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プロバイオティクスとは?プロバイオティクスの種類、効果と選び方を詳しく解説!

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-04-13 最終更新日:2025-06-24

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プロバイオティクスとは?プロバイオティクスの種類、効果と選び方を詳しく解説!

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-04-13 最終更新日:2025-06-24

現代人はとても健康に配慮しており、特に日本では腸内環境への意識が非常に高く、多くの方が「プロバイオティクス」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。

プロバイオティクスは、腸内環境を整えてさまざまな効果を発揮することが期待される非常に人気のある健康食品であり、多くの人々が定期的に摂取しています。

この記事では、プロバイオティクスの基本情報、効能などを詳しく解説し、よりプロバイオティクスへの理解を深めるサポートをしたいと思います。

プロバイオティクスの基本情報

プロバイオティクスとは?

プロバイオティクスとは、「適正な量を摂取したときに有用な効果をもたらす生きた微生物」という意味で現在用いられ、1989年にR.Fuller博士が広めたとされる、いわゆる「善玉菌」をより新しい概念で捉えた言葉です(1)

「プロバイオティクス(Probiotics)」の語源は、ギリシャ語で「生命のための」を意味する“pro bios”とされており、どれか特定の微生物を指すのではなく、腸内まで生きた状態で届いて、お体に有益な効果を発揮すると考えられる微生物の総称として用いられています(2)

例えば、ヨーグルトなどの発酵食品に多く含まれる乳酸菌や糖化菌、酪酸菌などはその代表格として知られています。

  • 乳酸菌:発酵すると乳酸を作る微生物のことです。悪玉菌の繁殖を抑えて腸内環境を整える効果があります。
  • 糖化菌 (例:納豆菌):納豆菌は悪玉菌を抑えて善玉菌を増やす効果があります。
  • 酪酸菌:酪酸が大腸のエネルギー源として細胞に働きかけ、腸内環境を改善します。水分やミネラルを吸収する大腸の役割を促進する作用もあります。

 

プロバイオティクスの特徴

日本の腸内細菌学会では、プロバイオティクスは善玉菌であれば全てが当てはまるというわけではなく、善玉菌の中でも以下の条件を満たすことが科学的根拠に基づいて示された菌のみ、プロバイオティクスとして認められるとされています(3)

  1. 安全性が保証されている

  2. もともと宿主の腸内フローラの一員である

  3. 胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる

  4. 下部消化管で増殖可能である

  5. 宿主に対して明らかな有用効果を発揮できる

  6. 食品などの形態で有効な菌数が維持できる

  7. 安価かつ容易に取り扱える

この条件を満たしてプロバイオティクスと認められている代表的なものは、「乳酸菌」という言葉でよく知られるラクトバチルス属の菌(例:Lactobacillus acidophilus)や、「ビフィズス菌」として知られるビフィドバクテリウム属の菌(例:Bifidobacterium lactis)などです(1)

これらのプロバイオティクスは、納豆、味噌、キムチ、ヨーグルトなどの食品からも摂取することができます。

 

 

 

プロバイオティクスの働き

プロバイオティクスは、腸内環境を改善することで消化器系の健康を維持して消化器の健全な運動を促進するほか、全身の健康や脳機能にまで影響を与えることが知られています(2)

私たちの腸内には、実に100兆個にも及ぶ腸内細菌が棲息しており、数え切れないほどの種類の腸内細菌がそれぞれ集団を形成しています。その様子を花畑(フローラ)に例えて、腸内環境は「腸内フローラ」とも呼ばれます。

腸内フローラにいる多くの菌はそれぞれ異なった働きをしており、バランスが崩れていわゆる悪玉菌が増えると、腸の働きの悪化だけではなく、精神疾患や糖尿病、メタボリックシンドローム、免疫疾患など多くの病気のリスクになると考えられています(4)

そのため、腸内フローラのバランスを整えるプロバイオティクスを摂取することは、お腹の健康だけではなく全身、さらに脳の健康にも重要であると示唆されています。

 

プロバイオティクスの選び方

「プロバイオティクス」は、「適正な量を摂取したときに有用な効果をもたらす生きた微生物」であり、特定の菌株を指すわけではないため、プロバイオティクスの中でも選ぶ菌株や製品によって効果が変わることが研究でも示唆されています(6)

そのため、プロバイオティクス製品を選ぶ際は、まずご自身のニーズを明確にすることが重要です。

 

1. 複数種類のプロバイオティクスを摂取する

ヨーグルト、酸乳、味噌、納豆、キムチ、ぶどう、グレープフルーツなどにはプロバイオティクスが含まれています。プロバイオティクスの最良の摂取方法は、これらの異なる食品をバランスよく摂取することです。

