「DHA・EPAサプリを飲んでも効果がない」という声がよくあります。
魚由来のDHA・EPAサプリ、あるいはフィッシュオイルには多くのメリットがあります。
これらのサプリでは、高齢者から子供まで健康や美容の効果を得ることが可能です。そのため、多くの人々がDHAやEPAを含む健康食品にますます関心を寄せています。
市販のDHAやEPAサプリは、主に脂肪が豊富な魚(特に青魚)からオメガ3脂肪酸を含んでいる油を抽出して精製したサプリメントです。
しかし、DHA・EPAサプリメントには数多くの種類があります。
そのため、「しばらく続けてみたけど変化が分からない」との声を聞くことが少なくありません。なぜ、DHAやEPAのサプリで実感できないことがあるのでしょうか。
今回は、DHAやEPAのサプリを摂取しても変化がない、DHAやEPAサプリは効果なし原因について詳しく解説します。
健康に良いサプリの選び方も紹介しているので参考にご覧ください。
DHA・EPAに期待できる健康効果とは?
DHAとEPAは、必須脂肪酸であるため、人の健康をサポートする重要な成分です。DHAとEPAを毎日摂るのは、下記のような期待できる健康効果があります。
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認知機能の維持:DHAは脳に不可欠な成分で、認知症予防に効果があるとされています。
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中性脂肪の低下と血液のサラサラ:DHA・EPAは中性脂肪を減らし、血液の流行をよりスムーズになるが確認されています。
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炎症の抑制と免疫サポート:DHA・EPAは抗炎症作用を持ち、慢性炎症の進行を防ぎ、免疫機能をサポートします。
参考:
DHAの効果は?頭から全身までのDHAの予防・改善効果
DHAの脳機能、記憶力、認知機能の向上効果をエビデンスに基づいて解説
DHA・EPAのサプリを摂取しても変化がないのは事実?
「DHAやEPAのサプリを摂っているのに実感がない」という方も多いかもしれませんが、実際には、適切なDHAとEPA量を継続的に摂取することで、さまざまな健康効果が期待できます。
科学的な根拠に基づく研究でも、DHAやEPAの補充には確かな効果があることが示されています。
例えば、DHAやEPAを摂取することで、認知機能の低下予防に役立つ可能性があり、特に高齢者に効果があるとの報告もあります。
また、中性脂肪の低下や心疾患リスクの低減にも有効であることが科学的に確認されています(6)(7)。2007年にオックスフォード大学から発表された論文によると、DHAやEPAを摂取することで、中性脂肪が平均25%低下したという結果も得られています(8)。
さらに、オメガ3脂肪酸であるDHAやEPAは抗炎症作用があり、慢性の炎症を抑えることが期待されます。
食事からサプリメントとしてDHAやEPAを摂取することは、科学的に証明された健康効果があるため、適切な量を継続的に摂ることが大切です。
もし「お体の健康はイマイチ」と思っている場合は、摂取量や摂取期間、生活習慣などを見直してみるのも一つの方法かもしれません。
DHAやEPAサプリメントを摂取しても効果を実感できない5つ原因
主な市販のDHAやEPAのサプリメントは、フィッシュオイルを原材料としています。
DHAやEPAのサプリメントを摂取しても、あまり効果を実感できないのは、サプリメントに含まれているフィッシュオイルの酸化程度(鮮度)、含有量と濃度、継続的に使用と飲むタイミングに原因があることがあります。
ここでは、サプリメントの働きを実感しにくくなる5つの原因について詳しく見ていきましょう。
1.サプリメントに含まれるオメガ3脂肪酸の酸化(鮮度が低い)
DHAやEPAのサプリメントの原材料は主にフィッシュオイル(精製魚油)です。
国際的な標準では、通常酸価(Acid Value)、過酸化物価(PV)、全酸化値(TOTOX)がフィッシュオイルの鮮度を評価する指標とされています。鮮度は製品の製造日や保存期限を指すのではなく、フィッシュオイル中のオメガ3脂肪酸の酸化の程度を示すものです。
オメガ3脂肪酸は不飽和脂肪酸に属しています。不飽和脂肪酸とは、魚の脂や植物に多く含まれている脂肪酸のことです(1)。
精製魚油で作られたDHAとEPAサプリメントに含まれている不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸を含む)はすぐに酸化や腐敗してしまうので、酸化や湿気を避けなければなりません。
酸化や腐敗を防ぐためには、保存環境の温度、酸素、光などの条件を正常に保つことが大切です。
また、DHAとEPAサプリメントには抗酸化物質の有無もチェックしましょう。
これにより、オメガ3脂肪酸の酸敗や酸化がより少なくなります。
新鮮で安定性が高いほど、栄養価をより良く保持できるため、鮮度の高いDHAとEPAのサプリメント(フィッシュオイル)を摂取することで実感しやすくなるでしょう。
他の注意すべきのこと
DHA・EPAサプリメントの選び方は?DHAとEPA含有量の他に注意すべき項目は何?
