ゴーヤ(にがうり)とは
ゴーヤは和名でツルレイシといい、その味わいから「にがうり」とも呼ばれます。(1)学名はMomordica charantia L.(モモルディカ・チャランチア)で、ゴーヤの栄養である「モモルデシン」「チャランチン」が由来です。原産地は東インドを中心とした熱帯アジアと言われています。(2)
ゴーヤは細長い緑色の野菜で、表面のいぼが特徴です。未成熟果と呼ばれる濃い緑色の時期のものが商品として流通し、黄色く色づき甘味のある過熟果は一般的に食用としていません。(3)
日本では主に沖縄県、鹿児島県、宮崎県などの九州地方や、本州でも広く栽培されています。中でも亜熱帯気候の沖縄県では通年栽培されており、日本の一大産地となっています。
ゴーヤの特徴は、何といっても独特の苦味です。その苦味の正体はモモルデシンやチャランチンと呼ばれる成分で、胃の保護や血糖値を下げる効果が期待できます。こちらの成分の詳しい働きについては後述します。
ゴーヤに含まれる栄養素と成分
ゴーヤに含まれる主な栄養素は下表のとおりです。
栄養素 |
100gあたり |
エネルギー |
15kcal |
たんぱく質 |
1.0g |
脂質 |
0.1g |
炭水化物 |
3.9g |
食物繊維 |
2.6g |
カリウム |
260mg |
葉酸 |
72μg |
ビタミンC |
76mg |
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」
100gあたり94.4gの水分が含まれており、ほとんどが水分であることが分かります。そのためエネルギーも15kcalと低く、脂質も0.1gと少なくヘルシーです。また、食物繊維やカリウム、葉酸、ビタミンCが多く含まれているのもゴーヤの栄養素の特徴。では、それぞれの栄養素にはどのような働きがあるのか、解説します。
ゴーヤの栄養|モモルデシン:胃に良い
ゴーヤの苦味成分のひとつであるモモルデシンには、胃を健やかに保つ作用が期待できます。胃酸の分泌を促し、食欲増進が期待できることから、夏バテ予防にも役立つでしょう。胃の粘膜を保護する作用もあることから、胃腸の健康維持に適しています。また、後述するチャランチンと同様に、血糖値を下げる効果が期待できます。(4)
ただし、食べ過ぎると胃酸を分泌しすぎ、かえって胸焼けや胃痛の原因となってしまうため、適量(1/3~1/2本)を摂取するのがおすすめです。
ゴーヤの栄養|チャランチン:血糖値コントロールに良い
チャランチンもゴーヤの苦味成分のひとつで、血糖値を下げる効果が期待できます。チャランチンは血糖値を調整するインスリンのような作用をもたらすことが、研究により明らかにされています。(3)血糖値が気になる方は、日々の食事に取り入れるとよいでしょう。
ゴーヤの栄養|カリウム:塩分排出に役立つ
カリウムには余分な塩分(ナトリウム)を排出する作用があり、塩分を摂取しすぎな現代の日本人にとって欠かせません。塩分を排出することで、高血圧予防やむくみ予防になります。(5)
なお、ゴーヤ100gに含まれるカリウムの量は260mgと、野菜類ではトップクラスです。(6)1日のカリウムの目標量が成人男性3,000mg以上、女性は2,600mg以上であるため、1日の約1/10~1/11を摂取できる計算になります。(7)
ゴーヤの栄養|食物繊維:腸の調子を整えるのに役立つ
ゴーヤに含まれる食物繊維には、腸の調子を整える働きがあります。腸内で膨らみ便通を促したり、善玉菌のエサになり善玉菌を増やしたりするなど、腸にとって有益な成分です。また、血糖値の急激な上昇を防いだり、脂質や塩分(ナトリウム)を吸着し、便と一緒に排出する働きがあるなど、生活習慣病の予防にも期待できます。(8)
ゴーヤに含まれる食物繊維は、100gあたり2.6gです。ちなみに食物繊維が豊富なイメージがあるレタスは100gあたり1.1gであるため、ゴーヤは効率良く食物繊維が摂取できることが分かります。
ゴーヤの栄養|葉酸:胎児の発育や貧血予防に役立つ
ゴーヤに含まれる葉酸は、胎児の健やかな発育に関与する栄養素です。特に妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害や胎児奇形のリスクを高めるため、妊娠を望む女性は積極的に摂取するとよいでしょう。(8)また、妊娠中以外にも葉酸が不足すると、赤血球が正常に作られず、貧血の原因となります。(9)
ゴーヤに含まれる葉酸は100gあたり72μgです。これは成人男女に必要な推奨量(240μg)のうち、約1/3が摂取できる量であるため、葉酸を効率良く摂取したいときに適しています。(8)
ゴーヤの栄養|ビタミンC:活性酸素抑制や免疫系の働きを助ける
ゴーヤに多く含まれるビタミンCには、抗酸化作用があります。(10)(11)抗酸化作用とは活性酸素の産生を抑制すること。活性酸素は生活習慣病、がん、老化などに関連していると言われており、年齢を重ねるに連れて活性酸素に対抗する酵素が減ります。そのため、ビタミンCなどの抗酸化作用を持つ栄養素を摂取し、活性酸素の過剰生産を抑える必要があるのです。
また、ビタミンCは免疫機能をサポートする役割も持ちます。さらに肌のハリツヤのもとであるコラーゲン生成に必要だったり、鉄分の吸収を助けたりする効果があります。
