生活習慣の悩み

脂質制限ダイエットの基本:健康的に脂肪を減らすためのガイド

監修者 高木 美奈子 管理栄養士 公開日:2025-01-06 最終更新日:2025-02-10

生活習慣の悩み

脂質制限ダイエットの基本:健康的に脂肪を減らすためのガイド

監修者高木 美奈子 管理栄養士 公開日:2025-01-06 最終更新日:2025-02-10

脂質制限ダイエットは、健康的に体重を減らしたい人々の間で注目されています。脂肪の摂取量を制限することで、総カロリーの摂取量を抑え、体脂肪の減少を目指せるからです。

脂質制限はダイエット効果に加え、生活習慣病のリスクを軽減する効果が期待されています。

この記事では、脂質制限ダイエットの概要と糖質制限ダイエットの違い、1日のダイエットメニューを詳しく解説します。

 

脂質制限ダイエットとは?

脂質制限ダイエットとは、脂質の摂取量を制限することによってカロリーをコントロールし、体重減少につなげる食事方法です。

ここでは、定義と脂質の役割、摂取量について解説します。

 

脂質制限ダイエットの定義

脂質制限ダイエットは、食事中の脂肪摂取量を減らし、主に炭水化物とたんぱく質を中心とした食生活を送るダイエット方法です。

脂質を控えることで、カロリー摂取量が減少し、体重を減らすことを目指します。

1日の総カロリーに占める脂質の割合を20%から25%までに抑えることが目標です

 

脂質の役割と種類

脂質は体にとって重要なエネルギー源です。主に、細胞膜の構成成分やホルモンの合成にも関与します。脂質は体内のホルモンバランスを保つために不可欠な栄養素です。(1)

また、ビタミンA、D、E、Kの脂溶性ビタミンの吸収を助け、体内で効率的に働くために重要な役割を果たします。

ビタミンAは視覚機能、ビタミンDは骨の健康、ビタミンEは抗酸化作用、ビタミンKは血液凝固に関与します。

 

脂質の種類と含まれる食品、体への影響は、以下のとおりです。(2)

  • 飽和脂肪酸:動物性食品(バター、ラード、牛肉など)に含まれ、過剰に摂取すると心臓血管系のリスクが高まる可能性があります。

  • 不飽和脂肪酸:植物性食品(アボカド、ナッツ、オリーブオイルなど)や魚に多く含まれ、体のめぐりの健康をサポートします。

  • トランス脂肪酸:加工食品(マーガリン、スナック菓子など)に含まれ、心臓血管系疾患のリスクを高めるため、できる限り避けるべきです。

脂質は三大栄養素の一つです。1gあたり約9キロカロリーのエネルギーを持ち、三大栄養素の中で最も効率的にエネルギーを供給し、健康を維持するために重要な栄養素です。

 

一日の脂質摂取量の目安

日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、成人の場合、一日の総エネルギー摂取量の20%から30%を脂質から摂取することが推奨されています。

成人男性が2,000キロカロリーを摂取する場合、脂質はおよそ44〜67g成人女性が1,800キロカロリーを摂取する場合、脂質は約40〜60gが適切です(3)(4)

ただし年齢や性別によって変わるため、個々の生活スタイルや健康状態に応じて調整する必要があります。

 

糖質制限と脂質制限の違い

糖質制限と脂質制限は、どちらも体重管理や健康管理のためのダイエット方法として注目されています。

それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分にあったダイエット方法を選択しましょう。
 

糖質制限と脂質制限のメリット・デメリット

糖質制限ダイエットは、炭水化物の摂取量を減らし、脂質とたんぱく質を中心とした食生活を送る方法です。

メリットは、短期間で体重を減らせること、空腹感が少ないこと、血糖値が安定することです。体調が悪くなることがある、栄養不足になりやすいことがデメリットにあります。

脂質制限のメリットは、摂取カロリーを減らせること、生活習慣病を予防できること、胃もたれや消化不良を予防できることです。

デメリットは、肌が乾燥し髪のツヤがなくなること、免疫力が低下すること、空腹を感じやすくなることが挙げられます。

 

糖質制限と脂質制限の違いを以下の表にまとめました。

 

糖質制限と脂質制限の違い

 

項目

糖質制限

脂質制限

主な制限対象

炭水化物(ご飯、パン、麺類など)

脂肪(油、バターなど)

