筋肉を効果的に育てるためには、トレーニングだけではなく食事管理も欠かせません。特に、たんぱく質は筋肉の修復と成長に重要な役割を果たします。
筋トレを頑張っても、栄養が不足していると効果が半減するからです。そこで今回は、筋肉とたんぱく質の関係性を詳しく解説するとともに、どんな食品に多く含まれているのかといった内容を紹介します。
筋肉の成長と栄養摂取の関連性
筋肉を育てるには、栄養摂取の重要性を知ることからはじめましょう。栄養素の中でも特に重要なのが、たんぱく質です。たんぱく質は筋肉の主要な材料であり、運動によって破壊された筋繊維の修復と再生に役立ちます。
そもそも筋肉を育てることを筋肥大というのですが、筋繊維が運動によりダメージを受け、そこにたんぱく質が供給されることで筋肥大が促進されます。
たんぱく質が筋肉に変わるまでの過程
たんぱく質はそのまま筋肉に変わるわけではありません。まず食事から摂取したたんぱく質は、体内でアミノ酸という最小単位まで分解されます。このアミノ酸が血流に乗り、全身の筋細胞に浸透することで、筋肉の合成を促すのです。
筋肉は常に新しくなっている
知らず知らずのうちに、私たちの体のたんぱく質は新しいものに変わっています。同時に古いたんぱく質は排出され、1年のうちにほぼすべての筋肉が入れ替わっているのです。つまり、たんぱく質を補給しないと体内のたんぱく質がどんどん減っていき、筋肉が育ちにくくなります。
たんぱく質を多く含む食べ物
たんぱく質は常に入れ替わっていることから、排出されるたんぱく質と同じだけのたんぱく質を、毎日の食事から摂取しなくてはなりません。特に筋トレやスポーツをしている人は、意識的にたんぱく質を摂取しなければ、筋肉の育ちが悪くなってしまいます。
また、たんぱく質は1日分をまとめて摂るといった方法では筋肉が育ちません。1回の食事で吸収できるたんぱく質の量には上限があるため、3食+運動後などこまめにたんぱく質を補給することが大切です。
たんぱく質はどれくらい必要?運動習慣によりたんぱく質摂取量一覧
たんぱく質を多く含む食べ物の話に移る前に、まずはどれくらいのたんぱく質を摂取する必要があるのか、おさらいをしてみましょう。
身体活動状況 |
たんぱく質摂取量 |
軽度の運動をしている人 |
0.8~1.0g/kg |
中強度の運動をしている人 |
1.0~1.5g/kg |
高強度の運動をしている人 |
1.5~2.0g/kg |
レジスタンストレーニングをしている人 |
1.6~1.7g/kg |
日頃から筋トレをしている人は、体重1kgあたり1.6~1.7gのたんぱく質が必要です(1)。例えば、体重75kgの人の場合、下記の計算で必要なたんぱく質が求められます。
75kg×1.6~1.7g=120~128g
では、何をどのくらい食べれば必要なたんぱく質が確保できるのか、見ていきましょう。
たんぱく質を多く含む食べ物ランキング
順位 |
食品名 |
100gあたりのたんぱく質含有量 |
1位 |
カツオ |
25.0g |
2位 |
マグロ(キハダ) |
24.3g |
3位 |
鶏ささみ |
23.9g |
4位 |
鶏むね肉(皮なし) |
23.3g |
5位 |
サケ |
22.5g |
6位 |
豚ヒレ肉 |
22.2g |
7位 |
豚もも肉(赤身) |
22.1g |
8位 |
牛サーロイン(赤身・輸入) |
22.0g |
9位 |
ブリ |
21.4g |
10位 |
タイ |
20.6g |
先ほど体重75kgの人に必要なたんぱく質は、1日120~128gと紹介しました。この量のたんぱく質を確保するには、上表の食品を利用した場合、かつおのたたき1柵(たんぱく質約45g)、鶏むね肉1枚(たんぱく質約70g)が必要です。
筋肉をつけるために必要な栄養素
筋肉をつけるためには、たんぱく質だけを摂取すればいいわけではありません。3大栄養素である、炭水化物と脂質もバランスよく摂取することが、効率よく筋肉を育てるコツです。
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炭水化物:エネルギー源
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脂質:エネルギー源やホルモンの材料
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たんぱく質:体を作る材料
たんぱく質の摂取に意識が向くと、炭水化物や脂質の摂取量が少なくなるかもしれません。しかし、エネルギー源である両者の栄養素が十分に供給されないと、たんぱく質がエネルギー源として使われてしまいます。特に筋トレなどハードな運動をしている人は、多くのエネルギーを必要とします。
エネルギーは炭水化物>脂質>たんぱく質の順に使用されていくため、運動時はエネルギー効率のよい炭水化物の摂取が大切です。
