栄養素 - ビタミン

ビタミンCの効果は?持続型ビタミンCとは?薬剤師が解説!

監修者 西 ひかり 薬剤師 公開日:2024-04-01 最終更新日:2024-10-15

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ビタミンCの効果は?持続型ビタミンCとは?薬剤師が解説!

監修者西 ひかり 薬剤師 公開日:2024-04-01 最終更新日:2024-10-15

肌や健康のために、ビタミンCを摂取しようと考えたことはありませんか?ビタミンCは身近なビタミンの一つですが、詳しいビタミンCの効果をご存じの方は意外に少ないかもしれません。

 

1日の推奨摂取量を満たすため、食品からだけでビタミンCを摂取することは可能なのでしょうか?そして、現在よく見かける持続型ビタミンCのサプリメントにはどのようなメリットがあるのでしょうか?薬剤師が詳しく説明します!

ビタミンCとは?

私たちにとって身近な存在のビタミンCは、実は健康維持に非常に重要な役割を果たしています。しかし、人はビタミンCを生成することができないため、食品やサプリメントからの摂取が必要です。

ビタミンCの化学名はアスコルビン酸といい、水に溶けやすい水溶性ビタミンの一つです。水に溶けるため、過剰な分は尿中に排泄され、過剰症はあまり心配いらないと考えられていました。ところが、ビタミンCは不足だけでなく過剰にも注意が必要であることがわかってきています。通常の食事からの摂取では過剰になることはありませんが、一部の方でサプリメントからの過剰摂取により下痢などの副反応がみられることがあります。

一方ビタミンCの不足によって引き起こされる健康障害もあります。ビタミンCは、優れた抗酸化作用を持ち、コラーゲンの生成や維持に関わっています。不足することで倦怠感や疲労感、食欲不振、出血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難といった壊血症の症状を引き起こす可能性があり、全身に症状があらわれるようになります。現代の日本の食生活では、壊血病になるケースはほとんどないため、あまり心配する必要はないでしょう。

しかし、壊血病の症状ほどの重症でありませんが、ビタミンC不足によって全身に様々な症状があらわれるようになります。皮膚だけでなく骨や血管の細胞をつなぐ役割を果たしているコラーゲンがうまく生成されないために、肌の調子が整わなくなったり、骨折しやすくなったりします。さらに出血しやすくなることで傷が治りにくくなることもあります。

また、ビタミンCは白血球にも多く含まれています。白血球は、細菌やウイルスなどを攻撃して排除しようとする免疫機能に関わっているため、感染症にかかるとビタミンCを大量に消費してしまいます。つまりビタミンCが不足していると、白血球が十分に作用を発揮できなくなる可能性があり、ビタミンCは免疫機能にも関わっていることがわかります。(4)(5)

さらに、ビタミンCは鉄分の吸収にも重要な役割を果たしています。一般的に動物性食品に多く含まれるヘム鉄の方が、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄よりも吸収率が高いと言われています。しかし非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂取することで、体内に吸収されやすくなります。ビタミンCは、鉄分の吸収の増加に寄与しています。

 

ビタミンCの由来は?

ビタミンCの発見は大航海時代にさかのぼります。16世紀から18世紀にかけての大航海時代に多くの海員は、長期間にわたる新鮮な果物や野菜の摂取不足のため、ビタミンCが不足し壊血病にかかりました。(6)壊血病は、重症になると死亡に至る可能性があります。

18世紀の中頃、英国海軍の船医は、壊血病の治療に関する実験を行いました。壊血病に苦しむ船員たちを数グループに分け、異なる食事療法を試みました。その結果、柑橘類を摂取したグループが劇的に回復したことを発見しました。この実験により、柑橘類、特にレモンが壊血病の予防および治療に有効であることが示されました。

その後、アスコルビン酸と呼ばれるようになったビタミンCが壊血病の原因物質であることが特定されました。ビタミンCの欠乏が壊血病の原因であることが確立された結果、壊血病は現代ではほとんど見られない病気となりました。
 

ビタミンCの7つの効果

ビタミンCに関する非常に多くの研究が行われてきました。現在分かっているビタミンCの主な効果には以下のものがあります。(1)(7)

  1. 抗酸化作用によって、活性酸素の増加を抑制する

  2. コラーゲンの生成を促進する

  3. 肌の調子を整える

  4. 傷の修復を助ける

  5. 骨や歯の健康を維持する

  6. 鉄分の吸収を促進する

  7. 免疫機能を強化する

 

ビタミンCが豊富な果物と野菜

野菜や果物には、ビタミンCが豊富に含まれています。しかし、調理法や保存方法によってビタミンCが失われる可能性があります。一般的には柑橘類にビタミンCが多く含まれていると考えられがちですが、実際には柑橘類以外の果物にも、想像以上にビタミンCが多く含まれています。以下はビタミンCが豊富に含まれる果物の一例です(2

ビタミンCが豊富に含まれる果物

果物

100gあたりのビタミンC含有量

アセロラ

1,700mg

グァバ/赤肉

220mg

キウイフルーツ/黄肉

140mg

レモン

100mg

オレンジ

60mg

ビタミンCが豊富に含まれる野菜

野菜

100gあたりのビタミンC含有量

赤ピーマン/生

170mg

めキャベツ/生

160mg

黄ピーマン/生

150mg

ブロッコリー/生

140mg

とうがらし/生

120mg


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ビタミン・ミネラルの基本!丁寧に解説します!

