食生活のサポート

モリンガとは?奇跡の木であるスーパーフード「モリンガ」の驚異的な力

監修者 井林 雄太 医師 公開日:2024-06-02 最終更新日:2025-01-21

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モリンガとは?奇跡の木であるスーパーフード「モリンガ」の驚異的な力

監修者井林 雄太 医師 公開日:2024-06-02 最終更新日:2025-01-21

スーパーフードの「モリンガ」の人気理由をご存知でしょうか。

モリンガ(和名:ワサビノキ、学名:Moringa olefera)は、ヒマラヤ山脈の麓や北インド周辺を原産とする多年生の落葉高木です。

その豊富な栄養価と多様な健康効果から、「奇跡の木」とも呼ばれ、栄養補助食品や健康食品、伝統医学で広く利用されています。モリンガには豊富なフラボノイドや植物ステロールが含まれており、さまざまな抗酸化物質や抗炎症成分も豊富です。

これらの成分は免疫システムを調整し、全体的な健康を促進するのに役立つ可能性があります。(1)(2)

奇跡の木であるモリンガとは

奇跡の木:モリンガとは

モリンガは北インド原産ワサビ科の植物で、モリンガ科の13種の中で最も広く分布し、最も熱心に研究されている種の一つです。

現在、熱帯および亜熱帯地域で広く栽培されており、アジア、アフリカ、アメリカ、カリブ海地域、オセアニアなどにも分布しています。日本ではスーパーフードとして注目を集めています。

モリンガの根、樹皮、葉、花、果実から種子まで、ほぼ全体が食用とされています。

ただし、現在の研究は主に葉と種子に焦点が当てられており、それゆえにモリンガの葉と種子が一般的な食品原料として承認されて、欧米だけではなく、日本でもモリンガを原材料としてのサプリメントと健康食品の数がどんどん増えていきます。
 

モリンガの豊富な栄養価:免疫、抗酸化、血糖調整に役立つ

スーパーフードであるモリンガは非常に栄養価が高く、以下のような特徴があります:(3)

  1. たんぱく質:牛乳の約2倍(6.7g/100g vs. 3.1g/100g)

  2. カルシウム:牛乳の約4倍(440mg/100g vs. 104mg/100g)

  3. ビタミンC:グアバに匹敵(220mg/100g vs. 214mg/100g)

  4. β-カロテン:サツマイモと同等(6.8mg/100g vs 6.3mg/100g)

  5. ビタミンE:くるみやカボチャの種の20倍以上(448mg/100g vs. 20mg/100g)

100gのモリンガは、含まれるタンパク質とカルシウムは100g牛乳の2倍となり、そしてビタミンCの含有量が220mgの程があります。してβ-カロテンビタミンEの含有量も豊富です

 

モリンガは、そんなに幅広い栄養素と高い栄養価があるため、スーパーフードと呼ばれるのは当然のことです。また、モリンガの葉は多様な栄養素を含んでいるため、一部の栄養が不足している地域では栄養失調を防ぐために食事に取り入れられています。

モリンガの異なる部位には、基本的な生理機能を維持する栄養素だけでなく、生理活性を持つ植物化合物も豊富に含まれています。

現在、少なくとも6つの大きなカテゴリーと100種類以上の成分がモリンガに含まれていることが確認されています(4)
 

他のモリンガを含んでいる成分

  1. フラボノイドおよびフラボノールグリコシド
  2. グルコシノレートおよびイソチオシアネート
  3. フェノール酸
  4. テルペン
  5. アルカロイドおよびステロール
  6. 有機酸およびケトン類

これらの植物化合物の含有量は、土壌の状態、栽培の季節、収穫時の植物の成熟度、植物の部位など、複数の要因によって影響を受けます。(5)(6)

 

モリンガの6つ健康効果と作用

 モリンガは伝統医学で3000年以上もの歴史があり、抗菌、抗感染作用を始めとして様々な効果が知られています。

ここでは、モリンガの主な効果を紹介いたします。
 

1.抗菌、抗感染作用

モリンガに含まれるフラボノイド、タンニン、ステロール、アルカロイド、サポニンなどの植物化合物により、細菌、カビ、寄生虫などの多くの微生物の成長を抑制する効果が期待されます。(7)(8)
 