ゴーヤは100gあたり76mgのビタミンCを含み、これは野菜の中ではトップクラスです。1日に必要なビタミンCは成人男女ともに100mgであるため、ゴーヤ1/2本を食べるだけでほぼ1日分が賄えることになります。(8)
ゴーヤの栄養|ニガウリペプチド
ゴーヤならではの栄養素として、ニガウリペプチドがあります。新陳代謝促進や生理機能の調整など、さまざまな健康効果が期待されています。
ニガウリペプチドについての詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください:ニガウリペプチドとは?栄養士が教える5つの効能と副作用
ゴーヤの栄養を効果的に食べる方法
ゴーヤにはさまざまな栄養素が含まれていると紹介してきましたが、食べ方によっては栄養を損なう可能性もあります。そこで、効率良くゴーヤの栄養を摂取する方法をお伝えします。
1.加熱はサッと行うか電子レンジがおすすめ
ゴーヤに含まれる葉酸やビタミンCは熱に弱いため、長時間加熱する調理法はおすすめできません。シャキシャキ感が残る程度にサッと加熱すると、栄養が壊れにくくなります。また、電子レンジで加熱すると、ゆでるよりもビタミンCが残りやすくなるため、おすすめです。(12)
2.水にさらしすぎない
モモルデシン、カリウム、ビタミンCは水溶性(水に溶ける性質)のため、長時間水にさらしたり、煮込み過ぎたりすると流出しやすくなります。水にさらしたり煮たりすると苦味が和らぐ反面、栄養も逃げやすくなるため、短時間にとどめましょう。
3.生食するなら白ゴーヤがおすすめ
ゴーヤに含まれる栄養素は、加熱や水にさらすことで失われやすくなります。ゴーヤの栄養素をできるだけたくさん摂取するのであれば、生食がおすすめです。しかし、苦味や青臭さが気になり、美味しく食べられない方もいるでしょう。そこでおすすめしたいのが、白ゴーヤです。別名サラダゴーヤとも呼ばれ、緑のゴーヤよりも苦味が少ないのが特徴。栄養もほぼ変わりはないため、苦味の少ないゴーヤが好みであれば、白ゴーヤを選ぶのもよいでしょう。
ゴーヤの栄養をたっぷり摂取できるレシピ
ここからは、ゴーヤを使ったおすすめレシピを紹介します。簡単に作れるものなので、ぜひ参考にしてください。
ゴーヤのから揚げ
ゴーヤのわたと種ごと食べるから揚げです。片栗粉をまぶして揚げるだけなので、調理も簡単。水溶性ビタミンは揚げることで減りにくくなるので、モモルデシンやビタミンC、葉酸も残りやすくなります。油により苦味も和らぐので、ゴーヤが苦手な人でも食べやすいのがポイントです。
【材料(作りやすい分量)】
ゴーヤ:1/2本
片栗粉:適量
塩こしょう:適量
油:適量
★カレー粉:適量
★塩:適量
【作り方】
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ゴーヤはわたと種ごと5mmの薄切りにする。
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ポリ袋に1を入れ、片栗粉と塩こしょうを加えて全体にまぶす。
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天ぷら鍋に油を入れ、180℃になったら3分程度加熱し、油を切る。
ゴーヤの肉詰め
ゴーヤの栄養に、豚ひき肉のビタミンB1を合わせた、夏バテ予防にピッタリな一品です。蒸し焼きにするので、ビタミン類が流出しにくいのもポイント。無理なくゴーヤをたっぷり食べられるので、ぜひ試してみてください。
【材料(2~3人分)】
ゴーヤ:1本
★豚ひき肉:200g
★卵:1/2個
★片栗粉:小さじ1
★すりおろししょうが:小さじ1/2
★塩こしょう:適量
油:適量
ケチャップ:お好みで適量
【作り方】
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ゴーヤは厚さ1.5cm程度の輪切りにし、わたと種を取り除く。分量外の片栗粉をゴーヤ全体にまぶす。
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ボウルに★を加え、粘り気が出るまでよく混ぜる。
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1に2の肉だねを詰める。(肉が縮むのでやや多めに詰めるのがコツ)
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中火で熱したフライパンにサラダ油をひき、3を並べてフタをし、5分加熱する。
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ひっくり返し、大さじ3(分量外)の水を加えたらフタをし、さらに3~4分加熱する。
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お好みでケチャップをかけて完成。
まとめ
ゴーヤには健康維持に役立つたくさんの栄養素が含まれており、体調を崩しやすい夏に適していると言えるでしょう。ゴーヤならではの苦味には、胃を健やかに保ったり、血糖値を下げる効果も期待できます。紹介したレシピは苦味を抑えた味わいのため、ゴーヤの栄養を摂取したいときは、ぜひ挑戦してみてください。