食生活のサポート

マカのおすすめの選び方を解説!糊化されたマカが効果的!

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-05-29 最終更新日:2024-12-16

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マカのおすすめの選び方を解説!糊化されたマカが効果的!

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2024-05-29 最終更新日:2024-12-16

マカ(学名:Lepidium meyenii walp.)は、ペルーのアンデス高地で数千年前から栽培され、食事としても薬としても活用されてきたアブラナ科の植物です(1)

現地ペルーの公用語の一つであるスペイン語“Maca”がそのまま日本でも親しまれていますが、ペルー人参やアンデス人参とも呼ばれます。マカは滋養強壮剤の代表格として広く知られていますが、マカを効果的に摂取するにはどうすれば良いでしょう?

また、マカの栄養素を効率的に吸収するためにはどのように補給すれば良いでしょう?この記事では、栄養士がマカの効能と、マカの効果的な摂取方法についてご紹介します!

マカの豊富な栄養素と効能

マカの豊富な栄養素

マカは標高4,000m以上もあるアンデス高地で栽培されてきた植物であり、強い紫外線や寒さ、急激な天候変化に耐えて生育できる植物です(1)。過酷な環境に耐えられるマカには、非常に多くの栄養素が含まれていることが知られています(2)

マカの葉には、食物繊維やビタミン、ミネラル、必須アミノ酸が豊富に含まれています。また、マカの根には、炭水化物(糖類、デンプン、食物繊維など)やミネラルだけでなく、ポリフェノール、必須アミノ酸、脂肪酸、ビタミンC、銅、鉄、カルシウムなど、栄養素が豊富に含まれています。

さらにマカの根には、マカ特有の二次代謝物であるマカミドが含まれており、マカミドは高い抗酸化作用を示すことが報告されています(3)。これらの多様な生物活性物質が含まれていることから、マカは体質を整えることに役立つと考えられています。

マカ特有成分は?
マカエンマカミドはマカにしか含まれていません。マカ特有の成分として知られており、ホルモンバランスを整えたり神経を保護したりなどの働きをもちます。
 

マカの効能に関する研究報告

マカは滋養強壮剤としてよく知られており、健康な成人男性に12週間マカもしくはプラセボを与えて性欲の変化を確認した臨床研究では、マカを摂取したグループの性欲が、プラセボ群に比べて有意に増加したことが報告されています(4)

また、勃起不全(ED)の患者にマカまたはプラセボを12週間与えた比較試験でも、マカを摂取した場合の方が改善効果が有意に高かったことが報告されています(5)

性機能に関する効能以外にも、さまざまな研究により、マカは抗酸化作用、​​抗炎症作用、抗疲労作用、神経保護作用などの幅広い効能を持つことが示されています(6)

さらに最新の報告により、抗菌作用、抗ウイルス作用、内分泌代謝機能促進作用、紫外線保護作用がある他、貧血を改善する効果やガン細胞の働きを抑制する効果なども示唆されています(7)

マウスにマカを摂取させた研究では、持久力や運動機能だけではなく認知機能も向上したことが報告されており、エネルギーを産生するミトコンドリアの働きを促進することで脳の機能にも効能を与えることが示唆されています(8)。その効能の幅広さからマカは非常に注目され研究されている健康食品です。

マカまとめ
マカは「スーパーフード」として知られ、栄養価が非常に高い食品です。アンデス山脈の厳しい環境で育ち、エネルギーや体力増強、ホルモンバランスのサポートに役立つ成分が豊富に含まれています。
参考:マカ完全ガイド!9つのマカ効果、特徴と効率の飲み方をまとめ紹介
 

マカは糊化すると吸収率が上がる!

マカには豊富な栄養素があり、幅広い効能が示唆されていることが分かりましたが、マカを効果的に摂取するためにはどのようにすればよいのでしょうか?ここでは、マカの成分の特徴と、臨床研究や本場アンデス高地の人々により推奨されている摂取方法を解説します!
 

アンデス高地の人々によるマカの摂取方法

マカの主成分は炭水化物で、グルコース(単糖)やスクロース(二糖)などの短い糖鎖のものが約25%、長い糖鎖を持つもの(デンプン)が約30%と、計50%以上を炭水化物が占めています(6)

マカには多くのデンプンが含まれていることから、マカを数千年前から活用してきたアンデス高地の人々は、生のマカを直接摂取するのではなく、水を加えてから加熱する「糊化」の工程を経たものを摂取することを推奨しているとされています(9)。この理由には、マカに含まれるデンプンの形態が主に関連しています。
 

糊化とは?

「糊化」は英語では“gelatinization”と呼ばれるもので、デンプンに水を加えて加熱することで柔らかい糊のような状態にして、デンプンを水や消化液に溶けやすくする工程を表す言葉です(10)

“gelatinization”は「ゼラチン」と似ている言葉ですが、日本での「ゼラチン」という言葉は、デンプンではなくコラーゲンを加熱して糊のような状態にしたタンパク質を指すため、注意が必要です。実は日本人の主食であるお米も、「お米を炊く」という工程の中で水と熱を加えられ、粘り気のある「お米を糊化させたご飯」にして食されているので、糊化は日常的に行われている調理法でもあります。

ヒトが炭水化物を摂取すると、炭水化物は唾液やすい液などに含まれる消化酵素で糖鎖の短い糖類へ加水分解され、小腸でエネルギー源として吸収されます。

しかし、炭水化物の中でもデンプンは枝分かれの多い形をした多糖類が密集した状態でいるため、そのままだと加水分解がうまく働かず、消化率が下がってしまい、食後の腹部の膨張感などの原因となってしまいます。

そのため、炭水化物に加水、加熱をする糊化の工程が重要となります。糊化したデンプンは、熱を加えられたことで分子がほぐれ、間に水分子が入り込むことで、消化率が上がることが知られています(11)
 

マカを糊化すると吸収率が上がる!

