EPAとは

EPAはエイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid)の略称では、DHAと同様に、青魚(サバ、サンマ、アジなど)に多く含まれるオメガ3脂肪酸に属し、体内では合成できないため、食事から摂取する必要があります。
EPAは、血液のめぐりや免疫機能をサポートし、体と心の健康を保つために重要です。
ただし、EPAは酸化しやすく、熱にも弱いという特徴を持つため加熱調理には不向きです
EPAの働き
EPAは体内で生理活性物質を生成し、新陳代謝を促進することで生理機能を調整します。
具体的には、血液をサラサラにし血管の健康を保つ抗血栓作用があり(1)、炎症抑制、抗酸化作用、免疫調整、アレルギー疾患、脂質異常症への良い影響も示されています。
これらにより、特に心血管疾患の予防や生活習慣病の改善に効果的であることが多くの研究で確認されています。
日本では、EPAは健康食品だけでなく、特定保健用食品や機能性表示食品にも利用されており、日常的な摂取が推奨されています。
EPAは医薬品として活用
EPAの効果は製薬会社からも注目され、現在は脂質異常症などに効果がある医薬品の成分としても使われています。
EPAの1日摂取量

日本の厚生労働省では、EPAの摂取量を明確に定めていませんが、オメガ3脂肪酸の摂取量を参考にできます。成人男性は1日2.2~2.3g、女性は1.7~2.0gのオメガ3脂肪酸の摂取が推奨されています。
魚をよく食べている方は、EPAだけでなくDHAも摂取しているため、EPAを単独で1日2g摂取することは過剰摂取になる可能性があるため、注意が必要です。
また、EPAの吸収率を高めるためには、食事のタイミングに合わせて摂取することが効果的です。
オメガ3脂肪酸の1日の摂取目安量
成人女性:1.7~2.0 g / 日
EPAの摂取方法
EPAを効率よく摂取するには、青魚が最適です。
例えば、サバやサンマ、イワシなどの魚は、EPAが豊富であり、これらを食事に取り入れることで、日常的にEPAを摂取できます。
また、鮮度が良い旬の魚を選ぶことが、より多くのEPAを摂取するためのポイントです。しかし、EPAは熱に弱いため、調理方法には注意が必要です。焼く、煮る、蒸すなどの方法で調理する際は、過度な加熱を避けることが重要です。
EPAが多い食品
アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)によると、サーモン、サバ、マグロ、ニシン、イワシなどの深海魚はオメガ3脂肪酸が豊富です(2)。
日本の食品成分データベースによる、EPAが多い食品は以下通りです。
順位 |
食品名 |
成分量 100gあたりmg |
1 |
たらのあぶら |
13,000 |
2 |
くじら/本皮/生 |
4,300 |
3 |
あんこう/きも/生 |
3,000 |
4 |
くじら/うねす/生 |
2,200 |
4 |
やつめうなぎ/干しやつめ |
2,200 |
6 |
しろさけ/すじこ |
2,100 |
7 |
たいせいようさば / 生 |
1,800 |
7 |
あゆ/養殖/内臓/焼き |
1,800 |
10 |
しろさけ / イクラ |
1,600 |
10 |
みなみまぐろ/脂身/ 生 |
1,600 |
10 |
たいせいようさば/ 水煮 |
1,600 |
上記の表にあるように、サバ、サンマ、マグロなどの青魚はとくに多くのEPAを含んでいます。
たらのあぶら(13,000mg/100g)は非常に高いEPA含有量を誇り、次いでくじらの本皮(4,300mg/100g)やあんこうのきも(3,000mg/100g)などがあります。
また、サバやマグロ、イワシなどもEPAを多く含み、日常的に摂取することで健康をサポートします。これらの食品は、特に心血管系の健康に有益とされています。
青魚にもさまざまな種類があるため、EPAの含有量を確認してから摂取するようにしてみてください。
EPAは危険?安全性と副作用について
EPAを摂る際は、薬との飲み合わせやアレルギーに注意が必要です。
とくに、血液をサラサラにする薬を服用している方や魚介類アレルギーを持っている方は、事前に医師や薬剤師と相談することをおすすめします。
EPAの摂取不足
EPAの摂取が不足すると、さまざまな健康リスクが高まります。
特に、心血管疾患の予防効果が得られにくくなり、血液のサラサラ効果が不足し、血栓が形成されやすくなる可能性があります。また、免疫機能や抗炎症作用が弱まることにより、慢性的な炎症やアレルギー症状の悪化が見られることもあります。
EPAの過剰摂取
一方、EPAを過剰に摂取すると、出血リスクが高まることがあります。特に、血液がサラサラになる作用が強くなりすぎると、出血しやすくなったり、手術時やケガの際に血が止まりにくくなることがあります。
また、過剰な摂取が免疫機能に悪影響を与える可能性があるため、適量を守ることが重要です。
薬との飲み合わせ
EPAを含むオメガ3系脂肪酸は、血液をサラサラにする薬との相互作用が認められる場合があります。
相互作用とは、薬と食べ物が影響し合って、薬の効き方や副作用が変わることをさします。
EPAの場合、血液をサラサラにする作用があるため、より出血しやすい状態になってしまう可能性があります。
血液をサラサラにする薬を服用している場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
アレルギーと副作用
魚介類アレルギーがある方がサプリメントを摂った際の安全性は明らかになっていないため、EPAを含むサプリメントを服用する前は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
また、EPAを含むオメガ3系脂肪酸の副作用は一般的に軽度ですが、以下の症状が報告されています。
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不快な味
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口臭
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悪臭を伴う汗
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頭痛
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胃腸症状(胸やけ、悪心、下痢)
上記の症状が出た場合は、使用を中止し医師に相談しましょう。
子どもや妊娠中の摂取
EPAやDHAは、脳や神経の発達に必要な栄養素で、胎児・幼児期の脳機能の維持にも必要です。
胎児の発育に影響のないオメガ3系脂肪酸の摂取量は、1.48g/日とされています。
一方で、妊娠していない18~49歳の女性の平均摂取量は1.48g/日上回っており、多くの女性が必要量を十分に摂取できていると考えられます。(4)
ただし、妊娠中の女性は、青魚から摂取できる栄養素だけでなく、水銀のリスクにも注意が必要です。
水銀は大型の魚に多く含まれ、摂りすぎるとお腹の中の赤ちゃんの発育に影響を与える可能性があります。
大きい魚を食べる場合は週1回程度にコントロールしたり、水銀量が少ない魚を選んだりするのがおすすめです。
注意が必要な魚の例 |
・マカジキ ・インドマグロ ・キンメダイ |
特に注意が必要でない魚の例 |
・サケ ・アジ ・サバ ・イワシ ・サンマ ・ブリ ・カツオ |
妊娠中や子どもの成長においては、バランスの取れた食事の中で必要量を意識的に摂ることが重要です。
まとめ
EPAは、心血管の健康を保つために重要な栄養素です。青魚から効率的に摂取できるため、日常的に食事に取り入れることが推奨されます。健康をサポートするために、バランスの取れた食事を心がけましょう。