主なエネルギー源

脂質・たんぱく質

炭水化物・たんぱく質

メリット

  • 短期間で体重が減る

  • 空腹を感じにくくなる

  • 血糖値が安定する

  • 摂取カロリーを減らせる

  • 生活習慣病予防になる

  • 消化不良予防になる

デメリット

  • 体調不良になりやすくなる

  • 栄養が偏りやすくなる

  • 必須脂肪酸不足により、肌の乾燥や免疫力低下を招きやすくなる

  • 空腹を感じやすくなる

 

糖質制限は、短期間で体重を減らしたい人や血糖値を安定させたい人に向いています。特に糖尿病予備軍の方や、インスリン抵抗性を改善したい人に効果が期待できるでしょう。

脂質制限は、カロリーを抑えたい人や、生活習慣病を予防したい人におすすめです。特に血中コレステロールが高い人は、脂肪の摂取を減らすことに大きなメリットがあります。

糖質制限と脂質制限のどちらを選ぶかは、個人の目標や体質に合った方法を選ぶことが大切です。体調に異変を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。

特徴を理解して、自分に合ったダイエットをすることで、無理なく健康的に体重管理を行えます。

 

食品選びのポイント

脂質制限ダイエットでは、食品選びが重要です。以下の食品を選ぶといいでしょう。

  • 低脂質なたんぱく質源

  • 低脂肪の乳製品

  • 野菜

 

それぞれ詳しく解説します。

 

低脂質なたんぱく質

脂質制限ダイエットでは、低脂質で良質なたんぱく質源を選ぶことが大切です。

 

肉類

鶏むね肉は、高タンパクで低脂肪の食品として知られています。皮なしにすることで、余分な脂質を抑えられます。

牛肉や豚肉などの赤身の部分を選ぶと、脂質を抑えつつもたんぱく質と鉄分を多く摂取することが可能です。

特に、牛肉のヒレやモモ肉、豚肉のヒレ肉などは、比較的脂肪分が少なく、鉄やビタミンB群も含まれており、栄養バランスを良くします。

 

大豆製品

大豆製品(豆腐や納豆)は、植物性たんぱく質の代表的な供給源であり、低脂質で高タンパクです。特に納豆は発酵食品であるため、腸内環境を整える効果に期待できます。(5)

納豆に含まれるナットウキナーゼは血流改善にも効果があると言われています。(6)

 

魚介類

魚介類は、サンマやイワシなどの青魚、タラやカレイなどの白身魚、アサリやホタテの貝類を選択しましょう。青魚には、オメガ3脂肪酸が多く含まれ、お体のサラサラのサポートに期待できます。(7)(8)

白身魚は、脂質がほとんどなく、良質なたんぱく質を含んでいるため、ダイエット中に特におすすめです。貝類も低脂肪で高タンパクな食品の一つです。

アサリやホタテは、ビタミンB12や鉄分を含み、女性にとっては貧血予防に役立ちます。

 

低脂肪の乳製品

乳製品はカルシウムやたんぱく質などの栄養素が豊富で、健康的な食事には欠かせません。しかし、高脂肪の乳製品は脂質やカロリーが多いため、脂質制限をする際には注意が必要です。

そのため、無脂肪または低脂肪タイプの乳製品を選ぶことが重要です。

スキムミルクは牛乳から脂肪分を取り除いたもので、通常の牛乳と比較してカロリーと脂質が大幅に抑えられています。

それにもかかわらず、カルシウムやビタミンB群などの栄養素はほとんど失われていないので、骨の健康維持や筋肉の成長に役立ちます。

低脂肪ヨーグルトもおすすめです。ヨーグルトは腸内環境を整えるプロバイオティクスを含んでおり、消化を助けたり免疫力を高めたりする効果があります。

通常のヨーグルトには脂肪分が多く含まれることがあるため、低脂肪タイプを選ぶことで腸内環境を整える効果を維持しつつ、脂質の摂取を抑えることが可能です(9)

 

野菜

野菜と果物は脂質がほとんど含まれていません。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なため、脂質制限ダイエットにおいては欠かせない食べ物です。

