成分ガイド

善玉菌を増やす食べ物10選!腸内環境を整えて健康維持に役立てよう

監修者 端場 愛 管理栄養士 公開日:2024-09-09 最終更新日:2024-09-27

成分ガイド

善玉菌を増やす食べ物10選!腸内環境を整えて健康維持に役立てよう

監修者端場 愛 管理栄養士 公開日:2024-09-09 最終更新日:2024-09-27

私たちの健康維持に、腸が関わっているのはご存知でしょうか。腸内には約1000種類、100兆個もの細菌が住み着いています。(1)

これらの細菌は体によい働きをするものもあれば、健康に悪影響を及ぼすものもあるのです。後者のような腸内細菌が増えれば、免疫力が低下しさまざまな感染症にかかりやすくなるなど、健康的に過ごせなくなる恐れがあります。毎日を健康に過ごすためには日々の食事から善玉菌を摂取したり、善玉菌をサポートする成分を摂取しなければなりません。今回は善玉菌が体にもたらす影響や、善玉菌を増やすためのポイントを紹介します。

善玉菌とは何か?

善玉菌とは腸内に生息する、体によい働きをする細菌のことを言います。主にビフィズス菌や乳酸菌などが善玉菌と呼ばれています。善玉菌はウェルシュ菌などの悪玉菌の増殖を抑制する働きがあり、健康的な腸内を保つためには善玉菌の数を優勢にさせることが大切です。もし悪玉菌が増殖すると、腸内に有害物質が発生し、生活習慣病や発がん性物質の生産などのリスクを高めてしまいます。(1)

なお、腸内には善玉菌、悪玉菌だけでなく、その時々の腸内環境によって働きが変わる日和見菌(ひよりみきん)が住み着いています。これら3つの菌の理想的な割合は善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1と言われており、日和見菌を善玉菌の味方につけることが、健康を保つために重要です(2)。もし腸内環境に、善玉菌と悪玉菌の比率バランスが崩れた時、お体に悪影響に及ぼす可能性がありますから、善玉菌を増やすには毎日の食事と良い生活習慣に工夫しましょう。

関連記事:
プロバイオティクスの効果は?薬剤師がメリットと選び方を説明
乳酸菌の効果は?腸に良くて効果的な摂取方法を薬剤師が解説

 

善玉菌と健康効果

善玉菌には以下のような健康効果が期待できます。

  • 免疫機能を高める

  • 発がん性物質産生を抑制

  • 自律神経を安定させる

  • 美肌
     

免疫機能を高める

腸内には免疫機能の60%以上が集まっており、善玉菌を優勢にさせることで免疫機能を高められます。食中毒菌やさまざまな病原菌の感染を防ぐ効果もあり、健康な毎日を過ごすには善玉菌の力が必要です。
 

発がん性物質産生を抑制

悪玉菌が優勢になると発がん性物質を産生し、大腸がんの発症にも関係していると言われています。(1)大腸がんは男女ともに罹患数・死亡数が多い病気のため、善玉菌を優勢にして大腸がん発症を防ぐことは重要であると言えるでしょう(3)
 

自律神経を安定させる

腸では自律神経を安定させるホルモン「セロトニン」が生産されています。セロトニンが不足すると自律神経が乱れ、気分の乱れや睡眠不足を招く原因となるのです。自律神経が乱れた状態が長く続くと、うつ病など精神疾患を招きかねません。

また、セロトニンは日中に光を浴びることで、睡眠を導入するメラトニンに変化します。(4)睡眠不足の状態は自律神経が乱れる大きな原因となるため、腸内環境を整えてセロトニンをしっかりと生産させましょう。

 

美肌

悪玉菌が優勢になると、腸内に腐敗物質が増えてしまいます。腐敗物質は腸壁から再吸収され、血流に乗って全身を巡ることから、肌荒れの原因となるのです。つまり、悪玉菌を抑制し善玉菌を優勢にさせることが、美肌につながります。

 

善玉菌を増やす食べ物の特徴

善玉菌を増やす食べ物は、主に以下の2種類があります。

  • プロバイオティクス(善玉菌)を含む食べ物

  • 善玉菌のエサになる食べ物

 

食品自体にプロバイオティクス(善玉菌)を含むものは、主に発酵食品です。また、善玉菌のエサになる食べ物は、食物繊維やオリゴ糖が該当します。では、具体的にどんな食品を食べれば善玉菌を増やせるのか、次章で紹介します。

(以下各食品について、善玉菌との関係、おすすめの摂取方法や料理コツを説明)
 

善玉菌を増やす食べ物10選

善玉菌を増やすために有効な食べ物は、主に以下の10種類があります。

  1. ヨーグルト:善玉菌

  2. 味噌:善玉菌とオリゴ糖

  3. キムチ:善玉菌と食物繊維

  4. 納豆:善玉菌と食物繊維

  5. 甘酒:オリゴ糖とレジスタントプロテイン

  6. バナナ:オリゴ糖と食物繊維

  7. 玄米:食物繊維

  8. きのこ類:食物繊維

  9. たまねぎ:オリゴ糖と食物繊維

  10. アスパラガス:オリゴ糖と食物繊維

それぞれの食べ物の摂取方法や料理のコツなどをお伝えします。
 

ヨーグルト

善玉菌を増やす食べ物:ヨーグルト
  • おすすめの摂取量:100g/日
  • 料理のコツ:水溶性食物繊維を含む果物と合わせたり、オリゴ糖をかけたりする

ヨーグルトは代表的なプレバイオティクスのひとつ。ビフィズス菌やブルガリクス菌などの乳酸菌が含まれており、整腸作用に役立ちます。生きて腸に届くものもありますが、もし生きて腸に届かなくても、善玉菌のエサになるなど、腸に有益な効果をもたらすため、積極的に食べるにおすすめな食品です。
 

