成分ガイド

MSMの健康作用:関節痛の軽減と美容作用を徹底解説【医師監修】

監修者 錦 惠那 医師 公開日:2024-07-02 最終更新日:2026-03-23

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MSMの健康作用:関節痛の軽減と美容作用を徹底解説【医師監修】

監修者錦 惠那 医師 公開日:2024-07-02 最終更新日:2026-03-23

MSMは、動植物に広く含まれている自然由来の有機イオウ化合物で、身体に欠かせないせ成分です。アメリカでは、MSMの健康効果が注目され、特に関節や筋肉のサポートに役立つ成分として研究が進められました。

最近では、MSMが関節、皮膚や爪の健康を維持し、関節痛の低減や運動後の不快感を和らげる効果が期待されています。MSMが現代人の健康課題、特に運動習慣のある方や加齢による身体の変化を感じる方にとって、非常に有望な選択肢であるという点です。

この記事では、MSMの基本からその効果に関する研究報告、おすすめの摂取方法まで幅広く解説します。

 

MSM(メチルサルフォニルメタン)

msmサプリメント

MSM(メチルスルホニルメタン、Methyl Sulfonyl Methane」)は、地球上のさまざまな動物や植物などに含まれる自然由来の有機イオウ化合物で、硫黄原子を中心とした小さな分子です(1)イオウは、体内でたんぱく質やコラーゲンを合成する際に欠かせないミネラルであり、皮膚、髪、爪、軟骨などの構造を作るために重要な栄養素です

そのため、MSMの働き主に関節の柔軟性と健康維持、コラーゲン生成をサポート、肌の美容に効果があるとされています。 MSMは、細胞修復において重要な役割を果たし、コラーゲンやたんぱく質の合成をサポートすることが知られています。このような作用により、MSMは関節痛や運動後の筋肉痛、さらには皮膚の健康維持に効果があるとされています。

さらに、MSMは自然由来だけではなく、人工的に合成することもでき、古くから化学研究で活用されてきた歴史も併せ持つ物質です(3)。1970年代に臨床応用においても注目を集め始めたMSMは、アメリカの医学の分野で関節炎などの炎症反応の軽減や、運動後の不快感を和らげる効能が報告されたことがあります

2001年から日本でMSMは食品素材として認可され、健康食品として利用できるようになりました。
 

MSMは食品から摂取できます?

MSMは、果物、野菜、牛乳、穀物などの食品に含まれていますが、その含有量は非常に少ないため、効率的に摂取するにはサプリメントの利用がおすすめです。そのため、効率的かつ確実にMSMの恩恵を受けるためには、品質が保証されたサプリメントの活用が賢明な選択と言えるでしょう。

 

天然のMSMとは
自然環境に含まれる天然のMSMは、主に藻類やプランクトンにより合成され、空気中に浮かび上がった後、雨となって土壌を整え、植物に取り込まれ、植物を食べた人間や動物を通って海に還るという、「硫黄循環」により地球を巡っている物質の一つと考えられています(2)

 

MSM(メチルスルフォニルメタン)の効果は?

近年注目を集めるMSMは、主に関節保護の作用に焦点を当てられていますが、実際には臨床研究により様々な効果が報告されている成分です。MSM(メチルスルフォニルメタン)は、関節痛の軽減、運動後の筋肉痛や関節痛の緩和、酸化ストレスの軽減、細胞修復、免疫力向上、さらには肌の弾力性維持やアレルギー症状の改善に効果がある成分です

特に、日常生活で体に負担がかかりやすい方にとって、MSMは細胞レベルからコンディションを整えてくれるサポート成分と言えるでしょう。

 

1. 関節痛の軽減

msmの健康効果

MSMの最も注目されている効能は、炎症を抑えて関節痛みを軽減する作用です(1)

炎症が引き起こす痛みや腫れに対して、MSMは、痛みや腫れを減らす手助けをします。特に、運動後や年齢を重ねたときに関節痛を和らげるのに役立ちます。

この作用には、炎症反応の調節において重要な役割を持つ「NF-κB経路」というシグナル伝達経路が関係しています。NF-κB経路は免疫応答や炎症反応を調節する重要な経路ですが、過剰に活性化されると慢性炎症やさまざまな疾患の原因となることがあります。

MSMは、このNF-κB経路の過剰な働きを抑制することで、多くの炎症反応を軽減することが示唆されています(5)

 

変形性膝関節症による痛みの改善

MSMを変形性膝関節症の患者に摂取してもらった臨床研究では、1日3回MSM 500mgを12週間摂取したグループで、変形性膝関節症の症状や痛みを計るスコアが大きく改善したことが報告されています(6)
 

