成分ガイド

肌にいい栄養素と働きは?肌の悩み別の食事のコツを紹介

監修者 堀川 衣梨 管理栄養士 公開日:2024-09-30 最終更新日:2024-12-25

成分ガイド

肌にいい栄養素と働きは?肌の悩み別の食事のコツを紹介

監修者 堀川 衣梨 管理栄養士 公開日:2024-09-30 最終更新日:2024-12-25

私たちの体は日々の食事によって作られ、肌の健康に大きく関わっています。美肌を保つためには、日々の食事の中で栄養をバランスよく摂ることが重要です。そこで今回は肌にいい栄養素を紹介し、美肌を保つためのポイントを解説します。いつまでも健康な肌を保つために、普段の生活にぜひ取り入れてみてください。

 

美肌に欠かせないのは「栄養素」

食物に含まれる栄養素は、髪の毛や爪、肌、顔色に大きな影響を及ぼし、栄養バランスが崩れると、肌荒れや乾燥、ニキビなどを引き起こすことがあります。肌に重要な透明感やハリの維持には、体の内側から肌のターンオーバーを正常化させることが大切。ターンオーバーとは、皮膚の一番上にある表皮の内部において、約28日間かけて細胞が新しく入れ替わることを指します。

肌のターンオーバーが乱れる原因は、加齢や睡眠不足、ストレス、偏った食事などが挙げられます。栄養が不足し、運動不足や便秘、紫外線などの刺激に伴い、古くなった細胞が肌に蓄積すると、シミやニキビの跡が目立ちやすくなるほか、くすみの原因にもなります。

このように、生活習慣や食事によって、肌の健康は決まると言っても過言ではないのです(1)

 

肌にいい栄養素リスト!気になる肌の悩み別に解説

肌の悩み

肌にいい栄養素といえば、たんぱく質、必須脂肪酸やビタミンB群、A、C、ミネラル、食物繊維などの多種類の栄養素です。

日常でバランスが良い食事を摂ったり、多種の栄養素を摂取して美肌にサポートのは重要です。肌や細胞での栄養素の働きはさまざまので、栄養素の働きついて簡単に紹介します。

栄養素

皮膚や細胞での働き(一部)

含まれている食物

たんぱく質

皮膚や筋肉、血液、骨、髪などを構成

肉や魚、卵など

必須脂肪酸

(オメガ3脂肪酸)

  • 生体膜の構成成分

  • 欠乏すると皮膚の水分、バリア機能の低下が起こる(2)

  • 乾燥から肌を守る(3)

青魚や亜麻仁油など

ビタミンB群

(B2、B6)

  • 三大栄養素の代謝に関わり、皮膚や髪、爪などを生成をサポートする

  • 細胞の再生や皮膚の成長を助ける

  • ホルモンバランスの調節(4)(5)

レバー、卵

魚や肉の赤身

ビタミンA

  • 肌や粘膜を健康に保つ

  • 不足すると、肌の乾燥や肥厚によって、くすみやシワの原因に

レバー、緑黄色野菜

ビタミンC

  • コラーゲンの合成

  • メラニンの生成を抑える(6)

  • 抗酸化作用があり、ビタミンEと協力して活性酵素を除去し、細胞を保護する

  • 不足により、顔色が悪くなることも

野菜・果物全般

ビタミンE

  • 抗酸化作用により、肌の酸化を防ぐ

  • メラニンの生成抑制(7)

  • 血流を促進し、肌のバリア機能を維持

ナッツ類、油脂類

ミネラル(亜鉛など)

  • 皮膚の健康を保つ

  • 亜鉛の欠乏により、皮膚炎が起こることも

  • 肌のターンオーバーに関わる(8)

牡蠣、赤身肉など

食物繊維

腸内環境を整えて、にきびや乾燥などの肌荒れを防ぐ(9)(10)

野菜や果物、海藻など

参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)など(11)

肌にはさまざまな栄養素の働きが関わっています。しかし、肌の悩みには個人差があり、乾燥やハリ、シミやそばかすなどその種類は多岐にわたります。そこで今回は肌の悩み別に意識して摂取したい栄養素について紹介します。

 