2.抗酸化作用

モリンガはβ-カロテン、ビタミンC、ポリフェノール、トリテルペノイドなどの多くの抗酸化物質を豊富に含んでいます。

研究によれば、モリンガは抗酸化酵素の遺伝子発現を増加させ、体内のフリーラジカル除去能力を増加させることができ、これにより脂質の酸化を抑制する効果が期待されます。(9)(10)

 

3.貧血の改善

研究によると、モリンガの葉を連続して3ヶ月間摂取することで、鉄欠乏性貧血の女性の関連検査数値を改善し、ヘモグロビンを増加させることができるという報告があります(11)(12)
 

4.免疫調節

モリンガの抽出物は自然免疫および獲得免疫作用に役立つ可能性があります。

また、モリンガは免疫経路の情報伝達に影響を与え、炎症関連の細胞因子の促進または抑制をバランスを維持する報告があります(13)
 

5.血中脂質の改善

モリンガの葉には多くの植物化合物が含まれており、血脂代謝に影響を与える複数の方法があります。

臨床研究で、モリンガの葉エキスを補給すると、総コレステロール、中性脂肪、そして低密度リポプロテイン(LDL)の値が著しく低下し、高密度リポプロテイン(HDL)を増加させる助けになる可能性が示唆されました(14)(15)

 

6.血糖値の調節

モリンガの活性成分は、インスリンの分泌を増加させたり、インスリン感受性を向上させたりする方法で血糖値を下げる効果を持つ可能性があります(16) (17)

上記のモリンガの効果の他に、日本農芸化学会2018年度大会により、モリンガが肝臓の健康にサポートすることと報告しています。
参考:日本農芸化学会大会講演要旨集(2018年度版)


モリンガは、抗菌・抗感染作用、抗酸化作用、貧血改善、免疫調節、血中脂質の改善、血糖値の調節など、健康に多くの効果があります。これにより、モリンガは体の免疫力や代謝をサポートし、健康維持に役立つ素材として注目されています。

 

モリンガはどんな人におすすめ?

モリンガは豊富な栄養価があるため、忙しい日々を送ってよく外食するサラリーマン、高齢者やストレスをよく感じる人々に対して、良い栄養補充となります。
 

よく外食する人

よく外食する人は比較的食生活が乱れたり栄養バランスが偏ったり、特定の栄養素が長期間摂取不足となりやすいため、モリンガには多くの栄養素が含まれており、栄養不良のリスクを低減する助けとなります。
 

シルバー世代

年齢が上がるにつれて身体機能が低下し、血糖値や血脂質のコントロールがうまくいかない場合、モリンガの補給によって血糖値や血脂質を安定させる手助けになります。
 

ベジタリアン

食事の選択が制限されるため、タンパク質、鉄、カルシウムなどがベジタリアンにとって不足しやすい栄養素ですが、モリンガにはこれらの栄養素が豊富に含まれており、ベジタリアンの栄養不足を補うのに役立つでしょう。
 

生活ストレスが大きい・生活リズムが不規則な人々

不規則な生活リズムやストレスは体内の抗酸化力を低下させ、体内のフリーラジカルが蓄積し、慢性的な炎症につながる可能性がありますが、モリンガには多くの抗酸化物質や抗炎症物質が含まれており、体内の過剰なフリーラジカルを除去し、炎症反応のバランスを取ってくれる可能性があります。
 

モリンガの摂取目安量と摂取タイミング

モリンガの摂取目安量については、以下のように推奨されています:

  • 抽出されないモリンガの葉:一回の摂取量は50グラムまで、長期間使用する場合は一日あたり14グラムを超えないように推奨されています。

  • 抽出されたモリンガの葉エキス:体重1キログラムあたり300mgを超えないように摂取することが推奨されています。

いくつかの臨床研究では、上記の摂取量で効果が見られることが確認されています。

モリンガは食前、食間、食後のどのタイミングでも摂取することができます(18)(19) 

 

モリンガを使用した製品

モリンガは、健康維持に役立つスーパーフードとして、日常生活に簡単に取り入れることができます。
以下はその活用方法です:
 