脂質は体づくりをしている人から敬遠されやすいのですが、3大栄養素の中で最もエネルギー量が多く、1gあたり9kcalあります。エネルギー量を十分に確保するのが難しいときは、スプーン1杯(12g)の油を加えるだけで108kcalもプラスでき、効率良くエネルギーが確保できるのです。
また、油を摂取する際は質に注目してみましょう。素早くエネルギーに変わる中鎖脂肪酸や、筋肉の損傷や炎症を抑えるオメガ3脂肪酸がおすすめです(2)。オメガ3脂肪酸は亜麻仁油やえごま油などに多く含まれます。
オメガ3脂肪酸についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
▼オメガ3脂肪酸がたっぷりの油や食品とは?健康効果や上手な摂り方を解説
筋肉をつける食事
1.豚ヒレ肉のガーリックソテー
豚ヒレ肉はたんぱく質が豊富。にんにくの香りが食欲をそそります。
【材料(1人分)】
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豚ヒレ肉:200g
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塩こしょう:適量
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小麦粉:大さじ2
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にんにく:1片
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油:大さじ1
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★醤油:大さじ1
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★酒:大さじ1
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★みりん:大さじ1
【作り方】
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豚ヒレ肉は1cm程度の厚さにカットし、包丁の背で叩く。塩こしょうを振り、小麦粉を全体にまぶす。にんにくは潰してみじん切りにする。
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熱したフライパンに油をひき、にんにくを弱火で炒める。香りが出たらにんにくを取り出し、豚ヒレ肉を両面焼く。
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火が通ったらにんにくを戻し、★の調味料を加えて煮絡める。
【ポイント】
小麦粉は茶こしを使って振りかけると、まんべんなくまぶせます。
2.かつおのスタミナサラダ
市販のかつおのたたきをアレンジした簡単メニュー。鉄分摂取にも役立ちます。
【材料(1人前)】
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かつおのたたき:1パック
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長芋:50g
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にら:3本
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★ポン酢:適量
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★ごま油:少々
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ごま:適量
【作り方】
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かつおのたたきは1.5cmの角切りにする。長芋は皮をむき、1.5cmの角切りにする。にらはみじん切りにし、★と合わせる。
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ボウルに1を加え混ぜ、器に盛ってからごまを振る。
【ポイント】
まとめ
筋肉を育てるには、材料となるたんぱく質の確保が重要です。常に体のたんぱく質は入れ替わっているため、食事から十分な量を摂取することが筋肉の増強につながります。
日頃から筋トレをしている人は、体重1kgあたり1.6~1.7gのたんぱく質が必要になるため、一般的な人よりも多くのたんぱく質を摂取しなければなりません。1食にまとめてたんぱく質を摂取しても筋肉にならず、体外に排出されてしまうため、こまめに摂取することが大切です。
また、たんぱく質だけを摂取するのではなく、炭水化物と脂質をバランスよく摂取することが、筋肉を育てる秘訣です。しっかりとバランスの取れた食事を意識し、筋肉の成長を最大限に引き出しましょう。