生活習慣の悩み

コレステロールを下げる食べ物は?食事でコレステロール値をコントロールしましょう

監修者 落水 陽香里 管理栄養士 公開日:2024-07-22 最終更新日:2024-09-30

生活習慣の悩み

コレステロールを下げる食べ物は?食事でコレステロール値をコントロールしましょう

監修者落水 陽香里 管理栄養士 公開日:2024-07-22 最終更新日:2024-09-30

血液中のLDL(悪玉)コレステロールが増えすぎることによって、さまざまな疾患を引き起こすことが分かっています。日々の食事に気を付けることでLDL(悪玉)コレステロール値を正常に保つことが可能です。この記事では、LDL(悪玉)コレステロール値を下げるための食品をご紹介します。

善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違いは?

コレステロールは、体内で重要な役割を果たす脂質の一種です。主に肝臓で合成され、細胞膜の構成要素やホルモンの合成に必要な物質です。また、コレステロールは血液中に存在し、リポタンパク質という粒子に変化して肝臓で合成されたコレステロールを全身に運ぶ役割も担っています。コレステロールには、以下の2種類があります。

  • 高密度リポタンパク質(HDLコレステロール):体内の血管壁にたまったコレステロールを肝臓に運ぶ役割があるため、善玉コレステロールと呼ばれています。

  • 低密度リポタンパク質(LDLコレステロール):血管内に蓄積すると動脈硬化により心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを高めるため、悪玉コレステロールと呼ばれています。(1)(2)

 

LDL(悪玉)コレステロール値が高くなると?

血液中のLDL(悪玉)コレステロール値が高くなると、動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる疾患の発症リスクが高まることが分かっています。

血液中のLDL(悪玉)コレステロールが増加する原因は、不適切な食生活、運動不足、遺伝など、さまざまな要因によって引き起こされるといわれています。そのため、血液中のコレステロール値を正常に保つためには、健康的な生活習慣の確立や、必要に応じて医師の指示に従った治療が重要です。(1)(3)
 

関連記事:コレステロールが高い原因は? コレステロール値を下げる方法をご紹介
 

コレステロールを下げる食品1:食物繊維を豊富に含む食品

食物繊維を豊富に含む食品

食物繊維は、体内でコレステロールから作られる胆汁酸を体外(便中)へ排泄する働きがあります。そのため、食物繊維を摂取することでLDL(悪玉)コレステロールを減少させ、動脈硬化性疾患の予防につなげることが可能になるのです。(4)

 

1.全粒穀物(玄米、全粒粉、オーツ麦、大麦など)

食物繊維は、野菜や果物などに豊富に含まれていますが、食物繊維を効率よく手軽に摂取するためには主食の穀類から摂ることがおすすめです。1日のうち1食の穀類を食物繊維が豊富な玄米や麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなど茶色い穀物を選ぶようにすると良いでしょう。(4)(5)

 

2.大豆製品

大豆製品は、食物繊維が豊富に含まれている食品です。納豆1パック(40g)には、3.8gの食物繊維が含まれています。大豆製品は、食物繊維以外にも植物性タンパク質が豊富に含まれているため、優れた食品といえます。コレステロール値が気になる方は、毎日の食事に豆腐や納豆など大豆製品を取り入れてみると良いでしょう。(5)

 

3.果物(リンゴ、柿、柑橘類、ベリーなど)

果物中の水溶性食物繊維であるペクチンは、コレステロールの吸収を遅らせ、LDL(悪玉)コレステロールを10%程度低下させることが明らかにされています。例えば、リンゴ1個(可食部230g)には3.2gの食物繊維が含まれています。リンゴ以外にも、柿、イチゴ、キウイフルーツなども食物繊維の摂取源としておすすめです。(5)(6)(7)

 

4.野菜(切り干し大根、ブロッコリー、ごぼう、かぼちゃなど)

切り干し大根やブロッコリー、ごぼうやかぼちゃなどは、1食あたり食物繊維が2~3gも含まれています。食物繊維は、多くの日本人が不足傾向にあるため、これらの野菜を毎日の食事に取り入れることが必要です。しかし、生野菜で食べると量が多く、たくさん食べるには向いていません。野菜から食物繊維を摂るためには、加熱調理をしてカサを減らすなどの工夫をして食べやすくすると良いでしょう。(4)(5)

 

コレステロールを下げる食品2:不飽和脂肪酸が豊富な食品

不飽和脂肪酸は、植物や魚の脂に多く含まれ、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸には、血液中のHDLコレステロールを下げずにLDLコレステロールを減らす働きがあることが分かっています。さらに、不飽和脂肪酸を摂取することで、血清脂質の改善、抗炎症作用、動脈硬化の予防などにつなげることができるのです。ここでは、不飽和脂肪酸が豊富な食品をご紹介します。(8)

 

1.一価不飽和脂肪酸(オリーブ油、べにばな油、ピーナッツ、アボカドなど)

一価不飽和脂肪酸は、動物性脂肪やオリーブ油などの植物油に多く含まれています。一価不飽和脂肪酸の大部分がオレイン酸です。植物油の他にも、アーモンド、ヘーゼルナッツなどの種実類も一価不飽和脂肪酸の摂取源としておすすめです。(5)(9)

 

2.オメガ6脂肪酸(ひまわり油、コーン油、大豆油など)

