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エラスチンの副作用と働きは?美肌に大切なエラスチンの効果と安全性を解説

監修者 ダイケンバイオメディカル 公開日:2025-04-24 最終更新日:2025-06-09

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エラスチンの副作用と働きは?美肌に大切なエラスチンの効果と安全性を解説

監修者ダイケンバイオメディカル 公開日:2025-04-24 最終更新日:2025-06-09

エラスチンは、コラーゲンとともに私たちの肌を構成するたんぱく質のひとつで、肌の弾力性を保つ重要な働きをしています。

現在の研究では、エラスチンは適量を守って摂取すれば、副作用の報告はなく、安全性の高い成分とされています。

この記事では、エラスチンサプリメントに関する研究報告を解説し、エラスチンを摂取することで副作用は生じないのかなど、その安全性を解説していきます!

エラスチンに副作用はある?安全性について解説!

現在の研究では、エラスチンは適量を守って摂取すれば、副作用の報告はなく、安全性の高い成分とされています。

ここでは、実際にヒトがエラスチンペプチドを摂取した研究データをもとに、その安全性について詳しく見ていきます。


エラスチンペプチドを用いた研究での安全性の報告

健康な成人にカツオ由来エラスチンペプチドを1日100mg、12週間摂取してもらい、肌荒れやしわの改善を確認した研究があります。

この研究では血液検査と尿検査の両方が正常範囲内で、プラセボと同程度の値だったほか、参加者に副作用はみられなかったと報告されています(1)

また、健康な成人にブタ由来のエラスチンペプチドを最大1日200mg、8週間摂取してもら​い、​皮膚弾力性の向上を確認した研究においても、副作用や体調悪化は確認されなかったと報告されています(2)

これらの実際にヒトがエラスチンペプチドを摂取した研究報告から、エラスチンペプチドは安全性の高いものであると考えられます。

 

エラスチンを摂取するうえでのポイントを解説!

安全性が高いエラスチンペプチドでも過剰摂取は控える

現在の研究報告をもとにすると、エラスチンペプチドは安全性が高いものであると考えられており、これらを用いたサプリメントを利用するとスキンケアに効果的だと考えられます。

しかし、安全性の高いエラスチンサプリメントでも過剰摂取をしてしまうと、代謝する肝臓や腎臓に負荷をかけるほか、かえって肌の健康を損なう可能性があります。

そのため、用法用量を守り継続して摂取することが重要となります。

 

 


 

 

そもそもエラスチンって何?

 

エラスチンは弾性​繊維と呼ばれるたんぱく質

エラスチンは、肌や血管などの組織に含まれる繊維状のたんぱく質で、わずかしか存在しないにも関わらず、肌や血管の弾力性に不可欠で重要な働きをしていることが知られています

人体におけるエラスチンの含有量は、組織によって異なります。とくに多くの割合が含まれている組織は、以下のとおりです。

  • 肌(皮膚)

  • 動脈

  • 靭帯

エラスチンはゴムのような高い伸縮性を持ち、組織が伸びた後に元の形に戻るという特徴で、フィブリリンとともに「弾性繊維」として分類されます(3)

 

エラスチンは肌ハリ、肌の弾力を保つうえで欠かせない成分

私たちの皮膚は表面から、表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されており、そのなかで肌に強さと弾力性を与える真皮は、スキンケアにおいて重要であることが知られています。

肌の構造

真皮は大部分がコラーゲンでできており、他には保水力の高いヒアルロン酸や、弾力を与えるエラスチン、これらを作る線維芽細胞で構成されています(4)

コラーゲンが真皮の70%近くを占めるのに対して、エラスチンは真皮のわずか2〜3%という割合でしか存在しないとされています(5)

エラスチンとコラーゲン
 

真皮では、コラーゲンがネットワークを作って鉄筋のような役割を果たしており、これによって肌の強度が保たれています。

コラーゲンは肌の構造を支えますが、性質的に伸びたり縮んだりしないです。エラスチンは弾力性があるため、コラーゲンを束ねることで肌に弾力を与え、若々しい外見を保ちやすくなるのです。


このように、エラスチンとコラーゲンの相互作用により、肌のハリや弾力性が維持され、しなやかな肌を保つことができるのです。

肌の若々しさを保つためには、コラーゲンの補給だけではなく、体内のエラスチンを維持することが重要です。
 

 

エラスチンの経口摂取による美肌効果

エラスチンと美肌

エラスチンは分子サイズが大きく、水に溶けにくいたんぱく質であるため、そのままの状態では吸収が難しいと考えられています。

そのため多くの場合、エラスチンを酵素で加水分解してできるエラスチン加水分解物やエラスチンペプチドなどを用いた研究が行われてきました。

これからは、近年の研究データをもとに、エラスチンのの経口摂取による効果を紹介します。

 

