コラーゲンは肌に良いと知っている方も、美肌以外の効果を知っている方は少ないでしょう。コラーゲンは、美肌効果以外に関節痛や炎症の軽減や骨の強化、筋肉の回復などの効果も期待されています。
この記事では、コラーゲンの種類や効果、効果的な摂取方法、摂取時の注意点などを紹介します。コラーゲンについて正確に知り、健康や美容に役立ててみてください。
コラーゲンとは?
コラーゲンは、たんぱく質の一種で体内の約30%を占めており、骨や皮膚、靭帯などあらゆる組織に繊維状で存在しています。組織どうしをつなぎ合わせて、皮膚のハリや関節をスムーズに動かすことなどを維持する役割を果たしています。
年齢とともに生成量が減少してしまうため、健康や美容の点から食事などで補充することが推奨されています(1)。
コラーゲンの種類は?
コラーゲンは、アミノ酸の鎖が3本絡まった三重らせん構造をしています。構造や存在部位によって30種類程度のタイプがあり、発見された順に番号がつけられています。以下の5種類が特に重要で、体内に広く存在しています(2)。
種類 |
特徴 |
Ⅰ型 |
体内に最も多く存在し、骨や皮膚、靭帯、腱などに含まれています。骨の形成などに重要なコラーゲンです。 |
Ⅱ型 |
主に軟骨に含まれているタイプのコラーゲンです。関節軟骨は、関節への衝撃を和らげ、スムーズに動かすために働いています。 |
Ⅲ型 |
皮膚や血管壁に存在しているタイプのコラーゲンです。組織の柔軟性や弾性を高めています。 |
Ⅳ型 |
繊維状ではなく網目状のシートを形成しており、皮膚や臓器などの基底膜に存在しています。基底膜は、組織の構造を維持するための足場や物質の透過を選択するフィルターなどの役割を果たしています。 |
Ⅴ型 |
胎盤や血管、筋肉などに含まれています。I型とⅢ型コラーゲンを束ねてコラーゲン繊維を形成する働きがあります。 |
各タイプのコラーゲンは、体のさまざまな部位で重要な役割を果たしています。
コラーゲンペプチドと低分子コラーゲン、非変性Ⅱ型コラーゲンの違い
サプリメントやスキンケア商品などでよく見かけるコラーゲンペプチドや低分子コラーゲンは、分子量が大きなコラーゲンを加熱処理後に酵素で分解することで低分子化したものです。
通常のコラーゲンよりも吸収されやすく、吸収効率も高まるといわれています。コラーゲンペプチドと低分子コラーゲンは同じものですが、より低分子で吸収効率が高いことを強調したい場合、低分子コラーゲンと呼ばれています。
非変性Ⅱ型コラーゲンは、構造が変化しておらずⅡ型コラーゲンの立体構造を保っているものです。自己免疫反応を抑制することで、関節の痛みを軽減する効果が期待されています。
コラーゲンは体内で分解され効果は期待できない?
摂取したコラーゲンは、体内でアミノ酸だけでなくコラーゲンペプチドにも分解され、小腸から吸収されます。
吸収されたアミノ酸やコラーゲンペプチドは、血流に乗り骨や皮膚、関節などの必要な場所に運ばれて、コラーゲンを産生する繊維芽細胞や軟骨細胞を刺激し、コラーゲンの産生が促進される可能性があるという報告があります(3)(4)。
コラーゲンを補充で期待される効果
コラーゲンを補充すると以下のような効果が期待できます。
肌のハリやシワの減少と弾力性の改善
コラーゲンは皮膚の主要な成分で、皮膚の構造を支える重要な役割を果たしています。お体には約40%のコラーゲンは肌に存在し、特に真皮層に繊維状で存在し、エラスチンとともに肌の構造を支えています。三重らせん構造のコラーゲン繊維は、肌に弾力性とハリを与えます。さらに、コラーゲンは肌の水分保持能力があり、肌の保湿にも寄与しています。しかし年齢と共にコラーゲンの生成が減少すると、肌のたるみやしわが目立つようになリます。
