成分ガイド

乳酸菌の効果は?腸に良くて効果的な摂取方法を薬剤師が解説

監修者 木村 彩香 薬剤師 公開日:2024-08-08 最終更新日:2025-01-10

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乳酸菌の効果は?腸に良くて効果的な摂取方法を薬剤師が解説

監修者木村 彩香 薬剤師 公開日:2024-08-08 最終更新日:2025-01-10

テレビなどでよく聞く乳酸菌。体にいいことは知っていても、なぜ体にいいのか、どのように摂取すればいいのかを知らない人が多いのではないでしょうか?

乳酸菌は悪玉菌が増えることを抑制して、腸内環境を整える働きがある微生物のことをいいます。(1)

腸内環境が整うと便通が改善するだけでなく、免疫力が向上したり、アレルギー症状が緩和したり、コレステロール値が下がったり、メリットがたくさんあります。

最近ではメタボリックシンドロームに対しても乳酸菌がいいのではないか、と研究が進められています。(3)

本記事では、乳酸菌のもたらす効果や乳酸菌が含まれるおすすめの食品を紹介します。乳酸菌をうまく取り入れて、健康な毎日を送りましょう!

乳酸菌とは?善玉菌ですか?

乳酸菌とは、ヒトの腸内に住んでいる「善玉菌」の一種です

ヒトの腸内には約1000種類、100兆個の細菌が住んでいます。

菌の種類は「善玉菌」、「悪玉菌」、どちらでもない菌の3種類があります。悪玉菌が悪者と考えられがちですが、悪玉菌そのものよりも腸内に存在する菌のバランスを保つことがとても大切です。(2)

悪玉菌は偏った食生活やストレス、睡眠不足などで増えて、便秘などの体調不良を引き起こします。

一方で、善玉菌は腸内環境(腸内フローラ)を整える働きがあります。健康的な食事と睡眠、ストレスの少ない生活を送ると腸内バランスは保てます。

しかし、現代の人々は仕事や家事、育児などでストレスも多く、睡眠不足の人も多いでしょう。

忙しいとついつい外食が増えて、栄養バランスが偏ることも。そんなときに、乳酸菌の摂取がおすすめです。

医学の父ヒポクラテスは「すべての病気は腸から始まる」という格言を残しているほど、腸内環境(腸内フローラと呼ばれます)と病気は密接な関わりがあります。

腸内環境を整えることは、とても大事です。乳酸菌は手軽に摂取できるので、腸内環境を整えるために試してみてはいかがでしょうか

 

乳酸菌の健康効果

乳酸菌の健康効果と聞いて、どういったものを思い浮かべますか?

腸内環境の改善効果は、もっともよく知られる乳酸菌の健康効果です。便秘にも下痢にも効果が期待でき、便通に関するあらゆる悩みを改善してくれる働きがあります。

そのほかには、免疫力の向上、アレルギー症状の緩和、動脈硬化の予防、血圧やコレステロール値の改善、抗腫瘍効果など、幅広い健康効果が期待できます。(2)

さらに最近では、肥満の方は腸内フローラが乱れていることがわかってきており、肥満への効果も研究が進められています。(3)

便通に問題がなくても、乳酸菌は健康のために摂取して損はないでしょう。

※基礎疾患がある人は、医療機関に通ってしっかり医師に診てもらうことが大事です。乳酸菌は病気の治療ではなく、あくまでサポートとして摂取するという認識でいましょう。

 

乳酸菌は死菌しても効果がありますか?

乳酸菌は口から摂取すると、強力な酸が含まれる胃を通過して、腸まで到達しなければなりません。

しかし、一部の乳酸菌は胃酸や胆汁酸によって死滅してしまいます。(死滅せずに腸まで届く乳酸菌もいます。)

死滅してしまった菌に、健康効果はあると思いますか?答えは「死滅した菌でも健康効果があります」。(4)

研究によると、生菌と死菌の両方に健康効果があることがわかっています

生菌は腸内で増殖して、乳酸や酪酸をつくり、善玉菌を増やす働きがあります。一方で、死菌には菌体そのものや菌体外に放出された生産物に、健康によい成分が含まれることがわかっています。

死菌は、血圧やコレステロール値を下げる効果があります。

 

乳酸菌の含有食品は?