食品以外からプロバイオティクスを補給したい場合は、まず適切な菌株を選択する必要があります。

プロバイオティクスはガセリ菌やビフィズス菌など菌株によって働きが異なるほか、人それぞれ異なる体質、健康状態、生活習慣があるため、期待に適したプロバイオティクスも異なります。

最適な方法は、プロバイオティクスの種類を定期的に調整することです。1つのプロバイオティクスを約2〜3ヶ月摂取しても明らかな効果が得られない場合は、他のプロバイオティクスに切り替えることをおすすめします

 

2.プレバイオティクス(善玉菌のエサ)の配合

「プロバイオティクス」と非常によく似た言葉として「プレバイオティクス」というものがあります。

プレバイオティクスは、「pre(前の、先立つ)+biotics」という由来を持つ言葉で、プロバイオティクスである菌が十分に働く上で重要となる栄養素を指します。また、善玉菌の餌として知られています。

プレバイオティクスの代表は、オリゴ糖や食物繊維の一部(イヌリンなど)です。大麦や大豆などから摂取できることが知られています(8)

プロバイオティクスとプレバイオティクスを両方合わせて摂取することは、プロバイオティクスの効能を期待する上で非常に重要であると考えられています

 

プロバイオティクスの効果

効果1. マイクロバイオームの生態を変える

マイクロバイオームとは、腸内に存在する微生物の集団のことです。体内には、多くの微生物が共存しており、その中には新陳代謝や消化吸収に関与するプロバイオティクスも多く含まれます。しかし、腸内に存在するのは善玉菌と呼ばれる良い働きをする菌だけではありません。健康に影響を与える悪玉菌も存在します。

しかし、悪玉菌を完全にゼロにすることは不可能です。腸内では善玉菌と悪玉菌、日和見菌の3種類が生息しており、悪玉菌が増えすぎないようにバランスを保つ必要があります。善玉菌は、共存する細菌叢をより安定させ、悪玉菌の働きを抑えることが可能です。
 

効果2. 消化器機能をサポートし、排便をスムーズにする

プロバイオティクスは消化器機能を調整する働きがあります。また、便秘の改善にも効果があるとされています。プロバイオティクスには、腸管内のpHを低下させて蠕動運動を促進させる働きがあるためです。(9)

 

効果3. 体質をと免疫機能を調整する

現在の医学では、消化器は身体の多くの部位と関連しており、さまざまな反応を調節しているといわれています。免疫機能に大きく関わっているのが、消化器の健康です。消化器の健康に影響を与える重要な要素の一つとして、共存する微生物の種類が関係しているといわれています。(10)(11)

プロバイオティクスには、免疫機能の調節をサポートする働きがあることも特徴です。適切なタイミングで適量のプロバイオティクスを摂取することで、体質の調整や外部から菌やウイルスが侵入してくるのを防御するのに役立ちます。

プロバイオティクスが免疫機能と大きく関係しているのは、腸管に全身のリンパ球の60~70%が存在しているためです。69~97歳の高齢者10人を対象にシロタ株発酵乳製品を毎食後に1本飲んでもらうのを3週間続けてもらう試験が行われました。

この試験では、シロタ株発酵乳製品を摂取したグループのほうがプラセボを摂取したグループよりもNK活性が高くなっていることが分かっています。

NK活性とは、ウイルスや細菌を攻撃するNK細胞の強さのことです。この研究から、プロバイオティクスは免疫機能に関係があるといえるでしょう。

 

効果4. 生理機能を調節し、デリケートゾーンの健康を維持

デリケートゾーンの健康も微生物との共生に関連しています。菌叢の種類のバランスを失うと不快感を引き起こす可能性があるのです。プロバイオティクスの働きにより、デリケートゾーンの健康を維持します。膣に多く存在しているといわれているのが、乳酸菌の一種であるラクトバチルス属です。乳酸菌の働きによって感染症の原因となる細菌の繁殖を防ぎ、膣の環境を正常に整えます。(12)
 

効果5. 健康維持

食事は健康を維持するための重要な基盤です。食べ物に含まれる栄養素が適切に吸収されるかどうかは、消化器の健康と密接に関連しています。プロバイオティクスの助けを借りることで、健康を促進できるでしょう。(13)

効果6. 新陳代謝の促進

現代人は外食が多く、油分、塩分、添加物の摂りすぎで消化の負担が増えています。適量のプロバイオティクスを補充することで、悪玉菌と競合し、体内の新陳代謝を促進できます。
 

効果7. 産前、産後や病後の栄養補給

妊娠時、産後、病後など、身体に大きなストレスがかかる時は、健康状態に影響を及ぼす可能性があります。ストレスが腸内菌叢の構成を変化させることが明らかになっているのです。ストレスホルモンといわれるコルチゾールの分泌と腸内菌叢との相関は確認されていませんが、ストレスには悪玉菌を増やして善玉菌を減らす働きがあるのではと考えられています。