コラーゲンを補充すると、肌のハリやシワが減少したという報告があります。これは、コラーゲンの再生が促進された効果であると考えられているのです。
また、乾燥した肌の水分量が改善されたという報告もあるので、コラーゲンを補充すると肌の水分保持能力も向上することが期待できます。(3)(5)
関節痛の軽減や骨密度の維持・改善
軟骨の損傷や劣化が関節痛の原因となります。コラーゲンを摂取すると体内でコラーゲンの生成が促進され、損傷や劣化している軟骨の修復や再生がされることにより、関節痛が軽減される可能性があるといわれているのです。
骨は、コラーゲン繊維とカルシウムなどから構成されています。コラーゲンは骨の網目状構造を形成し、強度に重要な役割を果たしているのです。また、コラーゲンは骨を作る骨芽細胞を刺激し、骨の再生を促進させることが明らかになっています。そのため、コラーゲンを摂取すると骨の強度が増し、骨密度の維持・改善が期待できると考えられています(5)(7)。
筋肉量の増加や運動後の回復促進
コラーゲンは、筋肉と骨をつなぐ腱の主成分です。腱は、筋肉の働きをサポートする働きをしています。コラーゲンを摂取すると腱の強化が促され筋肉の強度が向上する可能性があるといわれています。
コラーゲンは、筋肉たんぱく質の合成を促進する効果もあり、特に高齢者など筋肉量低下のリスクがある人は、コラーゲンを摂取すると筋肉量の増加に有益な効果をもたらすという報告がされています。
コラーゲンの合成は、筋肉が回復する過程で活発になることがわかっているため、運動後にコラーゲンを摂取することで筋肉の回復促進が期待されています(6)。
コラーゲンの効果的な摂取方法
コラーゲンを摂取する主な方法は以下の通りです。
食事
コラーゲンの主成分は、グリシンとプロリン、ヒドロキシプロリンです。コラーゲンを撮りたい時、ゼラチンや手羽先などのグリシンやプロリンやヒドロキシプロリンの含有量が多い食品を食べるのはおすすめです。
グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリンが多く含まれる食材は以下の通りです。(8)
【グリシンが多い食材ランキングTop10】
食材 |
100gあたりの |
ゼラチン |
24,000mg |
貝柱 |
7,300mg |
するめ |
4,900mg |
とびうお |
4,400mg |
まだら |
4,000mg |
しろさけ |
4,000mg |
あわび |
3,700mg |
軟骨 |
3,500mg |
くるまえび |
3,400mg |
にしん |
3,100mg |
【プロリンが多い食材ランキングTop10】
食材 |
100gあたりの |
ゼラチン |
13,000mg |
パルメザンチーズ |
10,000mg |
にしん |
4,600mg |
さくらえび |
3,600mg |
湯葉 |
3,000mg |
とびうお |
3,000mg |
するめ |
2,800mg |
さきいか |
2,500mg |
軟骨 |
2,300mg |
ビーフジャーキー |
2,200mg |
【ヒドロキシプロリンが多い食材ランキングTop10】
食材 |
100gあたりの |
ゼラチン |
13,000mg |
あわび |
1,100mg |
手羽先 |
730mg |
とびうお |
670mg |
うなぎ |
650mg |
するめ |
600mg |
皮つきもも |
530mg |
牛ひき肉 |
430mg |
ぶたロース |
410mg |
鶏皮つきもも |
350mg |
成分により多く含まれている食材は少し異なりますが、ゼラチンや軟骨、魚の皮などに豊富に含まれています。
こちらもご参考に:コラーゲンが多い食べ物のランキングとレシピを管理栄養士が紹介!
