栄養素 - ビタミン

ビタミンB群の選び方とは?薬剤師がビタミンB群の効果と摂取タイミングを説明

監修者 岡本 妃香里 薬剤師 公開日:2024-08-18 最終更新日:2024-08-19

栄養素 - ビタミン

ビタミンB群の選び方とは?薬剤師がビタミンB群の効果と摂取タイミングを説明

監修者岡本 妃香里 薬剤師 公開日:2024-08-18 最終更新日:2024-08-19

飲食習慣、睡眠不足、生活の乱れは栄養バランスが崩れる原因となります。この悪循環からくる栄養失調を改善するために良い選択肢となるのが「ビタミンB群」です。ビタミンB群にはどのような効果があるのか、また、持続型ビタミンBとは何かについて薬剤師が詳しく説明します。ビタミンB群を最適な状態で補充するためのおすすめ方法も紹介していますので、ぜひご参考にしてみてください。

ビタミンBとは?B群とは何?

ビタミンBにはいくつかの種類があります。ビタミンB群とは、すべての種類のビタミンBをまとめて呼んだものです。ビタミンB群には、次の8つの種類があります。

  • ビタミンB1

  • ビタミンB2

  • ビタミンB6

  • ビタミンB12

  • 葉酸(B9)

  • パントテン酸(B5)

  • ナイアシン(B3)

  • ビオチン(B7)

これらは、生体機能の調節をサポートするために非常に重要な補助酵素です。ビタミンB群は水溶性栄養素であり、バランスの取れた安定した摂取が欠かせません。一度に大量摂取しても、水溶性のため尿中に排泄されてしまいます。このことから、毎日しっかりと食事から摂りたいビタミンとしても有名です。

一部のビタミンBは生成量が不足していることもあるため、食物から補充するか、直接ビタミンB群を摂取しなければなりません。ビタミンB群の各成分はそれぞれ異なる役割を果たしており、これによって健康な代謝と各種生体機能が正常に維持されます。

ビタミンB群は体内で主に補酵素の役割を果たしている成分です。正常な生体機能を確保する鍵となっており、精神的な活力とも関連している重要な栄養素として知られています。
 

ビタミンB群の6つの効果

ビタミンB群は、私たちの体を健康に保つために欠かせないものです。活力と体力をサポートする大切な働きを担っています。ここでは、ビタミンB群の各栄養素がもつ代表的な効果について見ていきましょう。

ビタミンB群

主な効果

ビタミンB1

(チアミン)

正常なエネルギー代謝の維持を助ける。皮膚、心臓、および神経系統の正常な機能を助ける。

正常な食欲の維持を助ける。

ビタミンB2

(リボフラビン)

正常なエネルギー代謝の維持を助ける。

皮膚の健康維持を助ける。

ビタミンB6

アミノ酸の正常な代謝を助ける。

赤血球中のヘモグロビンの形成を助ける。

トリプトファンのセロトニンへの変換を助ける。

赤血球の正常な形態の維持を助ける。

神経系の健康を促進する。

ビタミンB12

赤血球の形成を助ける。

神経系の健康を促進する。

葉酸

赤血球の形成を助ける。

核酸と核蛋白の形成を助ける。

胎児の正常な発育と成長を助ける。

パントテン酸

正常なエネルギー代謝の維持を助ける。

皮膚と粘膜の健康を促進する。

体脂肪の燃焼、善玉コレステロール(HDLコレステロール)の合成、およびアミノ酸の代謝を助ける。

ナイアシン

正常なエネルギー代謝の維持を助ける。

皮膚、神経系、粘膜の健康を促進する。

ビオチン

エネルギーとアミノ酸の正常な代謝の維持を助ける。

糖やアミノ酸の合成を助ける。

プリンの合成を助ける。

皮膚、神経系統、粘膜の健康を促進する。

参考:日本人の食事摂取基準(2020 年版)(2)

上記のビタミンB群の効果を総合すると、生体機能の調節、新陳代謝の促進、体力の増強、精神の活力維持、美容のサポート、そして入眠の助けなどの栄養補給が挙げられます。ビタミンB群は体内環境の維持にとって不可欠です。そのため、食事から摂取できるビタミンB群を蔑ろにすることはできません(1)。 
 