エラスチンの美容効果と線維芽細胞への影響

エラスチンの美容効果
真皮でコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを作っているヒト線維芽細胞に、エラスチン加水分解物とエラスチンペプチドを加えた研究では、添加により線維芽細胞の増殖能力やエラスチンの生成量が向上したと報告されています(6)

このことから、エラスチン加水分解やエラスチンペプチドの摂取が、肌のケアに効果的であることが示唆されています。

さらに、ヒト線維芽細胞の増殖へ与える効果を調べた研究では、エラスチンペプチドのみを加えるよりも、コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドを合わせて加えた場合の方が、細胞増殖が大きく活性化されたことが報告されています(7)

これにより、肌をケアするうえでは、エラスチンとコラーゲンを合わせて補うことも効果的だと示唆されています。


 

エラスチンによる肌のハリや弾力の維持効果

エラスチンによる肌のハリ

カツオ由来のエラスチンペプチドを用いた研究では、35〜60歳の健康な成人計100人を対象に、1日100mgのカツオ由来エラスチンペプチドを12週間摂取してもらい、肌荒れやしわの状態変化を観察しました。

その結果、エラスチンペプチドを摂取したグループで、肌荒れやしわの深さ、量がプラセボと比較して有意に改善されたと報告されており、健康的な肌へのエラスチンペプチドの効能が示唆されています(8)

ブタ由来のエラスチンペプチドを用いた別の研究では、皮膚の老化を自覚している健康な成人計34人を対象に、ブタ由来エラスチンペプチド0mg、100mg、200mgいずれかを含む100mlドリンクを1日1本8週間摂取してもらいました。

その結果、100mgと200mgいずれの用量でも、エラスチンペプチドを摂取したグループでは、摂取前と比べ有意に皮膚弾力性が向上したと報告されています

エラスチンペプチド0mgのドリンクを摂取したグループでは有意な変化が見られなかったことから、エラスチンペプチド摂取の皮膚弾力性への効能が示唆されています(9)

 

まとめ:エラスチン摂取の美肌メリット(実験結果付き)

  • エラスチンはそのままでは吸収されにくいため、加水分解されたエラスチンペプチドの摂取が効果的とされている。

  • 線維芽細胞の活性化やコラーゲンとの相乗効果が確認されている。

  • 臨床試験による効果実証:カツオ由来・ブタ由来のエラスチンペプチドを1日100mg摂取した研究で、肌荒れ、しわ、皮膚の弾力性が有意に改善されたという結果が報告されている。

 

これらの結果から、エラスチンペプチドの経口摂取は、肌のハリや弾力の維持・改善に有効であることが明らかになっている

   

エラスチンの肌以外の健康効果

エラスチンの健康効果

1. 血管の健康維持のサポート

エラスチンは肌だけでなく、血管の健康の維持につながるとされています。動脈硬化とは、動脈の柔軟性が低下して硬くなった状態のことです。

エラスチンが動脈硬化の発症を予防する理由として、血管の弾力性を維持する働きがあげられます。

血管にはエラスチンが豊富に含まれており、血液の流れにあわせて伸縮します。この柔軟性によって、血管は血圧の変動に対応し、スムーズな血液循環を維持できるのです。

エラスチンによって血管の柔軟性が維持できれば、動脈硬化の発症リスクの低下が期待できます(10)

 

2. 生理痛の緩和

エラスチンは、子宮の収縮をサポートして、生理痛の緩和につながるとされています。子宮も血管や靱帯などと同じように、エラスチンが多くの構成割合を占めている組織です(11)

子宮内膜を排出する際に生理中に子宮は収縮をしますが、この際の過度な収縮や硬直が生理痛の原因となります。エラスチンが不足すると子宮の柔軟性が低下し、生理が起こる際の収縮で痛みを感じやすくなるのです。

このように、生理痛をやわらげたい方にとっても、エラスチンの摂取は重要といえます

 

3. 靱帯の治癒促進

エラスチンは、靱帯の治癒促進につながるとされています。靱帯は関節を安定させる重要な組織ですが、一度損傷すると自然治癒が難しいとされています。

しかし、エラスチンの局所的な投与によって、靱帯の修復を促進できる可能性が示されているのです。

実際に動物を対象に、損傷させた靱帯にエラスチンを投与した実験があります。その結果、エラスチンを投与していないグループと比較して損傷部分の治癒促進がみられたとされています(12)

