食生活のサポート

エルダーベリーとは?効能と副作用を説明!

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-04-15 最終更新日:2024-11-20

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エルダーベリーとは?効能と副作用を説明!

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-04-15 最終更新日:2024-11-20

みなさんはエルダーベリーを知っていますか?エルダーベリーは、近年健康食品でよく使われる果実であると同時に、世界中で古くから利用されてきた長い歴史も持つ、重要なハーブのひとつです。「ニワトコの果実」と聞くと、イメージできる方も多いかもしれません。

ニワトコの果実であるエルダーベリーが持つ不思議な効能は、長年ヨーロッパを中心に利用されてきており、近年は日本でもよく利用されています。本記事ではエルダーベリーの基本情報や成分、エルダーベリーには具体的にどのような効果があるのかなど、その魅力について教えます!

エルダーベリーとは?

エルダーベリー(英名:Elderberry)は主に、ニワトコ属(英名:Elder 学名:Sambucus spp.)の一種であるセイヨウニワトコ(学名:Sambucus nigra)という木が作る、深紫色の小さな果実を指す呼び名です。エルダーベリーは、ヨーロッパを中心に古くから人々に活用されてきた、北半球で最も広く親しまれる果実のひとつです。

セイヨウニワトコの木は、川岸の安定化や防風林、野生動物の食料や避難場所、装飾、工芸などの日常的な活用をされてきた重要な植物で、その果実であるエルダーベリーは、人々の食料源やハーブとしての活用など、さまざまな用途で利用されてきました(1)

 

​​エルダーベリーの歴史

エルダーベリーは、その種子の化石が紀元前3000年〜4000年の遺跡から発見されたほど長い歴史を持つとされており、紀元前400年ごろには、ヨーロッパでは家庭ごとに必須の薬草と見なされ、免疫力を高め、体力をつけ、病後の回復のためにも用いられていたとされています(2)

歴史の進展とともに、エルダーベリーは世界中でより広く受け入れられるようになり、医薬品から健康食品、さらには日常の飲み物や料理に至るまで、さまざまな場面でエルダーベリーが使われるようになりました。

 

エルダーベリーの栄養成分

エルダーベリーはその豊富な栄養価から、人々に長く親しまれてきました。

エルダーベリーは、さまざまな果実の中でも優れたタンパク源であり、果実の3%ほどを占めるたんぱく質には、必須アミノ酸全9種のうちの7種を含む、計16種のアミノ酸が含まれていることが知られています(3)

また、たんぱく質の他にも、エルダーベリーは果実全体の18%ほどの炭水化物、10%ほどの糖類、7%ほどの食物繊維などの生活に欠かせない栄養素に加え、ビタミンCを代表するビタミン類や、深紫色を作るアントシアニンやフラボノイドを含むポリフェノール、血中脂質を改善する上で重要な不飽和脂肪酸など、非常に多彩かつバランスの良い栄養素を持つことが、研究により明らかにされています(4)

過去20〜30年間、エルダーベリーの効能に関する研究が活発に行われ、エルダーベリーが高い栄養価を持つことが示唆されてきました。

 

エルダーベリーの効能は?

エルダーベリーに含まれる豊富な栄養素のなかでも、特に注目を集めてきたものは、酸化ストレスを抑える抗酸化物質であるビタミンCや、アントシアニンとフラボノイドを含むポリフェノール、その他の植物由来化学物質(フィトケミカル)で、多くの研究によってその効能が示唆されてきました。本記事では、その代表的なものをご紹介します。

 

エルダーベリーの抗酸化能力

私たちの血液中に存在する活性酸素は、免疫系で重要な働きをする一方、その働きが過剰になると、私たちの血管や臓器、皮膚などにダメージを与える酸化ストレスの要因となることが知られています(5)

ビタミンCやアントシアニンを豊富に含む果実は、抗酸化能力が高いことが知られています(6)。抗酸化能力の高い果実のなかでも、エルダーベリーは優秀であることが研究により示唆されています。

アメリカの農林水産省に相当する米国農務省(USDA)が発表した、さまざまな果実の抗酸化能力の比較結果では、エルダーベリーの活性酸素を除去する能力はドラゴンフルーツの約49倍高く、エルダーベリーのフラボノイドはぶどうの約16倍高い​とされています(7)

野生のイチゴとビルベリー、エルダーベリーの3つの間で、抗酸化能力を比較した研究では、エルダーベリーの抗酸化能力がイチゴやビルベリーより優れていたほか、ビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化物質の濃度も、イチゴとビルベリーと比べ高かったことが報告されています(8)

活性酸素を除去する能力の研究でも、研究対象となった15個の果物サンプルのなかで、エルダーベリーとチョークベリーが最も高い値を示したことが報告されています(9)

 

エルダーベリーの効能に関する研究報告

エルダーベリーは高い抗酸化能力を持つことが多くの研究で示唆されており、ヒトを対象とした研究でも、その効能が示唆されています。

たとえば、インフルエンザや風邪の症状をエルダーベリーが軽減するかを調べた研究は、数多くされてきました。これは、古くからエルダーベリーが風邪薬代わりのハーブとして利用されてきた歴史や、活性酸素が私たちの免疫系で重要な役割を果たすことから、抗酸化物質を豊富に含むエルダーベリーが過剰な炎症反応を抑制すると予想されたためです(10)

実際に、オーストラリアから飛行機で海外旅行へ行く旅行客からボランティア312人を対象に、風邪をひいた際にランダムに割り振られたエルダーベリーエキスまたはプラセボを摂取してもらい、風邪の持続日数や症状の強さをエルダーベリー群とプラセボ群の間で比較した研究では、エルダーベリー群の方が風邪の持続日数が有意に短く、症状を評価するスコアも有意に低かったと報告されています(11)

同様に、漢方薬としてよく知られる霊芝とエルダーベリーを組み合わせて、高齢者を対象に風邪症状への効能を調べた研究でも、風邪の症状が緩和されたほか、睡眠障害の軽減も併せて報告されており、エルダーベリーの幅広い効能が示唆されています(10)

 

エルダーベリーのおすすめの摂取方法は?

上記の通り、エルダーベリーが豊富に含む栄養素は、私たちの免疫系で重要な働きをする物質を調節することが示唆されており、免疫力の向上、体力の増強、および健康の維持に使用されています。

しかし、エルダーベリーは天然の果物であることから、季節や産地によってその成分は変化します。特にアントシアニンは、pHや温度などの保存状態によっても濃度が変わるため、期待する効能を得るためにエルダーベリーそのものを継続して摂取することは難しいという一面もあります(3)

そこでたとえば、免疫力を高めるためにエルダーベリーを使用する場合、特許を取得している、標準化された製造方法の製品を選択することがおすすめです。

 

エルダーベリーの副作用と注意点

エルダーベリーの使用の歴史は数千年にわたり、その効果と安全性は広く認められています。実際に、ヒトを対象とした研究でも有害事象報告は少なく、安全性の高い果実であると認識されています(10)

ただし、妊娠中や授乳中の女性については、対象とした研究が少ないため、摂取する際には医師と相談することをおすすめします。また、薬物治療を受けている方を対象とした研究もまだ多くはないため、医薬品との相互作用を考えた上でも、治療を受けている場合は医師への相談をするとより安全と考えられます。