ヒアルロン酸は、美容医療に使われるだけでなく、今では飲む美容アイテムとしても人気です。
肌の柔軟性やハリを維持するのに役立つアイテムとしてもあげられます。では、具体的にヒアルロン酸にはどのような効果が期待できるのでしょうか。
今回は、薬剤師がヒアルロン酸の定義や種類、多様な効果について紹介します。
ヒアルロン酸とは?
ヒアルロン酸は(Hyaluronic acid, HA)ムコ多糖の一種です。
もともと私たちの体にもある物質で、コラーゲン組織を保持して肌の水分量を維持したり潤滑性を与えたりする働きがあります。
高い粘弾性と保水性、潤滑作用を持ち、体内に広く存在していることが特徴です。ヒアルロン酸は多くの水素結合を含むため、水分を保持する能力が非常に高いことで知られています。
1gで6リットルもの水分を抱えこむ力があり、現在では最も優れた保湿成分として認識されています。そのため、美容医療、医療、健康食品、スキンケア製品、化粧品などに広く使用されているのです。
ヒアルロン酸の作用原理
ヒアルロン酸は、N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸の2つの糖が交互に結合してできているものです。
スポンジのようであり、非常に強い親水性を持ち、大量の水分を保持して効率的な保湿効果をもたらします。保湿効果に優れていることから、ヒアルロン酸は健康や美容の基本としてもよく利用されるものです。
内用外用を問わず、どの摂取方法でも多くの方から大きな注目を集めています。また、医療用途では、美容医療や治療用注射材料などとしても使用されている成分です。
ヒアルロン酸の3つの効果
最近、ヒアルロン酸は健康食品としての利用がさらに広がり、臨床試験では以下のような効果が研究されています:
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関節の動きをスムーズにし、柔軟性を保つ
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肌を明るく、弾力のある状態にし、柔らかくきめ細かい肌を提供する
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透明感のある潤いを与える
では、それぞれの効果についてもう少し詳しく見ていきましょう。
1. 関節の動きをスムーズにし、柔軟性を保つ
ヒアルロン酸は、関節液や関節軟骨に多く含まれている成分です。潤滑作用があり、膝を守るクッションのような役割をはたしています。
分子量と粘度が高いことから、変形性関節症の治療にも有効です。しかし、ヒアルロン酸そのものは関節表面への接着性があまり高くありません。
そこでヒアルロン酸とドーパミンを結合させたものを使用した実験も行われています。ドーパミンと結合させたヒアルロン酸は、通常のヒアルロン酸よりも軟骨を保護する働きに優れています(2)。
2. 肌を明るく、弾力のある状態にし、柔らかくきめ細かい肌を提供する
ヒアルロン酸は、美容成分としても非常に有名です。保湿効果に優れているため、主に乾燥が気になる方のケアに用いられます。
さまざまな文献の調査によると、ヒアルロン酸にはシワ防止やほうれい線防止、老化防止、エイジングケア効果などさまざまな働きがあることが分かっています(3)。
3. 透明感のある潤いを与える
ヒアルロン酸を摂取することで、透明感のある肌を手に入れることもできます。粘性が高く保湿効果があるため、医薬品や化粧品の成分としても欠かせません。
近頃では、栄養補助食品としてお店で見かけることもあります。乾燥肌の日本人を対象に行われた試験では、ヒアルロン酸の摂取によって肌の水分量が上がることが分かりました。また、摂取したヒアルロン酸の一部は、そのまま皮膚に分布します(4)。
このことから、ヒアルロン酸は肌の水分量と密接な関係があり、透明感にも影響しているといえるでしょう。
ヒアルロン酸の種類と由来にはどのような物があるの?
ヒアルロン酸は、種類によって分子サイズの大きさが非常に大きいのをご存知でしょうか。通常、保湿剤や化粧品に使用されるヒアルロン酸は主に大きな分子が使用されています。
自然界にもともと存在するのは、この高分子タイプのヒアルロン酸です。
分子量が大きいため肌の表面にとどまり、水分を抱え込んで皮膚を保護する働きがあります。
浸透力はあまり高くありません。一方で低分子のヒアルロン酸は、分子の大きさを人工的に小さくしたものです。分子が小さいため、肌に浸透しやすいという違いがあります。
健康食品に使用されるヒアルロン酸の原料は、主に鶏冠抽出物、乳酸球菌発酵物、特許プロバイオティクス発酵物の3種類です。
鶏冠抽出物
市販されている鶏冠抽出物から得られるヒアルロン酸は、スペインの特許原料であるmobilee®があります。
体内でヒアルロン酸生成を促進する効果があります(1)。また、生体利用率が高く、関連する臨床試験や安全性試験からも比較的完全性が高いことが明らかです。皮膚や軟骨の柔軟性を維持するために使用することをお勧めします。
鶏冠抽出物から作られるヒアルロン酸は、発酵法を利用したヒアルロン酸よりも保水力が高いのです。そのため、高い保湿効果や美肌効果が期待できます。
乳酸球菌発酵物
人体の多くの部位で潤滑と保湿を助けるためにヒアルロン酸が必要ですが、由来の異なるのヒアルロン酸は効果も違うことが研究により解明されました。
HA特許乳酸球菌発酵物原料では、100以上の国際論文が発表され、5か国で15件の製造工程と応用特許が含まれています。
ヒアルロン酸の割合は95%以上であり、内側から外側への持続的な水分補給や美容保湿、ハリのある美しい肌をサポートします。
特許プロバイオティクス発酵
主な作用は消化管での発酵によってヒアルロン酸を生成することです。しかし、現在効果が立証された実験は少なく、関連する吸収率には完全なデータがないため、市場での使用率は高くありません。
ヒアルロン酸の副作用と注意事項
現時点では、日本のヒアルロン酸の食品基準において、食品としての安全性は非常に高いことが分かっています。
元来あらゆる哺乳動物の体内に分布する物質であるため、特に摂取基準は設定されていません。健康食品やサプリメントとしてヒアルロン酸を摂取する場合は、副作用が起こることはほとんどないでしょう。
美容医療でヒアルロン酸の注射を行う場合は、まれに腫れやアレルギー反応が起こる可能性があります。
どちらにせよ、適切な使用をしなければなりません。万が一、ヒアルロン酸を使い始めてから気になることがあるようでしたら、使用を中止して様子を見ましょう。
症状がひどい場合は医療機関を受診してください。医薬品を使用している場合や医療機関の治療を受けている場合は、医師と相談して使用するのがベストです。