成分ガイド

植物性乳酸菌:動物性乳酸菌との違い、代表的な菌株まで徹底解説

監修者 堀川 衣梨 管理栄養士 公開日:2025-08-28 最終更新日:2025-08-28

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植物性乳酸菌:動物性乳酸菌との違い、代表的な菌株まで徹底解説

監修者 堀川 衣梨 管理栄養士 公開日:2025-08-28 最終更新日:2025-08-28

植物性乳酸菌は、植物由来の物質を発酵して作り出す乳酸菌のことで、日本の伝統的な発酵食品と深く関わりがあります。

植物性乳酸菌はみそやしょうゆ、漬物などに多く含まれており、私たちの健康を古くから支えてきました。

しかし、「乳酸菌」と一言でいっても、さまざまな種類があります。本記事では、植物性乳酸菌に焦点を当てて、動物性乳酸菌との違いや代表的な「植物性乳酸菌」菌株、効率よく摂るための献立について紹介します。

植物性乳酸菌のことを知って、普段の食事に取り入れてみてください。

乳酸菌の基本:歴史と定義

乳酸菌の基本

乳酸菌は、古くから貴重な食料を保存するために、世界中で利用されてきました。

例えば、チーズやヨーグルト、ワイン、ビネガー、ビールなど、各地域の気候風土に根ざした形で発展し、私たちの食生活を支えてきたのです。

そもそも乳酸菌とは、糖を分解して乳酸を作り出す微生物の総称を指します。この乳酸が食品の保存性を高めたり、独特の風味や味の変化を作り出したりします。(3)

また、乳酸菌は自然界のあらゆる場所に存在しており、その種類は非常に豊富です。そして、その生息環境の違いによって「植物性乳酸菌」と「動物性乳酸菌」に分けられることがあります。
 

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どっちの乳酸菌が良い?植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の違い

みそ:植物性乳酸菌

植物性乳酸菌と動物性乳酸菌は、それぞれ異なる性質を持った菌です。

植物性乳酸菌は、米や豆、野菜、果物などの植物性原料に由来し、みそやしょうゆ、漬物、日本酒など、多くの発酵食品に含まれています。(4)

一方、動物性乳酸菌はチーズやヨーグルトといった動物性原料に由来し、動物の腸内や乳製品の中に含まれているのが特徴です。

また、苛酷な自然環境でも生育する植物性乳酸菌は、塩分や酸に強い性質を持ち、その種類は非常に豊富です。(5)

一方で、動物性乳酸菌は塩分や酸に弱い傾向があり、胃酸や胆汁によってその多くが死滅してしまうのが特徴です。

また、菌の数が数十種類といわれる動物性乳酸菌は、植物性乳酸菌とは全く違った特徴を持つ菌であることがわかります。

 
 

植物性乳酸菌

動物性乳酸菌

食品の種類

みそ、しょうゆ、漬物、日本酒、キムチ、ザワークラフト

チーズやヨーグルト

特徴①

塩分や酸に強い

胃酸に弱い

特徴②

生きたまま腸まで届きやすい

腸に届く前に死滅しやすい

特徴③

菌の種類が非常に多い

数十種類

 

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代表的な「植物性乳酸菌」菌株

植物性乳酸菌は私たちの腸内フローラを整え、さまざまな健康効果をもたらす可能性を秘めています。

今回は多様性にあふれた植物性乳酸菌について、代表的なものを紹介します。

   

ラクトバチルス・プランタラム

漬物やキムチ、ドイツのザワークラフトなどの発酵に役立っているほか、生成する乳酸によって、ぬか床の腐敗を防ぐ働きも持っています。

なかでもラクトバチルス・プランタラム L-137は、風邪予防や体調に関する研究が進められており、体の免疫維持に大きく関わることがわかっています。

特に風邪に関する研究では、上気道症状の発症を抑えて症状を軽減させることが期待されています。

参考:ラクトバチルス プランタラム L-137研究所



 

K-2植物性乳酸菌

ある研究では、K-2植物性乳酸菌を摂取することで、スギ花粉の暴露による鼻の不快感に変化がみられたという報告が出ています

また、別の研究ではK-2植物性乳酸菌の摂取により、鼻水・鼻づまり、喉の痛み、くしゃみの累計発症日数の割合に改善がみられたとの報告も。

このことから、K-2植物性乳酸菌はさまざまな外的要因から身を守り、体調管理に役立つ乳酸菌といえるでしょう。

参考:ライスイノベーションラボ
 

 

植物性乳酸菌を効率よく摂るためのおすすめ献立

植物性乳酸菌は、毎日継続して少しずつ摂ることが重要です。1日3食の中で、複数の食品から取り入れてみましょう。

 

効率的な摂取のポイント:食物繊維やオリゴ糖と一緒に

乳酸菌を効率的に摂るためには、乳酸菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を一緒に摂ることが大切です。食物繊維やオリゴ糖は同時摂取によって乳酸菌のえさとなり、その増殖を助け、腸活を後押しすることが期待されます。(8)(9)(10)
 

※腸活とは、腸内をよい状態に保つための行動のこと。

食物繊維を
多く含む食品

玄米、ライ麦パン、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ブロッコリー、おから、しいたけ、ひじき

オリゴ糖を
多く含む食品

市販のオリゴ糖(シロップ、粉末)、玉ねぎ、ごぼう、大豆、はちみつ

※1歳未満の子どもには、はちみつを与えないでください。

 

一日の献立例

上記のポイントを踏まえて、植物性乳酸菌を効率よく摂るための献立をご紹介します。

 
 

献立例

朝食

玄米ごはん、納豆、ブロッコリーとトマトのサラダ、玉ねぎとわかめのみそ汁、ぬか漬け

昼食

キムチチャーハン、春雨サラダ(塩麹ドレッシングがけ)、バナナきなこ(オリゴ糖シロップ入り)

夕食

ごはん、ザワークラウトとソーセージ、にんじんとじゃがいもの付け合わせ、ミックス豆と水菜のツナサラダ、日本酒 or 甘酒

朝食のぬか漬けや納豆は、植物性乳酸菌を多く含む食材です。ごはんに玄米を混ぜたり、ブロッコリーやわかめを加えたりすることで食物繊維も摂取できます。

みそ汁には玉ねぎを入れて、オリゴ糖と乳酸菌が摂れるようにしています。

昼食のキムチチャーハンは、忙しいときでも簡単に作れる一品です。春雨サラダは塩麹を入れることで、乳酸菌と食物繊維の相乗効果が期待できます。

オリゴ糖を手軽に摂りたいときは、市販のオリゴ糖を活用すると便利です。食物繊維やオリゴ糖を豊富に含むバナナやきなこを合わせた一品もぜひお試しください。

夕食は、ドイツ料理に使用されるザワークラウトを使ったメニューです。ザワークラウトはお肉やハム、ソーセージとの相性がよく、付け合わせにぴったりです。

根菜や豆類、葉物野菜などを副菜に添えると食物繊維とのバランスも整います。食事の最後には、日本酒や甘酒を味わい、楽しく腸活を続けてみてください。

 

植物性乳酸菌を日々の食生活に取り入れ、健やかな毎日を

植物性乳酸菌は、世界の発酵食品に含まれ、私たちの食生活を支えてきました。

多様性に優れ、酸や塩分に強く、生きたまま腸に届きやすいという力強さを持つ植物性乳酸菌は、腸内環境をサポートする心強い存在です。

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