現代社会は仕事や家事、子育てに忙しく、気軽に栄養を補充できる健康食品とサプリメントを用いた健康意識の高まりが広がってきています。市場規模は年々拡大し、2024年度には機能性表示食品の割合が全体の約24%に達すると予測されています。(1)
これらの健康食品・サプリメントは、含まれている成分とその特性を理解することで、吸収効率を高めることが可能です。そこで今回はサプリメントを飲むタイミングと、おすすめの飲み方・注意点について解説します。
サプリメントを飲むタイミングはいつ?
サプリメントは医薬品ではなく「食品」であるため、好きなタイミングで飲むことができます。例えば、1日の目安量を3食に分けて摂る、お出かけの前にまとめて摂るなど、ご自身のライフスタイルに合わせたタイミングでOK。
また、含まれる成分の特性に合わせて摂取すると、吸収効率をアップさせることも可能です。
成分別おすすめサプリメント飲むタイミング
ここからはサプリメントの成分に応じた、おすすめの飲むタイミングについて紹介します。
食べ物と一緒飲む
サプリメントは一般的に、食後に飲むのがよいとされています。空腹時よりも消化の負担が少なく、食事と一緒に摂ることでスムーズに吸収されると考えられているためです。ほかにも成分の特性によって、以下の点に気をつけながら飲むのがよいとされています。
脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンは油に溶けやすいため、食後に取るのがおすすめです。1日の目安量が複数粒の場合、まとめて摂取したほうが吸収効率がよくなることも分かっています。難しい場合は分けて飲んでも問題ないので、無理せずご自身のペースに合わせて活用してみてください。
水溶性ビタミン
水溶性ビタミンは、食品に含まれる成分と一緒に吸収されることが多く、食後に摂取するのがよいとされています。体内での滞留時間が短いビタミンB群、Cなどは、多く摂取しても使われなかった分は尿と一緒に排出されます。そのため、複数粒飲む場合は時間を分けて摂るのがおすすめです。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸を含むサプリメントは、朝に摂取するとよいという研究があります。これは時間栄養学の観点から、魚油による中性脂肪の低下効果を期待したい場合は、夕方よりも朝の摂取が効果的であることを示しています。(2)
食事と食事の間(空腹時)
サプリメントの中には、食事と食事の間、空腹時に飲んでもよいとされているものがあります。カルシウムはその一つです。
カルシウム
カルシウムのサプリメントには、炭酸塩とクエン酸塩の2種類があります。炭酸カルシウムは食品と一緒に摂取すると、最も効率よく吸収されると考えられています。その一方で、クエン酸カルシウムは食事の時間に関係なく、空腹時に摂取しても同じように吸収されることがわかっています。(3)
食事系サプリメント
糖や脂質の消化や吸収をサポートする食事系サプリメントは、食事の前の摂取で機能が確認されていることが多いです。糖や脂質の多い食事をとる前や、夜などの食事の時間が気になるときに利用されることを想定しています。
状況によって異なる
サプリメントは運動習慣のある方や特定のシーンに利用する方も増えています。今回はその一部をご紹介します。
運動の前:アミノ酸(アルギニン)、マカ
運動効率をサポートするサプリメントは、運動の前後に摂取するのがよいとされています。アミノ酸は筋肉づくりをサポートし、運動パフォーマンス向上に関わる働きをしてくれます。(4)アミノ酸の一種であるアルギニンは、エナジードリンクなどに含まれ、元気を取り戻したいときや運動の前などに摂取されることがあります。
強壮作用があると言われるマカは、疲れを感じたときや運動の前など、続けやすいタイミングで2~3か月継続して飲むのがよいとされています。
休憩時間の前:GABA など
GABAは神経伝達物質として脳に多く存在する物質です。不安の低減や睡眠の質をサポートしてくれるなど、さまざまな機能が報告されています。(5)睡眠の質については就寝の少し前、一次的な疲労感や精神的ストレスの軽減には、休憩時間の少し前に摂ることで機能性が確認されています。
勉強の前:ブドウ糖など
ブドウ糖は勉強の前などに摂取することで、脳へのエネルギー源となります。ある研究では、ペーパーテストを実施した際の血糖値の高さと作業能力の増加の程度が一致し、ブドウ糖による記憶促進の効果も期待されています。(6)
サプリメントを飲む時、どんな飲み物がおすすめ?
サプリメントは、水かぬるま湯で飲むのがおすすめです。お茶やコーヒー、牛乳などと一緒に飲むと吸収が阻害される場合があります。
しかし、他のドリンクと一緒に飲むことができる健康食品もあります。コラーゲンパウダーは、水やぬるま湯のほかに、コーヒーや紅茶などほかの飲み物に混ぜて飲むことが可能です。コラーゲンの合成にはビタミンCが必要なため、ビタミンCを含む食品や飲み物と一緒にとるのもよいでしょう。
サプリメントの飲むときの注意点
サプリメントや健康食品を摂る際は、安全性の確保も重要です。医薬品との併用や飲み方の注意点について確認してみましょう。
タブレットやカプセルは水抜きで飲むのは危険
タブレットやカプセルの形をしたサプリメントを飲むときに、水なしで飲むのは危険です。のどや食道に引っかかったり、誤って気管に入ったりする可能性があるため、避けるようにしましょう。
医薬品と薬の併用
医療機関で医師の指示のもと治療を受けている場合は、必ずサプリメントを飲んでもよいか確認してから摂取するようにしましょう。市販の医薬品を服用する際も、注意事項をよく読み、安全性を確認してから飲むようにします。
飲酒を控える
飲酒をすると、ビタミンB1が大量に消費されやすく、過剰な飲酒によって栄養不足やほかの悪影響を招きます。(11)飲酒とサプリメントの併用には有益な効果があまりなく、健康な生活を送るためには飲酒を控えるのがおすすめです。
食事の代替ではない
サプリメントは、不足しがちな栄養成分を手軽に補えるのがよいところですが、食事の代わりとしてはおすすめできません。栄養のバランスを意識した食生活や適度な運動、休養が、健康の保持増進の基本となります。
過剰摂取をしない
サプリメントの場合、成分が高濃度に配合されているものが多いため、過剰摂取に気をつける必要があります。健康食品に多く含まれるビタミンEも最大安全量を上回れば、出血性脳卒中のリスクが高まると言われています。(7)
年齢と体調(子供はお勧めしません)
子どもの場合、サプリメントを飲むことは推奨されていません。成長段階である子どもは、副作用の出方が大人と異なる場合があります。また、小児を対象とした試験は行われておらず、天然成分が配合されていても安全を意味しているわけではないため、摂取は控えましょう。(8)(9)
サプリメントの効果はどのくらいの期間で実感できますか?
サプリメントの効果を実感するためには、2〜3か月程度継続して飲むことが重要です。ある研究では、継続的に12週間摂取したことによって、効果が見られたという報告があります。(10)1〜2週間ほどの摂取では、なかなか変化を実感できないこともあるため、まずはご自身の生活スタイルに合わせて飲み続けてみましょう。
まとめ
サプリメントは、健康や美容の保持増進に役立ち、栄養素を手軽に補える便利な食品です。吸収率アップのタイミングや飲み合わせに注意して、健康を保っていきましょう。