ヨーグルト

乳酸菌を含む食べ物と聞いて、思い浮かぶものは何がありますか?ヨーグルトやチーズ、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品には乳酸菌がたくさん含まれています。

毎日発酵食品を食べるように心がけるとよいでしょう。

食べ物から摂取することが難しい場合は、乳酸菌飲料を飲んでもよいです。

ただし、いくつか注意があります。乳酸菌飲料でも甘いものは砂糖が多く含まれており、飲みすぎると糖尿病や肥満の原因になります。

できるだけカロリーが低いものや砂糖不使用のものを選びましょう。また、たまに乳酸菌飲料が好きだからと何本も飲まれる方がいますが、何本も飲むとカロリーが高くなります。

1日に飲む量は1本程度に抑えておきましょう。

カロリーや糖分が気になる方は、乳酸菌飲料よりもサプリメントで摂取することを推奨します。

どこでも手軽に摂取できて、外出や旅行にも持っていきやすいですよ。
関連記事:善玉菌を増やす食べ物10選!腸内環境を整えて健康維持に役立てよう

 

乳酸菌とプロバイオティクスの違い?

プロバイオティクスとは、フラー博士(1989)により「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義されています。(5)

プロバイオティクスには「安全性が保証されていること」「もともと腸内に存在していること」などの条件がありますが、一番の特徴は「生きたまま腸に到達できること」です。

乳酸菌もプロバイオティクスの中の一種です。ただし、乳酸菌は生きたまま腸に到達できるものとできないものがあり、そこがプロバイオティクスとの大きな違いになります。(6)

プロバイオティクスは、便秘・下痢の改善や免疫機能の活性化、動脈硬化予防、アレルギーの抑制などの効果があります。

また、最近では肥満・生活習慣病と密接な関係があることもわかってきて、プロバイオティクスの効果については現在も研究が続けられています。(6)

最近では、プロバイオティクスのサプリもドラッグストアで出てくるようになりました。

日本よりも健康志向・予防意識が高い欧米では以前からプロバイオティクスに注目が集まっており、今後日本でもさらに人気が出ると予想しています。 

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まとめ

今回は乳酸菌がもたらす健康効果を紹介しました。

腸内環境を整えることは便通改善だけでなく、免疫機能の向上・アレルギー症状の緩和・コレステロール値の低下などに役立ちます。よく風邪をひく虚弱体質の人、花粉やハウスダスト等に敏感なアレルギー体質の人など、病気とまではいかなくてもどこか不調を感じたら、腸内細菌に注目してみましょう。

意外と腸内が荒れているから、不調が出ているのかもしれませんよ。

また、摂取方法はヨーグルトや納豆、キムチ、チーズなどの発酵食品を食事で摂るようにしましょう。

発酵食品を食べる習慣が身につけば、便秘や下痢の改善も期待できます。食事で摂取が難しい人は、乳酸菌飲料やプロバイオティクスのサプリを試してみてもいいかもしれません。

乳酸菌を使った健康対策は、誰でも簡単に続けることができます。ぜひ、今日から試してみてくださいね。

参考資料:
  1. 乳酸菌」/ 厚生労働省
  2. 腸内細菌と健康」 / 厚生労働省
  3. プロバイオティクス細菌による血中脂質改善作用」/ 腸内細菌学雑誌24 : 281–286,2010
  4. 殺菌された乳酸菌の働き」/ 生物工学会誌 第97巻 第7号
  5. 「プロバイオティクス」って何?」/ ヤクルト中央研究所
  6. プロバイオティクス」/ 公益財団法人 腸内細菌学会