私たちの体は約60兆個の細胞からできており、それらを結びつける役割をしているのが「コラーゲン」です。肌のハリや水分を保ち、健康な骨の形成をサポートしています。(1)
以前は、コラーゲンを摂取しても、体内でアミノ酸として吸収されるという説が一般的でしたが、昨今の研究により、コラーゲンの一部は「ぺプチド」として吸収されることが分かってきました。
今回は食事からの摂取が大切なコラーゲンを含む食品とレシピを紹介します。コラーゲンについて知り、肌と健康の維持に活かしていきましょう。
コラーゲンは肌を整え、健康に関わる成分
たんぱく質の一種であるコラーゲンは、体たんぱく質の約3割を占める重要な栄養素です。肌の水分を保ち、関節では骨を支えるクッションのような役割、血管ではしなやかさを保つなど、肌の調子と健康の維持に欠かせない物質となっています。
コラーゲンは3本の鎖がコイルのように巻かれた「3重らせん構造」をしており、1本あたり1000個のアミノ酸がつながっています。
このアミノ酸の配列をみていくと、グリシン(Gly)のほかに、アミノ酸が2つくっついた形が最小単位として、それが数珠つなぎになっています。
コラーゲン分子はそれぞれの結びつきを高めるために、化合物が架け橋となって、簡単にはほどけないようになっています(1)。
コラーゲンの種類
コラーゲンの効果はある?:実例に基づく美容と健康への貢献
コラーゲンは加齢とともに減少
コラーゲンは20歳をピークに量が減少し、40代は20代の約半分になることがわかっています。また、加齢とともにコラーゲンが分解されにくく、代謝が低下することで古いコラーゲンが体に蓄積されることもわかっています(1)。
体内に最も多く存在するのがⅠ型のコラーゲンです。これは皮膚や骨の主成分となっており、ほかにも約30種類のコラーゲンが知られています。
なかでもⅢ型のコラーゲンは皮膚のハリを支える働きがあり、加齢によって減少することがわかっています(2)。
このことから、コラーゲンは日常の食事で補うことが重要になってきています。
近年の研究では、コラーゲンを経口摂取することで、アミノ酸が数個つながれた「ペプチド」の形で血中に存在し、その濃度が長時間上昇することで、コラーゲンを産生する細胞に働きかけて、ヒアルロン酸やコラーゲンの産生を促すことが明らかになっています(2)。
コラーゲンの由来は陸と海?動物性と海洋性コラーゲンを紹介
コラーゲンを多く含む食品は、肉類や魚です。牛すじや鶏ヤゲン軟骨、うなぎなどに含まれ、植物性食品には原則として含まれていません。市販の健康食品やサプリメントには、豚や牛の皮、魚の皮、うろこから抽出したコラーゲンペプチドが使われています(1)。コラーゲンは人と同じように、皮膚や骨、軟骨、腱に存在していると考えるとわかりやすいです。
コラーゲンを多く含む食品ランキング
コラーゲンは成長に合わせてその量が増えていきますが、20歳を境に体内での量は減少していきます。
また、20〜50代の日本人女性を対象とした研究では、食事由来のコラーゲン推定摂取量は平均1.9gという結果が出ています(3)。
このことを踏まえて、今回はコラーゲンを多く含む食品をランキングにして紹介します。
コラーゲンの摂取は体調に合わせて、1日5〜10gを摂取していくのがおすすめです。
35〜55歳の女性69人を対象とした研究では、8週間にわたって1日1回2.5gまたは5.0gのコラーゲンペプチドを投与したところ、皮膚の弾力性が統計的に有意な改善を示したそうです(4)。
表1.コラーゲンを多く含む肉類
順位 |
種類 |
コラーゲン量(g/100g) |
1 |
牛スジ |
4.98 |
2 |
鶏軟骨(胸) |
4.0 |
3 |
豚白モツ |
3.08 |
4 |
鶏砂肝 |
2.32 |
5 |
鶏手羽元 |
1.99 |
6 |
豚レバー |
1.80 |
7 |
ソーセージ |
1.57 |
8 |
鶏もも肉 |
1.56 |
9 |
鶏手羽先 |
1.55 |
10 |
鶏骨つきぶつ切り肉(皮あり) |
1.53 |
参考資料:20代から50代日本人女性における食事由来コラーゲン推定摂取量の特徴(以下の表も同じ)
表を見ると、牛スジや鶏軟骨、豚白モツ、鶏砂肝などにコラーゲンが多く含まれているのがわかります。
串焼きのお店などで見かける肉の部位が多い印象です。ほかにもソーセージや鶏もも肉、鶏の手羽先など、普段よく行くお店で手に入る食材にも含まれているので、ぜひ取り入れてみてください。
表2. コラーゲンを多く含む魚介類
順位 |
種類 |
コラーゲン量(g/100g) |
1 |
ふかひれ 戻し(湿) |
9.92 |
2 |
ハモ 皮のみ |
7.66 |
3 |
うなぎの蒲焼き |
5.53 |
4 |
ハモ 皮あり |
3.56 |
5 |
ハモ 肉のみ |
2.54 |
6 |
サケ 皮あり |
2.41 |
7 |
さんま開き 皮あり |
2.23 |
8 |
しらす干し |
1.92 |
9 |
サンマ 皮あり |
1.82 |
10 |
なまり節(カツオ) |
1.66 |
魚介類ではふかひれやうなぎの蒲焼き、サケやサンマの皮に多く含まれているのがわかります。皮付きの魚を使って、ムニエルや煮魚、焼き魚にしていただくのもよいでしょう。
しらす干しはサラダやパスタの具に使うのもおすすめです。いずれも100gあたりのコラーゲン量なので、切り身であれば少し大きめのもの1つ分をイメージするとよいでしょう。
コラーゲンはたんぱく質の一つであり、ビタミンCや鉄と一緒にとると、吸収効率が高まります。
ビタミンCはブロッコリーやパプリカなどの野菜、キウイやいちごなどの果物に含まれます。
鉄は赤身の肉や魚、貝類、ほうれん草、小松菜などの葉物野菜に含まれます。これらの食材を一緒にとる、魚や肉にレモン汁を加えた料理などもおすすめです。
コラーゲン生成のサポート:ビタミンCの効果は?持続型ビタミンCとは?薬剤師が解説!
