パソコンやスマートフォンを使う機会が増えた現代。目の疲れやかすみを感じる瞬間など、目の健康や視力を守る大切さがますます高まってきています。
今回の記事では目によい栄養素と食べ物について解説し、カテゴリー別にまとめました。目によい食材と栄養素を知って、視力の維持に努めていきましょう。
目が疲れている?セルフチェックしよう
目の違和感は放置しておくと、眼精疲労やドライアイなどの症状が起こり、ひどい場合は肩こりや疲労感、頭痛、めまいなどが起こります。これ以上、目の調子を悪化させないために、セルフチェックをしてみましょう。
眼精疲労のセルフチェック
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目が痛い
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夕方になると目がかすむ
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まぶたがけいれんする
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涙が出る
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目の渇きを感じる
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外がまぶしく感じる
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まぶたが重いと感じるなど
目以外の症状
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強い肩こり
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頭痛
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めまいやふらつき
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疲労感
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集中力の低下
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吐き気など
このように、目の疲れから日常生活や仕事に支障をきたす場合があり、そのまま放置すると緑内障や黄斑変性などの目の疾患を引き起こす場合もあります。これらの予防のために、目の健康を守る工夫をとり入れていきましょう。
目に欠かせない成分と栄養素リスト
目の健康を保つには、アントシアニンやアスタキサンチン、ビタミン、DHA等の摂取が役立ちます。
アントシアニン
赤や紫、青色を呈する天然の色素で、野菜や果物の皮に多く含まれます。網膜に存在するロドプシンの再合成を助け、目の機能を維持してくれます(1)。
また、抗酸化作用による白内障抑制効果も期待され(2)、紫外線から目を守りたい方、パソコンやスマートフォンを使用する時間が長い方、屋外での運動や仕事をする方へおすすめの栄養素です。ブラックラズベリーやブルーベリーなど、なすやいちごなどに多く含まれます(3)。
食品 |
含有量(mg/100g) |
ブラックラズベリー |
約687 |
ブルーベリー |
約386 |
なす |
約86 |
参考:Wu X, Beecher GR, et al:Concentrations of anthocyanins in common foods in the United States and estimation of normal consumption. J Agric Food Chem. 2006 May 31;54(11):4069-75. doi: 10.1021/jf060300l. PMID: 16719536.
アスタキサンチン
アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、エビやカニ、鮭やイクラに多く含まれます。
橙色の色素成分で、目においては酸化を防ぎ、炎症を抑える効果が期待されています。「目が疲れる」「かすむ」「しょぼしょぼする」などの症状に有意な改善が見られたとの報告もあり、眼精疲労軽減や目のピント調節機能にも役立つと考えられています。(4)
食品 |
含有量(mg/kg) |
エビやカニ |
~400 |
鮭 |
3~40 |
イクラ |
0~14 |
ルテイン
目の水晶体や網膜、特に黄斑部(おうはんぶ)に多く存在する物質で、強い抗酸化力を持つ黄色の色素です。パソコンやスマートフォンからのブルーライト吸収や網膜の保護など、目の健康維持に欠かせない栄養素です。(5)
ケールやモロヘイヤ、小松菜などの葉物野菜に多く含まれ(7)、加齢による網膜黄斑変性症の予防に貢献するとされています。(6)1日6-10mgの摂取が推奨されています。
食品 |
含有量(mg/100g) |
ケール |
21.9 |
モロヘイヤ |
13.6 |
小松菜 |
7.6 |
参考:Mangels AR et al., J. Am.Diet. Assoc., 1993、Quantitation of Carotenoids in Commonly Consumed Vegetables in Japan
ルテインの詳細はこちら:ルテインの効果とは?効果的な摂取方法や注意点を解説!
ゼアキサンチン
ルテインの構造異性体で、葉野菜やトウモロコシ、卵黄などに多く含まれる色素です。黄色からオレンジ色をしていて、ルテインとともに網膜の真ん中にある黄斑部に存在し、ブルーライトから網膜を守り、コントラスト感度を向上させることで視覚の働きを高めると言われています(8)。
ビタミンA
レチノイドとも呼ばれ、主要成分のレチノールや体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAカロテノイドなど、約50種類が存在します。網膜の保護や視神経の光刺激反応に関わる重要な栄養素です(6)。
レバーや卵黄、にんじんに多く含まれます(9)。
食品 |
レチノール活性当量(μgRAE/100g) |
鶏レバー |
14,000 |
皮付きにんじん |
720 |
卵黄 |
690 |
参考:食品成分データベース(以下同様)
ビタミンB群
ビタミンB群は、生体機能の調整を助ける補酵素として働きます。
神経や皮膚、粘膜の健康の促進や栄養素の代謝をサポートしてくれます。水溶性のビタミンB群は、一度に大量に摂取しても尿中に排出されてしまうため、日々習慣的に摂取したい栄養素です。緑黄色野菜や肉、魚、ナッツなどに広く含まれます(10)。
ビタミンC
抗酸化作用のあるビタミンCは、ビタミンEと協力して活性酵素を除去し、細胞を保護する役割があります(11)。
目の前房水に多く含まれ、角膜の疾患や白内障、緑内障、アレルギーに対する効果が期待されています。また、網膜における光受容体の障害軽減が期待され(12)(13)、ピーマンやキウイ、柑橘類に多く含まれています。
食品 |
含有量(mg/100g) |
赤ピーマン 油いため |
180 |
キウイ 黄肉種 |
140 |
レモン |
100 |
DHA
DHAはオメガ3脂肪酸の一種で、食事からの摂取が不可欠な必須脂肪酸です。視覚の発達と維持、網膜における光受容体の働き、脳や神経の機能維持によい影響を与えてくれます。さばやさんま、ぶりなどの青魚に多く含まれます(14)。
食品 |
含有量(mg/100g) |
たいせいようさば 生 |
2,600 |
さんま 皮付き 生 |
2,200 |
ぶり 焼き |
1,900 |
目に良い食べ物10選!料理のコツも紹介
目にいい栄養素を含む食材を紹介します。手軽に買えておいしく、子どもも食べやすい食材をピックアップしたので、ぜひ参考にしてみてください。
ブルーベリー

