栄養素 - 脂質

DHA・EPAサプリ効果なしの5つの原因は?効果を実感できない原因を説明【医師監修】

監修者 甲斐沼 孟 医師 公開日:2024-03-31 最終更新日:2025-11-11

栄養素 - 脂質

DHA・EPAサプリ効果なしの5つの原因は?効果を実感できない原因を説明【医師監修】

監修者甲斐沼 孟 医師 公開日:2024-03-31 最終更新日:2025-11-11

「DHA&EPAサプリを飲んでも効果がない」という声がよくあります。

高齢者から子供まで、DHA・EPAサプリメントの摂取により、健康や美容の効果を得ることが可能です。

市販のDHAEPAサプリは、主に脂肪が豊富な魚(特に青魚)からオメガ3脂肪酸を含んでいる油を抽出して精製したサプリメントです。

しかし、DHA・EPAサプリメントには数多くの種類があります。各種類のサプリメントに含まれている成分と配合量の差のため、「しばらく続けてみたけど変化が分からない」との声を聞くことが少なくありません。

今回は、DHA・EPAサプリメントを摂取しても変化がない、服用しても顕著な効果が現れない場合の原因について詳しく解説します。さらに、DHA・EPAサプリの摂取推奨理由、効果的なサプリメント選定方法もご紹介します。

DHA・EPAに期待できる効果と摂取すべき理由

DHA&EPAに期待できる健康効果

「DHAやEPAのサプリを摂っているのに実感がない」と感じる方も多いかもしれません。しかし、実際には適切な量を継続的に摂取することで、さまざまな健康効果が得られることが科学的にも明らかになっています。

DHAとEPAは体内でほとんど作ることができない必須脂肪酸であり、人の健康を支えるうえで欠かせない栄養素です。研究によると、これらを毎日補うことで、脳や神経の働きを維持し、血中の中性脂肪を減らし、炎症を抑えるなどの効果が期待されています。

  • 認知機能の維持:DHAは脳に不可欠な成分で、認知機能の低下予防に役立つ可能性があり、特に高齢者に効果があるとの報告もあります。

  • 中性脂肪の低下と血液のサラサラ:DHA・EPAは中性脂肪を減らし、血液の流れをよりスムーズになるが確認されています(6)(7)。2007年にオックスフォード大学から発表された論文によると、DHAやEPAを摂取することで、中性脂肪値が平均25%低下したという結果も得られています(8)

  • 炎症の抑制と免疫サポート:DHA・EPAは抗炎症作用を持ち、慢性炎症の進行を防ぎ、免疫機能をサポートします。

 

「お体の健康はイマイチ」と思っている場合は、摂取量や摂取期間、生活習慣などを見直してみるのも一つの方法かもしれません。また、サプリメントの質も重要なポイントです。

 

 

DHA・EPAサプリメントを摂取しても効果を実感できない原因

DHA・EPAサプリメント

DHA・EPAのサプリメントを摂取してもあまり効果を実感できないのは、サプリメントに含まれているフィッシュオイルの酸化程度(鮮度)、含有量と濃度、継続的に使用、飲むタイミングに原因があることがあります。

DHA・EPA効果なしの原因

  1. DHA・EPAの含有量は低い
  2. DHA・EPAとオメガ3の濃度は低い
  3. DHA・EPAの酸化(鮮度が低い)
  4. 魚油の精製タイプはrTG形態ではない
  5. DHA・EPAサプリメントを継続的に使用していない
  6. 飲むタイミング

ここでは、サプリメントの働きを実感しにくくなる原因について詳しく見ていきましょう

 

原因1. DHA・EPAの含有量は低い

DHAEPAサプリ

オメガ3脂肪酸は多価不飽和脂肪酸で、主にDHAとEPAから構成されています(2)。DHAEPAは必須脂肪酸といって体内で合成できないものです。

そのため、食物や健康食品などから摂取する必要があります。

市販のDHA・EPAサプリメントの1日分に含まれるDHAとEPAの含有量が異なり、1日分のDHA・EPAサプリメントを摂取しても、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で示されたオメガ3脂肪酸(DHA、EPAを含む)の摂取目安量未満になる可能性もあります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、DHAとEPAの1日の摂取推奨量を設定していませんが、以下のように年齢や性別ごとに1日あたりのオメガ3脂肪酸の目安量が設定されています(3)。

