オメガ3脂肪酸は、心疾患や脳卒中のリスクを低下させるなど、脳や心血管の健康に良い影響を与えると考えられており、さまざまなサプリメントに配合されています。
主に、魚油や海産物に含まれることが知られているオメガ3脂肪酸ですが、オメガ3脂肪酸を配合したサプリメントでも天然のオメガ3脂肪酸と同じ効果を得ることができるのでしょうか?
この記事では、オメガ3サプリメントの効果や、効果を最大限に引き出すためのサプリメントの選び方についてくわしく解説しています。
オメガ3脂肪酸とは
オメガ3脂肪酸は、人の体にとって欠かすことのできない重要な脂肪酸ですが、体内で合成できないため、食事からの摂取が必要な「必須脂肪酸」に位置付けられています。オメガ3脂肪酸には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)、ALA(α-リノレン酸)が含まれています。(1)(2)(3)(4)(5)
- DHA(ドコサヘキサエン酸):脳の発達や機能の維持に関係していると考えられています。クロマグロの脂身、スジコ、ブリ、サバなどに多く含まれています。
- EPA(エイコサペンタエン酸):血栓の予防、抗炎症作用、高血圧の予防などの効果が期待されています。マイワシ、クロマグロの脂身、サバ、ブリなどに多く含まれています。
- ALA(α-リノレン酸):植物油(亜麻仁油、大豆油、キャノーラ油など)や植物由来の食物(チアシード、黒くるみなど)に含まれています
α-リノレン酸は体内でEPA、DHAと変化しますが、α-リノレン酸からEPAは0.1~21%、EPA からDHAは0.1~9%程度と、人での変換率は低いことから、DHAやEPAを摂取することをおすすめしています。
オメガ3サプリの効果がない?と言われる3つの原因
オメガ3脂肪酸を含むサプリメントの効果について、一部では期待される効果が得られないのではないかと疑問視される声もあります。
近年、オメガ3脂肪酸は心血管の健康維持に有用とされていますが、サプリメントとして摂取しても期待した効果が得られないという報告も見られます。
しかしその背景には、製品ごとの成分量や品質のばらつきが影響している可能性があります。2023年にJAMA Cardiologyに掲載されたZhangらの研究によると、米国で市販されているオメガ3サプリメント・フィッシュオイルのEPA・DHA含有量には大きな差があり、表示内容にも不正確なものが少なくないとされています(14)。
こうした違いが、臨床研究における効果の不一致を引き起こしている一因と考えられます。
そのため、オメガ3サプリメントが期待された効果を得られない原因として、以下のような要因が考えられます。(7)
1. 摂取量の不足
オメガ3脂肪酸の摂取量が必要な量に達していないと、オメガ3脂肪酸サプリメントの効果が十分に発揮されず、効果を実感できない場合があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、オメガ3脂肪酸の1日の摂取目安量は成人男性で2.2〜2.3g、成人女性で1.7〜2.0gと算定されています。妊娠中の方は1.7g、授乳中の方は1.7gがおすすめされています。
オメガ3脂肪酸をサプリメントで補う場合は、これらの摂取量を目安に摂取するよう意識するとよいでしょう。
1日分のカプセルに含まれるオメガ3脂肪酸(DHAやEPAなど)の含有量が少ないと、体が必要とする量を十分に摂取できない可能性があります。
例えば、1日4粒(合計2g)のサプリメントを摂取しても、オメガ3の含有量がわずか400mgしかない場合、これは厚生労働省が推奨する成人1日あたりの摂取目安量の半分以下にすぎません。このような製品では、効果を実感するためには8〜12粒もの摂取が必要となり、毎日の負担も大きくなってしまいます。
また、サプリメントなどの健康食品は継続的に摂取することで効果を実感しやすくなります。
少なくとも4ヶ月以上は摂取することをおすすめしています。ご自身のライフスタイルに合った方法で、継続的にサプリメントを使用するようにしましょう。
2. サプリメントの品質の低さ
オメガ3脂肪酸の健康効果が注目されていることから、現在ではさまざまなオメガ3脂肪酸を含むサプリメントが販売されています。しかし、サプリメントによって品質には大きな差があります。
1. オメガ3の濃度が低い

同じサイズのカプセルでも、精製魚油にオメガ3の割合が30%しかない場合、残りの70%は体にとって不要な油分や添加物である可能性もあります。
これは品質面だけでなく、健康への影響にも関わる重要なポイントです。
例えば、オメガ3の濃度が30%と低い場合、1日分として4粒(合計2g)のカプセルを摂取しても、実際に摂れるオメガ3はわずか400mg程度にとどまります。必要な量を補うためには、1日に8粒以上を飲まなければならず、効率が悪いだけでなく、その分不要な油分も多く体に取り入れてしまうことになります。
健康のために摂っているつもりが、逆に余計な成分まで摂取してしまう可能性があるのです。
2. 不純物や酸化の問題
オメガ3サプリメントの精製魚油の中に、オメガ3が30%しか含まれていない場合、残りの70%は不要な油分や添加物である可能性があります。
不純物が多く含まれていたり、酸化防止の工夫が不十分な製品では、安全性や効果に影響を及ぼす可能性があります。不純物による品質低下や、酸化によってオメガ3本来の効果が失われるリスクもあります。
3. 体質や生活習慣による個人差
個人の体質や生活習慣により、オメガ3の効果の感じ方が異なる場合があります。