味噌

善玉菌を増やす食べ物:味噌
  • おすすめの摂取量:大さじ1杯/日
  • 料理のコツ:風味が飛ぶので火を通しすぎない

味噌は日本の伝統的な発酵食品です。味噌には乳酸菌や大豆由来のオリゴ糖など、腸内環境の改善に役立つ成分が含まれています。毎日1杯の味噌汁を飲むと、味噌の腸活効果が得られるだけでなく、野菜の食物繊維も同時に摂取でき、より腸内環境改善に役立つでしょう。
 

キムチ

善玉菌を増やす食べ物:キムチ
  • おすすめの摂取量:50g/日(小鉢1杯程度)
  • 料理のコツ:できるだけ火を通さない

キムチは乳酸菌発酵により作られます。乳酸菌の効果を得たいなら、できるだけ火を通さずそのまま食べられる料理がおすすめです。ただし、ヨーグルトと同じく乳酸菌が死んでしまっても、善玉菌のエサになるため無意味ではありません。白菜などの食物繊維も同時に摂取できるため、体の中からキレイになれそうな食品です。
 

納豆

善玉菌を増やす食べ物:納豆
  • おすすめの摂取量:1パック(40g)/日
  • 料理のコツ:そのまま食べる、キムチやもずくなどと合わせる

納豆は納豆菌という非常に強い菌を含む発酵食品です。善玉菌を増やす手助けをし、腸内環境維持に役立ちます。納豆菌は熱に強く、加熱調理しても生き残ると言われているため、そのまま食べるだけでなく、さまざまな調理法でも楽しめるでしょう。
 

甘酒

善玉菌を増やす食べ物:甘酒
  • おすすめの摂取量:コップ1杯(100~200ml)/日
  • 料理のコツ:そのまま飲む

甘酒は米を発酵させる、あるいは酒粕を溶かして砂糖を加えて作る、日本の伝統的な飲み物です。善玉菌のエサになるオリゴ糖を含むほか、食物繊維と同様の働きをするレジスタントプロテインが含まれています。つまり甘酒に含まれるオリゴ糖による、善玉菌を増やすことはできます。なお、レジスタントプロテインは酒粕タイプの甘酒のみに含まれていますが、アルコールを含むため飲む人を選ぶというデメリットもあります。
 

バナナ

善玉菌を増やす食べ物:バナナ
  • おすすめの摂取量:1本/日
  • 料理のコツ:そのまま食べる、ヨーグルトと合わせる

バナナにはオリゴ糖や食物繊維が含まれています。どちらも善玉菌のエサになる食べ物で、ヨーグルトなどのプレバイオティクスと一緒に食べると、腸内環境改善に役立ちます。
 

玄米

  • おすすめの摂取量:お茶碗1杯(150g)~3杯/日
  • 料理のコツ:玄米ご飯、玄米の炊き込みご飯

玄米には食物繊維やビタミン類などが含まれており、腸活にぴったりな食材です。玄米は白米よりも水を吸いにくいため、4~5時間ほど浸漬させるとふっくら炊けます。玄米の風味が苦手な場合は、炊き込みご飯にするのもよいでしょう。
 

きのこ類

善玉菌を増やす食べ物:きのこ
  • おすすめの摂取量:100g(1パック分)/日
  • 料理のコツ:炒める、煮る、焼く

きのこ類は食物繊維やビタミンDを豊富に含みます。きのこ類は複数の種類を混ぜて使っても構いません。和洋中、どんな料理にも合うので、積極的に取り入れてみましょう。
 

たまねぎ・アスパラガス

善玉菌を増やす食べ物:アスパラガス
  • おすすめの摂取量:たまねぎ・アスパラガスを含めた野菜を350g/日
  • 料理のコツ:加熱調理がおすすめ

たまねぎやアスパラガスには、善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維が含まれているのが特徴です。どちらも加熱調理することで食べやすくなるだけでなく、細胞が壊れて栄養素を吸収しやすくなります。また、野菜全般に言えることですが、加熱調理によりカサが減るため、生野菜よりも多くの量が食べられるようになります。
 

善玉菌を増やす食べ物が含まれたレシピを紹介

ここでは善玉菌を増やす食べ物を使った、おすすめレシピを紹介します。

甘酒ヨーグルト

材料(1人分)

  • 甘酒:150ml
  • ヨーグルト:100g
 

作り方

  • 甘酒とヨーグルトをミキサーにかけてよく混ぜる。
 

ポイント

  • お好みでバナナを入れても美味しくなります。
  • 甘酒のブドウ糖が脳を目覚めさせるので、朝食に取り入れるのがおすすめです。

 

キムチ納豆冷奴

材料(1人分)

  • 豆腐:150g
  • 納豆:1パック
  • キムチ:20g
  • ごま油:適量
 

作り方

  1. キムチはざく切りにしてから、納豆と混ぜ合わせる。
  2. 豆腐の上に1を乗せ、ごま油を回しかける。
 

ポイント

  • 豆腐のオリゴ糖、キムチと納豆の善玉菌により腸活をサポートします。乳酸菌サプリメントの活用

 

 

乳酸菌サプリメントの活用

忙しくてどうしても食事内容を考える時間がない場合や、食欲がないときなどは、乳酸菌サプリメントを活用するのもよいでしょう。手軽に乳酸菌を補給でき、腸内環境改善に役立てられます。ただし「腸活の基本は食事から」を念頭に置いて、あくまでも一時的な補助食品として、サプリメントを活用するようにしましょう。