栄養素 - たんぱく質

シトルリン成分情報

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-08-15 最終更新日:2025-05-07

栄養素 - たんぱく質

シトルリン成分情報

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-08-15 最終更新日:2025-05-07

シトルリンは、運動パフォーマンス向上・EDの改善といった男性への嬉しい効果や血管の健康維持にも役立つ成分です。

筋肉増強をサポートするアミノ酸の一種ですが、通常のタンパク質合成過程ではアミノ酸として直接タンパク質に組み込まれません。

しかし、食品では摂りにくいためサプリメントでの摂取が手軽です。アルギニンと一緒に摂取するとより一層効果的とされています。いつまでも元気で自信に満ちた毎日を送るために積極的にとり入れていきましょう。

シトルリンとは

シトルリンとは、1930年に日本の研究者がスイカの果汁から発見したアミノ酸です。通常のタンパク質合成過程ではアミノ酸として直接タンパク質に組み込まれない性質があり、血液や細胞・尿など全身に遊離した状態で存在しています。

天然の食品では、スイカをはじめとしたウリ科の食品に豊富であり、タンパク質源となる肉・魚・卵といった動物性食品にはほとんど含まれていません(1)。

詳しい紹介:  シトルリンの男性への健康効果は?血流改善・ED・筋肉量向上

 

シトルリンは2つの代謝回路を回すのに必要

シトルリンは、健康維持に重要な役割を担う「尿素サイクル」と「NO(一酸化窒素)サイクル」の2つの代謝経路を円滑に回すために必要です。

1.「尿素サイクル」に関与

尿素サイクルは、肝臓の細胞内にあり、有害なアンモニアを無毒な尿素に変換する回路です。

尿素回路を回して有害物質を解毒するには、シトルリンを筆頭にアルギニンなどのアミノ酸が欠かせません。
 

2.「NO(一酸化窒素)サイクル」に関与

「NO(一酸化窒素)サイクル」は、血管内皮細胞内にあり、アルギニンがシトルリンに代謝される過程でNOを産生する回路です。

NOは血管全体を拡張させて血流を促したり、血小板の凝集を防いで血液をサラサラにしたり、神経系・免疫系にも作用して健康維持に役立ちます(1)。

元となるアルギニンは、シトルリンから作られる経路もあるので、シトルリンの補給はNOサイクルを円滑に回すのをサポートするのです。

 

シトルリンの4つの健康効果

シトルリンは、上記のとおり「尿素サイクル」と「NO(一酸化窒素)サイクル」の2つの代謝回路で活躍しており、健康効果が期待できます。

 

1.筋肉増強と運動パフォーマンス向上

シトルリンは、「筋肉増強」と「運動パフォーマンスの向上」に効果的と示唆されています。

 

筋肉増強

シトルリンから作られるNO(一酸化窒素)がもたらす血管拡張作用により、筋肉への酸素供給が良好になります。

その結果、筋細胞の発達が促進されて筋肉増強をサポートすると報告されています(2)。

 

運動パフォーマンス向上

疲労と運動能力に対するシトルリンの効果を調べた動物実験において、シトルリンを投与したマウスは、非投与のマウスに比べて疲れにくく、運動によるアンモニア(毒素成分)や疲労の原因物質である乳酸が低値となりました。

シトルリンの補給により尿素サイクルを介したアンモニアの解毒を促し、運動による疲労を軽減して、アスリートの運動パフォーマンス向上に役立つと考えられます。運動をしない場合でも、疲れやすい方やスタミナを高めたい方におすすめの成分です(3)。

 

2.ED(勃起不全)の改善

シトルリンは、ED(勃起不全)の改善に役立つ可能性があります。EDは動脈の血流不足が一因なので、シトルリンの血流促進の作用により症状改善が期待できるのです。

実際に、軽度のED患者(EHSグレード3:勃起の硬さが5段階中1ランク劣るレベル)24名を対象に行った実験では、シトルリン1.5g/日の服用を1ヵ月間行った結果、50%の方に改善がみられています(5)。

 

3.精子の質と量の改善

シトルリンを摂取すると、血中のアルギニン濃度が高くなります。

アルギニンは、精子の量を増やして運動性を高める効果が期待されているアミノ酸です(6)。

精子の量や運動性が高いほど受精の確率が上がるので、男性不妊のリスク軽減につながる可能性があります。

 

4.血管の健康維持

血管が老化すると、血管の柔軟性が失われて動脈硬化や高血圧を招いたり、詰まりやすくなって脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上がります。

血管老化の一因となるのが、血管を拡張させる作用があるNO(一酸化窒素)の減少です。

前述のとおり、シトルリンには血管内皮細胞内でNO(一酸化窒素)を産生し、血管を拡張させる働きがあります。

血管が拡張すると血圧が下がるため、血管の老化を抑制して動脈硬化や合併症の予防につながるのです(7)。

 
参考資料:
  1. 現代人の代謝とシトルリン摂取の可能性」/シトルリン代謝向上研究会
  2. 筋肉修復における一酸化窒素の役割:一酸化窒素を介した筋衛星細胞の活性化」/National Library of Medicine
  3. シトルリン補給がマウスの疲労と運動能力に及ぼす影響」/National Library of Medicine
  4. 動脈硬化症とアルギニン,シトルリン」/生化学 第86巻第3号(2014)
  5. 虚血に伴う勃起不全に対する新規アプローチ」/日本薬理学会
  6. アルギニンって何だろう?」/官公需適格組合協同組合藤沢薬業協会
  7. 血管の老化」/シトルリン協会