成分ガイド

アスタキサンチンの効果は?ルテインとどう違うの?【薬剤師監修】

監修者 岡本 妃香里 薬剤師 公開日:2024-04-17 最終更新日:2024-09-25

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アスタキサンチンの効果は?ルテインとどう違うの?【薬剤師監修】

監修者岡本 妃香里 薬剤師 公開日:2024-04-17 最終更新日:2024-09-25

ルテインは、天然のサングラスとも呼ばれており、強力な抗酸化作用をもつ成分です。摂取することで肌や瞳の輝きを守ることができると知られています。最近では、ルテインとは別の栄養素である「アスタキサンチン」にも同じ効果が期待できるとして健康食品に頻繁に含まれるようになってきました。

本記事では、アスタキサンチンの由来やルテインとの違いなどについて詳しく紹介します。また、ベジタリアンの方でも問題ないのか、エビやカニアレルギーでもアスタキサンチンを摂取できるのかについてお伝えしているので参考にご覧ください。

アスタキサンチンとは?

アスタキサンチンは天然のカロテノイドです(2)。カロテノイドには、大きく分けてカロテン類とキサントフィル類の2種類があります。アスタキサンチンとルテインは、どちらもキサントフィル類のカロテノイドです。そのため、アスタキサンチンの構造はルテインに類似しています。

主に藻類や海洋動物に存在していることが特徴です。一般的には、鮭や甲殻類などの海洋動物が、アスタキサンチンを豊富に含むミドリムシを摂取することで体内に自然な赤色を形成するといわれています。このことから、アスタキサンチンは「海のカロテノイド」とも呼ばれることもあります。アスタキサンチンは実際にはヘマトコッカスプルビアリス(Haematococcus Pluvialis)という淡水藻から生成される成分です。エビ、カニ、魚類の体内で自然に合成されるものではないため、ベジタリアンやエビやカニのアレルギーを持つ方も安心して補充することができます。

 

アスタキサンチンの摂取目安量

アスタキサンチンは人体で合成されないため、食品やサプリメントなどから補うことがおすすめされます。アスタキサンチンの摂取量については、とくに決められていません。さまざまな臨床実験の結果によると、摂取目安量は1日6~12mg程度が目安だといわれています(3)

この量に関しては安全性が確認されていて、研究によると、一般的な健康維持には1日2〜4mgのアスタキサンチンの補充が適切です(1)。目の輝きを保つには、ルテインと一緒にアスタキサンチンを13mg程度含むサプリメントを摂取するといいでしょう。なお、過剰にアスタキサンチンを摂取してしまった場合もほとんど影響はないと考えられています。

富士化学工業が販売しているアスタキサンチン製剤をアスタキサンチンとして10日から12週間にわたって1日あたり2mgから45mg摂取してもらう試験が行われましたが、とくに有害事象は報告されていません(3)

 

アスタキサンチンに期待できる効果

臨床研究によれば、アスタキサンチンの効果は非常に広範囲であり、生理機能の調整、美容、健康維持における保護力の向上などに役立つと考えられています。具体的には、次のような効果が期待されています。

  • 目の疲れを改善する効果

  • 白内障や緑内障を予防する効果

  • 動脈硬化を予防する効果

  • メタボリックシンドロームの予防効果

  • 筋疲労を軽減する効果

  • 透明感のある若々しい肌を保つ効果

このような効果が期待できることから、アスタキサンチンは特に以下に当てはまる方はおすすめです:

  1. デスクワークで長時間にわたりパソコンなどの電子機器の使用をする方

  2. 綺麗な肌と血色のいい肌を作りたい方

  3. 若々しさを維持したい中高年の方

アスタキサンチンは、非常に高い抗酸化力をもつ成分です。抗酸化力とは、細胞を酸化から守る働きのことを指します。驚くことに、アスタキサンチンはαトコフェロールの100~500倍もの抗酸化力をもっているのです(4)

抗酸化力によって目の疲労感を軽減する効果があることから、パソコンなどの電子機器を利用する頻度が高い方に向いています。また、アスタキサンチンは肌に良いことでも有名です。アスタキサンチンを摂取すると、肌の水分量が上がったり紫外線によるダメージを抑制したりする効果が期待できます。このため、肌の若々しさを保ちたい方や美しい肌を維持したい方におすすめの成分といえるでしょう。

 

アスタキサンチンとルテインは目の保養に対して効果の違いはある?

アスタキサンチンとルテインは、どちらもキサントフィル類に分類されるカロテノイドです。両者とも目の健康維持に良いことで知られています。一見するとあまり変わりがない成分のように思えるかもしれませんが、実はアスタキサンチンとルテインには目に対しての効果に違いがあります。

目の疲れや刺激を予防したい方はルテイン、すでに気になる目の症状があるならアスタキサンチンを選ぶとよいでしょう。アスタキサンチンのほうがルテインよりも即効性に優れているため、今すぐ何とかしたい症状にはアスタキサンチンが向いています。

アスタキサンチン、ルテイン、β-カロテンは、吸収を助けるために少量の油脂が必要です。そのため、食後または食事と一緒に摂取すると吸収率が高くなります。アスタキサンチンとルテインにはそれぞれ利点があり、互いに代替することができません。

ただし、アスタキサンチンとルテインのどちらかのみを選ぶ必要はないので安心してください。両方を一緒に補給することで、目の保養に対して相乗効果が生まれます。より効率よく目のケアをしたい方は、同時に補給することも検討してみましょう。

 

アスタキサンチン

ルテイン

天然由来

ヘマトコッカス、甲殻類、サーモンなどからの天然成分

キンセンカ(花)、ほうれん草、サツマイモの葉、カボチャからの天然成分

輝きの機能

自然の多焦点レンズ

自然のサングラス

特徴

長期間の補給を経なくても比較的すぐに効果を感じられます

十分なルテイン量を蓄積するのに時間がかかりますが、持続的な保護をしてくれます

 
 

アスタキサンチンを含む食品は?

一般的に魚やエビには、微量のアスタキサンチンが含まれています。例えば、藻類、酵母、ベニザケ、マス、南極シオミズクラゲ、甘エビ、そしてザリガニなどの食品です。しかし、その量は決して多くありません。

アスタキサンチンの含有量は、ベニザケの魚肉100gあたり約3~4mg、甘エビは100gあたり0.4mgほどです(5)。日常の食事から十分なアスタキサンチンを摂取するのは難しいため、食事からのみ摂るのではなくサプリメントなどの健康食品を利用することがおすすめします。

また、ベジタリアンの方がアスタキサンチンを補充する必要がある場合も、健康食品から摂取するのがよいでしょう。市販されているアスタキサンチンのほとんどは藻類由来であるため、ベジタリアンの方にも非常に適しています。

 

アスタキサンチンの摂取タイミング

健康食品は便利な時に摂取できますが、アスタキサンチンは脂溶性栄養素であり、吸収には油脂の助けが必要です。そのため、食後に補充することをおすすめします。アスタキサンチンの摂取には基本的に副作用はありませんが、海産物にアレルギーがある場合は特に注意が必要です。心配がある方は、藻類から抽出されたアスタキサンチンを選択するとよいでしょう。