このことから、スポーツによるケガや加齢による靱帯損傷の回復に役立つ可能性があるでしょう。

 

 

エラスチンが不足の原因

エラスチンは加齢とともに減少し、再生しにくい

加齢による減少

エラスチンは肌の老化を防ぐためにも欠かせない成分です。加齢によって徐々に減エラスチンの量は減少します。

その原因は、ほとんどのエラスチンが胎児から新生児への成長の間に体内で合成され、それ以降は生成量が減少していき、成人ではその生成量が非常に限られています(5)

エラスチンはターンオーバーが非常にゆっくりと進む特殊なたんぱく質で、新たに生成されることが非常に少ないため、外的要因で損失してしまうと非常に再生しにくい重要なものだとされています(13)

また、加齢に伴う「生理学的な老化」により線維芽細胞が減少することで、コラーゲンやエラスチンも減少し、肌が弾力のない薄いものへと変化します。

エラスチンが減少すると、肌のたるみやしわの原因となり、たるみやしわが目立ちやすくなります。肌への影響の他に、血管の硬化など、加齢にともなうさまざまな身体の変化の一因となっています。

そのため、日常にエラスチンが豊富に含まれる食品やサプリメントを積極的に摂取することが重要です。

 

 

光老化によるエラスチンの減少

光老化によるエラスチンの減少

長期間日光に曝されることで紫外線による悪影響が蓄積する「光老化」と呼ばれるものです(14)

長期間紫外線を浴びることで線維芽細胞のDNAへダメージが蓄積し、コラーゲンは大きく減少する一方、エラスチンは構造が不規則に乱れてしまい、弾力性が損なわれて肌が硬くシワの深いものへ変化してしまうことが知られています(15)

日によく当たる部分は、加齢に伴う生理学的な老化と光老化が同時に進行しており、光老化の影響力は大きいと考えられています(14)

慢性的に日光を浴びると、エラスチンの量や配列が急激に変化し、真皮内のコラーゲンとエラスチンによるネットワークが破壊されます。

その結果、肌のたるみやシワが生じるため、光老化におけるエラスチンへの影響は非常に重要であると考えられています(16)

 

エラスチンの働きをサポートする生活習慣

エラスチンの効果を最大限に引き出すには、適切な生活習慣が欠かせません。生活習慣を整えるには、以下のポイントを心がけてみましょう。

  • 十分な睡眠時間の確保

  • 適度な運動

  • ストレス管理

  • 禁煙

  • 紫外線対策

睡眠は、体調や肌の状態を整えるうえで欠かせないものです。適切な睡眠時間は、6〜8時間が理想的とされています(17)。適度な運動は血行を促進させ、皮膚や血管に酸素や栄養を届けやすくします。

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を自分のペースで、1回20分程度行うとよいでしょう(18)

また、過度のストレスは体内のホルモンバランスを崩し、エラスチンの生成を妨げる可能性があります。

趣味の時間を持つ、友人と会話するなど、自分にあったストレス解消法を見つけることが大切です。喫煙や過度な紫外線も、エラスチンが壊れてしまう原因となります。

禁煙を心がけつつ、外出時には日焼け止めを使用して、エラスチンを守る意識を持ちましょう。

   

エラスチンを摂る方法

エラスチンを含む食べ物といえば、手羽先、軟骨と挙げられています。しかし、食品に含まれるエラスチンの分子量が大きいなので、体内での吸収が難しいです。

そのため、食品から直接摂取するより、サプリメントからの摂取の方が効率的に方法です。

また、エラスチンは体内で生成できるため、体内でのエラスチン生成を補助してくれたり、分解されないようにしてくれる食べ物をしっかり摂取することがおすすめです。

ビタミンCにはエラスチンの生成を促進させ、分解を防ぐ働きがあるとされています(19)。その他アミノ酸や銅などがエラスチンの保持をサポートしてくれます。

このように、エラスチン生成をサポートする効果のある食べ物を積極的に取り入れましょう。

 

必要に応じてエラスチンサプリメントの使用を

食事だけでエラスチンを十分に摂取することが難しい場合は、サプリメントの利用もお勧めです。

サプリメントであれば、エラスチンを手軽に補給できます。ただし、サプリメントを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

  • 製品のメーカー

  • 原材料や成分表示

  • 平均分子量(DA)

サプリメントの使用によって体調不良をはじめとした健康被害が発生するケースもあります。

そのため、信頼できるメーカーか、どのような原材料が含まれているのかをよく確認しておくことが重要です。エラスチンだけでなくコラーゲンも含まれている場合、平均分子量もチェックしておきましょう。