 

ビタミンCはいつ摂るのが良い?

ではどのタイミングでビタミンCを摂取するべきでしょうか?ビタミンCは、空腹時よりも食後に摂取することをおすすめします。空腹時に摂取すると、吸収や排泄が速くなり体内にとどまる時間が短くなってしまうだけでなく、胃の不快感や下痢などを起こす可能性もあるからです。

またビタミンCは過剰分を尿中に排泄し体内にとどめておくことが難しいため、一度に大量に摂取するよりも、1日に3回程度に分けてこまめに摂取するようにしましょう。

 

ビタミンCはどれくらい摂取するべき?

厚生労働省によると、成人男女のビタミンCの推奨摂取量は1日100mgです。またビタミンCの過剰分は尿中に排泄されることから、広い摂取範囲で安全と考えられているため、耐容上限量は設定されていません。

ビタミンCには水に溶けやすく熱に弱い性質があるため、野菜は調理中にビタミンCを流失しやすい傾向にあります。、また、果物からビタミンCを十分に摂取する場合には、糖分の過剰摂取についても考慮する必要があります。加えて、毎日十分な量の野菜や果物を摂ることが難しい生活を送っている方も多く、生活上のストレスもビタミンCを消耗させる要因となります。そのため、食生活や生活環境に応じて、サプリメントでビタミンCを摂取してみるのもいいでしょう。
 

ビタミンCサプリメントの選び方とは?天然と合成の違いを解説

ビタミンCは酸化しやすいため、精製された原料を用いることで安定性が実現されています。天然のビタミンCはコストが高く、他の成分も一緒に含まれている可能性があるためビタミンCの含有量が低くなるといったデメリットがあります。一方、合成のビタミンCは、ビタミンCの含有量が多く、少ない量で多くのビタミンCを摂取できる可能性があります。

不純物質の少ない高品質なビタミンCはコストが高くなる傾向がありますが、品質にも十分留意した方が良いでしょう。ビタミンCを選ぶ際には、必要な摂取量を確保できる高品質の製品を選ぶことが重要だと言えます。

 

持続型ビタミンCとは何?本当に効果があるの?

一般的なビタミンCのサプリメントは、摂取後約2~3時間で体内濃度がピークに達し、その後速やかに過剰分は尿に溶け体外に排出されます。一方、持続型ビタミンCは長時間にわたって徐々にビタミンCを放出し、約8時間にわたってビタミンC濃度を維持することが可能です。ビタミンCの濃度が摂取時間に応じて急激に変動するのを避け、一度に摂取しすぎたり、必要な時に不足したりすることを防げるようになります。

臨床研究によると、体質によってはビタミンC含有量の多いサプリメントを摂取すると、下痢の症状を引き起こす場合があることが示唆されています(3)。持続型のビタミンCの摂取によって、これらの症状が緩和されることも期待されます。

 

ビタミンCの過剰摂取には副作用がある?

厚生労働省はビタミンCの摂取量上限を設定していませんが、ビタミンCを過剰に摂取すると、下痢や腹痛、吐き気などの胃腸障害があらわれる可能性があります。また、腎機能低下のある方では、結石のリスクが高まることも報告されています。ビタミンCの摂取時には、他のサプリメントや薬との相互作用を避けるため、摂取前に医師に相談するようにしましょう。(4)

 

ビタミンC摂取がおすすめな方は?

ビタミンCは水溶性ビタミンであり、果物や野菜に多く含まれています。偏った食生活で、以下のような生活習慣や状況にある場合、ビタミンCの定期的な摂取をおすすめします。

  1. 外食が多い方:食事が偏りがちで、規則的な食事が難しく、天然の果物や野菜を摂る機会が少ない場合は、ビタミンCが不足しているかもしれません。
  2. ストレスや緊張する場面が多い、忙しいビジネスパーソン:ストレスがかかるとビタミンCの消耗が増えます。抗ストレス効果を得るためにビタミンCを摂取しましょう。
  3. 美容に関心のある方:ビタミンCの摂取によって、健康な肌を維持し、日焼け等の症状に効果が期待できます。
  4. 大量の汗をかく環境下にいる時間の長い方:高温による大量の発汗により、ビタミンCが速く失われるため、正常な生理機能を維持するためにもビタミンCの補給が推奨されます。
  5. 病中、病後の方:ビタミンCを摂取して免疫機能を回復させましょう。栄養補給としてビタミンCを積極的に摂取することをおすすめします。


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