成分ガイド

エラスチンとは?肌ハリと美肌に効果的な摂取方法を紹介

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-11-11 最終更新日:2025-05-06

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エラスチンとは?肌ハリと美肌に効果的な摂取方法を紹介

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-11-11 最終更新日:2025-05-06

エラスチンは肌、血管や肺など弾力性のある組織に含まれているたんぱく質の1種で、肌ツヤの維持やたるみの防止など、美肌に欠かせない重要な成分であることが知られています。

この記事では、エラスチンの基本的な知識や具体的な効果について詳しくご紹介します。エラスチンの理解を深めることで、効果的なスキンケアや健康管理に活かせるでしょう。

エラスチンとはどんなもの?

まず、「そもそもエラスチンってなに?」という疑問にお答えできるような基本情報をお届けします!
 

真皮の弾力性を支える少数精鋭のタンパク質

エラスチンは、私たちの皮膚でコラーゲンとともに働くタンパク質で、わずかしか存在しないにも関わらず、肌の弾力性に不可欠で重要な働きをしていることが知られています。

私たちの皮膚は表面から、表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されており、そのなかで肌に強さと弾力性を与える真皮は、スキンケアにおいて重要であることが知られています。

真皮は大部分がコラーゲンでできており、他には保水力の高いヒアルロン酸や、弾力を与えるエラスチン、これらを作る線維芽細胞で構成されています(1)

コラーゲンが真皮の70%近くを占めるのに対して、エラスチンは真皮のわずか2〜3%という割合でしか存在しないとされています(2)

エラスチンは、肌の弾力を保つうえで欠かせない重要な役割を果たしていることも知られています。

 

エラスチンとコラーゲンの違いは?エラスチンは弾性​繊維!

エラスチンとコラーゲンはどちらも真皮を支えるタンパク質ですが、それぞれ違う役割を果たしていることが知られています。

コラーゲンは、エラスチンと比べ硬く、引っ張りに対して強い「膠原(こうげん)繊維」と呼ばれるもので、水分保持を担うほか、皮膚の強度​に貢献しています。

一方でエラスチンは、伸縮性と弾力性のある「弾性繊維」と呼ばれるもので、真皮のコラーゲンを束ねるように繋ぎ合わせています(3)

真皮では、コラーゲンがネットワークを作って鉄筋のような役割を果たしており、これによって肌の強度が保たれています。

そしてエラスチンがこのコラーゲンを繋ぎ合わせることで、肌全体に弾力を与えていることが知られています(2)

 

エラスチンは再生しにくく維持が重要!

わずかな数で肌の弾力を支えているエラスチンは、非常に特殊なタンパク質であることも知られています。

肌を作るエラスチンは、そのほとんどが胎児から新生児への成長の間に体内で合成され、それ以降は生成量が減少していき、成人ではその生成量が非常に限られています(2)

エラスチンはターンオーバーが非常にゆっくりと進む特殊なタンパク質で、新たに生成されることが非常に少ないため、外的要因で損失してしまうと非常に再生しにくい重要なものだとされています(4)

 

肌の老化とエラスチン

私たちの肌の老化には、大きく分けて2種類の進み方があると考えられています。1つが通常の加齢に伴う「生理学的な老化」と呼ばれるもので、もう1つが長期間日光に曝されることで紫外線による悪影響が蓄積する「光老化」と呼ばれるものです(5)

通常の加齢に伴う「生理学的な老化」では、線維芽細胞が減少することでコラーゲンやエラスチンも減少し、肌が弾力のない薄いものへと変化します。

一方で「光老化」では、長期間紫外線を浴びることで線維芽細胞のDNAへダメージが蓄積し、コラーゲンは大きく減少する一方、エラスチンは構造が不規則に乱れてしまい、弾力性が損なわれて肌が硬くシワの深いものへ変化してしまうことが知られています(6)

「生理学的な老化」と「光老化」の違いは、日に当たることが少ない太ももの内側などの薄く白い肌と、日によく当たる部分の硬くシミなどが形成された肌の違いをイメージすると分かりやすいとされています。

日によく当たる部分は、加齢に伴う生理学的な老化と光老化が同時に進行しており、光老化の影響力は大きいと考えられています(5)

慢性的に日光を浴びると、エラスチンの量や配列が急変し、真皮で構成されているコラーゲンとエラスチンによるネットワークが破壊されることで肌のたるみやシワに繋がるため、肌の光老化のなかでもエラスチンへの影響は重要なものと考えられています(7)

 

エラスチンの肌への効果

この項目では、そんなエラスチンを補うと具体的に肌へどのような効果があるのか、研究報告を解説していきます!

 

美肌の鍵:線維芽細胞

エラスチンは分子サイズが大きく、水に溶けにくいタンパク質であるため、そのままの状態では吸収が難しいと考えられています。

そのため多くの場合、エラスチンを酵素で加水分解してできるエラスチン加水分解物やエラスチンペプチドなどを用いた研究が行われてきました。

真皮でコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを作っているヒト線維芽細胞に、エラスチン加水分解物とエラスチンペプチドを加えた研究では、添加により線維芽細胞の増殖能力やエラスチンの生成量が向上したと報告されています(8)

このことから、エラスチン加水分解やエラスチンペプチドの摂取が、肌のケアに効果的であることが示唆されています。

さらに、ヒト線維芽細胞の増殖へ与える効果を調べた研究では、エラスチンペプチドのみを加えるよりも、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドを合わせて加えた場合の方が、細胞増殖が大きく活性化されたことが報告されています(9)

これにより、肌をケアするうえでは、エラスチンとコラーゲンを合わせて補うことも効果的だと示唆されています。

参考資料:
  1. 近畿大学|お肌のハリに欠かせない「エラスチン」。その機能にせまる。
  2. MicroRNA-181b Controls Atherosclerosis and Aneurysms Through Regulation of TIMP-3 and Elastin
  3. 九州工業大学|エラスチンの研究
  4. 靭帯修復過程におけるエラスチンの機能に関する研究
  5. コラーゲン生合成におけるビタミンCの役割
  6. 消費者庁|販売しようとする機能性表示食品の科学的根拠などに関する基本情報
  7. 厚生労働省|健康づくりのための睡眠ガイド 2023 
  8. 厚生労働省|エアロビクス / 有酸素性運動 e-ヘルスネット
  9. Molecular Mechanisms of Stress-Responsive Changes in Collagen and Elastin Networks in Skin
  10. Clinical Relevance of Elastin in the Structure and Function of Skin | Aesthetic Surgery Journal Open Forum | Oxford Academic
  11. Oral consumption of Bonito fish-derived elastin peptide (VGPG Elastin®) improves biophysical properties in aging skin: A randomized, double-blinded, placebo-controlled study
  12. ヒトにおけるブタ由来エラスチンペプチド摂取による皮膚弾力性向上作用
  13. Elastin Structure, Synthesis, Regulatory Mechanism and Relationship With Cardiovascular Diseases
  14. Introduction to skin aging - ScienceDirect
  15. 酸化ストレスと皮膚─光老化から全身性強皮症まで
  16. Elastin structure and its involvement in skin photoageing - Weihermann - 2017 - International Journal of Cosmetic Science - Wiley Online Library
  17. Elastin hydrolysate derived from fish enhances proliferation of human skin fibroblasts and elastin synthesis in human skin fibroblasts and improves the skin conditions