膝の違和感や痛みの改善

2023年に行われた日本人を対象とした研究では、MSM を1日4g・12週間続けて摂取することで、朝のこわばりや階段の上り下りなどの膝の違和感と痛みがやわらいだという結果が出ています。また、関節に大切なII型コラーゲンをつくる力が一時的に高まることも確認されております。(16)

加齢に伴う膝や肘などの関節の痛みを抱えるようになった方にとって、MSMは痛みを和らげ活動をしやすくする効果が期待される成分と考えられています。

また、炎症反応を引き起こすシグナル物質は軟骨の保存自体にも悪影響を与えるため、MSMはこのような物質の産生を抑制して、軟骨の保護にも役立つことが示唆されています(7)
 

軟骨とは
軟骨は骨と骨の間でクッションのような働きをし、関節の動きをスムーズにサポートしています。加齢による膝の痛みや違和感は、主に軟骨にかかる負担や軟骨成分の減少が原因とされています。

 

2. 運動後の筋肉痛と関節痛の緩和

msmの健康効果:運動後の筋肉痛と関節痛の緩和

MSMは急性運動後の迅速な体力と状態の回復をサポートすることが期待されています。

MSMの抗炎症作用や抗酸化作用は、免疫だけでなく運動機能にも良い影響を与えることが、ヒトを対象とした研究により示唆されています。

ハーフマラソンに参加するマラソンランナーを対象に、MSMまたはプラセボを二重盲検法で無作為に割り当て、レース前21日間+レース後2日間の計23日間摂取した両グループの状態を比較した研究があります。

MSMを摂取したグループで筋肉痛と関節痛のスコアが有意に低くなったことが報告されています(11)

 

3. 酸化ストレスを軽減するによる体力回復

msmの健康効果:運動後の迅速な体力と状態の回復を支援する

MSMまたはプラセボを10日間摂取した一般男性に対し、14kmのランニング後の状態を比較した別の研究においても、酸化ストレスを測る指標の値がMSM摂取グループで低かったことが報告されており、MSMは急性運動後の酸化ストレスを軽減することが示唆されています(12)

酸化ストレスを軽減により、運動後の体力回復が速くなることが期待されています

 

4. イオウの補給による細胞修復

MSMに含まれるイオウは、細胞の修復や再生を助ける重要な役割を果たします。イオウはコラーゲンやたんぱく質の合成に必要不可欠な成分で、特に皮膚や関節の健康維持に重要です。

MSMを摂取することで、細胞の修復をサポートすることが示唆されています。

 

5. 肌の弾力性の維持

msmの健康効果:肌の弾力性の維持

MSMは、美しい肌の維持にも有効である可能性が研究により示唆されています

MSMまたはプラセボを1日3g、16週間摂取した女性の肌を、シワの数や深さなどの計測、主観的評価、専門家による客観的評価で比較した研究があります。

MSMを摂取したグループでシワの総数、深さなどの各指標が、機器の計測と専門家による客観的評価の両方で統計的に有意に改善した結果が得られました(13)

また、主観的な評価についても、統計的に有意ではありませんでしたが、プラセボ摂取グループに比べて良好な結果が得られたと報告されており、MSMの美容への効能が示唆される結果となったことが報告されています。

 

6. HDLコレステロールを増やし、心血管の健康維持

2021年、アメリカで行われた研究では、1日3gのMSMを16週間継続摂取した肥満傾向のある中高年の男女において、8週目と16週目にHDLコレステロールの有意な上昇が確認されました(17)

HDLコレステロールは、血管内の余分なコレステロールを回収し、動脈硬化の予防や心血管の健康維持に重要な役割を果たしています。

 

7. 免疫力を高める

msmの健康効果:免疫力を高める

MSMは活性酸素のコントロールする働きもあります。

活性酸素は、適量であれば免疫機能においても重要な物質ですが、過剰になると免疫機能の低下、血管へのダメージ、シワの形成など、多くの問題を引き起こすことが知られています(8)

MSMは活性酸素を産生する他のシグナル伝達経路の働きも抑えることが研究で報告されており、さまざまな角度から活性酸素の過剰産生を抑えることが示唆されています(10)

MSMは活性酸素の過剰な発生を防ぐことで、免疫力を高め、健康をサポートする働きがあると考えられています。

 

8. 花粉症によるアレルギー性鼻炎の軽減

花粉症

MSMは、アレルギー反応を引き起こす物質の影響を軽減する働きがあることが示唆されています。

アメリカで行われた試験では、花粉症によるアレルギー性鼻炎の患者50名が、1日2,600mgのMSMを30日間摂取した結果、季節性アレルギー性鼻炎の症状が改善されたと報告されています(16)

MSMを摂取することで、アレルギーによる症状をコントロールし、快適な日常生活をサポートします。

 