適切なプロバイオティクスの補充は、身体を元の健康状態へと迅速に回復させるのに役立つでしょう。

 

プロバイオティクスの摂取注意点

1.体調を考える

良い菌であっても、すべての人にとってプロバイオティクスを摂取することが適切であるとは限りません。

重症患者である場合、化学療法を受けている場合、または免疫機能に異常があるなどの疾患がある場合は、まず医師に相談してから摂取するかどうかを決定することをお勧めします。

プロバイオティクスの摂取が治療の効果に影響を及ぼす可能性があるため、病気の症状がある場合はまず医学・薬学的治療を優先する必要があります。

 

2. 栄養バランスの取れた食生活を意識する

プロバイオティクスを摂取することは消化器系の健康に役立ちますが、プロバイオティクスを摂取するからといって食生活をおろそかにしてしまうと、せっかくの効能が無駄になってしまう可能性があります。

たとえば、揚げ物を多く食べた場合に腸内環境がどう変化するのかを調べた研究では、揚げ物を多く食べた群の腸内フローラの菌株数が減少し、腸内毒素が増えたことが報告されています(7)

また、過度に辛い食品も多くの腸内細菌を死滅させてしまうことが知られており、このような食品の過度な摂取は控えることが重要です。

 

3.最適な量のプロバイオティクスを毎日摂取する

国立健康・栄養研究所では、整腸目的で乳酸菌を摂取する場合は1日あたり数百億個程度の摂取が必要だとしています。また、整腸作用を期待する場合はプロバイオティクスを毎日摂取しなければなりません。

プロバイオティクスを摂取するとある程度の期間は腸内にとどまりますが、住み着くことはできないのです。そのため、毎日続けて摂取することが大切です。

   

4.プロバイオティクスは涼しい場所で保管する

プロバイオティクスは、生きた微生物です。そのため、保管する際は温度管理が必要になります。菌の種類によっては、温度が高すぎると死んでしまうものもあるので注意しましょう。冷蔵保管と書かれている場合は、指示に従って保管するようにしてください。

参考資料:
  1. Probiotics: an overview of beneficial effects
  2. The Potential of Probiotics: A Review
  3. 腸内細菌学会|プロバイオティクス(probiotics)|用語集
  4. The intestinal microbiota: its role in health and disease
  5. Oral administration of two probiotic strains, Lactobacillus gasseri CECT5714 and Lactobacillus coryniformis CECT5711, enhances the intestinal function of healthy adults
  6. Comparative meta-analysis of the effect of Lactobacillus species on weight gain in humans and animals
  7. The Association of Fried Meat Consumption With the Gut Microbiota and Fecal Metabolites and Its Impact on Glucose Homoeostasis, Intestinal Endotoxin Levels, and Systemic Inflammation: A Randomized Controlled-Feeding Trial
  8. Probiotics, prebiotics and synbiotics- a review
  9. Ku S, Park MS, Ji GE, You HJ. Review on Bifidobacterium bifidum BGN4: Functionality and Nutraceutical Applications as a Probiotic Microorganism. Int J Mol Sci. 2016 Sep 14;17(9):1544. doi: 10.3390/ijms17091544. PMID: 27649150; PMCID: PMC5037818.
  10. Céline Pellaton, Sophie Nutten, Anne-Christine Thierry, Caroline Boudousquié, Nathalie Barbier, Carine Blanchard, Blaise Corthésy, Annick Mercenier, François Spertini, "Intragastric and Intranasal Administration of Lactobacillus paracaseiNCC2461 Modulates Allergic Airway Inflammation in Mice", International Journal of Inflammation, vol. 2012, Article ID 686739, 8 pages, 2012.https://doi.org/10.1155/2012/686739
  11. Furrie E. Probiotics and allergy. Proc Nutr Soc. 2005 Nov;64(4):465-9. doi: 10.1079/pns2005466. PMID: 16313688.
  12. Gregor Reid, Duane Charbonneau, Julie Erb, Barbara Kochanowski, Dee Beuerman, Russ Poehner, Andrew W. Bruce, Oral use of Lactobacillus rhamnosus GR-1 and L. fermentum RC-14 significantly alters vaginal flora: randomized, placebo-controlled trial in 64 healthy women, FEMS Immunology & Medical Microbiology, Volume 35, Issue 2, March 2003, Pages 131–134, https://doi.org/10.1016/S0928-8244(02)00465-0
  13. Anjum N, Maqsood S, Masud T, Ahmad A, Sohail A, Momin A. Lactobacillus acidophilus: characterization of the species and application in food production. Crit Rev Food Sci Nutr. 2014;54(9):1241-51. doi: 10.1080/10408398.2011.621169. PMID: 24499153.