アミノ酸はたんぱく質を構成する成分で、筋肉や臓器、毛髪を作る重要な栄養素です。肉や魚、牛乳や大豆製品に多く含まれ、体の中で良質なたんぱく源となります。筋肉を増やしたい方や健康維持のためにはアミノ酸が必要で、不足すると低栄養や肌荒れの原因にもなります。今回はアミノ酸が多い食べ物をランキングで紹介し、効果的に摂るためのおすすめレシピもご紹介します。
アミノ酸が多い食べ物を知って、健康な体を維持していきましょう。
アミノ酸は?
アミノ酸はたんぱく質を構成する有機化合物です。人体には約10万種類ものたんぱく質が存在し、これらは20種類のアミノ酸で構成されています。私たちが普段食べている肉や魚は、消化の過程でアミノ酸に分解され、体の中で再びたんぱく質として合成されます。
20種類のアミノ酸のうち、9種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれ、食品からの摂取がかかせません。また、1種類でも欠けると、たんぱく質の合成がうまくいかなくなります。単一の食材に9種類の必須アミノ酸全てが含まれるわけではないため、異なる食材から毎日アミノ酸を摂取し、バランスがとれた食生活を送ることが重要です。
バランスのよくない食事によって、筋肉の合成が円滑に行われなくなるなどの悪影響が起こることも覚えておきましょう。
参考:必須アミノ酸とは?9種類必須アミノ酸の働きと含有量が多い食品を紹介
アミノ酸の効果
アミノ酸の効果は、主に5つあります。
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疲労軽減と回復
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筋力アップと運動パフォーマンス向上
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成長のサポート
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リラックスと睡眠
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免疫細胞のエネルギー源となる
エネルギー不足時や運動後に疲労を軽減してくれる働きがあるアミノ酸。アルギニンやロイシンは効率的にエネルギーを生むサポート役として、疲労回復を早めてくれる作用があります。(1)
また、筋力アップにも関わり、運動後の摂取によってタンパク質の合成を促してくれます。シトルリンとアルギニンにおいては、同時に摂取することで、運動パフォーマンスの向上が期待されます。(2)
成長ホルモンの分泌を促す働きもあるアミノ酸は、筋肉の修復やたんぱく質合成に関わり、疲労回復を促します。(3)鎮静作用もあるトリプトファンは、セロトニンの材料となり、睡眠時の寝つきをよくしてくれることもあります。(4)
また、免疫細胞のエネルギー源としても働くアミノ酸。免疫細胞の合成や免疫抗体の材料にもなりえます。激しい運動をした後の免疫機能の低下が改善されるという結果も示されています。(15)
アミノ酸摂取によって、体の内側からケアをして、風邪予防や免疫力維持に努めていきましょう。
アミノ酸はおいしい?うまみの源はアミノ酸?
アミノ酸は食べ物の「味」と大きな関わりがあります。アミノ酸が数個つながったものを「ペプチド」と呼び、含まれるペプチドやアミノ酸の種類によって、おいしさや味が異なります。
たんぱく質の一部が分解されることで食材の「旨み」を感じるようになるほか、甘みや酸味、苦味などにも変化します。アミノ酸は食材における旨みの源であり、料理のおいしさを作り出してくれる重要な役割を担っているのです。(5)
アミノ酸の上手な摂り方
必須アミノ酸が多い食べ物を意識して摂る
体内で合成できない必須アミノ酸には、以下の9種類があります。
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バリン
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ロイシン
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イソロイシン
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メチオニン
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リジン
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フェニルアラニン
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トリプトファン
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スレオニン
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ヒスチジン
必須アミノ酸は肉や魚、乳製品、卵、大豆製品などに含まれ、動物性と植物性のバランスを考慮して摂取すれば、不足する心配はありません。(6)
また、日本人にとってなじみの深い米や小麦にも微量に含まれます。しかし、必須アミノ酸のリジンが不足しているため、肉や魚、大豆製品などの食品と合わせて摂るのがおすすめです。
毎日三食きちんと食事することが有効
アミノ酸を含むたんぱく質は、一度に多くの量を摂取しても代謝がうまくできず、食事ごとに分けて摂取する方が効率的であると言われています。3食または補食を含めた4〜5回に分けて摂るのもよいでしょう。
摂取したたんぱく質が全部体に吸収されるわけではないので、毎日一定の量を少しずつ摂るようにしましょう。
アミノ酸スコアが高い食材を選ぶ
アミノ酸スコアは、必須アミノ酸の含有量とバランスを示したもので、数値が高いほど良質なたんぱく質として評価されます。
アミノ酸スコアが高い食材には、魚や肉、牛乳、大豆製品(油揚げや納豆、豆腐)などがあり、肉などの動物性たんぱく質には、脂質も多く含まれるため、摂りすぎには注意する必要があります。植物性食品の大豆製品と合わせて摂るようにしてみましょう。
アミノ酸の特性により、複数の食材の組み合わせはお勧め
アミノ酸は種類によって、それぞれ特性が異なります。そのため、複数の食材と組み合わせることは、不足しがちな栄養素を補うことにもつながります。