MSMの副作用

MSMはヒトにとって忍容性が高い物質として知られており、安全性が高い物質であると考えられています。

厚生労働省においてMSMの摂取量に関する規制はなく、アメリカのFDAが定める「一般に安全と見なされる物質(generally recognized as safe:GRAS)」に1日4,845mg以内のMSM摂取が認定されています​​(1)

MSMを用いたサプリメントの摂取は基本的に安全性が高いとされています。

ただし、体質には個人差があるため、すべての方に同じように合うとは限りません。特に初めて摂取する方やアレルギーが気になる方は、少量から試し、体調の変化を見ながら慎重に取り入れるようにしましょう。過剰に摂取すると、消化器系の不調(例えば胃のむかつきや下痢)やアレルギー反応が報告されることがあります。

妊娠中や授乳中の女性、薬を服用している方、または医療治療を受けている方は、摂取を検討する前に医師に相談することをお勧めします。

 

まとめ

MSMは関節の健康をサポートするサプリメントとして広く使用されており、特に関節の柔軟性や痛みの軽減に効果が期待されています。

また、美肌や免疫機能の向上にも役立つため、成人向けの健康食品として人気です。さらに、ペット用にも関節ケアを目的としたMSMサプリメントがあり、猫や犬の関節健康をサポートするために使われています。


 


 

Q.MSMとグルコサミンの相乗効果がある?

MSMとグルコサミンは、どちらも柔軟な関節の維持に効果的な要素を持つことから、しばしば同一のものだと誤認されます。

グルコサミンはグルコースにアミノ基がついたアミノ糖の一種であるのに対し、MSMは硫黄原子が中心となる有機イオウ化合物であるため、明確に別の物質です。

 

関節痛に関する研究

変形性膝関節症に対する経口摂取の効果を検証した研究では、MSMとグルコサミンを両方摂取することで、より迅速な効能を得られることが示唆されています(6)。この研究では、

  1. MSM+グルコサミン

  2. MSM+プラセボ

  3. プラセボ+グルコサミン

  4. プラセボ+プラセボ

4つのグループに、被験者が二重盲検法で無作為に割り当てられ、それぞれ1カプセル500mg含まれるものを1日3回、12週間摂取した跡部、変形性膝関節症の症状を評価する疼痛指数や関節膨張指数などが比較されました。

その結果、MSMまたはグルコサミンのどちらかのみを摂取したグループでも、プラセボに比べて有意に症状が改善しましたが、MSMとグルコサミンの両方を摂取したグループではそれを上回る疼痛指数、膨張指数の低下が確認され、組み合わせて摂取する効能の大きさが示唆されました(6)

また、MSMをヒアルロン酸と組み合わせる方法は、別の研究により効能を高めることが示唆されています(14)

MSM単体でも効果が期待できますが、グルコサミンやヒアルロン酸などと組み合わせると、より高い効果が期待できると考えられています。

参考資料:
  1. Methylsulfonylmethane: Applications and Safety of a Novel Dietary Supplement
  2. The Sulfur Cycle
  3. Why are dimethyl sulfoxide and dimethyl sulfone such good solvents?
  4. Overview of the Immune Response
  5. The Anti-inflammatory Effects of Methylsulfonylmethane on Lipopolysaccharide-Induced Inflammatory Responses in Murine Macrophages
  6. Randomised, Double-Blind, Parallel, Placebo-Controlled Study of Oral Glucosamine, Methylsulfonylmethane and their Combination in Osteoarthritis | Clinical Drug Investigation
  7. Methyl Sulfone Blocked Multiple Hypoxia- and Non-Hypoxia-Induced Metastatic Targets in Breast Cancer Cells and Melanoma Cells
  8. Reactive oxygen species and mitochondria: A nexus of cellular homeostasis -
  9. TNF-α mediates mitochondrial uncoupling and enhances ROS-dependent cell migration via NF-κB activation in liver cells
  10. Methylsulfonylmethane Suppresses Breast Cancer Growth by Down-Regulating STAT3 and STAT5b Pathways
  11. Effects of Methylsulfonylmethane (MSM) on exercise-induced oxidative stress, muscle damage, and pain following a half-marathon: a double-blind, randomized, placebo-controlled trial
  12. Effect of chronic supplementation with methylsulfonylmethane on oxidative stress following acute exercise in untrained healthy men
  13. Effects of Oral Supplementation With Methylsulfonylmethane on Skin Health and Wrinkle Reduction
  14. Which supplements can I recommend to my osteoarthritis patients? 
  15. Phytosomal curcumin: A review of pharmacokinetic, experimental and clinical studies
  16. Methylsulfonylmethane Improves Knee Quality of Life in Participants with Mild Knee Pain: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial
  17. The Effect of Daily Methylsulfonylmethane (MSM) Consumption on High-Density Lipoprotein Cholesterol in Healthy Overweight and Obese Adults: A Randomized Controlled Trial