食生活

筋トレの効果を高める食事は?一日メニューを紹介

監修者 小嶋 絵美 管理栄養士 公開日:2024-11-27 最終更新日:2024-12-12

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筋トレの効果を高める食事は?一日メニューを紹介

監修者小嶋 絵美 管理栄養士 公開日:2024-11-27 最終更新日:2024-12-12

自分の好きな体型を維持したり、目指したりするために、筋トレに取り組む方は多いですね。筋肉をつくるには、材料であるたんぱく質のほかにも、筋肉の合成に関わるビタミンの摂取が大切です。筋トレでより高い成果を出したいなら、食事の管理もおこなっていきましょう。この記事では、筋トレと食事の関連性を解説します。おすすめの食べ物、一日の食事メニュー例の紹介もありますよ。ぜひ、参考にしてください。

筋トレと食事の関連性は?

筋肉がつくられるメカニズム

筋肉は日々、分解・合成を繰り返しています。通常、体内では分解・合成のバランスを保ち、筋肉量を維持しているというメカニズムです。筋肉の分解が進む要因は、栄養不足やストレスなど。一方で、筋肉をつくるために必要となるのは、栄養摂取や運動です。筋たんぱく質の合成より分解が早くなると、筋肉量が減ってしまいます。

しかし、一日(24時間)のなかで、空腹時に筋たんぱく質が失われたとしても、その後の食事で補うことが可能です。筋肉を維持したり、増やしたりするなら、空腹が長く続かないようにして規則正しく、バランスのよい食事を摂るようにしましょう。筋トレの成果がなかなかでないという人は、一日のスケジュールや食事の内容を見直してみるといいかもしれません。

 

筋トレに食事が大切な理由:食事から必須の栄養素を補充

筋肉をつけるための栄養素:たんぱく質

筋肉の構成成分がたんぱく質であることはよく知られています。筋肉をつくるためにはたんぱく質の摂取が不可欠です。そして、たんぱく質はアミノ酸により構成されていますが、とくに「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれる、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つが筋肉の保持・増量に重要とされています。これらは、筋肉の合成促進、持久力向上にも関与しています。

 ところで、たんぱく質は糖質・脂質とともに体内でエネルギーとなる栄養素ですが、BCAAは筋肉のエネルギー源としても利用されており、筋肉の損傷対策に役立ちます。

たんぱく質
たんぱく質は5大栄養素の一つで、筋肉をつけたい人やダイエット中の方に重要な栄養素です。不足すると筋力の低下や疲労感、貧血などを引き起こし、体のさまざまな機能に影響がでてきます。
【たんぱく質が多い食べ物一覧表】良質たんぱく質で健康な体を作るレシピを管理栄養士が紹介!

 

筋肥大を狙う場合、たんぱく質のおすすめの摂取量

筋トレをおこない筋肉量を増やしたいとき、たんぱく質の必要量は「約1.6 g/kg体重/日」を目安にできます。むやみに過剰摂取したとしても、筋肉量増加の結果が得られないことが分かってきているためです。

また、令和元年のデータでは、たんぱく質の平均摂取量は成人男性で約29 g/日、女性で約19 g/日。まずはバランスのよい食事で補い、それでも不足する分をプロテインやサプリメントで摂るといいですね。もし食事とのバランスを考えずにプロテインを摂ると、エネルギー摂取が過剰となり、体脂肪増加につながるので、気を付けましょう。

 

筋肉合成にサポートビタミンB6とビタミンC

ビタミンB6は、たんぱく質の合成を助ける補酵素として働きます。たんぱく質の摂取量に応じて必要量が変わるため、バランスよく摂ることが大切です。具体的には、たんぱく質1gあたり0.019mgのビタミンB6が必要とされています。

 ビタミンCはコラーゲン合成に欠かせません。体内のたんぱく質の約1/3がコラーゲンでできています。コラーゲンは細胞同士をつなぎ、健康な筋肉を維持するために役立ちます。コラーゲン不足の場合、筋肉が脆くなってしまいます。

ビタミンCの働き
ビタミンCは水に溶けやすい水溶性ビタミンの一つです。ビタミンCは、優れた抗酸化作用を持ち、コラーゲンの生成や維持に関わっています。不足することで倦怠感や疲労感、食欲不振、出血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難といった壊血症の症状を引き起こす可能性があり、全身に症状があらわれるようになります。
ビタミンCとは

 

亜鉛は傷ついた筋肉の傷の修復に役立つ

亜鉛は新しい細胞をつくり出す代謝を助け、たんぱく質やDNAの合成に関わります。また、筋肉の傷や炎症をやわらげるためにも、亜鉛の摂取が大切とされています。メカニズムは解明されていませんが、亜鉛が骨格筋の分化に関与するとの情報も。今後の研究にも注目したいです。
 