一般的に、分子量が小さいほど体内への吸収率が高いとされています。例として、コラーゲンを細かくした「コラーゲンペプチド」の平均分子量は、1,000以下とされています(20)

エラスチンを意識した生活を取り入れよう

エラスチンは、肌のハリや弾力を保つ重要なたんぱく質です。お肌の健康だけでなく、動脈硬化の予防や生理痛の軽減など、さまざまな作用があるとされています。

 

コラーゲンペプチドも合わせて摂取すると効果的

ヒト線維芽細胞を用いた研究では、エラスチンペプチドだけを加えるよりも、コラーゲンペプチドと合わせて加えた方が細胞増殖が活性化された結果が報告されています(7)

真皮での働きからも、エラスチンとコラーゲンは相性が良いと考えられるため、コラーゲンも十分に摂取するとより効果的だと考えられます。

コラーゲンとコラーゲンペプチドの効果は

 

 

エラスチンとコラーゲンの違い

エラスチンとコラーゲンはどちらも真皮を支えるたんぱく質ですが、それぞれ違う役割を果たしていることが知られています。

コラーゲンは、エラスチンと比べ硬く、引っ張りに対して強い「膠原(こうげん)繊維」と呼ばれるもので、水分保持を担うほか、皮膚の強度​に貢献しています。

一方でエラスチンは、伸縮性と弾力性のある「弾性繊維」と呼ばれるもので、真皮のコラーゲンを束ねるように繋ぎ合わせています(21)

真皮では、コラーゲンがネットワークを作って鉄筋のような役割を果たしており、これによって肌の強度が保たれています。

そしてエラスチンがこのコラーゲンを繋ぎ合わせることで、肌全体に弾力を与えていることが知られています(22)

 

表:エラスチンとコラーゲンの違い

特徴

エラスチン (弾性線維)

コラーゲン (膠原線維)

主な役割

弾力性を提供し、肌や血管、肺の柔軟性を保つ

強度を提供し、肌や骨、腱の構造を支える

成分

主にアミノ酸(たんぱく質)

主にアミノ酸(たんぱく質)

弾力性

高い弾力性、伸縮性があり

弾力性は低いが、高い強度を持つ

分布

皮膚、血管、肺などの弾力が必要な部位

皮膚、骨、腱、軟骨などの強度が必要な部位

加齢による変化

加齢とともに減少し、皮膚や血管の弾力が失われる

加齢に伴い減少し、皮膚のたるみや骨密度低下を引き起こす

健康効果

皮膚や血管の弾力性を保ち、若々しさを維持

皮膚の強度を維持し、骨や関節の健康を支える


 
参考資料:
  1. Oral consumption of Bonito fish‐derived elastin peptide (VGPG Elastin®) improves biophysical properties in aging skin: A randomized, double‐blinded, placebo‐controlled study
  2. ヒトにおけるブタ由来エラスチンペプチド摂取による皮膚弾力性向上作用
  3. お肌のハリに欠かせない「エラスチン」。その機能にせまる。
  4. Molecular Mechanisms of Stress-Responsive Changes in Collagen and Elastin Networks in Skin
  5. Clinical Relevance of Elastin in the Structure and Function of Skin | Aesthetic Surgery Journal Open Forum | Oxford Academic
  6. Elastin hydrolysate derived from fish enhances proliferation of human skin fibroblasts and elastin synthesis in human skin fibroblasts and improves the skin conditions
  7. サケ由来コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドのヒト皮膚正常繊維芽細胞(SF-TY)におけるヒアルロン酸産生促進および細胞増殖への相乗効果
  8. Oral consumption of Bonito fish‐derived elastin peptide (VGPG Elastin®) improves biophysical properties in aging skin: A randomized, double‐blinded, placebo‐controlled study
  9. ヒトにおけるブタ由来エラスチンペプチド摂取による皮膚弾力性向上作用
  10. MicroRNA-181b Controls Atherosclerosis and Aneurysms Through Regulation of TIMP-3 and Elastin - PMC
  11. エラスチンの研究
  12. 靭帯修復過程におけるエラスチンの 機能に関する研究
  13. Elastin Structure, Synthesis, Regulatory Mechanism and Relationship With Cardiovascular Diseases
  14. Introduction to skin aging - ScienceDirect
  15. 酸化ストレスと皮膚─光老化から全身性強皮症まで
  16. Elastin structure and its involvement in skin photoageing - Weihermann - 2017 - International Journal of Cosmetic Science - Wiley Online Library
  17. 健康づくりのための睡眠ガイド 2023
  18. スマート・ライフ・プロジェクト