世界的に感染症が拡大したこともあり、国民全体の健康意識が大きく上昇しました。その影響で注目を集めるようになったのが、フラクトオリゴ糖です。
通常の砂糖に比べるとカロリーが低いことに加えて、腸内環境を改善する効果があるため、健康意識が高い方から人気を集めています。しかし、フラクトオリゴ糖の効果はこれだけではありません。
「何となく健康に良さそう」とイメージされている方が多いかと思いますが、具体的にどのような効果があるのでしょうか。今回は、フラクトオリゴ糖がもつ驚くべき効果を詳しく解説します。
フラクトオリゴ糖とは?
フラクトオリゴ糖とは、糖(果糖)の一種です。単糖が2~10個結合したものをオリゴ糖と呼んでいます。フラクトオリゴ糖は、オリゴ糖の中でも難消化性であることが特徴です。
近年では、通常の砂糖の代わりにフラクトオリゴ糖を使う方が増えてきました。実は、フラクトオリゴ糖は1gあたり約2kcalしかありません。これは通常の砂糖の約半分です。
このように低カロリーであり、くせのないのため、余分なカロリーを摂取したくない方が砂糖の代わりに使用しています。
フラクトオリゴ糖の研究が始められたのは、今から40年以上も前のことです(1)。当初は、虫歯になりにくい甘味料として注目されていました。
現在は、腸内環境の改善効果を中心に、さまざまな健康効果があることが知られています。
フラクトオリゴ糖として販売されているものもありますが、普段の食事から摂取することも可能です。たとえば、玉ねぎやにんにく、バナナ、ごぼう、蜂蜜などに多く含まれています(1)。
フラクトオリゴ糖の健康機能と働き
フラクトオリゴ糖には、以下のような機能があります。
腸内環境改善機能
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腸内フローラの改善
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便秘解消
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免疫機能の向上
- 肌の健康を守る
ダイエット機能
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低カロリー
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脂肪の燃焼
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血糖値に影響しない
フラクトオリゴ糖の腸内環境改善機能
フラクトオリゴ糖には、腸内フローラを改善し、腸内環境を整える効果があります。
健康成人男性4名を対象にフラクトオリゴ糖を10日間摂取させた研究では、総菌数と総嫌気性菌数が激減し、排泄便重量の増加が見られたという結果が出ています(2)。
フラクトオリゴ糖が腸内環境を改善する効果をもつのは、フラクトオリゴ糖がプレバイオティクスであるためです。プレバイオティクスは、善玉菌の餌となり増殖を促進する効果があります。
悪玉菌を直接減らす働きはありませんが、善玉菌を増やすことで間接的に腸内環境を整えることができるのです。腸内環境が整うことにより、次のような効果も期待できます。
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便秘解消
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免疫機能の向上
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消化不良の改善
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肌荒れの改善
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精神面の安定
腸内フローラとは、腸内に生息している細菌叢のことです。
細菌の種類ごとに並んでいる様子がお花畑に見えることから、腸内フローラと呼ばれるようになりました。
機能1. 便秘解消や消化不良の改善
便秘解消や消化不良の改善は、想像しやすいでしょう。意外なことに、腸内環境は免疫機能や肌、精神面にも影響をもたらします。
腸管は栄養の消化吸収を行うと同時に、さまざまな菌やウイルスにさらされる場所です。私たちの腸内には約100兆個から1,000兆個の腸内細菌が生息しており、これらの腸内細菌が腸管免疫に関わっています。(3)
腸内フローラのバランスが取れていると、免疫機能がしっかりと働き、細菌やウイルスなどと戦ってくれるのです。
機能2. 肌の健康を守る
この他、フラクトオリゴ糖は肌の健康を守る役割もあります。便秘をすると肌荒れしやすくなるとよく言われますが、これは腸内フローラの乱れが原因です。
腸内フローラが乱れると、肌のバリア機能が低下してしまうのです。
マウスを使った研究では、母親がフラクトオリゴ糖を摂取すると子孫のマウスの皮膚炎の重症度が軽減するという面白いデータも出ています(4)。
また、腸内環境は私たちの精神面にも大きく影響を及ぼします。腸内細菌叢が神経伝達物質の合成や前頭前野のニューロン髄鞘形成に関わっていることが分かったのです。
また、うつ病患者の腸内細菌叢の構成は、健康な人と違うことも分かりました。
ビフィズス菌や乳酸菌などのプロバイオティクスを摂取するとうつ病の症状が改善するという研究結果も出ています(5)。
フラクトオリゴ糖のダイエット機能
フラクトオリゴ糖を摂取すると、ダイエット効果も期待できます。ダイエット効果に大きく影響していると考えられるのが、短鎖脂肪酸です。
機能1. 脂肪の燃焼を促進
フラクトオリゴ糖を摂取すると腸内発酵が起こり短鎖脂肪酸が作られます。この短鎖脂肪酸には、脂肪の燃焼を促進する働きがあることが期待されているのです(6)。
機能2. 満腹感を促進