サプリメント
食事から十分なコラーゲンを摂取できない場合は、サプリメントを利用すると楽に摂取できます。吸収されやすいコラーゲンペプチドや低分子コラーゲンが配合されているサプリメントを選ぶことをおすすめします。
外用製品(化粧水や乳液など)
化粧水や乳液などの外用製品にもコラーゲンが配合されているものがあります。外用製品を肌に塗ったからといって肌にあるコラーゲンが増えるわけではありませんが、保水力が高まり乾燥を防ぎ、肌のハリを維持してくれることが期待できます。
コラーゲン摂取の注意点
コラーゲンを摂取する際には、いくつか注意すべきことがあります。
コラーゲンの適切な摂取量の目安
コラーゲンは人間の身体に必要なものですが、過剰に摂取すると肝臓や腎臓に負担がかかるだけでなく、皮脂が過剰に分泌されニキビや肌荒れを引き起こしてしまう可能性が考えられます。
たんぱく質の1日の適切な摂取量は、18〜64歳の男性で65g、65歳以上の男性で60g、18歳以上の女性で50gとなっていますが、コラーゲンには基準値は設定されていません。健康や美容のために摂取する場合の摂取量は、5〜10gといわれています(9)。
コラーゲンの潜在的な副作用
コラーゲンは、適切な量を摂取していれば副作用の心配はほとんどありませんが、以下のような潜在的な副作用の報告があります。
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アレルギー
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内臓へのダメージ
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ニキビや肌荒れ
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浮腫み
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便秘がち
副作用があらわれたとしても大部分軽度のものです。しかし、少しでも異常を感じたら、コラーゲンの摂取をすぐにやめて、医師に相談しましょう。
平均分子量が小さい方が良い
コラーゲンを摂取する場合、平均分子量が小さい方が以下の理由から良いとされています。
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吸収率
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利用効率
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胃腸の負担
食品に含まれるコラーゲンの平均分子量(単位:DA)は約30万と非常に大きな分子で、吸収率は少ないです。
市販のコラーゲンペプチドの平均分子量は2000DA~5000DAで、平均分子量が5000以下である場合もコラーゲンの吸収を促進させる効果が期待できますが、平均分子量の小さいコラーゲンは、吸収率が高く、吸収後に体内で再合成されやすいため、利用効率が高いとされています。平均分子量が1000で、小さいコラーゲンは、速やかに消化吸収されるため胃腸への負担も抑えられますでしょう。
コラーゲンはいつ摂ったらいいの
コラーゲンを摂取するタイミングは、特に決まっているわけではなく、目的によって摂取タイミングが異なります。
筋肉の回復を目的にコラーゲンを摂取する場合は、寝ている間に壊れた筋肉組織の修復が行われるため、夜に摂取するのが効果的だと考えられています。吸収のしやすさを考えると、起床して朝食を食べる前の空腹時がよいといわれています。
コラーゲン摂取後、血中のヒドロキシプロリン含有量が増加し、数時間後まで残留し24時間後にはなくなってしまうことが明らかとなっています。そのため、摂取するタイミングよりも毎日継続して摂取することが大切です。摂取し忘れないように毎日夕食前など時間を決めてしまい、生活のルーティンに組み込んでしまうことをおすすめします(7)。
コラーゲンと他の栄養素と一緒に食べる方がいい
コラーゲンを摂取するときに、一緒に摂取した方が良い栄養素があります。
ビタミンC
消化吸収されたコラーゲンが再合成されるには、ビタミンCが必要になります。そのため、コラーゲンを摂取してもビタミンCが不足していると、コラーゲンが再合成されなくなってしまうのです。
ビタミンCは、レモンやいちごなどの果実類、じゃがいもやピーマン、ほうれん草などの野菜に豊富に含まれています。コラーゲンのサプリメントの中には、ビタミンCが含まれている製品もあるので、そのようなサプリメントで摂取してもよいでしょう。
鉄分やビタミンA、ビタミンB群、亜鉛
鉄分とビタミンB群もビタミンCと同様、コラーゲンの再合成に不可欠な栄養素です。
また、ビタミンAや亜鉛は、皮膚の健康維持には欠かせない栄養素のため、特に美容目的でコラーゲンを摂取する方は、一緒に摂取することをおすすめします。
まとめ
コラーゲンは、肌のハリやシワの減少と弾力性の改善や関節痛の軽減や骨密度の維持・改善、筋肉量の増加や運動後の回復促進などの効果が期待できる栄養素です。コラーゲンを含む食品や飲料、化粧品などさまざまな製品が作られており、今後ますます需要が高まっていくことが予想されます。
また、コラーゲンの効果を得るためには、生活習慣を見直し規則正しい生活を送ることも大切です。自分に合った方法でコラーゲンを上手に摂取し、健康や美容に役立ててみてください。
コラーゲンについてのよくある質問
Q.コラーゲンが不足するとどうなりますか?
A:皮膚のシワやたるみ、関節痛、骨密度が低下し骨折のリスク増、抜け毛増加、爪が脆くなる、動脈硬化、眼精疲労などの症状があらわれる可能性があります。
Q.コラーゲンのサプリメントを飲むと体重が増えますか?
A:サプリメントを飲んだだけで体重が増えることはありません。
Q.コラーゲンのサプリメントを飲み始めてからどのぐらいで効果が現れますか?
A:個人差がありますが、サプリメントを飲み始めてから2〜3ヶ月は継続して飲み続ける必要があります。