ています。肌のコラーゲンやタンパク質が硬くなると、弾力を失い、たるんでシワが増えるので、注意したいですよね。(1)

ちなみに、コラーゲンやタンパク質は肌だけでなく、身体の大切な臓器にも存在しています。それらが糖化を起こすと、心血管疾患や腎臓疾患などのあらゆる不調に繋がります。糖化を意識することは、美容のためだけでなく、健康な生活のために欠かせないことです。

糖化反応は複雑で、現在も研究が続けられている分野です。ただ、糖化ストレスは ①血糖スパイク②脂質異常症(中性脂肪値高値、LDLコレステロール値高値)、③過剰な飲酒で引き起こされることがわかっています。ドカ食いや過剰な飲酒、甘いものの過剰摂取は避け、日頃から運動をして健康的な生活が肌の糖化を防ぐのに役立ちます。(3)

 

糖化が肌に与える影響は?

糖化すると肌の見た目にどのような変化があるのでしょうか?具体的には、AGEs蓄積による肌の黄ばみ、コラーゲンの架橋形成による肌の弾力低下、AGEs刺激によるメラニン生産の促進によるシミの形成があります。(4)

もともと加齢により肌の黄ばみ、弾力低下、シミの形成は起こるもので、肌の老化は止められるものではありません。しかし、糖化が起こると肌老化のスピードが格段に上がります。少しでも長くきれいな肌を保ちたいなら、やはり肌の糖化に気をつける必要があるでしょう。
 

糖化が血管と体内循環に及ぼす影響

糖化は、肌だけでなく血管などの体内循環にも大きな影響を及ぼします。

血管、とくに動脈にはコラーゲン、エラスチン、ラミニンを豊富に含有しており、AGEsを蓄積しやすい場所でもあります。たくさんのAGEsが蓄積すると、血管炎症、血管収縮、さらには血栓症から動脈硬化まで起こす可能性があります。(4)

また血管だけでなく、膵臓β細胞の機能低下や腎臓の機能低下、がんの進行促進、認知機能低下などありとあらゆる体内臓器に悪影響を及ぼします。
 

糖化を防ぐにサポートの栄養素

最近は、糖化に関する研究が進み、糖化を防ぐために効果的な栄養素もわかってきています。

糖化は酸化ストレスによって促進されます。そのため、抗酸化作用のあるポリフェノールやカテキンなどの栄養素が効果的です。ポリフェノールは赤ワインや緑茶、コーヒーなどに、カテキンは緑茶やりんご、ブラックベリーなどに多く含まれています。

また、クエン酸やビタミンB群補給が糖化を防ぐのに効果的であることもわかっています。クエン酸は梅干しやレモンなどの酸っぱい食品に多く含まれています。ビタミンB1は豚肉やナッツ類に、ビタミンB6はマグロやバナナなどに含まれており、こまめな補給が重要です。(5)(6)(7)

下記に糖化を防ぐために栄養素と食品をまとめました。 
 

抗糖化の栄養素と食品リスト

抗糖化の栄養素と食品リスト

栄養素

多く含まれる食材

働き

ポリフェノール

りんご、ぶどう、ベリー類、玉ねぎ、コーヒー、ココア、緑茶など

酸化ストレスを軽減して、AGEsの産生を抑制する

カテキン

緑茶、りんご、ぶどう、チョコレートなど

酸化ストレスを軽減して、AGEsの産生を抑制する

クエン酸

梅干し、レモン、オレンジ、グレープフルーツなど

ケトン体の増殖を抑えて、AGEsの産生を抑制する

ビタミンB1

豚肉、赤身肉、全粒穀物、ナッツ、大豆、カリフラワー、ほうれん草など

AGEsの産生を促進するアルデヒドの生成を抑制する

ビタミンB6

牛や鶏のレバー、マグロ、カツオ、ブロッコリー、バナナ、パプリカなど

メイラード反応の最初の反応を抑制する


 

糖化を防ぐための4つ食生活改善のポイント

糖化を防ぐために、私たちが日常で意識できることは何があるでしょうか?糖化を抑えるには次の4つのポイントを意識した食生活が重要となります。
 

1.AGEsの原因となる食品を避けること

まず一番大切なことがAGEsの原因となる食品を避けることです。AGEsの原因となる食品は、タンパク質の脂質の多い肉類や魚類、チョコレートやケーキなどの甘いお菓子、ベーコンやソーセージなどの加工肉、お酒などがあります。

肉類や魚類は適量を摂るのは健康にいいですが、量を摂りすぎると身体によくありません。また、とんかつや唐揚げなどの揚げ物やベーコンなどの加工肉は、とくによくないので注意しましょう。

 

2.低GI食品を選択すること

最近話題の低GI食品とは、食後の血糖値上昇をゆるやかにしてくれる食品のことです。低GI食品は大豆食品やヨーグルト、そば、さつまいも、きのこ類などがあります。カロリーの高さとは関係ありません。

逆に、高GI食品とはドーナッツやせんべいなどのお菓子類が多く、よく間食に甘いお菓子を摂る人は注意が必要です。おやつはヨーグルトやバナナ、りんごなどの低GI食品に変えるだけで、簡単に健康的な食生活を送れるのでおすすめです。(8)

 

3.抗糖化物質や抗酸化物質を多く含む食品を意識的に摂ること

糖化や酸化ストレスがAGEsの産生を促します。そのために抗糖化物質や抗酸化物質を多く含む食品を摂ることも重要です。

野菜やハーブ、お茶類には、抗糖化物質や抗酸化物質が多く含まれていることがわかっています。普段、ジュースやスポーツドリンクをよく飲む人は、飲み物を緑茶やハーブティーに変えるだけで、糖化対策になります。また、食事では野菜を意識して摂り、白米や麺類、肉類は減らす努力をしましょう。

