栄養素 - 脂質

オメガ3が多い油は?油のオメガ3の含有量ランキングの選び方と保存方を紹介

監修者 端場 愛 管理栄養士 公開日:2024-09-02 最終更新日:2025-03-24

栄養素 - 脂質

オメガ3が多い油は?油のオメガ3の含有量ランキングの選び方と保存方を紹介

監修者端場 愛 管理栄養士 公開日:2024-09-02 最終更新日:2025-03-24

油は「太るもの」「体によくないもの」などのイメージを持つことも多いのですが、油の脂質はホルモンや細胞膜の材料などになる大切なものです。

中でもオメガ3脂肪酸は体にいい働きをする、いわゆる体にいい油だとご存知でしょうか。オメガ3脂肪酸というとピンとこないかもしれませんが、えごま油やアマニ油と聞けばイメージしやすいかもしれません。

今回はオメガ3脂肪酸の健康効果や豊富に含む油、効率よく取り入れるためのコツなどを紹介します。

オメガ3脂肪酸の働きを知って、毎日の健康維持に役立てましょう。
 

オメガ3脂肪酸とは?

脂肪酸の種類

オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸の一種です。

必須脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。オメガ3脂肪酸には、EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)・ALA(αーリノレン酸)の3種類があり、多く含む食品は下表の通りです。

オメガ3脂肪酸

多く含む食品

EPA

青魚(アジ・サバ・サンマ・イワシなど)

DHA

青魚と魚全般(マグロ・サケ・サバ・サンマなど)

αーリノレン酸

えごま油・亜麻仁油・チアシード・くるみ・なたね油など

 

EPAとDHAは魚に多く含まれていますが、EPAは青魚、DHAは脂質の多い魚に多く含まれる傾向にあります。αーリノレン酸は脂質の多い植物(アマニ油、エゴマ油など)に含まれています。

オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸

オメガ3脂肪酸は体内で作ることができなくて、食事から摂取する必要があるため、必須脂肪酸として認識されています。
オメガ3の11つの効果・働きと手軽に摂取する方法|認知機能・心血管系の健康を支える

必須脂肪酸とは?種類と多く含まれる食品
 


 

油に含まれるオメガ3脂肪酸の働き

オメガ3脂肪酸は脳の機能にサポートすることや、中性脂肪を減らすなどの期待できる健康効果だけではなく、他の健康効果を見ていきましょう。
 

心血管疾患のリスク低減

EPAには血液をサラサラにする効果があることから、心血管疾患のリスクを低減するとの研究結果があります。魚を週1回、1日20g程度食べる人に対し、それ以上食べる人は虚血性心疾患のリスクが最大で40%程度下がったようです。(1)
 

認知機能の維持

DHAやEPAには脳の認知機能を維持する効果が期待できるとされています。週2回以上の魚の摂取で、認知機能低下を予防できる可能性が高い、という研究結果もあります(2)

それ以上多く摂取することで、さらに認知機能低下が防げるかどうかまでは解明されていませんが、DHAやEPAを日頃から摂取することが大切です。
 

アトピー性皮膚炎の抑制

EPAやDHAの摂取により、アトピー性皮膚炎の悪化を抑制し、改善につながることが分かっています。(3)アトピー性皮膚炎を悪化させるとされる、オメガ6脂肪酸のアラキドン酸の血中濃度が低下し、DHAが増えていたことが改善の要因になったと推測されたのです。

また、妊娠中の魚の摂取により、生まれてくる子どものアトピー性皮膚炎のリスクが低下したとの研究結果もあります(4)
 

骨の健康

ALAの摂取は、骨の健康維持に役立つとの研究結果があります(5)。中でも亜麻仁油や亜麻仁サプリメントを摂取することで、骨粗鬆症の改善に役立つ可能性があるとの報告もあるようです。

また、えごま油の抗酸化作用により、骨を丈夫に保つ可能性が高まると考えられています(6)

なお、ALAやDHA、EPAを含むオメガ3脂肪酸の1日の目安量は下表の通りとなっています。

参考記事:オメガ3の11つの効果•働きと多く含まれる食品

 

