栄養素 - 脂質

オメガ3の副作用とは?安全に摂取するためのポイント

監修者 鎌田 百合 医師 公開日:2024-12-31 最終更新日:2024-12-31

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オメガ3の副作用とは?安全に摂取するためのポイント

監修者鎌田 百合 医師 公開日:2024-12-31 最終更新日:2024-12-31

オメガ3は近年注目されている栄養素です。血圧の低下、動脈硬化の予防や中性脂肪を低下させる効果など、さまざまな健康メリットが知られています。

オメガ3には、EPA、DHA、α-リノレン酸などの種類があります。

EPA、DHAはおもに魚に、α-リノレン酸はアマニ油、エゴマ油、クルミなどの種子類に含まれています。忙しい現代人は毎日このような食品を摂取する場合が難しいことも多く、十分な量のオメガ3を摂取するのは難しい場合もあるでしょう。

十分な量を手軽に摂取するためにオメガ3のサプリメントが使われることもあり、数多くの種類が販売されています。しかし、サプリメントは気軽に摂れる分、過剰摂取による副作用が懸念されます。

この記事では、オメガ3の過剰摂取による副作用と、安全に摂取するためのポイントを解説します。

 

オメガ3脂肪酸の基本

脂肪酸の種類

オメガ3は体内で合成できない必須脂肪酸の一つです。脳をはじめ体のあらゆる臓器に分布し、動脈硬化の予防、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの減少、血圧の低下、心筋梗塞などの心血管系疾患のリスクの低減、抗炎症効果などさまざまな健康効果があります(1,2)。

オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸
オメガ3脂肪酸は体内で生成できないことから、摂取する必要がある必須脂肪酸として認識されています。オメガ3脂肪酸は、私たちヒトの身体を作る細胞の細胞膜を形成する物質で、特に脳細胞など神経伝達に関わる部分に多く含まれることが知られています。
参考:オメガ3とは?オメガ3脂肪酸の8つ効果一覧【医師監修】
必須脂肪酸とは?種類と多く含まれる食品

オメガ3脂肪酸にはいくつかの種類があり、以下の3つが注目されています。

 

EPA(エイコサペンタエン酸)

サバやイワシなどの青魚の脂肪に多く含まれます。

血小板の凝集を抑え、血の塊である「血栓」の生成を抑える効果があります。さらには、中性脂肪を下げたり血圧を低下させる効果も知られており、生活習慣病の改善が期待されます。

抗炎症反応も知られており、アレルギーなどの炎症を抑える効果があります。

 

DHA(ドコサヘキサエン酸)

EPAと同様、青魚の脂肪に多く含まれます。

DHAはEPAと似た働きがありますが、大きな特徴として、DHAは脳の構成成分で、脳や神経の発達に重要な働きをします。

血液脳関門という脳にあるバリアを突破することができる成分であり、神経伝達物質の量を増やして情報伝達能力を向上させます。

DHAは記憶や学習に関わる海馬に多く集まっています。脳の発育や機能維持に重要な役割を果たし、特に記憶力や言語能力などの認知機能に好影響をもたらすとされています。認知機能の低下を軽減する報告もあります(3)。

 

α-リノレン酸

植物由来のオメガ3脂肪酸で、アマニ油、エゴマ油、クルミなどに含まれます。血管拡張作用があり高血圧を予防する作用や、炎症を抑える作用を持ちます。

コレステロールを下げる効果も知られています。

 

EPA、DHAはサバやイワシなどの青魚に多く含まれます。

日頃から毎日魚を食べることは難しいかもしれません。そのような場合はサプリメントで補うのがおすすめです。サプリメントは持ち運びが簡単なため、旅行先や外出先にも持ち運びがしやすく服用を継続させやすい特徴があります。

 

オメガ3の副作用<過剰摂取による>

さまざまな健康効果が期待できるオメガ3ですが、過剰摂取による副作用も懸念されます。基本的には通常の食事で過剰摂取はあまり起こらないとされています。

サプリメントも用法用量を守って飲めば副作用はほとんどありません。

しかし、誤って過剰に摂取するとなんらかの副作用が起こる可能性があります。

 

血液が固まりにくくなる

EPA、DHAは動脈硬化の原因である中性脂肪を減少させたり、血管壁にできるプラークを安定化させたりします。

さらに、血小板の凝集(血小板が集まって固まる作用)を抑制することで(4)、血液をさらさらにする作用があります。このため心臓や血管の健康維持に大きなメリットがあります。

