食生活のサポート

血管を柔らかくする食べ物:健康な血管を保つための食事法

監修者 鎌田 百合 医師 公開日:2025-04-11 最終更新日:2025-04-11

食生活のサポート

血管を柔らかくする食べ物:健康な血管を保つための食事法

監修者鎌田 百合 医師 公開日:2025-04-11 最終更新日:2025-04-11

健康に長生きするには、血管が柔らかく弾力があること、つまり血管の老化を防ぐことが重要です。

しかし、不健康な食生活を続けていると、血管はどんどん硬くなります。

硬くなった血管を放置すると動脈硬化が進行し、重大な病気を起こす可能性があります。

この記事では、健康な血管を維持するために、血管を柔らかくする食べ物をご紹介します。

血管の役割と健康への影響

そもそも、血管はなぜ柔らかいほうが良いのでしょうか。
 

血管の役割

血管は、心臓から出た血液が全身を巡るための通り道です。心臓がポンプ、血管がホースの役割をしています。動脈硬化によって血管の弾力性が失われ硬くなると、血管がもろくなっていきます。

もろくなった血管を放置すると、血管が破れたり詰まったりすることで、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気を起こす場合があります。

 

動脈硬化の原因

動脈硬化

動脈硬化の大きな原因として、偏った食生活があります(1)。

脂質、糖分、塩分の濃い食事ばかりを摂っていると、高脂血症、糖尿病、高血圧のリスクが高まり、動脈硬化が進行します。

悪玉コレステロールであるLDLコレステロールが増加すると、血管壁にLDLコレステロールが蓄積し、血管は柔らかさを失います。

糖尿病も動脈硬化のリスク因子です。血管の内皮細胞に負担がかかり動脈硬化を進行させます。

高血圧は血管に強い圧がかかり負荷をかけるため、動脈硬化が進行します。硬くなった血管が破れたり、血管が細くなって詰まったりします。

その結果、脳卒中や心臓病などの重篤な疾患を引き起こします。

このように、食事内容によっては動脈硬化を大きく進行させてしまうため、食事の見直しはとても重要です。

動脈硬化を進行させないように血管に良い栄養素を摂取し、血管を柔らかくしましょう。

 

血管を柔らかくするための栄養素

血管を柔らかくする栄養素は、どのようなものがあるか紹介します。

 

食物繊維

食物繊維はコレステロールを含む脂質や糖などを吸着し、便として体外に排出します。その結果、高脂血症や糖尿病などを改善し、血管を柔らかくする効果が期待できます。

さらには、食後の血糖値や中性脂肪の上昇を穏やかにし、糖質や脂質の吸収を抑える効果もあります(3)。

 

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸とは、体内ではつくられず、食物から摂る必要のある必須脂肪酸の一種です。

オメガ3脂肪酸には、サンマやサバなどの青魚に含まれるEPA、DHAや、植物油、ナッツなどに含まれるα-リノレン酸などがあります。

血液中の中性脂肪やコレステロールを減らす効果や、血圧を下げる効果が知られています(2)。

オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸
オメガ3脂肪酸は体内で生成できないことから、摂取する必要がある必須脂肪酸として認識されています。

参考:オメガ3の11つの効果・働きと手軽に摂取する方法|認知機能・心血管系の健康を支える
必須脂肪酸とは?種類と多く含まれる食品

 

大豆イソフラボン

大豆には、ポリフェノールの一種である大豆イソフラボンが豊富に含まれています。脂肪酸の燃焼を促し、LDLコレステロールや中性脂肪を減らす効果があります(4)。

それだけでなく、エストロゲンに似た構造をしているため、美肌ホルモンとして肌のハリを保つ働きがあります。

 

カリウム

カリウムは腎臓からナトリウムを排泄させる効果があるため、血圧降下作用が期待できます(5)。

ただし、カリウムは水に溶けやすい栄養素です。調理の際にカリウムが流れてしまわないよう、工夫が必要です。

 

カロテノイド

動植物に存在する、黄色や赤色の色素成分です(6)。カロテノイドにはカロテン類とキサントフィル類の2種類があります。

カロテン類にはβカロテンやリコピンなどが、キサントフィル類にはルテインやアスタキサンチンなどがあります。

カロテノイドは活性酸素を抑えることで過酸化脂質の合成を抑え、これにより動脈硬化を予防します。

 

血管を柔らかくする食べ物一覧

それでは、血管を柔らかくするためにはどんな食べ物を食べればいいのでしょうか。

血管を柔らかくする食べ物には、オメガ3系脂肪酸を含む青魚、食物繊維が豊富な野菜やきのこ、大豆イソフラボンを含む大豆製品、カリウムや抗酸化作用がある果物などがあります。

これからは、代表的な食べ物を紹介します。

 

青魚

青魚

青魚はオメガ3系脂肪酸が多く含まれ、血管を柔らかくする効果があります。それだけでなく、魚には良質なたんぱく質も多く含まれています。

たんぱく質は筋肉や臓器などの構成成分です。血管もたんぱく質から作られるため、良質なたんぱく質を摂取することで血管を強くすることができます。

 