マカが含むデンプンも、アミロペクチンという、分岐が多い糖の割合が高いことが知られています(12)

分岐が多く複雑な形状をしているアミロペクチンが密集している生の状態は一部の人にとっては消化することが難しく、生のマカを食べるとお腹の不快感を引き起こす可能性があります。そのため、糊化の工程で糖鎖をほぐすことで、マカを摂取する際に消化不良が起こる可能性を減らすことができると考えられています。

実際に、アンデス高地の人々もそのようにしてマカを摂取することを推奨しているとされています(9)

さらに、糊化によってマカの効能が増加することも示唆されています。生のマカ、糊化させたマカ、市販のバランスフードをそれぞれ摂取させた3つのグループのマウスの成長曲線や吸収された栄養素を比較した研究では、糊化されたマカは生のマカよりも吸収率が上がることが報告されています(13)

糊化されたマカを摂取したグループの成長曲線が他の2グループに比べ良好だった他、血清中の総タンパク質量も有意に高かったことが報告されており、マカを糊化することの重要性が示唆されています。 また、先に示したヒトを対象とした研究でも、実際に糊化されたマカが投与され、その効果が示されています(4)

これらの結果とマカを育ててきたアンデス高地の人々の摂取法から、マカは糊化されたものを摂取すると効果的だと考えられています。
 

糊化されたマカはどのくらい摂取するべき?

マカの摂取量の目安は?

マカは数千年に渡り人々に食されてきた植物で、現在もその効能の全容を解明するための研究が進められていますが、煮沸されたマカの摂取による毒性は報告されていないとされています(14)

実際に、アンデス高地の人々はマカを毎日100 g以上摂取しているとされています。

これらのことや、さまざまな臨床研究の結果を踏まえて、一般的には1日あたりの摂取量が体重1 kgにつき1,000 mg(体重50 kgであれば1日計50,000 mg = 50 g)以内であれば安全であると考えられています(15)
 

マカの推奨される摂取方法は?

糊化されたマカの最適な摂取量を換算する試みは今も続いていますが、重要なのは糊化後の量が、効率的な吸収率と栄養価を確保できるかどうかだと考えられています。

多くの臨床研究で糊化されたマカが用いられており、そのほとんどで目標の栄養補給量を達成するために、1日に計1,500 mg以上の糊化されたマカが1〜3ヶ月間投与され、その効能が報告されています(4)(16)

また上記の通り、マカを糊化することで栄養素の吸収率や効能が高まることを示唆する報告もされています(13)

一般に流通しているマカを用いた健康食品の多くは、マカの乾燥粉末や、マカを液体に浸して採取したエキスを用いています。しかし、生のマカをそのまま粉末やエキスにしたものの場合、消化しにくいデンプンが残ってしまい、マカの栄養素が十分に吸収されない可能性があります。

そのため上記の報告やアンデス高地の人々の摂取方法を考慮すると、消化しにくいデンプンを加水・加熱して吸収率を高める「糊化」の工程を経たマカを用いた健康食品を摂取する方法が適していると考えられます。
 

マカの効果いつまで出る?
マカの効果が現れるまでの期間は個人差があります。マカは食品であり、医薬品ではないため、効果が現れる時期は一概には言えません。一般的には、2~3カ月程度使用すると変化を実感できることが多いとされています。

参考:マカの効果が出るまで期間とマカが男性に与える効果を解説
参考資料:
  1. Maca: An Andean crop with multi-pharmacological functions
  2. Chemical composition of Lepidium meyenii
  3. Antioxidant and antitumoral activities of isolated macamide and macaene fractions from Lepidium meyenii (Maca)
  4. Effect of Lepidium meyenii (MACA) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men
  5. Subjective effects of Lepidium meyenii (Maca) extract on well‐being and sexual performances in patients with mild erectile dysfunction: a randomised, double‐blind clinical trial
  6. Medicinal effects of Peruvian maca (Lepidium meyenii): a review
  7. Not All Maca Is Created Equal: A Review of Colors, Nutrition, Phytochemicals, and Clinical Uses
  8. Preservation of Cognitive Function by Lepidium meyenii (Maca) Is Associated with Improvement of Mitochondrial Activity and Upregulation of Autophagy‐Related Proteins in Middle‐Aged Mouse Cortex
  9. Toxicological Aspects of the South American Herbs Cat’s Claw (Uncaria tomentosa) and Maca (Lepidium meyenii)
  10. Starch Gelatinization 
  11. In vitro digestion rate of fully gelatinized rice starches is driven by molecular size and amylopectin medium-long chains
  12. Unit and internal chain profiles of maca amylopectin - ScienceDirect
  13. Nutritional evaluation of Lepidium meyenii (MACA) in albino mice and their descendants
  14. Toxicological aspects of the South American herbs cat's claw (Uncaria tomentosa) and Maca (Lepidium meyenii) : a critical synopsis
  15. Ethnobiology and Ethnopharmacology of Lepidium meyenii (Maca), a Plant from the Peruvian Highlands
  16. Maca (Lepidium meyenii) for treatment of menopausal symptoms: A systematic review