アントシアニンを多く含むブルーベリーは、網膜の健康維持に欠かせないビタミンAや抗酸化作用を持つビタミンCをたっぷりと含み、目の疲労軽減をサポートしてくれます。
冷凍しても栄養価はほぼ変わらず、それによって皮の部分の細胞が壊れて、体に吸収されやすくなります。洗って水気を切ったら保存袋に入れて冷凍し、半解凍したものをヨーグルトなどに入れてもおいしく召し上がれます。皮ごと食べるのがおすすめです(15)。
参考:ビルベリーの効果は?目の健康成分であるビルベリーの効果を紹介
ほうれん草

ほうれん草にはカロテノイドの一種、ルテインやゼアキサンチンが豊富に含まれ、目の水晶体、黄斑部において光ダメージを抑制してくれます。(5)ビタミンAやCも豊富に含まれ、光を感じる物質を作るために役立っています。
ルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンAは油に溶けやすい性質を持っているので、ソテーや短時間加熱で油と和えるのもおすすめです。
ブロッコリー

ルテインやゼアキサンチン、βカロテンなどのカロテノイドを含み、紫外線やブルーライトから目を守ってくれます。ビタミンEやビタミンCも多く含まれ、抗酸化作用によって酸化ストレスから目の細胞を守ってくれます。ほうれん草と同じように、油を使った料理や電子レンジを使った加熱もよいです。
サケ

アスタキサンチンと言われる色素をたっぷりと含み、抗酸化作用によって活性酵素を除去、目の細胞を保護してくれます。眼精疲労や白内障予防にも効果が期待され(16)、オメガ3脂肪酸においては、視覚の維持や網膜の光受容体の障害を緩和、目の疾患である黄斑変性やドライアイ症状緩和に有用との見解も示されています(17)。
油に溶けやすい性質を持つため、ソテーやムニエルがおすすめです。
豚肉

たんぱく質やビタミンB群を多く含み、目の健康維持に役立つ身近な食材の一つ。ビタミンB1は疲労回復効果が期待され、欠乏により目の震えや動きに制限が出るなどの症状が起こります(18)。
ビタミンB群は水溶性で熱に弱く、電子レンジ加熱や汁ごと食べられる料理がよいと言われています。
かぼちゃ

ビタミンやカロテンを多く含むかぼちゃは、抗酸化作用のあるビタミンAやC、Eによって、体の酸化を防いでくれます。
βカロテン、ビタミンEは油に溶けやすい性質があるため、天ぷらやソテーなどがおすすめ。β-カロテンはかぼちゃの皮にたっぷり含まれるので、皮も一緒に食べられる料理にするとよいでしょう。
卵

卵の黄身はカロテノイドの一種であるルテインが豊富です。紫外線から網膜の細胞を保護してくれます。ある研究では、ルテイン(6mg)と ゼアキサンチンの摂取によって、加齢黄斑変性に対するリスクが57% まで下がることが示唆されました(19) 。
ルテインもゼアキサンチンも油に溶けやすい性質があり、卵焼きやスクランブルエッグなど、ほかにもさまざまな料理に使えます。
サバ

サバはDHAやタンパク質、ビタミンを豊富に含み、特にDHAは神経の発達と維持、網膜細胞の機能を正常に保ってくれます(12)。
手軽に食べやすい缶詰のほかに、皮ごと食べられる塩焼きや味噌煮込みもおすすめです。
さつまいも

目の健康維持に必要なビタミンAとC、アントシアニンを含み、抗酸化力によってさまざまな病気のもととなる活性酵素を除去してくれます。アントシアニンに関しては、白内障の発症抑制にも効果が期待されています(2)。
また、さつまいものビタミンCはでんぷんに守られているため、加熱に強い特性があり、皮にはアントシアニンが多く含まれるので、皮ごと食べるのがよいとされています。
キウイ

キウイはビタミンCをはじめ、目の水晶体や網膜を保護するルテインが含まれます。ビタミンCは水晶体の透明性を維持するのに必要な栄養素で、熱に弱いため、生食で食べるのが手軽でおすすめです。
食事と生活習慣で目の健康を守る
目の機能維持と食事のバランスは、密接に関わっています。疲れを感じたときはツボを押すマッサージや眼球体操、まぶたを温めるなどのルーティーンもよいでしょう。綺麗な風景や思い出に残る瞬間を見逃さないように、大切な目は疲れをいたわって健康を保っていきたいです。