オメガ6脂肪酸は、リノール酸のほか γ-リノレン酸、アラキドン酸などがありますが、日本人が摂取するオメガ6脂肪酸のほとんどはリノール酸といわれています。オメガ6脂肪酸は、体内で合成することができないため、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸の一つです。

オメガ6脂肪酸の摂取源であるひまわり油、大豆油、コーン油などを日々の食事に取り入れると良いでしょう。(9)

 

3.オメガ3脂肪酸(サンマ、イワシ、サバ、亜麻仁油など)

サンマやイワシ、サバなどの青魚や亜麻仁油には、EPAおよびDHA(オメガ3脂肪酸)が豊富に含まれているため、コレステロール値が気になる方は1日1切れ程度の魚や亜麻仁油を摂取すると良いでしょう。しかし、現代人は忙しく、食生活が乱れて栄養バランスが偏ってしまう場合もあります。そのため、十分な量のオメガ3脂肪酸を安定して摂取するためにフィッシュオイルのサプリメントを摂取するのも一つの方法です。(5)(10)

 

コレステロールを下げる食品3:植物ステロールが豊富な食品

ナッツ-植物ステロールが豊富な食品

植物ステロールは、植物油に多く含まれている成分です。植物ステロールは、腸でのコレステロールの吸収を抑制する働きがあるため、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らせることが明らかにされています。ここでは、植物ステロールが豊富な食品をご紹介します。(11)

 

1.ナッツ(アーモンド、くるみ、ピーナッツなど)

アーモンド、くるみ、ピーナッツなどのナッツ類は、植物ステロールの摂取源としておすすめです。間食に甘い菓子類を食べる習慣がある方は、ナッツ類に置き換えることで効率良く植物ステロールを摂取することができるでしょう。(11)

 

2.全粒穀物(玄米、全粒粉パン、オートミール、など)

玄米や全粒粉パン、オートミール、およびその他の全粒穀物には、植物ステロールが豊富に含まれています。日々食べている精製された米やパンを玄米や全粒粉パン、オートミールなどに置き換えると効率よく植物ステロールを摂取することができるでしょう。(11)

 

3.豆類と大豆製品 

大豆製品は、低糖質、低脂質にも関わらず、タンパク質が豊富に含まれています。他にも、大豆イソフラボンやサポニンなど健康に良いとされる成分が含まれているのです。大豆製品には、植物ステロールも豊富に含まれているため、血液中のLDL(悪玉)コレステロール値を下げる働きも期待できます。コレステロール値が気になる方は、毎日の食事に大豆製品(豆腐、豆乳、納豆など)を取り入れると良いでしょう。(5)(11)(12)

 

コレステロールを下げる食品4:抗酸化物質が豊富な食品

抗酸化物質が多い食品:緑茶

血液中のLDLコレステロールが増えすぎると血管壁にたまり、活性酸素の影響で酸化して、過酸化脂質となります。過酸化脂質が蓄積していくと血管が細くなり血栓ができたり、動脈硬化が進んでしまうのです。動脈硬化の進行により、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症につながってしまう場合があります。

このような命に関わる疾患の発症を防ぐためには、ビタミンCやビタミンE、β-カロテン、ポリフェノールなどの強い抗酸化作用がある食品を摂取し、LDLコレステロールを酸化させないことが重要です。ここでは、抗酸化物質が豊富に含まれる食品をご紹介します。(1)

 

1.ニンニク 

ニンニクの香り成分であるアリシンには強い抗酸化作用があります。ニンニクは、さまざまな料理と相性が良いため、日々の食事に取り入れやすい食材の一つです。通常の食事に含まれるニンニクの量を食べる場合は、特に問題ありませんが、生のニンニクを食べ過ぎると胸やけや胃のむかつきなどの症状が現れる場合があるため、ほどほどにしましょう。(13)(14)

 

2.ダークチョコレートとココア 

チョコレートやココアの原料であるカカオポリフェノールには、強い抗酸化作用があります。しかし、カカオ含有率が低いチョコレートやココアは、砂糖や乳製品の割合が多いため、注意が必要です。明確なカカオ含有率の基準はありませんが、チョコレートを食べる場合、カカオ含有率が70%以上のダークチョコレートを選ぶと、抗酸化作用が期待できます。(15)

 

3.緑茶 

緑茶に含まれるカテキンは、ポリフェノールの一種で、お茶に特有の苦渋味成分のもととなる物質です。緑茶のカテキンにも高い抗酸化作用があり、活性酸素を除去する力は、ウーロン茶と比べ約3~4倍であるという報告もされています。(16)

 

4.果物や緑黄色野菜(ほうれん草、トマト、にんじん、柑橘類など)

ほうれん草やトマトなどの色の濃い野菜や柑橘類などに含まれる黄色または赤色の色素成分(カロテノイド)には、強い抗酸化作用があります。カロテノイドは、大きくカロテン類とキサントフィル類の2種類に分けられ、カロテン類の代表的なものとしては、β-カロテンやリコピンなどがあります。

カロテンは脂に溶ける性質があり、油類と一緒に摂取した方が吸収されやすいという特徴があるため、調理方法を工夫しましょう。(17)

 

まとめ

血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らす食品についてお分かりいただけたでしょうか。日々の食事で食べるものを意識することでコレステロール値をコントロールすることが可能です。

しかし、どんなに体に良いからといって一つの食品ばかり食べるのは、逆効果になってしまいます。コレステロール値を正常に保つためには、バランスの良い食生活を心がけましょう。