栄養素 - ミネラル

亜鉛が手軽に摂れる料理は?食堂で買える亜鉛が多い料理5選を紹介

監修者 堀川 衣梨 管理栄養士 公開日:2024-08-29 最終更新日:2024-11-20

栄養素 - ミネラル

亜鉛が手軽に摂れる料理は?食堂で買える亜鉛が多い料理5選を紹介

監修者 堀川 衣梨 管理栄養士 公開日:2024-08-29 最終更新日:2024-11-20

成人の体内に約2g存在し、骨格筋や骨、肝臓、脳などに広く分布する亜鉛。300以上の酵素反応に関わる重要な栄養素なのに、人の体内では産生ができない必須ミネラルです。

現代の日本人においては、この亜鉛不足が問題視されており、その原因の一つと考えられているのが、物価高騰による買い控えや、社会人の多忙による外食頻度の増加などです。

そこで本記事では、日本人の亜鉛不足を解消するために、良く外食している方に向けて、食堂で購入できる亜鉛が豊富な料理について紹介します

 

亜鉛とは

亜鉛はミネラルの一種で、私たちが生きるために欠かせないミネラルです。亜鉛は約2000mgでお体の骨、皮膚、脳、または膵臓や肝臓といった臓器に含まれています。亜鉛の働きは正常な味覚、成長や精力に関わります。人間は亜鉛を体内で合成して作り出すことができません。そのため、毎日の食事から亜鉛の摂取は必要です。

しかし、近年の調査によると、多くの日本人は1日の亜鉛摂取推奨量を未満です。特に毎日お忙しいサラリーマンや働く方に亜鉛を意識的に摂取する必要があります。
 

亜鉛が体に与える影響と健康効果

亜鉛は、人の免疫機能やタンパク質の合成、傷の修復、味覚や嗅覚の機能維持に関わる重要な栄養素です。男性では生殖機能の維持にも関わり、欠乏によって、性線機能の低下や風邪の発症、傷の治りの遅延、味覚障害、皮膚炎など、ほかにもさまざまな症状が起こります。また、体内に貯蔵できるシステムがない亜鉛は、普段の食事から習慣的に摂取する必要があります。(3)

 

亜鉛の1日の摂取目安量は?

日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の成人1日の亜鉛推奨量が男性で9mg、女性で7.5mgとなっております。

 

成人男性の亜鉛の食事摂取基準(mg/日)

年齢等

推定平均必要量

推奨量

耐容上限量

18~29(歳)

7.5

9.0

40

30~49(歳)

8.0

9.5

45

50~64(歳)

8.0

9.5

45

65~74(歳)

7.5

9.0

40

75以上(歳)

7.4

9.0

40

 

成人女性の亜鉛の食事摂取基準(mg/日)

年齢等

推定平均必要量

推奨量

耐容上限量

18~29(歳)

6

7.5

35

30~49(歳)

6.5

8.0

35

50~64(歳)

6.5

8.0

35

65~74(歳)

6.5

7.5

35

75以上(歳)

6

7.0

30

妊婦(付加量)

初期

中期・後期

+0.0

+2.0

2

授乳婦(付加量)

+2.5

4


 

亜鉛を摂取するメリット

亜鉛は私たちの体にとって不可欠なミネラルで、日常的に摂取することで、身体と心の健康をサポートします。多忙な方に亜鉛の摂取により以下のようなメリットがあります。

 

エネルギーの向上と活力

最近は疲れているとよく感じているなら、亜鉛の不足との関連性があるかもしれません。亜鉛は細胞の新陳代謝に関わり、エネルギーの生成をサポートします。これにより、日々の活動がよりスムーズに進み、疲れにくくなります。忙しい日常を元気に過ごすためには、亜鉛が欠かせません。

 

皮膚の健康を維持

亜鉛が不足すると皮膚炎になりやすくなります。亜鉛は皮膚の健康にとって重要な役割を果たします。新陳代謝を助けるため、肌の調子を整える効果が期待できます。日常的に亜鉛を摂取することで、肌がなめらかで、健康的に保たれやすくなります。

 

気分や集中力のサポート

亜鉛は脳の働きにも影響を与えるミネラルで、ストレスの管理や気分の安定に関与しています。亜鉛を十分に摂取することで、集中力や思考のクリアさを保ちやすく、仕事や勉強でも効果的にパフォーマンスを発揮できます。

 

免疫機能のサポート

免疫システムの正常な働きには亜鉛が欠かせません。日々の生活に亜鉛を取り入れることで、体調を整えやすく、外的な環境変化にも適応しやすくなります。

 

亜鉛不足すると?

亜鉛が不足すると、日常で以下のよう影響が出ることがあります:

  • 活力不足:体がエネルギーを効率的に使えず、疲れやすくなることがあります。

  • 肌荒れ:肌の調子が崩れ、乾燥やかゆみが出やすくなります。

  • 集中力の低下:思考が鈍くなり、仕事や日常生活で集中しづらくなることがあります。

そして、亜鉛欠乏になると、皮膚炎、味覚障害、慢性下痢、免疫機能障害、成長遅延、性腺発育障害などの症状が出ます。これらの症状が現れた場合は、早急に病院で受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。

亜鉛は体にとって非常に大切な栄養素です。日常的に亜鉛を適切に摂取することで、元気で健康な生活を送るためのサポートになります。これからは、手軽にとれる亜鉛豊富な食べ物と選ぶコツをご紹介します。
 