肌の健康:たんぱく質、オメガ3脂肪酸

肌を構成するたんぱく質は、不足するとツヤの減少、シワ、たるみ、ゴワつきによる透明感の減少につながります。また、細胞膜の材料になる脂質も重要で、オメガ3脂肪酸においては肌のうるおいを保つセラミドの材料となります(12)

オメガ3脂肪酸の一つ、リノール酸においては肌の水分を保ち、バリア機能の維持に役立つほか、メラニンの生成調節に関わります。(13)なめらかでやわらかな肌をキープするには、オメガ3脂肪酸を多く含む青魚や亜麻仁油の摂取がおすすめです。

関連記事:オメガ3とは?オメガ3脂肪酸の8つ効果一覧【医師監修】

 

顔色:ビタミンC、鉄など

ビタミンCと鉄は、不足すると心身の疲労感や顔色に影響を与えます。ビタミンCはコラーゲンの合成に欠かせない栄養素で、強い抗酸化力があり、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。

鉄は血液を通して酸素を全身に送り、顔色の変化に関わるほか、貧血予防にも役立ちます(14)

関連記事:ビタミンCの効果は?持続型ビタミンCとは?薬剤師が解説!

 

肌のハリ:コラーゲン、たんぱく質、ビタミンなど

肌のハリの維持には、たんぱく質やビタミン、コラーゲンの摂取が重要です。コラーゲンの経口摂取によって、皮膚の保湿の度合いが改善されたという結果があり、20-50代の女性にコラーゲンを1日5g、6週間摂取したところ、上腕と背中の皮膚の水分量が上昇し、柔軟性と弾力性が上昇したという結果も報告されています。(25)たんぱく質を分解したアミノ酸はコラーゲンの材料となり、細胞の成長や分化に関わるビタミンAが肌の代謝を促進、ターンオーバーを正常化してくれます(15)

美肌のご参考に:コラーゲンが多い食べ物のランキングとレシピを管理栄養士が紹介!

 

乾燥:ビタミンB群など

肌の乾燥には、ビタミンB群がよい影響を与えてくれます。皮膚の健康を保つビタミンB2は、肌のターンオーバーをサポート。

ビタミンB6は皮膚の炎症を予防し、皮脂の過剰な分泌を抑えてくれるほか、ホルモンバランスを整え、肌トラブルを予防してくれます(4)(16)

 

紫外線から守る:ビタミンE、ビタミンCなど

紫外線を浴びると、体が肌を守ろうとメラニン色素が分泌され、その量が多いと色素沈着を起こします。これがシミの正体で、紫外線によって皮膚の表面が乾燥すると、炎症を起こすこともあります。このとき意識したいのが、ビタミンEとビタミンCの摂取です。

どちらも抗酸化作用をもち、体の酸化を防いで、肌の悩みを減らす手助けをしてくれます。ビタミンEは血管の拡張により、新陳代謝が促進されるほか、細胞膜の保護と外部刺激から肌を守ってくれます(17)。ビタミンCにはメラニンの生成を抑制する働きもあります。

 

毛穴:ビタミンB2、B6、亜鉛など

「毛穴の開き」は肌の悩みの中で上位にランクインします。毛穴が目立つ原因は鼻の毛穴の黒ずみや皮脂、角栓によるものが多く、頬の場合は毛穴の開きによる原因も含まれます。(18)毛穴の悩み対策には、皮脂の分泌を抑えるビタミンB2やB6の摂取、亜鉛がよいと言われています。

亜鉛は細胞の正常な分化と新陳代謝を促し、正常なターンオーバーによって、古い角質が毛穴に詰まりやすくなることを防いでくれます。

 

摂りすぎると肌に良くない栄養素と成分

肌の健康を守ることや美肌を作ることうえで、注意したい栄養素も紹介します。

 

脂質の過剰摂取:ニキビ

脂質の過剰摂取によって、皮脂分泌を抑えるビタミンB2やB6が消費され、皮脂の増加により、ニキビができることがあります。(19)スナック菓子やファストフードなどの脂質が多い食品はできるだけ控えるようにしましょう。

 

