ビタミンB12とは?
ビタミンB12は、ビタミンB群の一種です。動物性の肉や魚介類、藻類や卵類などに多く含まれています。バランスのとれた食事を摂ることで、食事からでも十分にビタミンB12を摂取することが可能です。しかし、野菜類にはあまり含まれていないため、菜食主義者のような方だと不足する恐れがあります。
ビタミンB12の構造にはコバルト(Cobalt)が含まれている化合物です。このことから、一般的にビタミンB12はコバラミン(Cobalamins)とも呼ばれています(6)。
ビタミンB12の効果は何?
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赤血球の形成補助(7)
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抹消神経の修復
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疲労や体力低下の予防
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自律神経の安定
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健康で安定した気分の維持
ビタミンB12は重要な補酵素です。酵素の働きを助けることで、アミノ酸代謝や核酸代謝などさまざまな代謝に関わっています。生理的な健康を維持するために重要な栄養素です。 ビタミンB12は成熟した赤血球を作るのに必要なため、不足すると貧血(巨赤芽球性貧血)になることがあります。貧血になると動悸や息切れ、疲れやすさなどが出やすくなるため、疲労や体力低下の予防にも有効です。また、末梢神経の修復を行うビタミンとしてもよく知られています。神経機能を維持し、眼精疲労や肩こり、腰痛などを改善する効果が期待されています。このほか、自律神経を安定させたり気分を良好に保ったりする働きもあるビタミンです。
ビタミンB12不足の症状
ビタミンB12不足の症状には、顔色が悪くなる、疲れやすく感じる、注意力が低下するなどがあります。このほか、手足がチクチクする感じ、うつ病、認知症、記憶力の低下などもビタミンB12が不足したときに見られる代表的な症状です。また、人体は2mgから3mgのビタミンB12を蓄えており、不足するとゆっくりと使われていきます(5)。したがって、ビタミンB12が不足している症状が現れる場合は通常、栄養の摂取が長期間にわたって不足している可能性があるため、できるだけ早く摂取する必要があります(2)(3)。
どんな人がビタミンB12不足になりやすいか
ビタミンB12の不足はあまり一般的ではありませんが、菜食主義者(特に完全な菜食主義者)はビタミンB12不足になる可能性があります(1)。なぜなら、野菜類にはあまりビタミンB12が含まれていないためです。しかし、
バランスの取れた食事習慣を保っている方では、ビタミンB12が不足する状況に陥ることはほとんど発生しません(1)。ただし、他の原因によってビタミンB12不足が生じる可能性があります。例えば:
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食事から十分なビタミンB12を吸収できない
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消化機能が低下している
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特定の薬物を長期間服用している
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食事が不均衡であるなど
多くの方は食事から十分なビタミンB12を摂取できていますが、高齢者では胃酸の量が少なくなっていることから吸収効率が悪くなっている恐れがあります。また、消化管の手術を行った方も吸収が悪くなっていることがあるので注意しましょう。
胃酸を抑える薬やメトホルミンなどの薬によってビタミンB12の吸収が悪くなることもあります。また、食事のバランスが乱れている方も不足しやすいので注意が必要です。
ビタミンB12を含む食品
私たち人間は、ビタミンB12を体内で作ることができません。微生物によってのみ合成されため、十分なビタミンB12を摂取するにはバランスの良い食事が欠かせません。
一般的な優れたビタミンB12の源としては、内臓(特に肝臓)、肉、魚(サケ、マグロ)、卵、牛乳、乳製品などがあります。植物性の食品は通常ビタミンB12を含まないか、非常に低い量しか含まれていません(1)。
ビタミンB12の生物学的利用率は食品によって異なります。乳製品のビタミンB12は、肉や魚の源に比べて生物学的利用率がはるかに高いことが特徴です(1)。また、アメリカ食品医薬品局(FDA)も穀物製品にビタミンB12を添加することを推奨し、ビタミンB12の不足を予防するようにしています。
ビタミンB12の摂取量
厚生労働省が提供する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、一般の成人のビタミンB12の推奨摂取量は2.4μgです(6)。妊娠中の女性の場合、推奨摂取量は2.8μgであり、授乳中の女性は3.2μgとされています(5)。
年齢 |
推奨の摂取量(ug) |
0 - 5月 |
AI=0.4 |
6 - 12月 |
AI=0.5 |
1 - 2才 |
0.9 |
3 - 5才 |
1.1 |
6 - 7才 |
1.3 |
8 - 9才 |
1.6 |
10 - 11才 |
1.9 |
12 - 17才 |
2.4 |
成人 |
2.4 |
妊娠期 |
2.8 |
授乳期 |
3.2 |
ビタミンB12の副作用
ビタミンB12は他のB群ビタミンと同じ水溶性の化合物であるため、摂取し過ぎた場合は尿と一緒に排出されます。過剰摂取になる状況はほとんど発生せず、副作用もほとんどありません。厚生労働省も、ビタミンB12による害が起こることはないと述べています。
アメリカの食品と栄養委員会もビタミンB12の潜在的な毒性が低いと考え、安全な栄養素に属しているため、ビタミンB12には上限摂取量(UL)が設定されていません(1)。ただし、短期間に高用量のビタミンB12を摂取すると、頭痛、胃腸の不快感、しびれなどの不快な症状が現れる可能性があります(4)。
ビタミンB12と一緒に摂取してはいけないもの
一部の薬物はビタミンB12の吸収に影響を与える可能性があり、また、お茶やコーヒーなどのカフェインを含む飲み物も水分の排出を促進しやすいことが明らかです。ビタミンB12の吸収や体内での使用を妨げる可能性がある薬としては、主に次のものが知られています。
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クロラムフェニコール
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オメプラゾール、ランソプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬
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シメチジン、ファモチジン、ラニチジンなどのH2受容体拮抗薬
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メトホルミン
ビタミンB12またはB群を補充する際には、これらの飲み物との摂取を1~2時間空けると良いでしょう。
ビタミンB12の補充が適している人々
ビタミンB12の摂取タイミング
他のビタミンB群と同様に、ビタミンB12も水溶性であり、脂質を分解しなくても人体に吸収され利用されます。ただし、ビタミンB12はビタミンB群の一員であるため、他の栄養素と一緒に摂取することで、より効果的に機能します。そのため、食事と一緒か食後に補充すると、より良い吸収効果が期待できるでしょう。