コラーゲンは、関節を保護する効能や、健康的な肌を保つ効能に着目したサプリメントが長年親しまれており、「健康長寿」を目指す日本において、近年ますます注目を集める成分です。コラーゲンを摂取しても「効果を実感できない」と感じる方もいますが、コラーゲンの効果を実感する上でとても重要なポイントがあることを皆さんはご存知でしょうか?
この記事では、コラーゲンおすすめの摂取方法など、コラーゲンを活用する上で重要なポイントを詳しく解説します。
コラーゲンの基本情報をおさらい
コラーゲンとは、私たちヒトの体を作るたんぱく質のうち、全体の約30%を占めるたんぱく質の一種で、多くのアミノ酸が連なって構成される物質であり、体の組織を支える重要な働きをすることが知られています(1)。
しかし、加齢に伴いコラーゲン生成量は減少することが知られており、80歳前後では20歳前後と比べ75%減少するとも考えられています(2)。コラーゲンが短く分解されたコラーゲンペプチドの摂取は、健康的な肌や関節の維持に有用であることが示唆されています(3)。そのため、高齢化社会となっている日本では、コラーゲンサプリメントは近年ますます注目を集めています。
<コラーゲンの詳細>
コラーゲンの効果はある?:実例に基づく美容と健康への貢献
コラーゲンペプチドとは?肌に良いコラーゲンペプチドの働きと効果を解説
コラーゲンサプリメントに期待される効果は?研究報告されている効果を解説!
コラーゲンサプリメントの摂取により、肌のハリや関節の保護に期待される効果があります。
1. 肌ハリや皮膚の弾力性を維持する
コラーゲンは皮膚の弾力性の維持、特に水分量保持において優れた効果を発揮することが多くの研究により示唆されています。
40〜59歳の日本人女性をコラーゲンペプチド摂取グループとプラセボグループに分け、毎日10g、8週間にわたり摂取してもらった後の皮膚の状態を比較した研究では、コラーゲンペプチド摂取グループがプラセボと比べて有意に皮膚水分量が多かったことが報告されています(4)。
また、皮膚の老化に対する効能を調べるため、コラーゲンペプチド摂取グループとプラセボグループに、1日10gを12週間摂取してもらい、加齢に伴い減少していくことが知られる真皮のコラーゲン層密度を比較する研究も行われました。その結果、摂取開始後4週間ですでにコラーゲンペプチド摂取グループの真皮コラーゲン層密度が有意に高くなり、12週間後も継続して有意差が確認されました(4)。
多くの研究から、コラーゲンペプチドの摂取は、健康的な皮膚を保つ上で重要な役割を果たすと考えられています。
2. 関節を保護する
コラーゲンは関節保護にも重要であることが分かっており、膝関節炎の痛みなどにも有効であることが研究により示唆されています。
変形性膝関節症に対するコラーゲンの効能を調べた多くの研究が、コラーゲンの効能を支持する報告をしてきており、さらにこれらの複数の研究データを俯瞰的に解析する「メタ解析」という手法を用いた研究でも、変形性膝関節症の症状を評価する指標であるWOMACスコア、患者自身が評価する痛みの指標であるVASスコアの両方が、コラーゲンサプリメントの摂取により有意に改善していたと報告されています(5)。
コラーゲンは体内で分解されると効果がない?消化されたコラーゲンが効能を示す仕組みを解説!
「コラーゲンを摂取しても分解されたら効果がないのでは?」「コラーゲンの効果は嘘?」という疑問を持つ方も多いかと思います。しかし実際にはその逆で、コラーゲンは体内で分解されることが重要であると考えられています。
上で少し触れたように、コラーゲンを経口摂取すると、私たちの体が持つ酵素によりコラーゲンは加水分解されて、より分子量(分子サイズ)の小さなコラーゲンペプチドが作られます。たんぱく質の分子量を表すDaという単位で比較すると、コラーゲン(例:食品に含まれるコラーゲン)の状態では約300,000Daほどであるのに対し、このコラーゲンが体内の酵素によりコラーゲンペプチドへ加水分解されると、約1,000〜8,000Da程度のサイズまで小さくなると知られています(6)。
コラーゲンペプチドは、この小さなサイズで血液に運ばれて体内を巡り、必要な組織で再びコラーゲンを形成するための材料となることで、健康的な組織を維持することに貢献すると考えられています(7)。
また、体内で実際に働く分子サイズに近い小さなコラーゲンペプチドを摂取すると、より吸収性が高くなるなど、多くの利点があると示唆されています(8)。そのため、コラーゲンは体内で分解されても効果がなくなるわけではなく、むしろ分解された状態で有用な働きをすると考えられています。
コラーゲンを摂取しても効能が実感できない場合の原因は?