ビタミンB群を含む食品

以下は各ビタミンB群が豊富な食品の種類の例です(3)。

  • ビタミンB1:豚肉、緑黄色野菜、ドライトマト、いんげんまめ、いわのり

  • ビタミンB2:緑黄色野菜、鶏肉、魚、卵、豚肉、アーモンド

  • ビタミンB6:にんにく、肉類、野菜類、内臓、バナナ、じゃがいも

  • ビタミンB12:肉類、魚類、乳製品、卵黄、内臓、ほがてがい

  • 葉酸:緑黄色野菜、果物類、内臓、うなぎ、魚類

  • パントテン酸:内臓、肉類、魚類、野菜類、えだまめ、ナッツ類

  • ナイアシン:豚肉、鶏肉、魚類、豆類

  • ビオチン:内臓、魚類、乳製品、ピーナッツ、アーモンド、卵

全てのビタミンB群を摂取するには、食品の種類が豊富である必要があります。これほど多様な食品から摂取するのは非常に難しいことです。また、忙しい生活と多くのストレスの影響で、ビタミンB群はより多く、より速く失われる傾向があります。そのため、利便性と迅速性に優れたビタミンB群の栄養補助食品をうまく活用することが大切です。
 

ビタミンBの摂取量

厚生労働省も、各ビタミンB群に対する国民の摂取について個別の推奨量と上限摂取量を設定しています。以下は、成人の推奨量に基づいた基準で、参考にしてください。

ビタミンB群

1日あたりの推奨量

摂取量の上限

ビタミンB1

男性1.2~1.4mg 女性0.9~1.1mg

-

ビタミンB2

男性1.3~1.6mg 女性1.0~1.3mg

-

ビタミンB6

男性1.4mg 女性1.1mg

80mg

ビタミンB12

2.4ug

-

葉酸

400ug 妊娠期480ug、搾乳期340ug

1000ug

パントテン酸

5mg

-

ナイアシン

男性13~15mg 女性10~12mg

35mg

ビオチン

50ug

-

参考:厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020 年版)(2)
 

ビタミンB群は持続型がおすすめ!一日中安定して必要な量を摂取

サプリメントは、主に水溶性ビタミンの補給方法に使用されます。これは主に水溶性ビタミン(例:ビタミンB群やビタミンCなど)に適用されます。補給後、2~3時間で代謝され、尿中に排出されます。その効果は最大で2~3時間維持されますが、長時間にわたっての安定供給は簡単ではありません。

一方、持続型の製剤は、定量の栄養素を安定して放出でき、水溶性ビタミンの吸収と効果が最大で8時間程続きます。サプリメントの浪費を抑え、持続的にエネルギー源として体力と活力を補充することができるため、経済的で効果的な補給方法と言えます。
 

ビタミンB群の摂取が適している人々

ビタミンB群の補給は、多くの人に適していますが、次のような方々に摂取をお勧めします:

  1. 精神的に疲れやすい仕事の方
  2. 忙しく、頻繁に残業や付き合いがあるハイプレッシャーな仕事の方
  3. 健康を追求する方
  4. 試験勉強でストレスのかかる学生の方
  5. 栄養バランスが気になるシルバー世代の方
  6. ベジタリアンの方
 

ビタミンB群の摂取タイミング

ビタミンB群は、多くのサラリーマンが頻繁に補給する必要がある基本的なビタミンです。人気な理由の一つは、補給後に精神を活性化する助けになることが挙げられます。そのため、朝食後に摂取することがおすすめです。

もし持続型の場合は、日中に補充することで、一日中身体に必要なビタミンB栄養素を安定して摂取でき、精神的にリフレッシュされ、仕事の処理がより効率的になります。
 

ビタミンBの過剰補給は副作用がある?

どんな栄養素も過剰摂取は身体にとって有益ではありません。水溶性ビタミンB群は代謝が速く中毒の問題が少ないですが、短期間に大量に摂取すると吐き気、嘔吐、下痢などの反応が起こる可能性があります。そのため、補給する際は推奨量を目安に摂取しましょう。また、ビタミンB群の補給には注意が必要です。多くの場合ビタミンB群を補給して精神を活性化させようとすると、長期的な体力の前借りが生じ、生理的な負担が増加する可能性があります。健康を維持するためには、ビタミンB群の補給だけでなく、良好な生活習慣の調整や適切なストレス管理も重要です。

参考資料:
  1. Mikkelsen K, Apostolopoulos V. B Vitamins and Ageing. Subcell Biochem. 2018;90:451-470. doi: 10.1007/978-981-13-2835-0_15. PMID: 30779018.
  2. 日本人の食事摂取基準(2020 年版)
  3. 食品成分データベース 文部科学省