こういった食生活は糖化を防ぐだけでなく、ダイエット効果も期待できます。

 

4.血糖値上昇を防ぐ食品の摂取

急な血糖値上昇(血糖スパイク)が起こると、糖化ストレスがかかり、肌が老化します。そのため、肌の老化を防ぐには血糖値に注意しましょう。

血糖値を上昇させるのは糖質なので、野菜などの食物繊維を多く含む食事を摂ることが重要です。またご飯を食べるときも、糖質の多い白米や麺類から食べると血糖スパイクが起こりやすくなります。まずは、野菜などの食物繊維を多く含むものを食べて、その後に白米や麺類を食べると、同じ食事内容でも血糖値上昇がゆるやかになります。
 

4つ生活習慣の改善による糖化予防

糖化を防ぐには、食生活だけでなく普段の生活習慣もとても大切です。意識したいことを4つにまとめました。

1.適度な運動を心がけること

適度な運動を生活に取り入れることは、糖化の面から見てもとても大切なことです。運動というと身構える人もいそうですが、軽いウォーキング程度で問題ありません。まずは週に3~4日ほど、30分程度のウォーキングに出かけましょう。慣れてきたら、もっと回数や時間を増やしてもいいですし、ジョギングに挑戦してもよいでしょう。

最近は、ウォーキングアプリなども充実しており、それらのアプリを活用すれば飽きずに続けることができます。

 

2.質の良い6時間以上の睡眠をとること

質の良い睡眠は、AGEsの排出にとても効果的です。ところで、質の良い睡眠とはなんでしょう?寝れずに夜ダラダラとベッドで寝転がってスマホを見たり、朝起きてもちゃんと寝た気分にならないのは、質の悪い睡眠です。

質の良い睡眠のためには、朝きちんと起きることが重要です。毎朝同じ時間に起きることで、夜も決まった時間に眠れるようになります。休日であっても遅起きせず、平日と同じ時間に起きるようにすると、生活のリズムが整いやすくなります。

また、①寝る前にスマホやテレビを見ない②朝に日光を浴びること③日中に運動することで程よく疲労しておくことも、質の良い睡眠に効果的な習慣です。
 

3.ストレスをためない生活を心がけること

ストレスをためておくと、糖化だけでなく心身にあらゆる支障をきたすので注意が必要です。現代の人はストレスを抱えて生きていくことに慣れてしまっている面があります。ストレスを完全に無くすのは難しいかもしれませんが、うまく付き合っていくことはとても重要です。

ストレス発散方法は、ウォーキングなどの軽い有酸素運動をおすすめしたいです。歩くと血流が良くなり、副交感神経が刺激されてリラックス効果があります。さらに幸せホルモンのセロトニンやβエンドルフィンが分泌されて、ストレス軽減効果を期待できます。

 

4.禁煙と節酒をすること

タバコやお酒も、糖化にはよくありません。とくにタバコは百害あって一利なしなので、やめるように努力しましょう。喫煙者には糖化リスクが高いという研究結果もあります。また、お酒も少量であれば健康に良いですが、飲み過ぎは糖化リスクを上昇させます。

厚生労働省が出している飲酒量の目安では、1日の平均純アルコールで約20g程度です。ビールなら500ml1本程度、ワインなら1~2杯程度に抑えるように意識しましょう。(9)
 

血糖値管理の重要性と医師の相談

血糖値の上昇は糖化リスクを上昇させて、肌の老化だけでなく血栓症や動脈硬化などの疾患を引き起こすリスクとなります。定期的に血液検査を行い、血糖値をチェックするようにしましょう。もし、すでに血糖値が高い場合は、内科や生活習慣病の医師に相談して、適切な健康管理が必要となります。

血糖値が高い場合でも、すぐに食生活や生活習慣を見直せば正常値まで戻る可能性もあります。一方で、高血糖を放置していると、薬物治療が必要となります。糖尿病薬は価格が高いうえに、一生飲み続けなくてはならないので、経済的な負担も大きいです。また、高血糖の状態が続くと、血管がダメージを受けて、合併症を引き起こす可能性もあります。
 

まとめ

今回は今話題の糖化と肌老化の関係について、紹介しました。肌が老化することは自然現象のため、完全に止めることはできません。しかし、食生活や生活習慣の改善で、糖化を抑えて、肌老化のスピードを抑えたり、健康的な体を維持することは可能です。無理なく生活に取り入れられそうなことから、少しずつ生活習慣を改善していくのはいかがでしょうか。

参考資料:
  1. 「正しいエイジングケア事典」/ 高橋書店
  2. 糖化ストレスと抗糖化作用の評価」 / オレオサイエンス 第18巻第2号(2018)
  3. A Role for Advanced Glycation End Products in Molecular Ageing」/ Int. J. Mol. Sci. 2023, 24(12), 9881
  4. Skin Aging: Oxidative Stress and Glycative Stress」/ J.Soc. Cosmet. Jpn. 53 (2) 83-90
  5. 老化を促進させる「糖化」から身を守る糖質の適切な摂り方」/ ヘルシスト280号
  6. ポリフェノールの種類と効果と摂取方法」/ 公益財団法人長寿科学振興財団
  7. ビタミン」/ e-ヘルスネット
  8. 「食品のGI値」を活用し、健康な体をつくりましょう!」/ 山梨県厚生連
  9. アルコール」 / 厚生労働省