モリンガ茶

最も手軽で人気のある使い方は、モリンガの葉を乾燥させて作ったお茶です。モリンガ茶は、ティーバッグや茶葉を使って簡単にお湯に浸けるだけで楽しめます。

毎日の食事に合わせて、食後のリラックスタイムに最適です。また、モリンガには自然のカフェインフリー成分が含まれているため、夜でも安心して飲むことができます。
 

モリンガパウダー

モリンガパウダーを日常的に摂取する方法も多様です。お水や白湯に溶かして飲むだけでなく、スムージーに加えたり、スープやサラダにふりかけたりするのもおすすめです。

モリンガの葉は、ほんのり抹茶のような風味があり、さまざまな料理に簡単に取り入れることができます。
 

モリンガ入りサプリメント

モリンガは抗酸化効果を持つため、サプリメントとして使用するのは、日常的な必須の栄養素を補給できます。

これらのサプリメントは、モリンガの豊富な栄養素(ビタミンC、鉄分、カルシウム、アミノ酸など)を簡単に補うことができるため、毎日の健康維持に役立ちます。
 

 

モリンガの危険性と副作用

過剰摂取や体質によるリスク

モリンガは植物のため医薬品のような副作用はありませんが、過剰摂取や体質によっては健康に良くない影響を与えることも考えられます。(19)

モリンガの摂取による健康リスクには、以下のようなものが考えられます。

 

アレルギー反応

モリンガの葉は、人によっては体質などによりアレルギーを引き起こす可能性があります。

摂取後に皮膚のかゆみや発疹、息苦しさなどの症状があらわれた場合には、すぐに使用を中止し、医療機関を受診するようにしましょう。

 

消化不良、腹痛、下痢

モリンガは栄養価が高いスーパーフードのため、過剰に摂取すると消化不良を起こしたり、腹痛や下痢などが生じる可能性があります。

 

妊娠中・授乳中の使用リスク

モリンガは、妊娠中の女性が摂取することは望ましくないとされています。

妊娠中の女性で安全が確認されていない成分があるため、妊娠中の方は念のため摂取を控えるようにしましょう。(20)(21)


薬との相互作用

モリンガには血糖値を下げる効果があるとされていますが、糖尿病治療薬と併用することで血糖値が下がりすぎるリスクがあります。

また、血圧を下げる作用もあるため、高血圧の薬との相互作用も懸念されます。医薬品を服用中の方は、医師に相談したうえでサプリメントなどを使用するようにしましょう。

 

モリンガを摂取してはいけない人は?

モリンガは食品のため、一般的に健康な人であれば安全に摂取していただくことができます。

ただし、健康維持に役立つようなさまざまな効果があるため、以下に挙げる方は注意が必要です。

 

妊娠中および授乳中の女性

妊娠中の女性では安全性が確認されていないため、摂取を控えるように推奨されています。

また、授乳中の方も赤ちゃんへの影響が確認されていないため、摂取を控えるようにしましょう。
 

高血圧や糖尿病の方

モリンガには血糖値や血圧を下げる作用が期待できることから、高血圧や糖尿病の治療をしている方では薬との相互作用により、血糖値や血圧が下がりすぎてしまう可能性があります。

医療機関に相談のうえ、摂取するようにしましょう。
 

持病をもつ方

モリンガは栄養素が豊富に含まれ、さまざまな健康効果が期待できるスーパーフードです。

そのため、先述した高血圧や糖尿病の方以外にも、持病の治療や医薬品に対して相互作用を示し、予期せぬ健康被害が生じるリスクも否定できません。

持病がある方はモリンガを摂取する前に、かかりつけの医師や薬剤師に必ず相談するようにしましょう。

 

モリンガのよくある質問

 

Q1.モリンガのデメリットは?

モリンガのデメリットとしては、特にないですが、消化が良くないことや、アレルギーを引き起こす可能性があります。

また、大量に摂取するとお腹が痛くなったり下痢をする状況もあるので、製品の包装で書いた摂取目安量を守ることが大切です。
 

Q2.モリンガは女性にどんな効果があるのですか?

モリンガには多い抗酸化物質が含まれています。抗酸化物質は肌やお体の体調を整えます。特に女性に嬉しい効果があります。

ホルモンバランスを整えたり、貧血を改善するのに役立つ鉄分が豊富です。また、肌に良い栄養素も含まれているので、美肌効果も期待できます。また、妊娠中の女性は、モリンガ製品を食べる前に医師に相談した方が安心です。
 

Q3.モリンガは危ないですか?