2.サプリメントに含まれるオメガ3脂肪酸の含有量と濃度は低い
オメガ3脂肪酸は多価不飽和脂肪酸で、主にDHAとEPAから構成されています(2)。EPAとDHAは必須脂肪酸といって体内で合成できないものです。
そのため、食物や健康食品などから摂取する必要があります。
市販の魚油製品やDHA・EPAサプリメントの1日分に含まれるDHAとEPAの含有量が異なり、1日目安量のDHAとEPAサプリメントを摂取しても、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で示されたオメガ3脂肪酸(DHA、EPA)の1日の摂取目安量に未満の可能性もあります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、DHAとEPAの1日の摂取推奨量を設定させていませんが、以下のように年齢や性別ごとに1日あたりのオメガ3脂肪酸の目安量が設定されています(3)。
年齢 |
男性(g) |
女性(g) |
1~2歳 |
0.7 |
0.7 |
3~5歳 |
1.2 |
1.0 |
6~7歳 |
1.4 |
1.2 |
8~9歳 |
1.5 |
1.4 |
10~11歳 |
1.6 |
1.7 |
12~14歳 |
2.2 |
1.7 |
15~17歳 |
2.2 |
1.7 |
18~29歳 |
2.2 |
1.7 |
30~49歳 |
2.2 |
1.7 |
50~64歳 |
2.3 |
1.9 |
65~74歳 |
2.3 |
2.0 |
75歳以上 |
2.3 |
2.0 |
妊婦 |
- |
1.7 |
授乳婦 |
1.7 |
成人の場合は、1日あたり約1.7~2.2gオメガ3脂肪酸が目安となります。つまり、1日2gくらいオメガ3脂肪酸を食べないと、実感しづらい可能性が高くなるのです。
そして、重要なのはDHAとEPAの含有量だけでなく、魚油製品やDHA・EPAサプリメントの「オメガ3脂肪酸の濃度」も重要なことです。
主なDHA・EPAサプリメントの原材料はフィッシュオイルです。「オメガ3脂肪酸の濃度」とは、1粒のサプリメントに、原材料であるフィッシュオイル(精製魚油)に含まれるオメガ3脂肪酸(主にDHAとEPA)の割合です。
濃度(割合)が高いほど、1粒のサプリメントに含まれるオメガ3脂肪酸(DHAとEPA)の量が増え、余計な脂肪酸や油を摂取する量が減ります。
一方、オメガ3脂肪酸の濃度が低い魚油製品やDHA・EPAサプリメントを飲んで、余分な脂肪酸を摂取するとお体に負担がかかり、DHAやEPAの健康効果を実感できない可能性もあります。
DHAとEPAサプリメントや魚油製品を摂取する場合は、「DHAとEPA含有量」と「オメガ3脂肪酸濃度」をしっかりと確認しましょう。
オメガ3とは、油脂のメイン成分である「脂肪酸」の「不飽和脂肪酸」の一種です。
オメガ3脂肪酸は、私たちヒトが体内で生成することができない重要な栄養素であるため、食事から摂取する必要のある「必須脂肪酸」の1つです。EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)、ALA(α-リノレン酸)が含まれています。
参考:オメガ3とは?オメガ3脂肪酸の8つ効果一覧【医師監修】
3.フィッシュオイルの精製タイプはrTGではない
フィッシュオイルの精製方法には、主に3つあります。
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rTG(再エステル化トリグリセリド)
-
EE(エチルエステル化魚油)
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TG(天然トリグリセリド)
このうち、とくにおすすめなのが、rTGです。
魚油の精製方法は、有効成分の濃度や体内吸収率に直接関係があるといわれています。
魚油の健康食品(DHA・EPAサプリを含む)では、TGのタイプがもっとも一般的であり、オメガ3脂肪酸濃度が高いのは主にrTG形態とEE形態で精製されたフィッシュオイルです。
フィッシュオイル精製方法により、EPA/DHAの濃度は次のようになっています。
rTG |
約70~90% |
EE |
約50~90% |
TG |
約10~40% |
EEのフィッシュオイルは一見するとEPA/DHA濃度がTGの魚油よりも高いように見えます。
しかし、吸収率まで考慮してからどの製法が優れているのかを判断することが大切です。EEの魚油は食事後の吸収率が約73%しかありませんが、TGの魚油の吸収率は100%、rTGの魚油の吸収率はなんと124%に達します 。
良質なフィッシュオイルは一般的に油状です。サプリメントや健康食品の場合はソフトジェルカプセルの形状をしています。
他の形状と比較した際、ソフトジェルカプセルの形状のみがフィッシュオイルを完全に空気から隔離し、消費者に鮮度が高くて、オメガ3脂肪酸(DHAとEPA)が酸化ではないDHAとEPAサプリメントを直接届けることが可能です。
まず、深海魚から魚油を抽出し、その後、不純物や臭いを取り除く精製が行われます。
次に、再エステル化処理を行い、DHAやEPAを甘油と結びつけて、より純度の高いトリグリセリド(rTG)に変換します。
参考:魚油抽出:EE、TG、rTG、超臨界流体抽出法とは?