年齢

男性(g)

女性(g)

1~2歳

0.7

0.7

3~5歳

1.2

1.0

6~7歳

1.4

1.2

8~9歳

1.5

1.4

10~11歳

1.6

1.7

12~14歳

2.2

1.7

15~17歳

2.2

1.7

18~29歳

2.2

1.7

30~49歳

2.2

1.7

50~64歳

2.3

1.9

65~74歳

2.3

2.0

75歳以上

2.3

2.0

妊婦

-

1.7

授乳婦

1.7

 

成人の場合は、1日あたり約1.7~2.2gのオメガ3脂肪酸が目安となります。つまり、1日2gくらいのオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂取しないと、効果を実感しづらい可能性が高くなるのです

 

原因2. DHA・EPAの濃度は低い

重要なのはDHAとEPAの含有量だけでなく、魚油製品やDHA・EPAサプリメントの「オメガ3含有濃度」または「DHA・EPA含有濃度」も重要なことです。

主なDHA・EPAサプリメントの原材料は精製魚油です。「DHA・EPA含有濃度」とは、1粒のサプリメントに、原材料である精製魚油に含まれるDHAとEPAの割合です。
 

・DHA・EPA濃度の確認方法

サプリメントを選ぶ際は、原料メーカーや製造元が提供する検査報告書を確認することが大切です。報告書には通常、DHA・EPAを含む各種脂肪酸の含有量が明確に示されています。これにより、製品の品質や効果を客観的に判断できます。

DHA・EPA濃度

 

・高濃度サプリを飲むメリット

オメガ3濃度

オメガ3含有濃度が高いほど、1粒のサプリメントに含まれるオメガ3脂肪酸の量が増え、余計な脂肪酸や油を摂取する量が減ります。一方、オメガ3含有濃度が低いDHA・EPAサプリメントを飲んで、余分な脂肪酸を摂取するとお体に負担がかかり、DHAやEPAの健康効果を実感できない可能性もあります。

 

・オメガ3(DHA・EPA含む)を1,000mg摂る場合

  • 1,000mgは成人が1日に必要なオメガ3目安量の約半分
  • 1粒あたりの精製魚油は300mgでの計算

オメガ3(DHA・EPA含む)を1,000mg摂る場合 (=成人が1日に必要なオメガ3目安量の約半分)

表によると、高濃度オメガ3が配合されているDHA・EPAサプリメントなら、わずか4粒で1,000mgのオメガ3が摂れます。一方、低濃度サプリメントでは、同じ量を摂るのに12粒も必要です。毎日何粒も飲むのが大変という方にとって、高濃度オメガ3が配合されているDHA・EPAサプリを飲むのは大きなメリットです

 

オメガ3含有濃度について
オメガ3脂肪酸には、ALA(α-リノレン酸)・DHA・EPAの3種類があります。市販のサプリメントや食品に「オメガ3高濃度・高含有」と表示されている場合でも、どの種類の脂肪酸が含まれているかを確認することが大切です。

原料が魚油、海藻由来、植物油のいずれかによって、含まれる成分が異なります。植物油に多く含まれるALAは、体内でDHAやEPAに変換されますが、その変換率は非常に低いため、十分なDHA・EPAを摂取したい場合は、魚油または海藻由来のオメガ3サプリメントを選ぶことをおすすめします。

DHA&EPAサプリメントや魚油製品を摂取する場合は、「オメガ3含有濃度」または「DHA・EPA濃度」をしっかりと確認しましょう。

 

原因3. DHA・EPAの酸化(鮮度が低い)

DHA・EPAサプリメントの主な原材料はDHAとEPAが豊富な精製魚油です。

国際的な標準では、通常酸価(Acid Value)、過酸化物価(PV)、全酸化値(TOTOX)が精製魚油の鮮度を評価する指標とされています。鮮度は製造日や保存期限ではなく、精製魚油中のオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の酸化の程度を示すものです。