また、フラクトオリゴ糖は食物繊維としての役割をもつことでも知られています。現在は糖の一種として認識されている傾向が強いのですが、欧米では以前フラクトオリゴ糖は水溶性食物繊維に分類されていました。
食物繊維は、腸内で水分を吸収して膨らむ特徴があります。そのため、満腹感を促進して食べ過ぎを防ぐことが可能です。
機能3. 低カロリー
フラクトオリゴ糖は通常の砂糖よりも1gあたりのカロリーが低いことから、ダイエットのサポートにも効果があります。
砂糖と比べるとカロリーが半分程度のため、フラクトオリゴ糖に置き換えるだけで無理なく摂取カロリーを減らせるのです。
機能4. 血糖値に影響しない
フラクトオリゴ糖は消化酵素によって分解できないのも大きな特徴でしょう。摂取しても分解されず血液中に吸収されないため、血糖値がほとんど上昇しません。
血糖値の上昇を抑えられるのでインスリンの分泌も抑制でき、脂肪を溜め込みにくくできます。
インスリンは血糖値が上がると膵臓から分泌されるホルモンです。血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、脂肪として体内に溜め込む働きがあります。
そのため、フラクトオリゴ糖により血糖値の上昇が抑えられると、インスリンの分泌量が減り、結果として溜め込まれる脂肪の量も減るのです。
フラクトオリゴ糖の摂取方法
フラクトオリゴ糖の1日の摂取目安量は、3~8gです(7)。
食品のため、いつ摂取しても基本的に問題ありません。ですが、フラクトオリゴ糖を一度に大量に摂取すると、人によってはお腹を下すことがあります。
そのため、数回に分けて摂取するのが望ましいでしょう。フラクトオリゴ糖を豊富に含む食材には以下のものがあります。
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玉ねぎ
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にんにく
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バナナ
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ごぼう
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蜂蜜
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ごぼう
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トマト
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桃
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スイカ
これらの食材から摂るのが難しい場合は、フラクトオリゴ糖のサプリメントを利用するのもよいでしょう。サプリメントなら、効率よくフラクトオリゴ糖を摂取できます。
フラクトオリゴ糖を摂取する場合は、単体で摂るよりも乳酸菌やイヌリンも同時に摂取するのがおすすめです。
フラクトオリゴ糖は乳酸菌などの善玉菌の餌になるため、同時に摂取すると腸内環境を整える効果がアップします。
イヌリンも善玉菌の餌になります。また、腸内で分解されてフラクトオリゴ糖になることが特徴です。
注意点と副作用
フラクトオリゴ糖は、人によって体質に合わない方もいます。また、過剰摂取すると次のような副作用が起こることもあるので注意しましょう(7)(8)。
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腹部膨満感
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鼓腸
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腹鳴
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腹痛
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下痢
フラクトオリゴ糖を取り入れた生活習慣の提案
フラクトオリゴ糖を無理なく日々の生活に取り入れるには、サプリメントの活用がおすすめです。
サプリメントを使用すれば、特定の食材を摂取せずにフラクトオリゴ糖を取り入れられます。
液体や粉末になっているものが多いので、ヨーグルトや飲み物などに混ぜて気軽に摂取できるでしょう。
まとめ
フラクトオリゴ糖には、以下のような効果があります。
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腸内フローラの改善
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便秘解消
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免疫機能の向上
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消化不良の改善
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肌荒れの改善
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精神面の安定
これらの効果があることから、フラクトオリゴ糖は健康に良い成分として注目されるようになりました。腸内環境を整えると便通が良くなるだけでなく、免疫機能の働きが良くなったり肌荒れが改善したりします。
精神面の安定にもつながるため、日々の健康が安定しない方はフラクトオリゴ糖を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。