オメガ3脂肪酸が豊富な油ランキング【植物由来】

オメガ3脂肪酸の中でもALA(αーリノレン酸)を豊富に含むのは、植物由来の脂質です。毎日の健康維持に役立てるためにも、ALA(αーリノレン酸)を多く含む植物由来の油と食材を知っておきましょう。
オメガ3脂肪酸:エゴマ油

食品

100gあたりオメガ3脂肪酸含有量

1回の目安量

えごま油

58,000mg

2,320mg/小さじ1(4g)

アマニ油

57,000mg

2,280mg/小さじ1(4g)

チアシード

19,000mg

1,900mg/スプーン1杯(10g)

くるみ

9,000mg

2,700mg/ひとつかみ(30g)

なたね油

7,500mg

300mg/小さじ1(4g)

出典:食品成分データベース|文部科学省
表によると、亜麻仁油やえごま油は小さじ(4g)で約2.2g~2.3gのオメガ3脂肪酸が含まれているため、厚生労働省が公表されている成人のオメガ3脂肪酸の1日摂取目安量を満たします。

毎日の食事に亜麻仁油やえごま油を小さじ1杯程度を加えると、健康維持に役立つでしょう。

 

 

オメガ3脂肪酸が豊富な油ランキング【魚由来】

オメガ3脂肪酸の中でもEPAやDHAを豊富に含むのは、魚だと紹介しました。では、どんな魚にどれくらいEPAとDHAが含まれているのか、見ていきましょう。
オメガ3脂肪酸:青魚

魚のEPA含有量ランキング

食品

100gあたりEPA含有量

あんきも

3,000mg

すじこ

2,100mg

イワシかば焼き缶詰/サバ

1,800mg

ミナミマグロ(トロ部分)/サバ水煮

1,600mg

サンマ

1,500mg


 

魚のDHA含有量ランキング

食品

100gあたりDHA含有量

ミナミマグロ(トロ部分)

4,000mg

クロマグロ(トロ部分)

3,200mg

サバ

2,600mg

すじこ

2,400mg

サバ水煮

2,300mg

出典:食品成分データベース|文部科学省

食生活の変化もあり、現代人は十分に魚を食べているとは言えません。また魚嫌いの人もいるでしょう。そんなときは、フィッシュオイルのサプリメントを利用するのもおすすめです。

 

オメガ3脂肪酸が多い油の調理コツ

オメガ3脂肪酸の健康効果を得るには、調理時にコツが必要です。ここでは特に覚えておきたい3つのコツを紹介します。
 

1.加熱調理はなるべく避ける

オメガ3脂肪酸は熱に弱い特徴があります。

αーリノレン酸は加熱調理により劣化するため、食品にかけるなどの使い方がおすすめです。ただし、190℃3分以内の調理であれば、劣化度が低くなるというデータもあるため、もし加熱調理するのであればこの時間内に留めるようにしましょう(8)

また、魚に含まれるEPAやDHAは、揚げ調理で損失が大きくなります。これは魚のオメガ3脂肪酸が、揚げ油に溶け出るのが理由です。
 

2.冷暗所で保存する

オメガ3脂肪酸を多く含む、えごま油や亜麻仁油などの油脂類は光や熱により劣化が早まるため、冷暗所で保存しましょう。温度が左右されない冷蔵庫での保存がおすすめです。
 

3.使用期限を守る

えごま油や亜麻仁油などの油脂類は、開封後1ヵ月から1ヵ月半ほどで使い切るようにしましょう。酸化した油脂類を摂取し続けると、動脈硬化や老化など、体に悪影響を及ぼす可能性があると言われています。

また、アジやイワシなどの干物にはEPAやDHAが多く含まれている分、酸化しやすいという特徴があります。購入後なるべく早く食べるのはもちろん、冷凍だからと言って長期間保存しないようにしましょう。

オメガ3脂肪酸が酸化しやすい
オメガ3脂肪酸は非常に酸化しやすい特徴があって、光や熱や空気に摂取すると酸化しまいます。したがって、オメガ3脂肪酸は多い調理油や食品を保存する際に注意ください。

 

オメガ3脂肪酸を多く含む油を使ったレシピ

ここからはオメガ3脂肪酸の健康効果を取り入れられる、おすすめレシピを2品紹介します。
 

トマトとオクラと大葉のえごま油和え

魚が苦手、植物油が好きな方、菜食主義者におすすめ!
 