例えば、朝食にパンとコーヒーだけではアミノ酸スコアが51となり、決して高いとは言えません。パンにチーズやハムを挟むと、アミノ酸のバランスが改善されます。目玉焼きをのせてもおすすめですので、気分に合わせて試してみてください。
特定なアミノ酸を補充したい時、サプリメントも活用も可能
激しい運動の後や健康維持のランニング後に、特定のアミノ酸を補充したい場合は、サプリメントの活用も有効です。
筋肉の修復を促す分岐鎖アミノ酸の摂取は、運動後の2〜3時間以内で摂取することで、その効果を発揮できるという報告があります。(7)しかし、サプリメントは食事の代わりにはならないため、あくまでも補助的に活用するのが基本です。食事からのアミノ酸摂取と合わせて取り入れてみてください。
アミノ酸が多い食べ物Top20ランキング
ここからはアミノ酸が多い食べ物Top20を紹介します。
食品名 |
100g当たりのアミノ酸量(g) |
するめ |
59.0 |
凍り豆腐 乾 |
58.0 |
ビーフジャーキー |
55.0 |
パルメザンチーズ |
48.0 |
くさや |
48.0 |
炒り大豆 |
41.0 |
さきいか |
40.0 |
豚のヒレ肉 焼き |
39.0 |
鶏の胸肉 皮なし 焼き |
39.0 |
鶏のささみ ソテー |
36.0 |
ナチュラルチーズ エダム |
34.0 |
うしのもも肉 皮下脂肪なし ゆで |
32.0 |
みりん干し まいわし |
31.0 |
鶏のもも肉 皮付き 焼き |
31.0 |
ナチュラルチーズ エメンタール |
31.0 |
豚のもも肉 皮下脂肪なし 焼き |
31.0 |
ごまさば 焼き |
30.0 |
ナチュラルチーズ ゴーダ |
30.0 |
大豆 油揚げ 焼き |
29.0 |
くろまぐろ 養殖 赤身 電子レンジ調理 |
29.0 |
参考:食品成分データベース
アミノ酸が多い食品には、いかや大豆製品、肉、魚、チーズなどがあります。するめやさきいかはロイシンやアルギニン、グルタミン酸が豊富で、筋肉量の維持や回復、運動パフォーマンスを向上させたい方におすすめです。
凍り豆腐や炒り大豆、油揚げなどの大豆製品には、グルタミン酸やアスパラギン酸、ロイシンが含まれ、リラックス成分であるGABAの生成や効率的なエネルギーの産生、筋肉量の維持に役立ちます。(8)(9)(10)
ビーフジャーキーを含む牛肉や豚肉は、リジンやロイシンが豊富で、脂肪の燃焼や筋タンパク合成に関わります。(11)鶏肉はアルギニンの含有量が多く、成長ホルモンの分泌による疲労回復、筋肉増強に効果が期待されます。(12)
パルメザンチーズを含むチーズは、プロリンやロイシンが多く、コラーゲンを構成するアミノ酸として働きます。(13)また、筋肉の合成をサポートしてくれるよい影響もあります。
いわしやごまさばなどの魚は、リジンやロイシン、グルタミン酸が豊富で、同じアミノ酸であるアラニンやアスパラギン酸の生成に関わり(14)、脂肪燃焼や筋肉を作るサポートをしてくれます。今回出てきた食品はお店で手に入りやすいものが多いので、ぜひアミノ酸補給に役立ててみてください。
アミノ酸が多いおすすめレシピ
ここからはアミノ酸を多く含む食品を使ったレシピを2つ紹介します。
とろーりチーズのサバとトマトの重ね焼き
材料(2人前(400mlの耐熱容器1台分))
作り方
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トマトはヘタを落とし、5㎜幅のいちょう切りにします。
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モッツァレラチーズは食べやすい大きさに切ります。
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塩サバは縦に半分に切って、1㎝幅のそぎ切りにします。
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耐熱皿にトマトとモッツァレラチーズ、塩サバを交互に並べてオーブントースターで約8分焼きます。
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火が通ったら、EVオリーブオイルをかけて、バジルをのせたら完成です。
ポイント
下処理に時間がかかるイメージの魚料理も、塩サバを使えば手間がかからず便利です。モッツァレラチーズと組み合わせると、アミノ酸のバランスも整います。
鶏ささみの味噌チーズ
材料(2人分)
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鶏ささみ:4本
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料理酒:大さじ1
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みそ:大さじ1
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ピザ用チーズ:40g
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青のり:適量
作り方
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鶏ささみの筋をとる。
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耐熱皿に鶏ささみをのせ、料理酒をかけてラップし、600Wの電子レンジで2分加熱します。
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鶏ささみを裏返してみそをぬり、ピザ用チーズをかけてラップし、600Wの電子レンジで再度2分加熱します。
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火が通ったら取り出し、青のりをかけて完成です。
ポイント
脂質の少ない鶏ささみに、アミノ酸が豊富なチーズやみそを合わせた、ごはんのおかずにぴったりな一品です。たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6もたっぷり含まれています。
バランスが良い食事で、アミノ酸を摂りましょう
アミノ酸を多く含む食材と、糖質や脂質がバランスのよく含まれた食事は、健康な体づくりに重要な役割を果たします。筋力アップや疲労回復、運動パフォーマンスの向上にも役立つ必須アミノ酸。たんぱく質代謝を助けるビタミンB6と合わせて、手軽に取り入れてみてください。