普段から暴飲暴食など乱れた食生活をされている方や運動不足の方などは、サプリメントの効果を十分に実感しにくいことが考えられます。
参考:DHA・EPAサプリ効果なしの5つ原因は?効果を実感できない原因を説明
オメガ3サプリメントの選び方
オメガ3サプリメントの効果を十分に引き出すためには、品質の高い製品を選ぶことが重要です。
オメガ3サプリメントの選び方には、以下のようなポイントが挙げられます。(7)(12)(13)
オメガ3脂肪酸濃度80%以上の高濃度オメガ3サプリメントを選ぶ
オメガ3が高濃度であるほど、1粒のサプリメントに含まれるDHAとEPAの有効成分の割合が高く、効率良くオメガ3脂肪酸を摂取できると考えられます。
オメガ3が低濃度のサプリメントでは、オメガ3であるDHAやEPA以外の余計な油分や成分が相対的に多く含まれていると考えられ、体に負担がかかることや十分な効果が得られない可能性があります。
小さいカプセル、少ない粒数で続けやすい
高濃度オメガ3だからこそ、小さなカプセル&少ない粒数で必要量を補給できるという利点があります。これは、特に以下のような方々におすすめです:
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飲み込むのが苦手な高齢の方
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サプリメントの粒数が多いと負担に感じる方
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忙しくて手軽に健康管理をしたい方
高濃度サプリメントは、中高年層や高齢者にとっても続けやすく、日常に無理なく取り入れられる健康習慣として、非常におすすめです。
そのため、オメガ3脂肪酸の濃度が80%以上のサプリメントを選ぶことをおすすめします。
DHA・EPAの含有量を確認しましょう
先述の通り、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で算定されたオメガ3脂肪酸の摂取目安量から考えると、サプリメントでDHAやEPAを補う場合、1日あたり約900~1,000mgのDHAとEPAの合計量が含まれている製品を選ぶのがおすすめです。
サプリメントを選ぶ場合には、DHAやEPAの含有量を確認するようにしましょう。
オメガ3脂肪酸以外の配合成分にも注目しましょう
オメガ3サプリメントには、ビタミンDが配合されている場合があります。ビタミンDは骨の健康をサポートするほか、免疫機能を強化するためにに重要な栄養素です。
オメガ3脂肪酸などの脂質はビタミンDの吸収を助ける作用があり、一緒に摂取することでビタミンDの健康効果も効率良く得られるため、おすすめです。
認証マークがあるものを選ぶ
オメガ3サプリメントを選ぶ場合には、第三者機関の品質認証を受けている製品を選ぶと安心です。「GMPマーク」や「IFOS認証」を取得している製品は、品質や安全性が保証されており、より信頼性が高いサプリメントであるといえます。
オメガ3の健康作用
さまざまなオメガ3の健康効果があることが明らかになっています。オメガ3脂肪酸によってもたらされる健康効果には、以下のようなものが挙げられます。(3)(4)(6)(7)(8)(9)(10)(11)
1. 心血管系の疾患のリスクを低下させる
EPAやDHAには血液を固まりにくく、サラサラにする働きがあります。ある研究では、EPAやDHAの摂取量が最も多かったグループ(2.1g/日)は、最も摂取量が少なかったグループ(0.3g/日)と比較し、約40%も虚血性心疾患のリスクが低下したことが報告されています。
EPAやDHAが、動脈硬化を予防し、心血管系の疾患(虚血性心疾患、心筋梗塞など)のリスクを低下させる効果が期待できるといわれています。
2. 脳の発達や機能の維持、認知機能の低下を予防する
DHAは神経組織の重要な構成脂質で、胎児の脳の発達にも欠かすことのできない脂肪酸であることが明らかになっています。EPAやDHAは認知機能の低下や認知症の予防に対する効果も期待されており、研究が進められています。
3. 炎症を抑える作用がある
EPAやDHAには炎症を抑える作用があるため、炎症性の疾患(関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病など)や慢性的な炎症の改善が期待できるとする見解もあります。
EPAの抗炎症作用に関する研究も進められており、炎症性疾患の痛みに対する医薬品への応用も期待されています。
4. 精神的な健康のサポートが期待できる
DHAやEPAがうつ病の予防に対して有効であるとする海外の報告があり、メンタルヘルス面でのサポートが期待できるとして日本でも注目されています。
オメガ3とは、油脂のメイン成分である「脂肪酸」の「不飽和脂肪酸」の一種です。
参考:オメガ3の11つの効果・働きと手軽に摂取する方法|認知機能・心血管系の健康を支えるまとめ
オメガ3脂肪酸は心血管系の健康維持、脳の発達や機能向上など、健康的な生活にとって欠かせない重要な脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸のもつ健康効果の注目度は高く、現在ではさまざまなオメガ3脂肪酸を含むサプリメントが販売されています。
しっかりとオメガ3脂肪酸の効果を実感するためには、品質の良いサプリメントを選ぶことが重要です。毎日のバランスの良い食事に加え、サプリメントなどで不足しがちなオメガ3脂肪酸を補い、より健康的な生活を送るようにしましょう。