亜鉛の働き
亜鉛は人体に欠かせない微量ミネラルであり、体内で多くの代謝に関与しています。亜鉛は日本人の体内には約2gしか存在しませんが、核酸やたんぱく質の合成に関与する酵素をはじめとした、多くのタンパク質の構成成分として機能するとともに、血糖調節ホルモンであるインスリンの構成成分等として重要な働きをしています。
亜鉛の働きとは
 

筋トレにおすすめの食べ物8選

筋トレで基本となるのは、たんぱく質の補給です。たんぱく質は肉や魚介、卵に多く含まれています。さらに、前述のビタミン・ミネラルを含むものが理想です。おすすめの食べ物を詳しく見てみましょう。
 

1. 鶏むね

高たんぱく質で、ビタミンB6も含みます。皮なしのものだと、より低脂質&低カロリーです。コンビニではサラダチキンが販売されています。
 

2. 卵

卵

たんぱく質のほか、ビタミン・ミネラルも幅広く含みます。ただしビタミンCは不足しており、野菜や果物から補う必要があります。卵焼き、目玉焼き、オムレツなどが作れるので、毎朝のたんぱく質補給におすすめです。

 

3. 牡蠣

牡蠣

たんぱく質が多く、亜鉛含有量は魚介でトップクラス。ビタミンCを一緒に摂ると、亜鉛の吸収が高まります。蒸し牡蠣には、レモン汁を絞るといいでしょう。

 

4. 牛肉

牛肉

たんぱく質豊富で、ビタミンB6、亜鉛も含みます。低脂質な赤身の部位がおすすめです。ステーキやローストビーフがおすすめです。

 

5. チーズ

チーズ

たんぱく質のほか、筋肉の働きを調整するカルシウムも補給。たんぱく質が多いのは、プロセスチーズやカマンベールチーズ、モッツァレラチーズ、カッテージチーズなど。

 

6. ヨーグルト

ヨーグルト

ギリシャヨーグルトのほか、プロテインヨーグルト(高たんぱくヨーグルト)もたんぱく質摂取におすすめ。

 

7. バナナ

バナナ

エネルギー源となる糖質や、筋肉増量に重要なBCAAを含みます。季節を問わず手に入り、持ち運びにも便利です。

 

8. タコ

低脂質なのに、たんぱく質が豊富。タコのサラダはコンビニでも手に入ります。
 

筋トレの食事メニュー

*平日仕事が終わった夜に筋トレをする方に、おすすめの1日の食事メニュー

・朝食:ごはん、卵焼き、あさりの味噌汁、ブロッコリーのサラダなど

・昼食:焼き鮭のお弁当(ごはん、焼き鮭、漬物など)、野菜スープなど

・夕食(筋トレの2時間前):おにぎり、ゆで卵やチーズ、バナナ、プロテインなど

・筋トレ後の食事:ローストビーフ丼、ギリシャヨーグルト、タコのサラダなど

※個人差があるので、年齢、体格、運動量、体調などに合わせて調整が必要です。

 

筋トレのNGな食事は?

糖質・脂質の高い食事は、肥満の原因になります。しかし糖質・脂質をすべて排除しようとすると、エネルギー不足や栄養不足になり、筋肉の増量につながりません。筋肉トレ中に限らず、食事はバランスが大切。主食(ごはん、パンなど)・主菜(肉、魚、卵など)・副菜(野菜、海藻など)を揃え、偏った食事にならないように気を付けましょう。

 

筋トレの食事によくある質問

1. 筋トレと食事はどちらが先ですか?

どちらが先ということはなく、筋トレ前後の食事が大切です。消化が落ち着いた頃に運動をしたほうがよいので、筋トレ前の食事は2~3時間前に済ませるようにしましょう。時間がないときはなるべく消化のよい食事を意識するといいですね。筋トレ後は速やかに栄養補給をしたほうがいいです。運動後30分程度が消化吸収のゴールデンタイムといわれています。

 

2. 筋トレにバナナが良いのはなぜですか?

バナナはナイフを使わずに手軽に食べられ、持ち運びに便利です。また、エネルギー源となる糖質と、筋肉の保持・増量に重要なBCAAを含んでいます。筋トレをする人はもちろん、忙しい現代人にとって、メリットの多い食材といえます。

 

3. 食べずに筋トレ どうなる?

栄養が不足すると、筋肉の分解が進み、合成が追い付かなくなるおそれがあります。筋トレで筋肉を増やすには、食事の管理もセットでおこなっていきましょう。