成分ガイド

コラーゲンの効果が現れるのはいつから?コラーゲンの効果と継続的な摂取が重要である理由を解説!

監修者 中島 菓 医師 公開日:2024-11-25 最終更新日:2024-11-25

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コラーゲンの効果が現れるのはいつから?コラーゲンの効果と継続的な摂取が重要である理由を解説!

監修者中島 菓 医師 公開日:2024-11-25 最終更新日:2024-11-25

コラーゲンは、健康的な肌や関節を維持する効能があるとされ、長年健康食品・サプリメントとして親しまれていますが、皆さんはコラーゲンがどのような物質かをご存知でしょうか?日々の生活の中でも身近なものであるコラーゲンには、意外と知られていないことが多くあります。また、コラーゲンの摂取を検討するときに、「コラーゲンの効果はいつから出るんだろう?」という疑問を持つ方は多いかと思います。

そこでこの記事では、コラーゲンの基本情報から、効能に関する研究報告、どのくらいの期間で効果が現れるか、効果を実感するために重要な摂取方法など、コラーゲンの情報を詳しく解説します!

コラーゲンってなに?コラーゲンの基本情報を解説!

コラーゲンの基本情報:たんぱく質の一種

コラーゲンとは、私たちヒトの体を作るたんぱく質のうち、約30%を占めている全身の組織に含まれるたんぱく質の一種で、細胞外基質として体内で重要な働きをすることが知られています(1)。コラーゲンは、体の組織を支える重要な役割を果たすと考えられており、皮膚の老化は、酸化作用や紫外線の影響、ストレスや食生活の乱れなどにより、皮膚のコラーゲン量が減少することが要因となっていると考えられています(2)

実はコラーゲンには、I型(1型)からXXVⅢ型(28型)まで、28種類もタイプがあることが知られており、その中でもヒトの体の中で最も多いⅠ型コラーゲンは、皮膚や靭帯、角膜などの組織を支えるとともに、軟骨の形成にも役立つことが報告されています(3)

コラーゲンはアミノ酸がいくつも繋がった物質で、I型コラーゲンは数珠つなぎのアミノ酸が3本絡まった三重螺旋構造をしているほか、タイプによってコラーゲンの形はさまざまであることも知られています。

コラーゲンとよく似た物質として知られるゼラチンは、コラーゲンの構造が解れたものを指しており、コラーゲンと同様にアミノ酸が連なった物質です(4)。ゼラチンはコラーゲンを加熱することで作ることができ、加工しやすいため、加熱工程が必要な場合が多い食品加工でよく利用されています。

 

コラーゲンとコラーゲンペプチド

健康食品・サプリメントで用いられる「コラーゲン」という言葉は、実際にはコラーゲンがヒトの体が持つ酵素により加水分解された「コラーゲンペプチド」の摂取を期待する言葉として用いられることが多いとされています(5)

「ペプチド」は、たんぱく質よりも短い、2〜50残基ほどのアミノ酸が繋がった分子を表す言葉です。「コラーゲン」サプリメントを摂取すると、体内の酵素によりコラーゲンはコラーゲンペプチドへ分解された後、体内を循環し、コラーゲンが必要な組織で再びコラーゲンを形成するための材料となることで、健康的な組織の維持に貢献すると考えられています。

<コラーゲンペプチドの紹介>
コラーゲンペプチドとは?肌に良いコラーゲンペプチドの働きと効果を解説  

 

コラーゲンを摂取すると本当に体内のコラーゲンペプチドは増える?

コラーゲンの摂取を検討する方の多くが、「本当にサプリメントを摂取すると体内のコラーゲンは増えるの?」という疑問を持つかと思います。その疑問を実際に調べた研究により、摂取した量に依存して血中のコラーゲンペプチド量も増えることが報告されています​。

平均年齢27歳、平均体重65.0kgの男女両方を含む被験者たちに、コラーゲンペプチドを2g、10g、25gの3つの用量で摂取してもらい、血漿中のコラーゲンペプチド量の変化を調べた研究では、コラーゲンペプチドの摂取用量が多いほど血漿中のコラーゲンペプチド量が大きく増加した結果が得られ​ています​(6)

また、コラーゲン以外のたんぱく質に含まれることが少ないアミノ酸として知られるヒドロキシプロリン(Hyp)に着目した研究でも、コラーゲンペプチドを摂取した被験者の血中Hyp量が、摂取から30〜60分で増加し、60分〜120分後にはピークを迎えることが確認されました(7)

この他にも多くの研究により、コラーゲンペプチドを摂取すると体内のコラーゲンペプチド量が増えることが支持されています(8)

 

コラーゲンの効果を研究報告に基づいて解説!

