成分ガイド

【グルコサミン完全ガイド】グルコサミンの効果は?摂取する前に知っておくべき基本知識

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-11-10 最終更新日:2024-11-18

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【グルコサミン完全ガイド】グルコサミンの効果は?摂取する前に知っておくべき基本知識

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-11-10 最終更新日:2024-11-18

グルコサミンは、テレビCMなどから日本でも知名度の高い栄養成分で、関節の健康を維持することが期待され、多くのグルコサミンの商品が出回っていることはよく知られています。

グルコサミンは、軟骨の成分であるヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸の原料であり、軟骨の生成に関わっています。軟骨の健康を維持し、関節のなめらかな動きを助ける役割があります。年齢を重ねると、体内でのグルコサミンの生成が減少するため、軟骨の健康が損なわれ、関節の硬化や柔軟性の低下といった問題が生じ、関節の不快感や痛みを感じるようになります。

関節の悩みを抱える方が非常に多い日本で注目を集めるグルコサミンには、意外と知られていない情報も多くありますが、グルコサミンが愛用される理由にはどのようなものがあるのでしょうか?

この記事では、グルコサミンの摂取前に押さえておきたい、グルコサミンの基本情報や効果、摂取時のポイントなどをまとめて解説し、皆さんの健康な生活のサポートをしたいと思います!

グルコサミンとは?

グルコサミンの成分とその役割

グルコサミンは(Glucosamine)、体内で生成されるだけではなく、食事からも摂取できるアミノ糖の一種です(1)。グルコサミンもグルコース(ブドウ糖)を原料にして生成されています。

グルコサミンはシンプルな構造の小さなアミノ糖で、糖脂質や糖タンパク質、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸など、幅広い成分を作る原料となっている、重要な物質であることが知られています(2)

また、グルコサミンはそのままの状態だけではなく、グルコサミン硫酸やグルコサミン塩酸など、さまざまな形で私たちの体の中に存在し、その役割を果たすことも知られています。私たちの体の中では特に、軟骨や皮膚などの組織の形成を行っています。

 

グルコサミンにはどんな種類があるの?

市販のグルコサミンのほとんどは、エビ、カニ、貝類などの殻から抽出されたキチンから作られています。そのため、エビやカニにアレルギーがある人は使用する際に特に注意が必要です。市場で一般的なグルコサミンには、「グルコサミン硫酸塩」「グルコサミン塩酸塩」「N-アセチルグルコサミン」の3種類があります。

体内や自然界に存在しているのは「N-アセチルグルコサミン」ですが、「N-アセチルグルコサミン」はキチンから抽出も可能です。他の2つと違って抽出に時間がかかりますが、体内にある形と同じであるため吸収されやすいと言われています。

「グルコサミン硫酸塩」「グルコサミン塩酸塩」は、自然界にはほとんど存在しない形であり、抽出によって生成されます。体内で「N-アセチルグルコサミン」に変換され吸収されるため、「N-アセチルグルコサミン」に比べて利用効率が劣る可能性があります。これら2つの形のグルコサミンは、効果と安全性の面で大きな差はないことが示されており、日本ではグルコサミン塩酸塩が主に用いられています。

 

自然な食品に含まれるグルコサミンと摂取の難しさ

グルコサミンは、カニやエビなどの甲殻類の殻に豊富に含まれることが知られており、殻に含まれるキチンという成分を分解することでグルコサミンが得られます。

しかし、グルコサミンは主にキチンを塩酸で溶かすことで生成されている物質であるため、グルコサミンを目的として甲殻類の殻を摂取することは難しいと考えられています。

そのためグルコサミンの摂取には、グルコサミンを抽出しているサプリメントを活用すると有効的であると考えられます。

 

グルコサミンの効果

グルコサミンの効果は関節の保護と炎症反応の抑制から、美容、心血管の保護までの効果を持っています。グルコサミンの具体的な効果に関する研究報告を紹介します。「グルコサミンの成分とその役割」の項目でも少し説明した通り、グルコサミンはグルコサミン硫酸やグルコサミン塩酸など、さまざまな形で働くことが知られています。正確な表現をするために、研究内容に関しては詳細な物質名で説明します。

 

関節を保護する効果

グルコサミンの効果の中でも最も注目を集めるのは、やはり関節の保護に関する効果です。グルコサミンは変形性関節症の炎症や痛みなどの症状を緩和する効果があるとされ、非常に多くの研究が実施されてきました。

2019年に報告された、変形性関節症の患者2,000人以上にグルコサミン硫酸750mgを含むカプセルを1日2錠、6ヶ月間にわたり摂取してもらった研究では、グルコサミン硫酸の摂取により変形性関節症の痛みが有意に緩和されたことが確認されています(3)

また2022年に報告された、膨大なデータを解析する「メタ分析」研究では、計3,793人の膝関節炎を持つ患者に対して行われた8つの研究のデータを用いて、治療効果が比較されました(4)

1,067人のグルコサミン硫酸+コンドロイチン硫酸治療グループと、その他の治療を受けた残りのグループとの間で、関節炎の評価指標を比較した結果、グルコサミン硫酸+コンドロイチン硫酸治療グループで有意に炎症が改善されたという解析結果が報告されています。

これら以外のさまざまな研究報告からも、グルコサミンが関節保護に有効であることは示唆されています。

 