この項目では、コラーゲンサプリメントを効果的に摂取する上で見落としてしまいがちなポイントを解説します。「コラーゲンサプリメントを摂取したのに効果が実感できない……」と感じる方は、以下のポイントのいずれかを見落としてしまっている可能性が高いため、これらのポイントを押さえた上で摂取することが推奨されます。
原因1. 期待する効能に合ったコラーゲンのタイプを選ばない
実は哺乳類が持つコラーゲンには、Ⅰ型コラーゲンからXXVⅢ型コラーゲンまで28種類ものタイプが存在することが知られています(6)。
体内に最も多く存在するタイプであるⅠ型コラーゲンは、真皮や骨、腱など幅広い組織の形成を支えます。一方で、Ⅱ型コラーゲンは軟骨の形成に偏っており、コラーゲンはそのタイプによって体内での役割が異なっていると考えられています。肌のハリや美肌を重視している方に、Ⅰ型コラーゲンを補充するのはおすすめです。
そのため、期待する効能に近い働きをするコラーゲンのタイプを選ぶことが有効的であると考えられます。
原因2. 目的に合った動物由来のコラーゲンを選ばない
現在食品やサプリメントに用いられているコラーゲンは、主に牛や豚が供給源となっています(9)。牛や豚由来のコラーゲンは、供給が安定しており比較的安価であることや、ヒトに対する研究が多く生体適合性の高い製品が多いなどのメリットがあります。
また、近年は魚由来のコラーゲンが研究の場で注目を集めており、魚由来のコラーゲンペプチドに抗炎症作用があることを示唆する研究報告や、魚由来のコラーゲンペプチドが豚由来のものと比べて、血中濃度に反映されるペプチド量が多いことを示する研究報告などがされています(10)。吸収率を重視する方には魚由来のコラーゲンペプチドがおすすめです。
ただし、特定の肉類や魚介類にアレルギーがある方は、コラーゲンの由来を確認することが重要です。そのため、どの動物由来のものを摂取するのかも、また重要となります。
原因3. 吸収しやすい分子量が小さなコラーゲンペプチドを服用しない
私たちの体内を循環するコラーゲンペプチドの分子量(分子サイズ)は1,000〜8,000Da程度であり、この分子量(分子サイズ)に近い小さなコラーゲンペプチドを摂取すると、より吸収性が高くなるなど多くの利点があると考えられています(8)。
ヒトを対象としたコラーゲン摂取による皮膚への効能を調べる多くの研究でも、コラーゲンペプチドを服用するよう研究がデザインされ、効能が確認されています(4)。そのため、体内で実際に働くサイズに近く、吸収性が高いと考えられる1,000Da前後の小さなコラーゲンペプチドを用いたサプリメントを摂取すると、より効果的であると考えられます。
こちらもご参考に:kコラーゲンの効果が現れるのはいつから?コラーゲンの効果と継続的な摂取が重要である理由を解説!原因4. 1日あたり5g以上のコラーゲンペプチドをしっかり摂取しない
コラーゲンペプチドは、摂取量の増加によって摂取後の血中濃度も高くなることや、摂取量が少なすぎると血中濃度が変化しないことが確認されており、十分な量のコラーゲンペプチドの摂取を継続することが非常に重要と考えられています(11)。
コラーゲンペプチドの効能を調べたヒトを対象とした研究では、多くの場合、コラーゲンペプチドを1日5〜10g摂取することで効果が確認されています(4)(5)。そのため、研究と同様に1日あたり5〜10g程度のコラーゲンペプチドを継続して摂取することが推奨されます。
原因5. コラーゲンサプリメントの摂取を継続しない
ヒトを対象とした多くの研究において、コラーゲンサプリメントの効果は、8週間以上継続して摂取することで確認されています(4)(5)。
コラーゲンサプリメントの効果を実感するためには、一時的なコラーゲンペプチドの血中濃度の上昇だけではなく、継続した摂取による組織への影響が重要となります。そのため、即効性を期待するのではなく、ヒトを対象とした研究のデザインと同様、数ヶ月単位でコラーゲンサプリメントを摂取すると有効的と考えられます。
コラーゲンサプリメントの効果を実感できるため、8週間以上継続して摂取することがおすすめです。
原因6. ビタミンCなど他の栄養素もしっかり摂取しない
肌の老化に対する効能を期待する場合、ビタミンCもしっかり摂取すると、より効能を期待できることが研究により示唆されています。ビタミンCは、体内を循環するコラーゲンペプチドからコラーゲンを作る酵素の働きを安定化すると考えられています。
ヒトの細胞を用いた実験で、ビタミンCの量を増やすことで用量依存的にⅠ型コラーゲンの生成量が増加した結果が報告されています(12)。肌や関節の保護だけでなく健康にも重要であるため、他の栄養素もバランスよく摂取することは大切です。
おすすめのコラーゲン摂取方法のまとめ
本記事の内容をまとめると、コラーゲンサプリメントを摂取する上では、
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① コラーゲンサプリメントは8週間以上継続して摂取する
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② コラーゲンペプチドを1日あたり5g以上摂取できるものを選ぶ
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③ 期待する効能に合ったタイプのコラーゲンを選ぶ
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④ コラーゲンだけでなく他の栄養素もバランス良く摂取できる健康的な食生活を送る
が重要なポイントであると考えられます。
また近年はサプリメントだけでなく、肌への効能をより高めることを目的としたコラーゲンクリームなどの製品も注目を集めています。
重要なポイントを押さえながらコラーゲン製品を利用し、健康的な生活を送ることが、期待する効能を得る上でも大切であると考えられます。