DHA・EPAは不飽和脂肪酸に属し、魚の脂や植物に多く含まれている脂肪酸のことです(1)。DHA・EPAはすぐに酸化や腐敗してしまうので、高温・酸素・光・湿気を避けて保存することが重要です。

また、DHA・EPAサプリメントには抗酸化物質の有無もチェックしましょう。これにより、DHA・EPAの腐敗や酸化がより少なくなります。

新鮮で安定性が高いほど、栄養価をより良く保持できるため、鮮度の高いDHA・EPAのサプリメントを摂取することで実感しやすくなるでしょう。
 

 

原因4. 原材料である魚油の精製タイプはrTGではない

魚油の精製方法には、主に3つあります。

  • rTG(再エステル化トリグリセリド)

  • EE(エチルエステル化魚油)

  • TG(天然トリグリセリド)

精製魚油の作り方

このうち、とくにおすすめなのが、rTGです。

魚油の精製方法は、有効成分の濃度や体内吸収率に直接関係があるといわれています

魚油の健康食品(DHA・EPAサプリを含む)では、TGのタイプがもっとも一般的であり、オメガ3脂肪酸濃度が高いのは主にrTG形態とEE形態で精製された魚油です。

 

魚油の精製方法により、EPA/DHAの濃度(純度)は次のようになっています。

精製形態 濃度(純度)の範囲

rTG

約70~90%

EE

約50~90%

TG

約10~40%

(9)(11)

EE形態の精製魚油は一見するとEPA/DHA濃度がTG形態の魚油よりも高いように見えます。

しかし、吸収率まで考慮してからどの製法が優れているのかを判断することが大切です。EE形態の魚油は食事後の吸収率が約73%しかありませんが、TG形態の魚油の吸収率は100%、rTG形態の魚油の吸収率はなんと124%に達します(10)

実際、2023年に発表された研究では、rTG形態の90%高濃度オメガ3サプリ(EPA + DHA含有量90%超)を摂取したグループは、70%濃度未満のrTG形態のオメガ3サプリを摂取したグループと比較して、赤血球膜中のEPA濃度が約24%、DHA濃度が約10%高くなることが確認されました。これは、rTG形態が単に含有量だけでなく、体内での利用効率においても優れていることを示しています。(11)

 

 

原因5. DHA・EPAサプリメントを継続的に使用していない

健康食品は継続的に使用することが重要です。1ヶ月だけのDHA・EPAサプリメント摂取では、効果を実感できないかもしれません。

赤血球膜のリン脂質中に含まれるDHAとEPAの合計割合(オメガ3指数)は、体内のオメガ3脂肪酸の十分な状態を示す重要な指標です。

研究によると、6ヶ月間にわたりDHA・EPAサプリメントを継続的に摂取することで、赤血球細胞膜の脂質が有益な不飽和脂肪酸に置き換わり、オメガ3指数が高まることが確認されています(5)

つまり、DHA・EPAサプリメントの効果を実感できるため、少なくとも4ヶ月(120日)以上は摂取し続けることをおすすめします

継続的に使用するため、毎日の飲むタイミングを決めて、飲みやすくて価格も負担にならないサプリメントを選びましょう。

 

原因6. 飲むタイミングも注意

サプリメントは医薬品ではないため、指定された飲むタイミングはなく、いつ飲んでもかまいません。

しかし、DHAとEPAはオメガ3脂肪酸で、脂質ですから、脂質を消化して栄養を吸収するために、消化酵素が必要です。

食事中、消化器官は大量の消化酵素を分泌し、胃で食べ物を消化します。空腹の時、DHA・EPAサプリメントの吸収率が高くない可能性があります。

DHA・EPAサプリメントの栄養吸収効率を高めるため、食後や食事と一緒に摂取することをおすすめします


 



 

DHA・EPAサプリの選び方

DHAEPAサプリの選び方は?

