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乳酸菌はとりすぎても大丈夫?乳酸菌の安全性と摂取のポイントを解説!

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2025-07-21 最終更新日:2025-07-21

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乳酸菌はとりすぎても大丈夫?乳酸菌の安全性と摂取のポイントを解説!

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2025-07-21 最終更新日:2025-07-21

私たちの腸に共生している1,000種類以上の腸内細菌は、腸そのものの健康だけではなく、免疫や血管、脳機能に至るまで、全身の健康へ大きな影響を与えていることが知られています。

そのため、いわゆる「乳酸菌」への関心は非常に高く、善玉菌である乳酸菌を摂取することの重要性がさまざまなメディアで強調されています。

では、乳酸菌多くとるほど良いものなのでしょうか?乳酸菌をとりすぎることによる悪影響はないのでしょうか?

乳酸菌とは?疑問を持っている女性

 

乳酸菌の基本情報

乳酸菌は、多くの研究でその効能に関するデータが蓄積されてきた、善玉菌の代表格の一つです。

乳酸菌は、乳酸や抗菌ペプチドなどの病原体を打ち負かす物質を作ることで、腸内感染を抑制する効果や、悪玉菌の増殖を抑える効果を発揮することが知られています。

また、乳酸菌の働きは、腸内バリア機能の改善だけでなく、代謝調節、免疫調節などの幅広い効果に繋がることが示唆されています(1)

これらの善玉菌は、その種によっても異なる働きをしますが、共に腸内環境の改善を通して、腸だけではなく全身の健康に貢献すると考えられています。

 
善玉菌とは?
 

腸内細菌は「健康によい菌」「害を及ぼす菌」「どちらでもない菌」の3つに分けられ、それぞれが影響し合いながら腸内のバランスを保っています。

「善玉菌」とは、健康によい働きをする菌の総称で、ビフィズス菌や乳酸菌が代表的です。

善玉菌は有益な物質を作るほか、悪玉菌の増殖を抑えることで、ヒトの健康に役立っています。

 

乳酸菌をとりすぎても大丈夫?

乳酸菌の安全性

その健康に貢献する機能から、さまざまな媒体で摂取が推奨されてきた乳酸菌は、その安全性についても研究されてきました。

ヒトを対象とした乳酸菌に関する研究では、菌の摂取が影響を及ぼしやすい免疫不全患者への大量投与も実施されてきましたが、乳酸菌摂取による副作用は極めて稀で、その高い安全性が示唆されています(2)

多くの研究報告を踏まえたうえで、代表的な善玉菌である乳酸菌は、安全性が高く、免疫不全や重篤な疾患を抱えた状態を除くと、その副作用はほとんど見られないと考えられています。

乳酸菌を多く摂取しても、副作用のリスクは低いと考えられます。

しかし、発酵乳製品などの乳酸菌を含む食品には、乳酸菌以外にも塩分や糖分などの成分が含まれているため、これらの成分の過剰摂取には注意が必要です。

 

乳酸菌は一度に大量摂取しても効果的ではない!

乳酸菌が多いヨーグルト

乳酸菌は一般的に安全とされていますが、大量にとれば効果的だというわけではありません。

乳酸菌を一度に大量摂取しても、余分な菌は排泄されてしまいます。

腸内にはすでに多くの腸内細菌が集団を形成しており、一時的に善玉菌の供給量が増加しても、定着することが難しいためです。

そのため、安全性が高い善玉菌であっても、効果を期待するうえでは適量を継続して摂取することが重要です。

 

腸内環境を整えるポイントは?

腸内環境を整えるポイント

適量の乳酸菌を継続して摂取する

乳酸菌を多く摂ることは通常問題ありません。

ただし、短期間に大量の乳酸菌を摂取しても、定着せずに数日で体から排出されてしまうものがほとんどです。

乳酸菌の摂取による効果の確認には、ある程度の期間継続して摂取することが必要だと考えられることから、多くのヒトを対象とした研究は4週間以上継続して乳酸菌を摂取するようデザインされています。

乳酸菌に関する多くの研究は、継続して摂取したことでその効果が確認されています。

 

乳酸菌が増えやすい環境を作るプレバイオティクスも重要!

善玉菌の効果を期待するうえでは、腸内で善玉菌を増やして活性化させるエサのような物質も重要とされています。

このような物質は「プレバイオティクス」と呼ばれ、善玉菌とあわせての摂取が推奨されています​(​3)

プレバイオティクスは、摂取しても消化されずに大腸まで届き、ヒトの健康に有益な菌だけのエサとなる重要な働きをすることが知られています。

たとえば、タマネギなどに豊富に含まれる食物繊維イヌリンや、イヌリンを構成するフラクトオリゴ糖は、乳酸菌やビフィズス菌の成長や活動を促進することが多くの研究で報告されているプレバイオティクスです。

イヌリンやフラクトオリゴ糖の摂取は、善玉菌の活動を促進することで、腸内環境だけではなく、血糖値や脂質代謝、ミネラルの吸収や免疫機能を改善することが示唆されています(4)

善玉菌を摂取する場合は、その働きを促進するイヌリン、フラクトオリゴ糖などのプレバイオティクスをあわせて摂取する組み合わせをおすすめします。

 

バランスの良い食生活を心がける

善玉菌の摂取は健康に役立つことが期待できますが、腸内環境は食生活の影響を強く受けています。

そのなかでも、動物性たんぱく質や脂肪に偏った食生活は、腸内環境へ悪影響を及ぼすことが知られています。

たとえば、揚げ物を多く食べた場合に腸内環境がどのように変化するのかを調べた研究では、腸内細菌の多様性が損なわれ、腸内毒素が増えたことが報告されています(5)

一方、植物性たんぱく質を豊富に含む食事は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことが示唆されています(6)

乳酸菌やビフィズス菌は、安全性の高い善玉菌として知られていますが、その効果を活かすには、短期間で大量に摂るよりも、プレバイオティクスと組み合わせて継続的に摂取することが重要です。

また、バランスの取れた食生活は栄養面だけでなく、多様なプレバイオティクスを自然に摂れるという点でも効果的だといえます。