糖質:糖化、皮脂の量を増やす、ニキビ など

糖質のとりすぎによって使われなかった分が中性脂肪として蓄積されると、脂質の過剰摂取と同様に、肌の皮脂量を増やすことにつながります。

また、余剰な糖質は体内の糖化を促し、その過程で「AGEs(終末糖化産物)」を作り出します。AGEsはさまざまな疾患の原因や老化の一因になることが分かっており、糖質を多く含む菓子やジュース、パンなどの習慣的摂取には注意が必要です(20)
 

カフェイン:ターンオーバーの乱れ

脳を目覚めさせる働きがあるカフェインは睡眠の質を左右し、飲み方によっては肌のターンオーバーを乱れさせる場合があります。カフェインを多く含むエナジードリンクや眠気覚まし用飲料、緑茶やコーヒーは飲む時間や量を工夫してみましょう(21)

 

香辛料:肌トラブル

唐辛子に含まれる辛味成分のカプサイシンは過剰な摂取により、胃や腸での消化に負担がかかります。胃腸の働きが弱まったことによる便秘が、肌トラブルの原因になることもあります。

乾燥やくすみ、肌荒れ、ニキビなどの症状を助長しないように、辛い食事の食べすぎにはご注意ください(22)

 

食生活を見直し、美肌のために気をつけたいこと

肌の健康維持のためには、気をつけたいポイントが3つあります。

1つ目は腸内環境のバランス。腸内が乱れて悪玉菌が増えると有害物質が発生し、全身に巡ることで肌荒れを引き起こすことがあります。腸内環境の悪化によって便秘も引き起こし、肌のターンオーバーに影響して、トラブルを招くとも言われています(10)。便秘の解消には、食物繊維をはじめ発酵食品の摂取がおすすめです。

2つ目は血糖コントロールです。血糖値の上昇を抑えることで、糖化を抑えることにつながります。また、終末代謝産物(AGEs)の生成を抑え、肌のハリや弾力性を回復させる可能性も期待されています(23)

3つ目は水分です。こまめな水分補給は、血液量増加と消化器の活性化につながり、血液を通して栄養が届きやすくなります。排便も促し、常温や温かくして飲むことで血行をよくする作用もあります(24)

 

食事で肌の健康を守ることは大事

美肌を保つコツは、栄養バランスを意識した食生活と十分な栄養です。普段の生活習慣と合わせて、体の内側からの綺麗さを目指していきましょう。

参考資料:
  1. 肌のターンオーバー「仕組み&乱れる原因」を知り、改善方法を見つけよう! 国立消化器・内視鏡クリニック
  2. 必須脂肪酸欠乏時における皮膚障害発症のメカニズムの解明
  3. 必須脂肪酸とは 東北大学病院
  4. MiFuP-Note-ビタミンB6生産 独立行政法人 製品評価技術基盤機構
  5. 水溶性ビタミン(2) 財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
  6. 健康や美容のマストアイテムービタミンCー
  7. 肌とビタミンA・EとコエンザイムQ 東邦大学(p.8)
  8. 皮膚美容における亜鉛の働き
  9. 腸内細菌と健康 e-ヘルスネット
  10. 研究論文からひも解く「肌と大腸」の深イイお話
  11. 日本人の食事摂取基準(2020年版)
  12. (創傷治癒と脂肪酸代謝
  13. リノール酸の基本情報・配合目的・安全性 化粧品成分オンライン
  14. 鉄欠乏性貧血のはなし 大分大学医学部
  15. ビタミンA eJIM 厚生労働省
  16. ピリドキシンHCIの基本情報・配合目的・安全性
  17. ビタミンE eJIM 厚生労働省
  18. 頬の表皮構造による毛穴の目立ちとその改善へのアプローチ
  19. ニキビに効く食べるべきものと肌に悪い食べ物は? 美容皮膚科 タカミクリニック
  20. 老化原因「糖化」を抑える食品を探す 静岡理工科大学
  21. カフェインの過剰摂取について 農林水産省
  22. 消化管スパイスセンサーとその機能辛味は胃腸でも味わう
  23. ”抗糖化”で健康長寿の社会を実現! 同志社大学
  24. 体内の水の働きと水を飲むことについて 千葉県
  25. コラーゲン経口摂取が結合組織(骨、皮膚)に及ぼす作用(p.110)