手軽に取れる亜鉛豊富な食べ物と選ぶコツ

亜鉛を豊富に含む食べ物といえば、牡蠣でしょう。しかし、牡蠣はスーパーや飲食店での価格がやや高く、食費に対して少し負担がかかると考えられます。また、多忙なサラリーマンとしては、自炊の時間が十分に取れないでしょう。亜鉛は、どの食べ物にどの含有量が含まれているかを知り、選ぶコツさえ知れば、手軽に摂取ができる栄養素です。

亜鉛を効率よく摂取するには、牛や豚、鶏肉、魚、卵などの動物性食品を意識して摂りましょう。牡蠣やホタテなどの貝類、カニなどの甲殻類、うなぎや玄米、カシューナッツ、大豆などの食品にも含まれています。(4)(7)

今回は手頃な価格の食べ物を紹介するので、日々の生活にぜひ取り入れてみてください。

自炊向け!亜鉛が多い食材のランキングはこちら
手軽に亜鉛が摂れる食べ物ランキングとコンビニ食品8選!牡蠣の他に亜鉛が多い食べ物は?【管理栄養士厳選】



 

外食でも摂取できる亜鉛たっぷり料理5選

亜鉛をたっぷりと摂取できる料理は、意外と身近にあります。どれもだいたい1,000円以下で食べられるものなので、ぜひチェックしてみてください。

1.レバニラ炒め

外食で食べれる亜鉛が多いメニュー:レバニラ炒め

レバニラ炒めの豚レバーは、亜鉛を豊富に含む食材です。一食あたり(70gとすると)、約4.8mgの亜鉛がとれます(5)。価格も比較的手頃で、お店によってはテイクアウトも可能な食品です。
 

2.牛丼

外食で食べれる亜鉛が多いメニュー:牛丼

肉類の中でも亜鉛が豊富な牛肉は、一食あたり(70gだとすると)、2.5〜4mgの亜鉛が摂取できます。(5)並盛なら500円以下で購入ができ、提供時間も早いので、忙しい社会人におすすめです。
 

3.シーフードサラダ

外食で食べれる亜鉛が多いメニュー:シーフードサラダ

たこやあさりなどが入ったシーフードサラダは、家庭だと準備するのに少し時間がかかります。外食の場合は、その手間がなく気軽に食べられます。お店によって価格は異なりますが、1,000円以下でも購入可能なメニューです。
 

4.味噌汁

外食で食べれる亜鉛が多いメニュー:シーフードサラダ

栄養素が水に溶ける性質がある亜鉛は、味噌汁にして食べるのもおすすめです。同じく亜鉛を含む焼き麩や油揚げ、しじみ、あさりなどが入っているとなおよいでしょう。いつもの定食に、100〜200円で追加できることがあります。
 

5.親子丼

外食で食べれる亜鉛が多いメニュー:シーフードサラダ

鶏肉と卵を使った親子丼は、亜鉛補給にいちおしのメニューです。どちらも亜鉛を豊富に含む食材で、白米にも茶碗1杯(150g)で、0.9mgの亜鉛が含まれます。(5)外食で迷ったときのメニューにぜひ選んでみてください。

今回ご紹介したほかにも、牡蠣フライや豆腐、牛肉が入ったすき焼きなど、外食でも亜鉛をたっぷりと摂取できるメニューはたくさんあります。玄米や雑穀などにも亜鉛が多く含まれるため、食堂で雑穀ごはんや玄米などのメニューがあれば、変更するのもよいでしょう。

 

亜鉛の吸収を妨げる食べ物とは

亜鉛は体内での吸収率が約30%とそれほど高くなく、吸収を妨げる食材を事前に知っておくと、効率的な摂取に役立ちます。穀類や豆、ナッツ類に含まれるフィチン酸は、亜鉛と複合体を作ることで、体への吸収を阻害します。加えて、カルシウムを含む乳製品や食物繊維、タンニンを含むコーヒーやアルコールも、亜鉛の吸収を妨げると言われています。(6)そのため、亜鉛を効率的に摂取したい場合は、フィチン酸を含む完全に食材を避けるよりも、摂取するタイミングをずらすなど工夫するとよいでしょう。

また、その一方で、フィチン酸は熱や発酵、発芽や精麦などの食品加工によって、含有量が減ることがわかっています。そのため、納豆や味噌などの発酵食品、発芽玄米などを取り入れることでも、効率的な摂取につながると考えられています。(7)

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忙しい日々でも亜鉛補給を忘れずに!

今回ご紹介した亜鉛を豊富に含む食品は、どれも比較的手頃な値段で、コンビニや食堂で手に入るものばかりです。バランスの取れた食生活の中に、亜鉛を日常的に取り入れてみてください。また、ダイエット中や食事制限中、多忙などの理由で食事から定期的にとるのが難しい場合は、サプリメントを活用するのもよいでしょう。ぜひご自身に合った方法で、手軽に亜鉛を取り入れてみてください。

参考資料:
  1. 亜鉛 / 厚生労働省eJIM
  2. 微量栄養素情報センター
    「※本リンクは、オレゴン州立大学ライナスポーリング研究所の提供するウェブサイトへ移動します。<<名前>>は、オレゴン州立大学ライナスポーリング研究所のアフィリエイトではなく、認証されたリンクでもありません」
  3. 亜鉛欠乏症の診療指針2018 / 日本臨床栄養学会