栄養価が高く、食事の満足感を得ながらカロリーと脂質を抑えられます。
 

調理法のコツ

脂質制限ダイエットでは、調理法に注意を払いましょう。基本的には蒸す、煮る、焼くなどの調理法を選び、揚げ物や炒め物は避けることが大切です。

フライパンを使う際も、油を使わずに調理する工夫が求められます。

和食を中心とした食事は理想的で、和食には蒸し料理や煮物が多く、比較的低脂肪なメニューが豊富です。和食を取り入れることで、自然に脂質を抑えた食生活を実現できます

 

油の選び方

脂質制限ダイエットにおいて、全く油を摂らないわけではなく、質の良い油を適量摂取することが大切です。特にオメガ3脂肪酸が豊富なアマニ油やエゴマ油は、冷圧搾法で作られた高品質なものです。

生で摂取することが推奨され、サラダやヨーグルトにかけて摂るのが適しています。加熱すると栄養価が損なわれるため、加熱調理は避けましょう。

オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸
オメガ3脂肪酸は体内で生成できないことから、摂取する必要がある必須脂肪酸として認識されています。
参考:オメガ3脂肪酸:オメガ3の8つの効果•働きと多く含まれる食品
必須脂肪酸とは?種類と多く含まれる食品
 

脂質制限ダイエットで食べてはいけないもの

脂質制限ダイエットをされる方は、食べてはいけないものを理解しておく必要があります。以下の食品を避けることが重要です。

  • 脂身の多い肉:和牛リブロースや豚バラなど、脂肪分の多い部位は控えます。

  • 揚げ物:ライドポテトやから揚げなど、油を多く使う料理は避けることが推奨されています。

  • 高脂肪の乳製品:全脂乳やクリーム、バターなどは高脂質のため避けましょう。

  • 加工食品やファーストフード:ソーセージやハンバーガーなどは高カロリーで脂質も多いため控えます。

  • 油を多く使用したドレッシングやマヨネーズ:サラダにはノンオイルタイプのドレッシングを選びましょう。

上記の食品を避けることで、脂質の摂取を抑えた食生活が実現できます。

 

脂質制限ダイエットの1日メニュー

ここで管理栄養士が提案する、簡単脂質制限ダイエットの1日メニューを紹介します。

 

朝食

朝食の例は以下のとおりです。

  • ご飯(150g)

  • 納豆(1パック)

  • ゆで卵(1個)

  • わかめの味噌汁(1杯)

  • パイナップル(100g)

ご飯を中心にエネルギーをしっかりと摂り、納豆やゆで卵から良質なたんぱく質を供給します。味噌汁は体を温め、消化を助けます。

 

昼食

昼食の例は以下のとおりです。

  • 玄米ご飯(150g)

  • 鶏むね肉の蒸し焼き(100g)

  • グリーンサラダ(レタス、トマト、きゅうり)

  • ノンオイルドレッシング

玄米ご飯は食物繊維が豊富で満腹感を保ちます。鶏むね肉は低脂肪で高タンパク、グリーンサラダはビタミンとミネラルが豊富です。

 

夕食

夕食の例は以下のとおりです。

  • ご飯(150g)

  • さばの塩焼き(100g)

  • キャベツと人参の蒸しサラダ

  • 豆腐と小松菜の煮浸し

サバにはオメガ3脂肪酸が多く含まれ、生活習慣病の予防に役立ちます。キャベツと人参の蒸しサラダで食物繊維を摂取し、豆腐と小松菜から植物性たんぱく質と鉄分、カルシウムを補います。

 

間食の選び方

間食を選ぶ際にも注意が必要です。脂質が少ない和菓子やゼリーなどを選びましょう。水ようかんや大福は脂質が少なく、ダイエット中の間食に適しています。

スルメやあたりめなど、噛むことで満腹感を得られる食品もおすすめです。少量でも満足感が得られ、食べ過ぎを防ぐことが可能です。

 

まとめ

脂質制限ダイエットは、脂肪の摂取量を減らしてカロリーを抑え、健康的に体重を減らすことを目指す方法です。

ただし、過剰な制限は栄養バランスを崩し、健康を損なう可能性があります。極端な制限を避け、少しずつ食品を控える「ゆる制限」が推奨されています。

低脂質なたんぱく質源や野菜、低脂肪の乳製品を積極的に取り入れましょう。

油の使い方や調理法にも工夫を凝らして、無理のない持続可能な食生活を続けることが大切です。

糖質制限と脂質制限の特徴を理解し、個々の目標や体質に合ったダイエット方法を選びましょう。
 

 

 

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