4.DHAやEPAサプリメントを継続的に使用していない
健康食品は継続的に使用することが重要です。1ヶ月だけのサプリメント摂取では、効果を実感できないかもしれません。
赤血球膜のリン脂質中に含まれるDHAとEPAの合計割合(オメガ3指数)は、体内のオメガ3脂肪酸の十分な状態を示す重要な指標です。
研究によると、6ヶ月間にわたりDHA・EPAサプリメントを継続的に摂取することで、赤血球細胞膜の脂質が有益な不飽和脂肪酸に置き換わり、オメガ3指数が高まることが確認されています(5)。
つまり、DHA・EPAサプリメントの効果を実感できるため、少なくとも4ヶ月(120日)以上は摂取し続けることはおすすめです。
継続的に使用するため、毎日の飲むタイミングを決めて、飲みやすくて価格も負担にならないサプリメントを選びましょう。
5.飲むタイミングも注意
多くの市販DHA・EPAサプリメントは、精製された魚油で作られています。
DHAとEPAはオメガ3脂肪酸=脂質ですから、脂質を消化して栄養を吸収するために、消化酵素が必要です。
食事中、消化器官は大量の消化酵素を分泌し、胃で食べ物を消化します。空腹の時、DHA・EPAサプリメントの吸収率が高くない可能性があります。
DHA・EPAサプリメントの栄養吸収効率を高めるため、食後や食事と一緒に摂取することをおすすめします。
食事をするとき、消化器官は食べ物を消化し、栄養を吸収するために、さまざまな種類の消化酵素を分泌します。
つまり、DHAやEPAサプリメントの効果的な摂取のタイミングについては、食後や朝食あるいは夕食とともに摂取することがおすすめです。
参考:DHAとEPAサプリメント飲むタイミングは寝る前?朝?エビデンスに基づいて効果的な飲むタイミングを解説
DHA・EPAのサプリの選び方
DHA・EPAサプリを選ぶときは、以下のポイントを押さえましょう。
ポイント1:1日分のDHAとEPAの含有量と濃度を確認する
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、1日あたりの望ましいDHAおよびEPAの摂取量を1,000mgと設定しています。
そのため、サプリを選ぶときも、1日の摂取目安量が1,000mgに近いものを選ぶとよいでしょう。そして、「オメガ3脂肪酸の濃度」もチェックし、不要な油を撮らないように工夫しましょう。
メーカーによってサプリメントのDHA・EPAの含有量は100~1,000mgと幅があります。
普段から青魚を良く食べる方なら含有量が低めのものでも構いませんが、食べる習慣がない方は高含有量のものを選んでみてください。
ポイント2:DHAとEPAの酸化を防ぐ工夫がされているかを確認する
DHAとEPAは、酸化しやすい脂肪酸です。サプリメントを購入するときは、酸化されにくいような工夫がしてあるものを選びましょう。たとえば、日光や空気に触れないようになっているもの、遮光性の高い容器が使われているものがおすすめです。
ポイント3:GMPマークを確認する
品質にこだわりたい方は、GMPマークを取得したものを選んでみてください。
これらのマークがある魚油は、製品規格から製造工程まで安全面や衛生面がきちんと確認されています。水銀が気になる方は、残留物質の検査が行われているかどうかを確認することも忘れずに行いましょう。
<こちらもご参考に>
IFOS(International Fish Oil Standards)とは?
(4)IFOSは、唯一の魚油の第三者認証機関です。有効成分の含有量、不純物、安定性、新鮮さの検査基準は、多くの国よりも厳格で、世界保健機関(WHO)の基準よりも厳しいことさえあります。IFOSの認証を受けていることは、魚油を購入する際の一つの基準となるでしょう。
IFOSの検査項目
IFOSの第三者認証機関による検査を通過したものは、魚油の品質が保証されているといえます。検査項目には、以下のものが含まれています。
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オメガ3脂肪酸全体の含有量(DHA/EPA)
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重金属(水銀、鉛、ヒ素、カドミウムなど)
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汚染物質(PCB、ダイオキシンなど)
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安定性物質(過酸化物、1-アミノ-4-メトキシベンゼンなど)
IFOSの検査を通過した製品は、最大で5つ星の評価を受けることが可能です。