DHA・EPAサプリを選ぶときは、以下のポイントを押さえましょう。

  1. 1日分のDHA+EPA含有量:約900mg以上が理想
  2. DHA・EPA含有濃度(またはオメガ3含有濃度)84%以上
  3. DHAとEPAの酸化対策
  4. 吸収効率の高い精製魚油「rTG形態」
  5. GMP・IFOS認証の有無
 

1. 1日分のDHAとEPAの含有量

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、1日あたりの望ましいDHAおよびEPAの摂取量を1,000mgと設定しています

そのため、DHA・EPAサプリを選ぶときも、1日の摂取目安量が1,000mgに近いものを選ぶとよいでしょう。普段から青魚を良く食べる方なら含有量が低めのものでも構いませんが、食べる習慣がない方は高含有量のものを選んでみてください。
 

2.DHA・EPA含有濃度(またはオメガ3含有濃度)84%以上

そして、「オメガ3の含有濃度」または「DHA+EPAの含有濃度」」もチェックし、不要な油を摂らないように工夫しましょう。

特に、DHA・EPA含有濃度が84%以上のサプリを選ぶことで、余分な脂質を抑えつつ、効率よく必要な成分だけを摂取できます。

 

3. DHAとEPAの酸化対策

DHAとEPAは、酸化しやすい脂肪酸です。サプリメントを購入するときは、酸化されにくいような工夫がしてあるものを選びましょう

たとえば、日光や空気に触れないようになっているもの、遮光性の高い容器が使われているものがおすすめです。rTG形態の精製魚油は安定性が高いため、酸化対策の一つと見られています。

また、良質な精製魚油は一般的に油状です。サプリメントや健康食品の場合はソフトジェルカプセルの形状をしています。

他の形状と比較した際、ソフトジェルカプセルの形状のみが精製魚油を完全に空気から隔離し、消費者に鮮度が高くて、オメガ3脂肪酸(DHAとEPA)が酸化していないDHA・EPAサプリメントを直接届けることが可能です

 

4. 吸収効率の高い精製魚油「rTG形態」


TG形態の魚油抽出製程は、魚油に含まれるオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)を効率的に抽出し、体内でより吸収されやすい形に加工する方法です。

まず、深海魚から魚油を抽出し、その後、不純物や臭いを取り除く精製が行われます。

次に、再エステル化処理を行い、DHAやEPAを甘油と結びつけて、より純度の高いトリグリセリド(rTG)に変換します。
参考:魚油抽出:EE、TG、rTG、超臨界流体抽出法とは?


 

5. GMPとIFOS認証有無

品質にこだわりたい方は、GMPマークを取得したものを選んでみてください。

これらのマークがある魚油は、製品規格から製造工程まで安全面や衛生面がきちんと確認されています。水銀が気になる方は、残留物質の検査が行われているかどうかを確認することも忘れずに行いましょう。

また、IFOS(International Fish Oil Standards)認証を取得した製品を選ぶことも重要ですIFOS認証は、魚油が厳格な品質基準を満たしていることを保証するもので、特にEPA/DHAの含有量や酸化防止の安全性が確認されています。この認証を受けた製品は、消費者が安心して使用できる品質が保証されているため、選ぶ際の一つの基準となります。

   

IFOS(International Fish Oil Standards)とは?

(4)IFOSは、唯一の魚油の第三者認証機関です。有効成分の含有量、不純物、安定性、新鮮さの検査基準は、多くの国よりも厳格で、世界保健機関(WHO)の基準よりも厳しいことさえあります。IFOSの認証を受けていることは、魚油やDHA・EPAサプリメントを購入する際の一つの基準となるでしょう。
 

IFOSの検査項目

IFOSの第三者認証機関による検査を通過したものは、魚油の品質が保証されているといえます。検査項目には、以下のものが含まれています。

  • オメガ3脂肪酸全体の含有量(DHA/EPA)

  • 重金属(水銀、鉛、ヒ素、カドミウムなど)

  • 汚染物質(PCB、ダイオキシンなど)

  • 安定性物質(過酸化物、1-アミノ-4-メトキシベンゼンなど)

 

IFOSの検査を通過した製品は、最大で5つ星の評価を受けることが可能です。

オメガ3脂肪酸の効果

オメガ3脂肪酸は、私たちヒトが体内で生成することができない重要な栄養素であるため、食事から摂取する必要のある「必須脂肪酸」の1つです。EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)、ALA(α-リノレン酸)が含まれています。

参考:オメガ3の11つの効果・働きと手軽に摂取する方法|認知機能・心血管系の健康を支える

<こちらもご参考に>