モリンガは一般的には安全ですが、過剰に摂取したり、特定の病状がある人には注意が必要です。

特に妊娠中や授乳中の方は、使用前に医師に相談するのがおすすめです。医薬品を服用中の人も、相互作用があるかもしれないので、気を付けてください。

参考資料:
  1. Saini, Ramesh Kumar, Iyyakkannu Sivanesan, and Young-Soo Keum. "Phytochemicals of Moringa oleifera: a review of their nutritional, therapeutic and industrial significance." 3 Biotech 6 (2016): 1-14.
  2. Alegbeleye, Oluwadara Oluwaseun. "How functional is Moringa oleifera? A review of its nutritive, medicinal, and socioeconomic potential." Food and Nutrition Bulletin 39.1 (2018): 149-170.
  3. Mahato, Dipendra Kumar, et al. "Ethnopharmacological properties and Nutraceutical potential of Moringa oleifera." Phytomedicine plus 2.1 (2022): 100168.
  4. Dhakad, Ashok K., et al. "Biological, nutritional, and therapeutic significance of Moringa oleifera Lam." Phytotherapy Research 33.11 (2019): 2870-2903.
  5. Ayoade, Eunice Titilayo, A. O. Akinyemi, and Faith Sunday Oyelere. "Phytochemical profile of different morphological organs of Moringa oleifera plant." J phytopharm 8.6 (2019): 295-8.
  6. Pareek, Ashutosh, et al. "Moringa oleifera: An updated comprehensive review of its pharmacological activities, ethnomedicinal, phytopharmaceutical formulation, clinical, phytochemical, and toxicological aspects." International journal of molecular sciences 24.3 (2023): 2098.
  7. Abd Rani, Nur Zahirah, and Khairana Husain. "Moringa genus: a review of phytochemistry and pharmacology." Frontiers in pharmacology 9 (2018): 334368.
  8. Kou, Xianjuan, et al. "Nutraceutical or pharmacological potential of Moringa oleifera Lam." Nutrients 10.3 (2018): 343.
  9. Ngamukote, Sathaporn, et al. "Moringa Oleifera leaf extract increases plasma antioxidant status associated with reduced plasma malondialdehyde concentration without hypoglycemia in fasting healthy volunteers." Chinese journal of integrative medicine (2016): 1-6.
  10. Kushwaha, Shalini, Paramjit Chawla, and Anita Kochhar. "Effect of supplementation of drumstick (Moringa oleifera) and amaranth (Amaranthus tricolor) leaves powder on antioxidant profile and oxidative status among postmenopausal women." Journal of food science and technology 51 (2014): 3464-3469.
  11. Revs, Int J. Modn Res. "EFFECT OF DRUMSTICK LEAVES SUPPLEMENTATION IN TREATING IRON DEFFICIENCY ANEMIA IN WOMEN OF REPRODUCTIVE AGE GROUP (15-45yrs)." Int. J. Modn. Res. Revs 3.11 (2015): 1065-1069.
  12. Impact of Dried Moringa Oleifera Leaves in Enhancing Hemoglobin Status (ClinicalTrials.gov ID: NCT03514472)
  13. Xiao, Xiao, et al. "Moringa oleifera Lam and its therapeutic effects in immune disorders." Frontiers in Pharmacology 11 (2020): 566783.
  14. Sari, Waode Fitrah, and Ari Suwondo. "A Literature Review of Effect of Moringa Oleifera Leaf Extract Toward Lipid Profile Level in Hyperlipidemia Patients." International Journal of Nursing and Health Services (IJNHS) 5.3 (2022): 294-303.
  15. Louisa, Melva, Cyntia Gracesella Hutami Patintingan, and Bantari WK Wardhani. "Moringa Oleifera Lam. in cardiometabolic disorders: a systematic review of recent studies and possible mechanism of actions." Frontiers in pharmacology 13 (2022): 792794.
  16. Kumari, D. Jalaja. "Hypoglycaemic effect of Moringa oleifera and Azadirachta indica in type 2 diabetes mellitus." Bioscan 5.20 (2010): 211-214.
  17. Gómez-Martínez, Sonia, et al. "Moringa oleifera leaf supplementation as a glycemic control strategy in subjects with prediabetes." Nutrients 14.1 (2021): 57.
  18. Stohs, Sidney J., and Michael J. Hartman. "Review of the safety and efficacy of Moringa oleifera." Phytotherapy Research 29.6 (2015): 796-804.
  19. Wijaya, Deborah Felinda Hari, et al. "Systematic Literature Review: Side Effect of Moringa oleifera Lam." (2022).