野菜類

野菜類

野菜には食物繊維が多く含まれます。コレステロールを吸着し、血管を柔らかくする効果があります。

野菜の中でも、緑黄色野菜にはβカロテンやリコピンなどのカロテノイドが多く含まれます。カロテノイドの抗酸化作用によって、動脈硬化が予防できます。

 

きのこ類

きのこ類

きのこにも食物繊維が多く含まれます。血中のコレステロールや中性脂肪を減少させ、血管を柔らかくする効果が期待できます。

さらに、シイタケには、エリタデニンという、シイタケ特有の成分が含まれます。活性酸素の働きを抑制したり、コレステロールの上昇を抑制する効果があることが知られています。

 

大豆製品

大豆製品

大豆に含まれる大豆イソフラボンは、LDLコレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。良質なたんぱく質も多く含まれることから、積極的に取り入れたい食材です。

豆腐、厚揚げ、豆乳、味噌、納豆などがおもな大豆製品です。種類も多いので飽きずに食べることができます。

さらには、納豆に含まれるナットウキナーゼは、血圧の上昇を抑え、血管を柔らかくする効果があります(7)。納豆は「もう一品」の追加がしやすく、日々の食事の中に気軽に取り入れやすい食品です。

 

果物

果物

バナナやぶどうなどには、カリウムが多く含まれます。カリウムは腎臓からナトリウムを排出させる効果があります(8)。降圧作用による動脈硬化予防が期待でき、血管を柔らかくすることができます。

また、マンゴー、柑橘類、すいかなどには抗酸化作用のあるカロテノイドが多く含まれます。

ただし、果物は果糖という糖質が多く含まれるため、摂取のしすぎには注意が必要です。

 

食事に取り入れる方法

ここでは、血管を柔らかくするおすすめのレシピを紹介します。

 

サバの味噌煮

オメガ3系脂肪酸をたっぷり含んだ、さばの定番料理です。

フライパンで、しょうが、酒、砂糖、味噌、水で煮汁を煮立たせたら、切り込みを入れたサバを入れ火を通します。好みで細切りにしたしょうがを乗せて完成です。

 

野菜と青魚の南蛮漬け

青魚と野菜がたっぷり摂れるメニューです。

サバなどの魚に塩、米粉、カレー粉をまぶします。好きな野菜を素揚げし、粉をまぶした魚も揚げます。

だし汁、醤油、みりん、砂糖を混ぜて火にかけたれを作り、味をつけます。

このメニューは、農林水産省でレシピが紹介されています(9)。

 

豆腐のステーキきのこあんかけ

食物繊維と大豆タンパクを同時に摂れるメニューです。

豆腐の水気を切り、片栗粉をまぶしたらフライパンで両面を焼きます。しめじ、えのきを焼き、だし汁、しょうゆ、砂糖をひと煮立ちさせたら水溶き片栗粉でとろみをつけ、豆腐にかけたら完成です。

きのこのうまみと栄養素をたっぷり摂ることができます。

 

このように、日々の食事に血管を柔らかくする食べ物を積極的に取り入れてみましょう。

ここで紹介したものだけでなく、たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く取り入れることが重要です。

毎日続けることは難しいこともあります。まずは毎日の食事の中から一食、一品から変えていくと無理なく続けることができるでしょう。

 

血管を柔らかくするためのライフスタイル

血管を柔らかくするのは食べ物だけではありません。生活習慣の改善も重要とされています。

 

有酸素運動

ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、血圧を下げる効果があります。さらには、血管の内皮細胞が活性化され、血管の柔軟性を保つことができます。

有酸素運動を行うことで肥満解消にもつながり、高血圧や糖尿病などのリスクを減らすこともできます。

動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、ややきついと感じる程度の強度の運動を、毎日30分以上行うことが推奨されています(1)。

 

ストレス解消

ストレスを溜め込まないことも大切です。ストレスは自律神経系のバランスを崩し、交感神経優位になることで血管が収縮します。その結果、血管に強い負荷がかかり動脈硬化が進行します。

 

禁煙

喫煙は動脈硬化の主要なリスク因子です。タバコに含まれるニコチンには強い血管収縮作用があり、動脈硬化を進行させます(10)。

 

飲酒の減量

また、飲酒は血圧を上昇させることが知られており、1日あたりエタノールで男性20~30mL程度、女性はその半分程度の飲酒量が推奨されています(5)。

このような血管を硬くする因子をなるべく除き、適度な運動を行うことで動脈硬化の進行を抑え、血管を柔らかくすることができます。

 

まとめ

血管を柔らかくすることでさまざまな血管の病気の予防につながり、健康な生活を送ることができます。

生活の中で積極的に血管に良い食べ物を摂ることで動脈硬化を予防することができます。血管を柔らかくする栄養素を意識して摂るようにしてみましょう。

ただし、食事だけでは改善しないこともあります。運動や禁煙、節酒などの生活習慣の改善も同時に行うことが重要です。

日々の食事で少しずつ実践し、健康な生活を送りましょう。