アンチエイジングと美容効果

グルコサミンは関節以外にも、アンチエイジングや幅広い疾患の予防にも有効であることが示唆されています。

皮膚の老化に対するグルコサミン硫酸の効能を調べた研究では、グルコサミン硫酸の摂取により、表皮や真皮を構成するタンパク質の発現量が増加した結果が報告されています(5)。この研究では、50歳以上の健康な女性に、1日1回250mgのグルコサミン硫酸を8週間摂取してもらい、皮膚組織の状態を評価しました。その結果、表皮を構成するグリコサミノグリカンなどのタンパク質の発現量や、真皮を構成するコラーゲンの発現量が有意に増加したことが示されました。

 

心血管の保護

また、グルコサミンの摂取と、ガンや心血管疾患などによる死亡リスクとの関係を調べた2020年報告の疫学研究では、さまざまな疾患による死亡リスクの低下との関連が示唆されています(6)

この疫学研究では、49万人以上を対象として、グルコサミンの定期的な摂取とさまざまな死亡リスクとの関連の有無が分析されました。その結果、グルコサミンの定期的な摂取に、ガンや心血管疾患、消化器疾患、呼吸器疾患による死亡率の低下との関連があったと報告されています。

これらの研究以外にも、グルコサミンの効能を支持する報告は数多くされており、グルコサミンの有効性が示唆されています。

 

グルコサミンの摂取量

グルコサミンの摂取量の基準については、代謝に個人差があるため明言することが難しいですが、変形性膝関節症への効能を報告した多くの研究は、1日に1,500mgのグルコサミン(またはグルコサミン硫酸)を摂取するようデザインされており、その効能が示されています(7)。そのため、同様の摂取量であれば効果が期待できると考えられます。

また、グルコサミン摂取の安全性を調べた研究でも、グルコサミン摂取による副作用の発生率はプラセボよりも少なかったと報告されており、その安全性も示唆されています(8)

 

グルコサミンとコンドロイチンの違い

グルコサミンと似た作用を持ち、多くのサプリメントで両方が含有されていることから、グルコサミンとコンドロイチンはよく比較され、混同されます。

コンドロイチンはグルコサミンから形成される、ムコ多糖という物質の一種です(9)。コンドロイチンは、私たちの体の中では主にコンドロイチン硫酸という形で存在しており、水分の保持や細胞への栄養素の運搬など、幅広い効果を持つことが知られています。

グルコサミンとコンドロイチンの違いをまとめると、次の表のようになります。

 

表1. グルコサミンとコンドロイチン硫酸の違い

 

グルコサミン

コンドロイチン

分類

アミノ糖

ムコ多糖

全般的な役割

多糖(ムコ多糖含む)の素材

細胞接着、水分保持や栄養輸送のサポート

関節での役割

軟骨を形成するコンドロイチンの供給

軟骨形成、水分保持やクッション性の維持

グルコサミンとコンドロイチンは、共に関節の保護で重要な役割を果たす相性の良い物質であるため、多くのサプリメントはこれらをセットで摂取できる製品になっています。また、多くのヒトを対象とした研究でも、グルコサミンとコンドロイチンを併用することで効能が報告されており、併用が推奨されていると考えられます(4)

<コンドロイチンとは>

 

グルコサミンの副作用

グルコサミンの最も一般的な副作用として、胃の不快感や便秘などの消化器症状が報告されています。また、血糖値が上昇したとの報告もあり、血糖値が高めの方は、グルコサミンの摂取による血糖値の変化に注意が必要です。

 

グルコサミン摂取の注意点

上記の通りグルコサミンは安全な物質であると考えられていますが、注意すべき点もあります。

グルコサミンは数多くのヒトを対象とした研究が行われてきましたが、副作用がほとんど報告されない物質です(8)。そのわずかな中でよくある副作用は軽度の頭痛です。そのため、グルコサミンは安全性の高い物質だと考えられています。

グルコサミン硫酸塩製品には、過剰なナトリウムとカリウムを含んでいるという問題があり、特に高齢者では体内のイオンバランスに影響を及ぼす可能性があります(6)。

グルコサミンは、血栓の形成を抑える心血管疾患の薬であるワルファリンと相互作用をする可能性が示唆されています(10)。そのため、血栓の形成を抑える薬は、グルコサミンと一緒に飲んではいけない薬と考えると、より一層安全です。

また、エビやカニ由来のグルコサミンを使用しているサプリメントもあるため、アレルギーのある方は摂取を避けるのをおすすめです。

使用を避けるべき人としては、上記のように血液凝固を防ぐ薬を飲んでいる方や、血糖値に敏感な方が挙げられます。グルコサミンは糖代謝に悪影響を及ぼさないという報告がなされていますが、グルコサミンはブドウ糖の一部が置き換わったアミノ糖の一種なので、気になる方は摂取を控えることも推奨されます(8)

 

グルコサミンを飲み始める年齢は?

グルコサミンのサプリメントを飲み始める年齢に関して、特に決まりはありませんが、一般的には加齢による関節の不調を感じ始める中高年の世代が多いようです。これは、年齢とともに体内でのグルコサミンの生成が減少し、関節の痛みや柔軟性の低下が見られるようになることが大きな理由でしょう。

 

まとめ

この記事の内容をまとめると、グルコサミンは安全性が高く、関節の保護や、アンチエイジングなどの幅広い効能が示唆されている重要な栄養素です。グルコサミンは食事で摂取することが難しいため、健康的な生活を送りながらグルコサミンサプリメントの継続的な摂取を取り入れると、よりよい生活が期待できると考えられます。

もしすでに関節に痛みや動かしにくさを感じている方は、グルコサミンの摂取よりも、医療機関で担当の医師と相談することを、優先する必要があります。適切な利用方法を理解することで、よりグルコサミンを活用できます。

<他の関節に良い成分>
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