エラスチンについて聞いたことはあっても、どのような成分なのかよく知らない方も多いのではないでしょうか。エラスチンは、肌の状態をサポートするたんぱく質で、美肌をはじめとしたさまざまな作用があるとされています。
この記事では、エラスチンの基本的な知識や具体的な効果について詳しくご紹介します。エラスチンの理解を深めることで、効果的なスキンケアや健康管理に活かせるでしょう。
エラスチンとは?
エラスチンとはたんぱく質の1種で、身体のあらゆる組織の構成に関わっていますエラスチンは非常に弾力性が高く、そのことからフィブリリンと共に弾性繊維と呼ばれています(1)。エラスチンの最大の特徴は、優れた弾力性です。組織が伸びた後に元の形状に戻るため肌や血管などの弾力性を保つ役割があるとされています。
人体におけるエラスチンの含有量は、組織によって異なります。とくに多くの割合が含まれている組織は、以下のとおりです。
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動脈
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靭帯
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肺
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皮膚
エラスチンは、加齢によって徐々に減少傾向となります。そのため、肌のたるみや血管の硬化など、加齢にともなうさまざまな身体の変化の一因となっています。
エラスチンと肌ハリの関係は?エラスチンのおもな効果
エラスチンは肌に対して大きな役割があるとされていますが、それ以外にもさまざまな効果が期待されています。ここでは、エラスチンのおもな効果について解説します。
肌のハリや弾力の維持
先ほども解説したように、エラスチンは肌のハリや弾力を維持するための重要な役割があります。エラスチンの弾性たんぱく質を摂り入れることで、肌の弾力性だけでなく、若々しい外見を保ちやすくなるのです。これは、エラスチンが組織のなかに入り込み、細胞間の弾性を高めているからだとされています(1)。
肌のハリや弾力はコラーゲン線維も関与していますが、エラスチンも同じように大切な成分といえるでしょう。このように、肌の若々しさを保つためには、体内のエラスチンを維持することが重要です。
血管の健康維持のサポート
エラスチンは肌だけでなく、血管の健康の維持につながるとされています。動脈硬化とは、動脈の柔軟性が低下して硬くなった状態のことです。エラスチンが動脈硬化の発症を予防する理由として、血管の弾力性を維持する働きがあげられます。
血管にはエラスチンが豊富に含まれており、血液の流れにあわせて伸縮します。この柔軟性によって、血管は血圧の変動に対応し、スムーズな血液循環を維持できるのです。エラスチンによって血管の柔軟性が維持できれば、動脈硬化の発症リスクの低下が期待できます(2)。
生理痛の緩和
エラスチンは、子宮の収縮をサポートして、生理痛の緩和につながるとされています。子宮も血管や靱帯などと同じように、エラスチンが多くの構成割合を占めている組織です(3)。子宮内膜を排出する際に生理中に子宮は収縮をしますが、この際の過度な収縮や硬直が生理痛の原因となります。エラスチンが不足すると子宮の柔軟性が低下し、生理が起こる際の収縮で痛みを感じやすくなるのです。このように、生理痛をやわらげたい方にとっても、エラスチンの摂取は重要といえます。
靱帯の治癒促進
エラスチンは、靱帯の治癒促進につながるとされています。靱帯は関節を安定させる重要な組織ですが、一度損傷すると自然治癒が難しいとされています。しかし、エラスチンの局所的な投与によって、靱帯の修復を促進できる可能性が示されているのです。
実際に動物を対象に、損傷させた靱帯にエラスチンを投与した実験があります。その結果、エラスチンを投与していないグループと比較して損傷部分の治癒促進がみられたとされています(4)。このことから、スポーツによるケガや加齢による靱帯損傷の回復に役立つ可能性があるでしょう。
エラスチンとコラーゲンの違いは?
エラスチンとコラーゲンは、どちらも肌の構造を支える重要なたんぱく質ですが、その役割や特性には大きな違いがあります。まず、エラスチンは肌の弾力性を担う「弾性線維」であり、肌や血管などの組織の柔軟性に関わっている成分です。
一方で、コラーゲンは肌の強度を支える「膠原(こうげん)線維」で、エラスチンのような柔軟性はあまりありません。その代わり肌に外部からの力に耐えられる強さを与える役割があるのです(1)。
このように、エラスチンとコラーゲンには明確な違いがあります。しかし、どちらも肌の健康に欠かせない成分のため、両方をバランスよく維持することが大切です。
肌を構成するエラスチンを摂る方法
ここでは、肌に重要な役割があるエラスチンを摂取する方法について解説します。
エラスチンを直接摂取することは難しいですが、体内でのエラスチン生成を補助してくれたり、分解されないようにしてくれる食べ物をしっかり摂取することがおすすめです。
ビタミンCには、エラスチンの生成を促進させ、分解を防ぐ働きがあるとされています(5)。ビタミンCが方法に含まれている食べ物は、以下のとおりです。
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レモン
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オレンジ
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キウイ
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イチゴ
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ブロッコリー
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パプリカ
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ほうれん草
その他アミノ酸や銅などがエラスチンの保持をサポートしてくれます。このように、エラスチン生成をサポートする効果のある食べ物を積極的に取り入れましょう。
必要に応じてサプリメントの使用を
食事だけでエラスチンを十分に摂取することが難しい場合は、サプリメントの利用もお勧めです。サプリメントであれば、エラスチンを手軽に補給できます。ただし、サプリメントを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
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製品のメーカー
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原材料や成分表示
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平均分子量(DA)
サプリメントの使用によって体調不良をはじめとした健康被害が発生するケースもあります。そのため、信頼できるメーカーか、どのような原材料が含まれているのかをよく確認しておくことが重要です。エラスチンだけでなくコラーゲンも含まれている場合、平均分子量もチェックしておきましょう。
一般的に、分子量が小さいほど体内への吸収率が高いとされています。例として、コラーゲンを細かくした「コラーゲンペプチド」の平均分子量は、1,000以下とされています(6)。
エラスチンの働きをサポートする生活習慣
エラスチンの効果を最大限に引き出すには、適切な生活習慣が欠かせません。生活習慣を整えるには、以下のポイントを心がけてみましょう。
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十分な睡眠時間の確保
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適度な運動
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ストレス管理
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禁煙
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紫外線対策
睡眠は、体調や肌の状態を整えるうえで欠かせないものです。適切な睡眠時間は、6〜8時間が理想的とされています(7)。適度な運動は血行を促進させ、皮膚や血管に酸素や栄養を届けやすくします。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を自分のペースで、1回20分程度行うとよいでしょう(8)。
また、過度のストレスは体内のホルモンバランスを崩し、エラスチンの生成を妨げる可能性があります。趣味の時間を持つ、友人と会話するなど、自分にあったストレス解消法を見つけることが大切です。喫煙や過度な紫外線も、エラスチンが壊れてしまう原因となります。禁煙を心がけつつ、外出時には日焼け止めを使用して、エラスチンを守る意識を持ちましょう。
エラスチンを意識した生活を取り入れよう
エラスチンは、肌のハリや弾力を保つ重要なたんぱく質です。お肌の健康だけでなく、動脈硬化の予防や生理痛の軽減など、さまざまな作用があるとされています。エラスチンを効果的に摂るには、魚や肉などを取り入れつつ、必要に応じてサプリメントの利用も検討してみてください。さらに睡眠や運動などの健康的な生活習慣を心がけることも重要です。ぜひ今回の記事を参考にして、健康的な肌を目指してみましょう。