コラーゲンは体内で分解され効果は期待できない?
吸収されたアミノ酸やコラーゲンペプチドは、血流に乗り骨や皮膚、関節などの必要な場所に運ばれて、コラーゲンを産生する繊維芽細胞や軟骨細胞を刺激し、コラーゲンの産生が促進される可能性があるという報告があります。
コラーゲンの効果が現れるのはいつから?コラーゲンの効果と継続的な摂取が重要である理由を解説!
コラーゲンがたっぷりのレシピを紹介
コラーゲンを豊富に含む食材を使ったお手軽レシピを紹介します。鶏手羽元の照り焼き
【材料(2人前)】
-
鶏手羽元…8本(480g)
-
片栗粉…大さじ1
-
サラダ油…大さじ1
【調味料】
-
酒…大さじ2
-
みりん…大さじ2
-
砂糖…大さじ1/2
-
しょうゆ…大さじ2
【作り方】
-
ビニール袋に鶏の手羽元と片栗粉を入れてよく振り、全体にまぶします。
-
フライパンにサラダ油を入れて中火で加熱し、鶏の手羽元を並べて焼き色がついたら裏返して蓋をし、10分ほど弱火で蒸し焼きにします。
-
調味料を加えて、全体的に煮絡めたら完成です。
甘辛い味つけに箸が進む鶏の手羽元の照り焼きは、ビニール袋を使って片栗粉をまぶすことで、調味料がよくなじみ、準備もお手軽です。
鮭のガリバタ醤油ムニエル
【材料(2人前)】
- 鮭(計200g)…2切れ
- 薄力粉…大さじ1
- ニンニク…一片
【調味料】
-
(A)みりん…大さじ1
-
(A)しょうゆ…大さじ1
-
(A)みりん…大さじ1
-
黒こしょう…少々
-
有塩バター…10g
【付け合わせ】
-
レモン(くし切り)…2個
-
ベビーリーフ…10g
-
ミニトマト…4個
【作り方】
-
ニンニクは薄切りにします。
-
鮭はキッチンペーパーで水気をふきとり、薄力粉をまぶします。
-
フライパンを中火で加熱し、有塩バターとニンニクを入れて香りが立ってきたら鮭を入れて、両面に焼き色がつくまで焼きます。
-
調味料(A)を入れて蓋をして弱火で6分、鮭に火が通るまで蒸し焼きにします。
-
蓋を開けて、黒こしょうをかけたら付け合わせと一緒にお皿に盛り付けて完成です。
サケの皮も一緒に食べられるおかずメニューです。しっかりと焼き色をつけることで皮がパリッと香ばしく、ニンニクの香りとバターしょうゆの味つけでごはんが進みます。
フライパン一つで作れる簡単メニューなので、夕飯などにいかがでしょうか?
コラーゲンサプリメントの活用と分子量も重視すべき
このように食事からもおいしくとれるコラーゲンですが、分子量が30万と高分子で、水には溶けず、吸収率が低いのが難点です。また、多く摂取しようとすると、脂質の摂取量が増える傾向があり(3)、栄養のバランスにも配慮する必要があります。
コラーゲンを効率よく吸収するには、食事摂取のほかに、低分子のコラーゲンペプチドを含む栄養補助食品を取り入れるのもよい方法です。
分子量が数千程度のコラーゲンペプチドは水に溶けやすく、体への吸収もしやすい形になります。あくまで補助的に活用し、不足分のコラーゲンを補うようにしてみましょう。
コラーゲンの分子量は?
食品に含まれるコラーゲンの平均分子量(単位:DA)は約30万と非常に大きな分子で、吸収率は少ないです。
市販のコラーゲンペプチドの平均分子量は2000DA~5000DAで、平均分子量が5000以下である場合もコラーゲンの吸収を促進させる効果が期待できますが、平均分子量の小さいコラーゲンは、吸収率が高く、吸収後に体内で再合成されやすいです。
コラーゲンの効果が現れるのはいつから?コラーゲンの効果と継続的な摂取が重要である理由を解説!食生活を見直し、コラーゲンで「健康と美」を保ちましょう
肌や骨、関節などの健康に欠かせないコラーゲンは、バランスのよい食事から取り入れるのが基本です。今回ご紹介した食材を参考にして、普段の食事に取り入れてみてください。
また、サプリメントを補助的に活用するのもよい方法です。コラーゲンの合成と分解のバランスがくずれないように、継続的な摂取を心がけ、肌と体の健康を守っていきましょう。