コラーゲン(コラーゲンペプチド含む)の経口摂取による効能を調べた研究報告をまとめると、コラーゲンの摂取には​主に次の2つの効能があると考えられています

 

⒈ 皮膚の弾力性を維持する

コラーゲンペプチドは、皮膚の弾力性の維持、特に水分量保持において優れた効果を発揮することが、多くの研究により示されています。

40〜59歳の日本人女性33人を対象に、プラセボグループ(11人)、魚由来コラーゲンペプチド摂取グループ(11人)、豚由来コラーゲンペプチド摂取グループ(11人)の3つのグループに分け、毎日10gずつ、8週間にわたり摂取してもらい、皮膚の水分量の変化を比較する研究が行われました。

その結果、8週間後にはコラーゲンペプチドを摂取した両方のグループで、プラセボと比べて有意に皮膚水分量が増加したことが報告されています(9)

また、皮膚の老化に対する影響を調べるため、プラセボグループ(48人)とコラーゲンペプチド摂取グループ(51人)に、12週間1日10gを摂取してもらい、加齢に伴い減少していくことが知られる、真皮のコラーゲン層密度を測定する研究も行われました。その結果、摂取開始後4週間ですでにコラーゲンペプチド摂取グループで有意に真皮のコラーゲン層密度が高くなり、12週間後も継続して有意差が確認されました(9)

これらのヒトを対象とした研究の結果から、コラーゲンやコラーゲンペプチドの摂取は、健康的な皮膚を保つ上で重要な役割を果たすと考えられています。

 

⒉ 関節を保護する

コラーゲンは軟骨の形成にも重要であることが分かっており、膝関節炎の痛みなどにも有効であることが研究により示唆されています。

関節疾患の中で特に多いとされる変形性膝関節症に対するコラーゲンサプリメントの効能は、これまで非常に多くの研究により調べられてきました。

これらの多くの研究がコラーゲンの効能を支持する報告をしてきましたが、さらにこれらの複数の研究データを俯瞰的に解析する「メタ解析」という手法により、コラーゲンサプリメントの効能の信頼性をより深く検証する研究が行われました。

その結果、変形性膝関節症の症状を評価する指標であるWOMACスコア、患者自身が評価する痛みの指標であるVASスコアの両方が、コラーゲンサプリメントの摂取により有意に改善したという解析結果が得られ、コラーゲンやコラーゲンペプチドの効能を強く示唆する結果が報告されました(10)

このような多くの研究により、コラーゲンペプチドの関節を保護する効能は支持されています。

<コラーゲンの効果>
コラーゲンの効果はある?:実例に基づく美容と健康への貢献

 

コラーゲンの効果はいつから出る?

コラーゲンサプリメントは即効性のある成分ではないため、摂取しても肌への効果がすぐに現れるわけではありません。上記のヒトを対象とした研究の結果から、コラーゲンサプリメントを摂取した際の効果は、8週間以上継続して摂取することで確認されることが分かります。

コラーゲンペプチドの血中量が増えるのは1時間程度ですが、効能を実感する上では、一時的な血中濃度の上昇だけではなく継続した摂取による組織の変化が重要であるため、ヒトを対象とした研究のデザインと同様、数ヶ月単位での摂取を想定すると有効的と考えられます。

8週間以上、コラーゲンサプリメントを継続して摂取することでコラーゲンの効果を実感できると考えられます

 

コラーゲンの効果を実感するために効果的な摂取方法は?

これまで述べたように、コラーゲンは、体内で加水分解されてコラーゲンペプチドとなった状態で循環することが知られており、コラーゲンペプチドを効果的に摂取するためには、分子サイズの大きいゼラチンよりも加水分解された小さいコラーゲンペプチドの形で摂取することが効果的であると示唆されています(1)

ペプチドの分子量(分子サイズ)はDa(ダルトン)という質量の単位を基準に考えられることが多いです。加水分解されていないコラーゲン(例:食品に含まれるコラーゲン)の分子量は約300,000Daであるのに対し、ヒトの体内で実際に働くコラーゲンペプチドは約1,000〜8,000Da程度であり、体内で実際に働く分子量に近いコラーゲンペプチドを摂取すると、より吸収性が高くなるなど多くの利点があると考えられています(8)

ヒトを対象とした皮膚への効能を調べた上記の研究でも、分子量の小さいコラーゲンペプチドを服用するよう研究がデザインされ、効能が確認されています

そのため、体内で実際に働くサイズに近く、吸収性が高いと考えられる1,000Da前後の小さなコラーゲンペプチドを用いたサプリメントを摂取すると、より効果的であると考えられます

コラーゲンペプチドの効能を調べたヒトを対象とした研究では、多くの場合、コラーゲンペプチドを1日5〜10g摂取することで効果が確認されています(9)(10)。そのため、同様の摂取量を継続することが推奨されます。

 

コラーゲンの摂取は継続することが重要!

繰り返しとなりますが、コラーゲンのサプリメントによる効能を実感する上で重要なことは、継続して摂取することです。コラーゲンペプチドの血中濃度が上がるには数時間もかかりませんが、組織の安定性に影響を与えるためには8週間ほどの継続した摂取が重要と考えられます

そのため、ヒトを対象とした上で効果が確認された研究を参考に、毎日用量を守って摂取を継続することが推奨されます。

こちらもご参考に:コラーゲンペプチドとは?肌に良いコラーゲンペプチドの働きと効果を解説