その反面、血小板の凝集が抑制されると血液が固まりにくくなるため、出血した場合に血が止まりにくい場合があります。

出血を伴う処置や手術を受ける場合は、過剰摂取をしないように注意しましょう。

 

心房細動が増える

オメガ3は動脈硬化のリスクを減らすことが知られていますが、摂取量が増えると心房細動の発症リスクを高めるという報告があります(5)。

この研究では、オメガ3を1日1g以上摂取すると心房細動のリスクが増えたと報告されています。

心房細動とは、心臓を動かす電気信号が乱れ、脈が不規則になる不整脈です。放置すると血液がよどみ、血の塊である血栓ができやすくなり、脳梗塞などの血栓症を引き起こします。

ただし、オメガ3を摂取しても心房細動が増えなかったという報告もあり議論の余地があるところです。

 

悪心、嘔吐

頻度は高くありませんが、悪心、嘔吐などの症状や、下痢などが出現する場合があります(6)。このような症状が出た場合は、服用を中止しましょう。

 

血圧の過度な低下

オメガ3には血圧低下作用があるとされています(7)。

動脈硬化のリスクである高血圧を予防することができるため、血圧低下作用はオメガ3の良い効果と考えられています。しかし、血圧を下げる薬を服用している場合は、血圧が過度に低下するおそれがあります。

 

その他

オメガ3は魚の油に含まれているため、人によってはサプリメントの内服で魚のような後味が残る場合があります。また、口臭や、内服したあとのげっぷが魚臭くなる場合もあります。

そのほかにも、どのサプリメントにも起こり得るものですが、発疹などのアレルギー症状や、肝機能障害が出現する場合があります。

もし魚アレルギーがある場合は、魚の脂由来であるEPA、DHAなどのサプリメントにもアレルギーを起こす可能性があるため服用はしないようにしてください。

魚アレルギーでオメガ3を摂取したい場合は、α-リノレン酸を積極的に摂取しましょう。

α-リノレン酸は同じオメガ3系脂肪酸の一種で、えごま油、くるみなどに多く含まれています。

サプリメントはEPA、DHA、α-リノレン酸をまとめてオメガ3のサプリメントとしている商品が多いため、サプリメントで摂取するのは難しいかもしれません。そのため、普段の食事で積極的に、えごま油やくるみなどのα-リノレン酸を多く含む食事を取り入れるようにしましょう。

 

副作用を避けるためのポイント

オメガ3は推奨摂取量が定められています。

厚生労働省の日本人の食事摂取基準では、オメガ3系脂肪酸としての推奨摂取量が示されています。年齢によって目安量は異なりますが、50〜64歳の場合、オメガ3系脂肪酸として男性ではおよそ2.3g、女性では1.9gの摂取が推奨されています(8)。

食事から摂取する場合は過剰摂取にならないことが多いとされています。

しかし食事から十分量摂れない場合はサプリメントを服用すると効率よく摂取できるため、サプリメントを服用する場合もあるでしょう。

 

オメガ3サプリメント選び方

サプリメントを使用する場合は、以下のポイントを意識して選ぶようにしましょう。

  • オメガ3の含有量

  • 価格

  • 継続しやすさ

オメガ3の推奨摂取量を満たしながら、過剰摂取にならないようにすることが必要です。

サプリメントを購入するときは、オメガ3脂肪酸含有量と濃度を確認しましょう。オメガ3以外の成分が含有されている商品も多いです。

含まれている成分が多ければ多いほど高価格になるため、自分にとって必要な成分が含まれているものを購入するようにしましょう。

オメガ3は継続して摂取することで効果を発揮します。そのため、無理なく続けられる価格帯の商品を選びましょう。

サプリメントの摂取で副作用が出る場合があるため、なんらかの疾患を持っていて病院に通院している場合は、服用について医師に相談するのが良いでしょう。

特に、血液をサラサラにする薬や中性脂肪・コレステロールを下げる薬、血圧を下げる薬を飲んでいる場合は、薬の作用が増強する場合があるため注意が必要です。

 

結論

オメガ3はさまざまな健康効果があり、毎日取り入れたい栄養素です。

しかし、オメガ3が多く含まれる青魚やアマニ油、クルミなどを毎日摂取し食事から十分な量のオメガ3を摂るのは難しい場合があります。オメガ3サプリメントは、オメガ3を効率よく摂取することができます。

しかし用法用量を守らないと過剰摂取になる恐れがあり、今回紹介したようなさまざまな副作用が出現する恐れがあります。

持病があって薬を飲んでいる場合などは、医師に相談するようにしましょう。

オメガ3を積極的に摂取し、健康な生活を送りましょう。