材料(2人分)

  • トマト:1個
  • オクラ:1袋(5本)
  • 大葉:3枚
  • ★えごま油:小さじ1
  • ★ポン酢:大さじ2
  • ★砂糖:小さじ1  
 

作り方

  1. トマトはざく切りにする。オクラは板ずりしたあとに、お湯で1分半ゆでる。大葉は千切りにする。
  2. ボウルに★を加え、泡立て器などでよく混ぜてから、1を加えて和える。
 

ポイント

・オクラが手に入りにくい時期は、ブロッコリーなどでも代用可能です。
 

さば水煮缶の冷汁

魚が好きな方におすすめ!
 

材料(2人分)

  • ごはん:茶碗2杯分
  • さば水煮缶:1缶
  • きゅうり:1/2本
  • 大葉:3枚
  • みょうが:1本
  • だし汁:300ml
  • みそ:大さじ1.5~2
  • すりごま:大さじ1
 

作り方

  1. さば水煮缶はほぐす。きゅうりは薄い輪切りにし、大葉とみょうがは千切りにする。
  2. ボウルにさば水煮缶、きゅうり、だし汁、みそ、すりごまを加えて、みそが溶けるまでよく混ぜる。
  3. 器にごはんをよそい、2をかけてから、大葉とみょうがを乗せる。  

ポイント

  • さば水煮缶はEPAやDHAの量があまり変わらず、手軽に食べられるイチオシ食材です。
 

オメガ3脂肪酸の1日の摂取目安量 

オメガ3脂肪酸は、私たちの身体にとって不可欠な必須脂肪酸であり、特に血流や脳の健康に欠かせない成分です。オメガ3脂肪酸は体内で作り出すことができないため、毎日の食事から摂取する必要があります。では、成人におけるオメガ3の理想的な摂取量とは、いったいどのくらいなのでしょうか?

成人男性の場合、18歳から64歳の間での推奨摂取量は1日2.2gとされています。しかし、年齢を重ねるごとにその必要量は少し増加し、65歳以上になると2.3gに達します。成人女性については、18歳から49歳までが1.7g、50歳以上では1.9gが推奨されます。

妊婦や授乳婦も、オメガ3の摂取が特に重要とされていますが、妊娠中の女性も1.7gを目安に摂取することがおすすめです。

年齢

男性(g/日)

女性(g/日)

0~5(月)

0.9

0.9

6~11(月)

0.8

0.8

1~2歳

0.7

0.7

3~5歳

1.2

1.0

6~7歳

1.4

1.2

8~9歳

1.5

1.4

10~11歳

1.6

1.7

12~14歳

2.2

1.7

15~17歳

2.2

1.7

18~29歳

2.2

1.7

30~49歳

2.2

1.7

50~64歳

2.3

1.9

65~74歳

2.3

2.0

75歳以上

2.3

2.0

妊婦

-

1.7

授乳婦

1.7

日本人の食事摂取基準(2025年版)
 

オメガ3脂肪酸の1日の摂取目安量
成人男性:2.2~2.3 g / 日
成人女性:1.7~2.0 g / 日
 

 

 

α-リノレン酸からEPA, DHAへの変換率

αーリノレン酸は体内でEPAやDHAに変換されることが分かっています。しかし、体内ではαーリノレン酸からEPAやDHAへの変換率が低く、ALA→EPAは0.1~21%、EPA→DHAは0.1~9%程度となっています(7)

えごま油摂取による脳機能改善の研究が行われるなど、現在も研究が続いていますが、未解明の部分が多いのも事実です。健康のためにはALAやEPA、DHAを多く含む食品を摂取する必要があるものの、普段の食事から十分に摂取できない場合は、サプリメントを利用するなど工夫する必要があります。

 

まとめ

健康維持には必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸が欠かせません。現代人は魚離れなどが原因でオメガ3脂肪酸が不足している可能性が高くなっています。毎日の食卓に植物油脂であるALAや、魚由来の油脂であるEPAやDHAを取り入れるよう、心掛けましょう。